コーチやコンサルとして、お客様と1対1のセッションを続けている。喜んでもらえているし、やりがいもある。けれど、予定はいつも埋まっていて、新しく申し込みたい人には「空きが出るまでお待ちください」と伝えるしかない。自分が体調を崩したら、すべてが止まってしまう不安もある。
こうした悩みを抱えている方は、とても多いです。お客様のために時間を使うほど、自分の時間がなくなっていく。真面目に向き合っている人ほど、この状態に陥りやすいですよね。
結論から言うと、ここから抜け出す糸口は、セッションの中ですでに見つかっています。どのお客様にも毎回同じように話している説明があるなら、それはもう講座の中身です。その部分を講座に切り出し、個別ではその人だけの悩みに時間を使う。この組み合わせ方で、セッションの質を落とさずに、時間の使い方を変えられます。
この記事では、コーチやコンサルが講座を作る理由、セッションから共通部分を切り出して講座にする3つの手順、そして「講座は個別指導の代わりになるのか」という疑問への答えを順に解説します。
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コーチやコンサルが講座を作る3つの理由
1対1のセッションは、自分の時間を直接お客様に届ける仕事です。1日に受けられる回数には限りがあり、1回に関われる人数も少ない。どれだけ工夫しても、届けられる人数の上限は自分の時間で決まります。講座を作ると、この形が次の3つの点で変わります。
理由1:今より多くの人を助けられる
講座は、あらかじめ用意した動画や資料で学んでもらう形です。何人が同時に学んでも中身は減らず、自分の時間も増えません。これまで予定の都合で受けられなかった人にも、自分の知識を届けられるようになります。
理由2:個別セッションの回数を減らせる
セッションの中で毎回話している基本の説明を講座で先に学んでもらえば、セッションのたびに同じ説明をする必要がなくなります。そのぶん、1回のセッションを短くしたり、回数を減らしたりできます。
理由3:収入と信頼が同時に積み上がる
講座が説明を肩代わりしてくれると、自分の働く時間と、関われるお客様の人数を切り離せます。人数の上限が外れれば、収入の上限も自分の時間だけで決まらなくなります。
信頼の面でも変化があります。講座を受けて成果を感じた人が増えるほど、「この人の教え方は分かりやすい」という評判が広がります。そして、評判を聞いて来てくれた人を待たせずに、すぐ講座に案内できます。
手順1:どのお客様にも話していることを書き出す
ここから、セッションを講座にする手順です。最初にやるのは、これまでのセッションを振り返り、毎回のように話している説明を書き出すことです。
次の問いに答えながら書き出してみてください。
- 初回のセッションで、ほぼ必ず説明していることは何か
- 何人ものお客様から、同じ質問を受けたことは何か
- 「これを先に知っていれば、もっと早く進めたのに」と感じた基本は何か
- お客様がつまずく場所として、毎回同じところはどこか
書き出したものの中には、すべてのお客様に共通するものと、一部のお客様に共通するものが混ざっているはずです。どちらも講座の材料になります。全員に共通するものは講座の本体に、一部の人に共通するものは「こういう悩みがある人向け」の追加の中身にできます。
たとえば、人前で話すことに苦手意識がある会社員を支えているコーチがいたとします。セッションを振り返ると、どのお客様にも「緊張の正体」「話す前の準備の手順」「話の組み立て方」を毎回説明していました。さらに、一部のお客様には「オンラインの会議で話すときの注意」や「質問への受け答え」も説明していました。前の3つは講座の本体、後の2つは追加の中身の候補になります。
手順2:共通部分を順番に並べて、講座の骨組みにする
書き出した説明は、そのままでは講座になりません。お客様が「今の状態」から「なりたい状態」に向かうときに通る順番に並べ直します。
並べ方のコツは、まず大きな段階をいくつか決め、その中に小さな単位を入れていくことです。さきほどのコーチなら、次のようになります。
| 段階 | 中に入れる小さな単位の例 |
|---|---|
| 1. 今の自分を知る | 緊張する場面を書き出す/苦手の正体を知る |
| 2. 準備の型を身につける | 話す前の準備の手順/話の組み立て方 |
| 3. 小さく試す | 身近な場で短く話してみる/振り返りの仕方 |
| 4. 本番で使う | 会議や発表で使う/質問への受け答え |
このように段階に分けて並べると、受講者は自分が今どこにいて、次に何をすればいいかが分かります。セッションでは相手の様子を見ながら説明の順番を変えられますが、講座ではそれができません。だからこそ、誰が見ても迷わない順番を先に決めておくことが、セッションを講座にするときの要になります。お客様が通る道筋を段階に分けて描く考え方は、成長の道筋の作り方でも詳しく解説しています。
