いきなり本命の講座を案内しても、なかなか申し込みは来ない。そこで、まずは手に取りやすい小さな商品を作る。単発のセッションや、短い講座、少額の教材などです。ここまでは、多くの方が考えることです。
ところが、その小さな商品はそこそこ売れるのに、その先の本命の講座にはほとんどつながらない。小さな商品を売り続けるだけで、忙しさは増えるのに売上は伸びない。こうした状態で悩んでいる方は少なくありません。
結論から言うと、原因は入口の商品に持たせる役割があいまいなことにあります。入口の商品は、それ自体で利益を出すための商品ではありません。あなたという人を知ってもらい、次の一歩を自然に選んでもらうための商品です。この役割がはっきりすると、価格の決め方も中身の作り方も変わります。
この記事では、入口の商品が本命につながらない理由、入口の商品に持たせる4つの役割、断られない提案の作り方、そしてよくある失敗を解説します。
入口の商品が、本命につながらない理由
入口の商品が本命につながらないとき、よく見られるのは次の3つのパターンです。
| パターン | 起きていること |
|---|---|
| 入口で利益を取ろうとする | 中身を削って原価を下げ、「こんなものか」と思われる |
| 入口と本命が関係していない | 入口で満足した人が、次に何を学べばいいか分からない |
| 入口を「おまけ」扱いする | 手を抜いた中身が、あなたの実力だと受け取られる |
どれも、入口の商品を単体で見ていることから起きています。入口の商品は、本命の講座とセットで設計するものです。 単体で利益が出るかどうかより、その先にどうつながるかで考えます。
入口の商品と本命の講座の関係は、階段にたとえるとイメージしやすいです。全体の段の組み方は、バックエンド商品の3段階のラインナップで解説しています。
入口の商品に持たせる4つの役割
入口の商品には、次の4つの役割があります。
- 価格:最初の一歩を踏み出しやすくする
- 中身:価格を大きく上回る価値で、期待を育てる
- 自己紹介:あなたの実力と考え方を知ってもらう
- 次の課題:1つの悩みを解決し、次に進みたい理由を残す
順番に見ていきます。
役割1:価格は「自分の商品の中で」手に取りやすく
入口の商品が安い、というのは、ほかの人の商品と比べて安いという意味ではありません。あなた自身の本命の講座と比べて、手に取りやすいという意味です。
ここで気をつけたいのは、最初に出した価格が、お客様の中で「この人の商品の相場」になることです。入口をあまりに安くしすぎると、その金額が基準になり、本命の講座の価格がとても高く感じられてしまいます。
入口の価格は、「まだあなたをよく知らない人でも、試してみようと思える額」と「本命の講座との差が大きすぎない額」の間で決めます。安ければ安いほど良い、というわけではありません。
役割2:中身は、価格を大きく上回る価値で
価格を抑えるからといって、中身まで薄くしてはいけません。むしろ入口の商品こそ、「この価格で、ここまでもらっていいのか」と驚いてもらうくらいの中身にします。
理由は、本命の講座を検討するタイミングにあります。お客様が本命の講座を考えるのは、たいてい入口の商品を実際に使ったあとです。そのとき、お客様は冷静に「あの入口の商品は、本当に役に立っただろうか」と振り返っています。入口の中身の満足が、そのまま本命への期待になります。 「入口でこれだけの価値があったなら、本命はもっとすごいはずだ」と感じてもらえれば、価格の壁はぐっと低くなります。
役割3:入口の商品は「本当の初対面」
無料の発信や無料の資料で、すでにあなたを知っている人もいるでしょう。でも、お客様が自分のお金を払ってあなたの商品を受け取るのは、入口の商品が初めてです。ここが、本当の意味での初対面になります。
初対面でがっかりされると、その印象を覆すのは簡単ではありません。お客様は、中身の質だけでなく、言葉づかい、説明の分かりやすさ、話の組み立て方まで含めて、「この人から学び続けたいか」を見ています。
だから、入口の商品では出し惜しみをしません。その時点で持っている一番良いものを出します。そして、本命の講座ではさらにその先を届けられるよう、自分自身も学び続けます。入口の商品は、お客様への自己紹介であると同時に、自分が成長し続けることの約束でもあります。
役割4:1つを解決して、次の課題に気づいてもらう
最後の役割は、次に進みたい理由を残すことです。これは、わざと大事なことを隠すという意味ではありません。
入口の商品では、1つの悩みをきちんと解決します。すると、お客様は自然に「次はここを何とかしたい」という課題に気づきます。たとえば、発信のネタに困っていた人がネタの見つけ方を身につけると、次は「読んだ人に講座を案内するにはどうすればいいか」が気になり始めます。
