仕事がうまくいかない。人間関係に悩んでいる。将来への不安が消えない。うまくいかないことが重なると、「もう無理かもしれない」「人生詰んだ」と感じてしまうことがありますよね。
そんなとき、「前向きに考えよう」と言われても、なかなかそうは思えません。むしろ、前向きになれない自分を責めて、さらにつらくなってしまうこともあります。
結論から言うと、逆境をチャンスに変えるのに、無理に明るくなる必要はありません。大切なのは、気合でも根性でもなく、「焦点」をどこに向けるかです。起きた出来事は変えられなくても、その出来事にどんな意味を見いだすかは、自分で選び直すことができます。
この記事では、焦点を「可能性」に向けるための考え方と、今日からできる4つのステップ、そして失敗を学びに変える「検索キーワード思考法」をお伝えします。
なお、心や体のつらさが長く続いているときは、一人で抱え込まず、身近な人や専門の相談窓口を頼ってください。この記事は、その上で「考え方の向きを変える」ためのヒントとして読んでいただければと思います。
「もう無理だ」と感じるとき、心の中で起きていること
うまくいかないことが続くと、私たちの心は「どうせ無理だ」「自分には何もない」という気持ちでいっぱいになります。
こうした気持ちは、とても自然なものです。ただ、この状態が続くと、目に入るものが悪い面ばかりになっていきます。うまくいかなかった理由、足りないもの、失ったもの。そこばかりを見ていると、本来持っている力まで信じられなくなってしまいます。
ここで知っておいてほしいのは、「もう無理だ」と感じるのは、あなたに力がないからではない、ということです。多くの場合、焦点が「失ったもの」や「できないこと」に向いているだけです。焦点が変われば、同じ状況でも見えるものが変わります。
どん底から立て直した、ある起業家の話
ある起業家の話を紹介します。
その人は39歳のとき、トレーナーとして働いていた仕事を突然失いました。さらに、一番の理解者だと思っていた恋人とも別れることになります。頼りにしていた親友は海外へ行き、地元の友人たちも就職などでそれぞれの道へ進んでいきました。仕事も、恋人も、友人も、一度に失ったような状況でした。
当時は深い絶望の中にいて、自暴自棄になりかけていたそうです。それでも、1つの考えだけは手放しませんでした。それは、「すべての物事には良い目的がある」という考えです。
「確かに今はゼロかもしれない。でも、ゼロだからこそ、これから何にでもなれる」。そう自分に言い聞かせて、動き始めたといいます。その後、ブログを使ったビジネスで成果を出し、新しいパートナーとも出会いました。
この話で大切なのは、結果の大きさではありません。どん底の状況でも、焦点を「失ったもの」から「これからできること」に移したことが、次の一歩につながった、という点です。
逆境をチャンスに変える考え方:出来事と意味づけを分ける
起きた出来事そのものは、変えることができません。でも、その出来事にどんな意味をつけるかは、自分で選べます。
| 起きた出来事 | 焦点が「失ったもの」のとき | 焦点が「可能性」のとき |
|---|---|---|
| 失恋した | 「自分には魅力がない」 | 「新しい出会いの機会ができた。学んだことを次に生かせる」 |
| 仕事で失敗した | 「自分は向いていない」 | 「貴重な経験を積んだ。次に同じ失敗をしない教訓を得た」 |
| 周りに誰もいない | 「自分は一人ぼっちだ」 | 「本当に大切な人間関係を、これから築き直せる」 |
同じ出来事でも、どちらの意味づけを選ぶかで、その後に取る行動が変わります。逆境を変えるのは、出来事ではなく、あなたが向ける焦点です。
ただし、これは「つらい出来事をなかったことにする」という意味ではありません。つらいものはつらい。そのうえで、「では、ここから何ができるだろう」と、次の問いに進むということです。
焦点を「可能性」に向ける4つのステップ
具体的には、次の4つのステップで進めます。
