講座を作ろうと決めた。テーマもなんとなく決まっている。ずっと好きだったこと、仕事で得意だったこと。「これなら教えられる」と思って、さっそく中身を作り始めた。
ところが、作り終えて案内してみると、反応がほとんどない。「誰がこれを欲しいんだろう」と、作ったあとで考え込んでしまう。講座づくりで、いちばん苦しいパターンの一つです。
結論から言うと、テーマ選びでつまずく原因は、アイデアの良し悪しより「比べていないこと」にあります。候補を1つしか出さないまま決めると、そのアイデアが良いのかどうかを判断する物差しがありません。 候補をいくつか出し、同じ問いで比べてから1つに絞る。この順番にするだけで、作ったあとに慌てることはかなり減ります。
この記事では、好き・得意・興味から候補を書き出し、「相手+悩み」に言い換え、10の問いで比べて1つに絞るまでの手順を解説します。
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この記事の続きとして、お客様の「今」と「理想」から約束を決め、章立て・台本・教材までをAIと作る手順をまとめました。
最初に思いついたアイデアで決めると、あとで苦しくなる理由
最初に思いついたアイデアには、どうしても思い入れが入ります。「これがやりたい」という気持ちは大事ですが、その気持ちだけで決めると、確かめるべきことを飛ばしてしまいます。
よくあるのは、次のようなずれです。
- 自分は大事だと思っているが、相手はそこまで困っていない
- 困っている人はいるが、その人たちに届ける方法がない
- 欲しい人はいるが、お金を払える立場の人が少ない
- 作り始めたものの、途中で自分の興味が続かなくなる
どれも、作る前に考えておけば気づけたことです。けれど候補が1つしかないと、「でも、これしかないし」と見ないふりをしがちです。
反対に、候補が3つ、5つと並んでいれば、同じ問いを当てて比べられます。比べると、それぞれの弱いところと強いところが見えてきます。テーマ選びに必要なのは、ひらめきより、比べるための材料と物差しなのです。
手順1:好き・得意・興味から候補を書き出す
まずは、講座の候補になりそうなものを、できるだけたくさん書き出します。
ここでは、好きなことと得意なことを分けて考えるのがコツです。一緒に考えると、どちらも浅いところで止まってしまうからです。
| 出どころ | 自分への問い |
|---|---|
| 好き・興味 | 時間を忘れてやっていることは何か。人に頼まれなくても調べてしまうことは何か |
| 得意 | 人からよく頼まれることは何か。周りより楽にできることは何か |
| 小さな成果 | これまでにやり遂げたことで、他の人も「できるようになりたい」と思いそうなことは何か |
| 立場の違い | 自分には簡単でも、別の年代や立場の人には難しいことは何か |
「好き」といっても、一日中そればかりしている必要はありません。休日に楽しんでいること、つい人に話してしまうこと、その程度の興味で十分です。
また、得意なことは自分では見えにくいものです。私たちは自分の力を小さく見積もりがちなので、家族や友人に「私が得意なことって何だと思う?」と聞いてみてください。思いがけない答えが返ってくることがあります。
経験を材料として洗い出す方法は、経験と知識を商品の材料に変える棚卸し7項目でも詳しく書いています。
手順2:興味を「相手+悩み」に言い換える
書き出した候補は、まだ講座のアイデアではありません。「料理」「植物を育てること」「家計の管理」。これはテーマの材料であって、誰の何を助けるのかが決まっていないからです。
そこで、一つひとつを次の形に言い換えます。
相手+悩み=講座のアイデア
たとえば、料理が好きな人がいたとします。「料理」のままでは広すぎて、誰に何を教えるのかが決まりません。そこで、料理で困っている相手を思い浮かべます。
- 共働きで、平日の夕食づくりに毎日追われている人 + 献立を考えるだけで疲れてしまう
- 一人暮らしを始めたばかりの人 + 外食ばかりでお金も体調も気になる
- 料理はできるが、人を招いたときの段取りに自信がない人 + もてなし料理を落ち着いて出したい
同じ「料理」から、まったく違う講座のアイデアが3つ生まれました。相手と悩みが決まると、講座で何を教えるかも自然と絞られていきます。
「解決」なのか「獲得」なのかを見る
言い換えたアイデアは、悩みの種類で2つに分けて見ておきます。
- 解決:今の困りごとをなくしたい。上の例なら「献立を考えるだけで疲れる」
- 獲得:今よりもっと良くしたい。上の例なら「もてなし料理を落ち着いて出したい」
どちらが良い・悪いではありません。解決の悩みは切実なので、動いてもらいやすい傾向があります。獲得の悩みは、今の状態に大きな不満はないぶん、「もっと良くなりたい」気持ちを持つ人に向けて届ける必要があります。どちらなのかを分かっておくと、後で案内の言葉を考えるときに迷いません。
相手の決め方そのものは、WHO設計の11項目と選び方の5基準で詳しく解説しています。
手順3:10の問いで候補を比べる
言い換えたアイデアがいくつか並んだら、一つずつ同じ10の問いに当てて比べます。
| # | 問い | 見ること |
|---|---|---|
| 1 | 悩みの強さ | 相手は本当に困っているか。または強く手に入れたいと思っているか |
| 2 | 相手の数 | 同じ悩みを持つ人が、ある程度まとまっているか |
| 3 | 払ってもらえる金額 | 相手の目から見て、その悩みにどれくらいの価値があるか |