人は、完成しかけたものの欠けている部分が気になるものです。入口の商品の中で、「このテーマは本命の講座で詳しく扱います」と自然に触れておくと、その一言が次の一歩の道しるべになります。3日間で何を渡し、何を先に残すかの考え方は、「小さな成果」と「大きな成果」を分けるWHAT設計で詳しく書いています。
入口で利益を取らなくていい
4つの役割を見ると、入口の商品で大きな利益を出すのは難しいと感じるかもしれません。それで構いません。
入口の商品の目的は、利益を出すことではなく、あなたの価値を分かってくれるお客様と出会い、関係を始めることです。売上は、その関係の先にある本命の講座で作ります。入口の段階で利益を取ろうとして中身を削ると、せっかく始まった関係がそこで終わってしまいます。
入口の商品が本当に必要かどうか、そもそもの考え方は、そのフロントエンドは本当に必要かを見分ける方法も参考になります。
入口の提案は「断る理由がない」形にする
入口の商品は、お客様との関係が始まるか終わるかの分かれ目です。ここで「いらない」と判断されると、その先の本命の講座を知ってもらう機会もなくなります。だから、入口の提案は、ほかのどの提案よりも「断る理由がない」形に整えます。
ここで言う「断る理由がない」は、無理に買わせるという意味ではありません。決めるのは、いつもお客様自身です。私たちがやるのは、お客様が落ち着いて考えたときに「これは受けないと損だ」と感じる材料を、きちんとそろえておくことです。
そのための材料は2つあります。
- あなたの一番の強みを、入口に込める:小出しのおまけを並べるより、「これを受けられるなら」と思える一番の強みを、入口の中身の中心に置く
- 条件のシンプルな保証をつける:「失敗したらどうしよう」という最後の不安を取り除く。条件が複雑な保証は、かえって不信感を生むので、誰が読んでもすぐ分かる形にする
一番の強みがまだはっきりしないときは、保証の分かりやすさが大きな助けになります。
たとえば、話し方のコーチがいたとします
例を出してみます。人前での話し方を教えるコーチがいたとします。本命は、数か月かけて話し方を身につける講座です。
最初、このコーチは入口として、話し方のコツをまとめた安い教材を売っていました。教材はそこそこ売れましたが、本命の講座にはほとんどつながりません。教材の中身は一般的なコツの紹介で、コーチ自身の考え方や教え方が見えなかったからです。
そこで入口を作り直します。少人数で、1回の練習会を開きます。参加者は、自分の話を1つ録音して持ってきて、その場で直すところを1つ見つけてもらう。コーチは一人ずつの話を聞き、自分の教え方で具体的に直していく。最後に、「今日は話の組み立てを直しました。声の出し方や本番での緊張の扱いは、講座で扱います」と伝えます。
参加者は、話し方が変わる手応えを、その場で体験できます。そして、次に何を身につければいいかも分かった状態で帰ります。本命の講座を案内すると、「この人から続けて学びたい」と申し込む人が出てきます。
入口の商品でやりがちな3つの失敗
入口の商品を作るときによくある失敗も挙げておきます。
- 入口の種類を増やしすぎる:教材も、単発セッションも、短い講座も、と入口を並べると、お客様はどれから始めればいいか迷います。入口は、まず1つに絞ります
- 入口から本命への案内を忘れる:中身がどんなに良くても、次の一歩を伝えなければ、お客様はそこで満足して終わります。入口の最後に、本命の講座で何ができるのかを必ず伝えます
- 入口のあとに何もしない:入口の商品を受けた人に、感想を聞いたり、つまずいているところを確かめたりする機会を作ります。そのやり取りの中に、本命の講座を必要としている人が見つかります
入口の商品は、売って終わりではありません。受けた人との関係が始まる場所です。
私がチャレンジ企画を入口にしている理由
私の場合、この入口の役割を担っているのがチャレンジ企画です。3日間で参加者に小さな成果を出してもらい、その先を一緒に進みたい人とだけ個別相談で話します。
3日間は、私にとっての自己紹介の場です。考え方も教え方も、すべて見てもらいます。そのうえで個別相談に来てくれる人は、すでに私のことを知ったうえで話を聞きに来てくれています。私が個別相談の成約率92%(25人中23人)になったことがあるのも、話術のおかげではなく、入口の3日間で信頼が育っていたからです。全体の流れはチャレンジ企画の完全ガイドにまとめています。
まとめ
- 入口の商品は、単体で利益を出すものではなく、本命の講座とセットで設計する
- 価格は「自分の商品の中で」手に取りやすく。ただし最初の価格が相場になるので安くしすぎない
- 中身は価格を大きく上回る価値で。入口の満足が、本命への期待になる
- 入口の商品は本当の初対面。出し惜しみせず、1つを解決して次の課題に気づいてもらう
- 提案は、一番の強みと条件のシンプルな保証で「断る理由がない」形に整える
まずは、今ある入口の商品を1つ選んで、「受けた人が次に気づく課題は何か」を一言で書いてみてください。書けなければ、入口と本命のつながりを見直すところから始めましょう。