骨組みができたら、その順番どおりに中身を作っていきます。最初から書き込み用の資料やチェック表まで全部そろえようとすると手が止まりやすいので、まずは説明の動画を順番に作るところから始めるのがおすすめです。顔を出して撮る必要はなく、説明用の資料を画面に映しながら話す形で十分です。
手順3:講座は「全員に共通」、個別は「その人だけ」と分ける
講座ができたら、個別セッションの役割を決め直します。分け方の基本は一つです。全員に共通する部分は講座が受け持ち、その人だけの悩みは個別が受け持つ。
この分け方をすると、提供の形はいくつかに広がります。
- 講座だけ:自分のペースで学びたい人向け
- 講座+質問の場:決まった日にまとめて質問に答える場や、文章で質問を受け付ける場を組み合わせる
- 講座+個別セッション:講座で基本を学んだうえで、個別でその人だけの悩みを深く扱う
3つ目の形は、講座がある分、セッションの中身が濃くなります。基本の説明に時間を取られず、最初からその人の状況に合わせた話ができるからです。個別のサポートをどう組み込むかは、高額商品を設計する9つの項目も参考になるはずです。
ここで大事なのは、選択肢を増やすことが目的ではないという点です。お客様が自分に合う関わり方を選べるようにすることが目的です。どの形を選んだ人にも、講座の中身は同じものが届きます。だから、どの形を選んでも成果へ向かう道筋は変わりません。
切り出すときにやりがちな3つの失敗
セッションを講座にするときに、つまずきやすいところを3つ挙げておきます。
失敗1:セッションを録画して、そのまま並べる
一番手軽に見えるのが、これまでのセッションを録画して講座にする方法です。けれど、セッションの話は、その人の状況に合わせて行ったり来たりしています。ほかの人が見ると、どこが自分に関係するのか分かりません。録画は材料として使い、共通する部分だけを抜き出して、順番に並べ直してください。
失敗2:知っていることを全部入れようとする
講座を作り始めると、あれもこれも伝えたくなります。けれど、手順1で書き出したのは「毎回話している説明」です。たまにしか話さない専門的な話まで詰め込むと、講座が重くなり、受講者は途中で止まります。迷ったら、多くのお客様が実際につまずいた所に関わるものだけを残し、それ以外は個別で扱うと決めておくと整理しやすくなります。
失敗3:講座を作ったら、お客様との関わりを手放してしまう
講座ができると、つい「あとは見てもらえば大丈夫」と考えがちです。けれど、講座は一人で学ぶ形なので、つまずいたまま止まっている人が出てきます。質問の場を設ける、進み具合を時々たずねるなど、関わりの入り口は残しておきましょう。受講者から届いた質問は、講座のどこが分かりにくいかを教えてくれる材料にもなります。
講座は個別指導の代わりになるのか
ここで多くの方が抱く疑問があります。講座で、1対1のセッションとまったく同じものを届けられるのか、という疑問です。
正直に言うと、まったく同じにはなりません。相手の表情や言葉の調子を見ながら、その場で問いかけを変えていく関わりは、個別だからこそできるものです。講座がそれを完全に置き換えることはできません。
けれど、すべてのお客様が1対1のセッションを望んでいるわけでもありません。
- 予定が直前まで決まらず、セッションの日程を押さえるのが負担な人
- 夜中や早朝など、自分の空いた時間に少しずつ進めたい人
- まずは基本を自分で学んでから、必要なら相談したい人
こうした人にとっては、好きな時間に学べる講座のほうが、むしろありがたい形です。また、個別セッションを受けている人にとっても、次のセッションまでのあいだに講座で学び、手を動かしておけるのは大きな助けになります。
つまり、講座は個別指導の「劣った代わり」ではなく、別の良さを持った選択肢です。講座だけで十分な人には講座を、個別の関わりが必要な人には個別を。この使い分けができると、自分の時間の使い方も、お客様の満足も、両方が良くなります。
まとめ
- 毎回同じように話している説明は、すでに講座の中身になっている
- 講座を作ると、今より多くの人を助けられ、個別の回数を減らせ、収入と信頼が同時に積み上がる
- 手順は3つ。どのお客様にも話していることを書き出す→段階に分けて順番に並べる→講座は全員に共通、個別はその人だけと分ける
- 講座は個別指導と同じにはならないが、全員が1対1を望んでいるわけではない。別の良さを持つ選択肢として組み合わせる
まずは、直近のセッションを思い出し、どのお客様にも話した説明を3つ書き出してみてください。それが、あなたの講座の最初の章になります。講座という形の特徴を先に知っておきたい方は、個別指導・セミナー・本と比べて分かるオンライン講座の3つの特徴から読んでみてください。講座の章立てを受講者のつまずきから決める方法は、壁から作る章立ての手順で解説しています。
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