| 4 | 相手への理解 | 相手が何に困り、何を望んでいるかを、自分はどこまで分かっているか |
| 5 | 自分の熱量 | このテーマで中身を作り、発信し続けることに、自分はワクワクできるか |
| 6 | 自分の強み | 経験・知識・つながり・伝え方など、自分ならではのものがあるか |
| 7 | 似た商品があるか | 同じ悩みを扱う本や講座、サービスがすでにあるか |
| 8 | 相手に払う力があるか | 相手は自分の判断でお金を払える立場にあるか |
| 9 | 相手に届けやすいか | 相手がどこにいて、どうすれば自分の案内を見てもらえるか |
| 10 | 同じ相手の悩みがほかにもあるか | この講座のあとにも、同じ相手を助けられるテーマがあるか |
1〜6は、アイデアそのものの強さを見る問いです。7〜10は、ビジネスとして続けられるかを確かめる問いです。
料理の3つの候補で比べてみる
手順2で出した料理の3つの候補を、いくつかの問いで比べてみると、たとえば次のようになります。印はあくまで例です。
| 問い | 平日の夕食に追われる人 | 一人暮らしを始めた人 | もてなし料理に自信がない人 |
|---|---|---|---|
| 悩みの強さ | ◎ 毎日のことで切実 | ○ 気にはなっている | △ 困るのはたまに |
| 相手への理解 | ◎ 自分も同じ生活をしてきた | △ 何年も前のこと | ○ 友人によく相談される |
| 届けやすさ | ○ 同じ悩みの人が集まる場所を知っている | △ どこにいるか分からない | △ 思い当たらない |
| ほかの悩み | ◎ 作り置き・買い物・片づけと続く | ○ 掃除・家計と続く | △ 広がりにくい |
こうして並べると、「平日の夕食に追われる人」の候補が全体的に強いことが分かります。一方で、「もてなし料理」の候補は、自分の熱量は高くても、届け先が見つからないという弱点がはっきりします。頭の中で考えているだけでは、ここまでの差は見えません。
問いに答えるときは、頭の中だけで考えず、少し調べてみてください。同じ悩みについて書かれた記事や質問がどれくらいあるか。似た講座や本はあるか。相手が集まっている場所はどこか。調べた事実をメモしながら答えると、思い込みで判断するのを防げます。
比べるときに気をつけたい4つのこと
10の問いは、使い方を間違えると逆に迷いを増やします。比べるときは、次の4つを意識してください。
点数の合計より「弱点」を見る
問いごとに◎○△のような印をつけると比べやすくなります。ただし、合計の高さだけで決めないでください。「相手の数」や「届けやすさ」がはっきり×なら、ほかがどれだけ良くても、講座はなかなか届きません。まず致命的な弱点がないかを見て、そのうえで良いところが多い候補を選びます。
似た商品があるのは、悪いことではない
「誰もやっていないテーマのほうが勝てる」と考える方は多いです。けれど、似た商品がまったくない場合は、そもそもその悩みにお金を払う人が少ない可能性があります。似た商品があるということは、その悩みに需要があるという手がかりです。そのうえで、自分ならではの切り口を問6で探します。
金額は「自分の思い」ではなく「相手の目」で考える
問3でありがちなのは、「これだけ大事な内容だから」と自分の基準で考えてしまうことです。見るべきなのは、相手がその悩みにどれくらいの価値を感じているかです。似た商品がどんな価格帯で売られているかを見ると、相手の感覚がつかみやすくなります。
迷ったら、早く決めて確かめる
上位の2つで迷ったら、長く悩むより、自分の熱量が高いほうを選んでしまってかまいません。机の上で比べられるのはここまでです。この先は、実際に相手に聞いてみないと分かりません。
1つに絞ったら、作る前に小さく確かめる
候補を1つに絞ったら、すぐに講座を作り始めるのではなく、小さく確かめてみてください。
- 想定している相手に近い人に、悩みについて話を聞いてみる
- そのテーマで短い記事や投稿を出して、反応を見る
- 「こんな内容の講座があったら興味がありますか」と、身近な人に聞いてみる
ここで反応が薄ければ、2番目の候補に戻ればいいだけです。候補を複数出して比べておいたので、やり直しも難しくありません。最初に1つしか出していないと、この「戻る先」がないのです。
テーマが決まったら、次は企画を1枚の紙にまとめます。形式・相手・悩み・解決法・価格を並べて競合と比べる方法は、同じシリーズの講座の企画書1枚と競合講座の読み解き方で解説しています。仕事で身につけた専門スキルを候補にした方は、現場の専門スキルを分解して講座にする4つの手順もあわせて読んでみてください。
まとめ
- 講座のテーマ選びでつまずく原因は、アイデアの良し悪しより「候補を比べていないこと」にある
- 好きなことと得意なことは分けて書き出し、自分で見えにくい得意は人に聞いてみる
- 候補は「相手+悩み」に言い換え、「解決」と「獲得」のどちらかを見ておく
- 10の問いで候補を比べるときは、合計より弱点を見る。似た商品があるのは需要の手がかり
- 1つに絞ったら、作る前に相手に聞いて小さく確かめる
まずは、好きなことと得意なことを5つずつ書き出し、そのうち3つを「相手+悩み」の形に言い換えてみてください。並べてみるだけで、どれが講座に向いているかが少しずつ見えてきます。
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