- 気持ちを受け止める:「嫌なことがあった」「つらい」「悲しい」という気持ちに、無理にふたをしない。まずは、そう感じている自分をそのまま認める
- 「この出来事には良い目的があるかもしれない」と考えてみる:すぐに答えが出なくてもかまわない。「何か意味があるかもしれない」と、問いを置いておく
- 「この状況から、どんな良い結果を引き出せるだろう」と自分に問う:思いついたことを、ノートに書き出す。書き出すと、頭の中だけで考えるより整理しやすい
- 小さな行動を1つ決めて、動いてみる:どんなに小さなことでもいい。今日できることを1つだけ決める
ポイントは、1から順番に進むことです。気持ちを受け止めないまま、いきなり3や4に進もうとすると、「前向きになれない自分」を責めることになりかねません。
コントロールできることに焦点を移す考え方は、「関心の輪」と「影響の輪」の記事でも詳しく解説しています。
失敗を学びに変える「検索キーワード思考法」
「可能性に焦点を当てる、と言われても、具体的にどうすればいいのか分からない」という方に、おすすめの方法があります。それが「検索キーワード思考法」です。
インターネットで調べものをするとき、私たちは知りたいことを言葉にして検索しますよね。それと同じように、「この出来事には、どんな良い目的があるだろう」と自分に問いかけ、自分の中にある答えを引き出していく方法です。
たとえば、ブログの記事を一生懸命書いたのに、まったく読まれなかったとします。落ち込むのは当然です。そのうえで、次の順番で考えてみます。
- 問いを立てる:「なぜ読まれなかったのだろう?」
- 読者が知りたいことと合っていなかった?
- 題名が、読みたくなるものではなかった?
- 内容が難しすぎた、あるいは薄かった?
- 出てきた答えを「次に調べること」に変える:
- 読者が何に悩んでいるかを調べ直す
- 題名を、読者が思わず開きたくなるものに変える
- 読者に届く言葉で、文章を書き直す
- 直して公開し、反応を見る:
- 前より読まれたか、感想をもらえたかを確かめる
こうして、失敗を「次に何を直すか」という問いに変えていくと、落ち込むだけで終わらず、次の一歩が見えてきます。この問いの立て方に慣れてくると、困ったことが起きたときにも、自然と「ここから何を学べるだろう」と考えられるようになります。
うまくいかなかったあとの見直し方は、1回目で結果が出なかったときの2回目の開き方でも、同じ考え方で解説しています。
無理に前向きにならなくていい
ここまで読んで、「それでも、今はそんな気持ちになれない」と感じた方もいるかもしれません。それで大丈夫です。
焦点を変えることは、一度で完璧にできるものではありません。落ち込む日もあれば、少し前を向ける日もあります。大切なのは、落ち込んだ自分を責めることではなく、「今日は4つのステップのどこまでできたか」を確かめることです。
また、「自分には無理だ」という思い込みは、否定しようとするほど強くなることがあります。思い込みを少しずつ外していく方法は、思い込みを外す4つのステップで解説しています。
そして、つらい経験をした人ほど、同じように悩んでいる人の気持ちが分かります。あなたがいつか誰かを支える立場になったとき、今の経験は、相手の痛みに寄り添う力になります。お客様は、商品やサービスだけでなく、それを届ける人にも希望を託しています。あなたが可能性に焦点を向け続ける姿は、そのまま、誰かが一歩を踏み出す後押しになります。
まとめ
- 「もう無理だ」と感じるのは力がないからではなく、焦点が「失ったもの」に向いているから
- 出来事は変えられなくても、意味づけは自分で選び直せる
- 「気持ちを受け止める→良い目的を考える→良い結果を問う→小さく動く」の4つのステップで進む
- 失敗は「検索キーワード思考法」で、次に直すことへの問いに変える
- 無理に前向きにならなくていい。つらさが続くときは一人で抱えず相談する
まずは、ノートを1冊用意して、最近うまくいかなかった出来事を1つだけ書き出し、「ここから何を学べるだろう?」という問いへの答えを3つ書いてみてください。



