AIに作業を任せると、最後に「できました」「全項目合格です」と報告してくれます。その言葉を見て、ほっとして次の作業に進む。私もずっとそうしていました。
ところが、あとで完成品を開くと、直したはずの所が直っていない。言葉が1つ抜けている。そもそもファイルが開けない。こうした手戻りを、私は何度も経験しました。
結論から言うと、AIの完了報告は「作業が終わった」という知らせであって、「中身が正しい」という保証ではありません。確かめるべきは報告ではなく、できあがった成果物そのものです。
この記事では、非エンジニアの私が Claude Code と Codex で講座動画や電子書籍を作る中で起きた失敗を、恥ずかしいものも含めて全部書きます。そのうえで、そこから作った「成果物で確かめる5つの習慣」をまとめます。
「できました」の裏で起きていたこと
まず、実際に起きたことを並べます。どれも、AIの報告だけを見ていたら気づけなかったものです。
| 起きたこと | 何が問題だったか |
|---|---|
| 講座動画36本の一括手直しで、2回「まだ直っていません」と報告された | 作り直しの途中で、直す前の古いファイルを見ていた |
| 読み間違いを3か所直したのに、完成品は古い音声のまま | 道具が、退避してあった古い元の音声を使っていた。検品は「合格」 |
| 完成した動画を検品したつもりが、焼く前の音を2回調べていた | 検品の道具が、完成品ではなく途中の部品だけを見ていた |
| 「子育て」という言葉が読み飛ばされたのに、全項目合格 | 検品の道具が、言葉の抜けを調べていなかった |
| 画像づくりの処理が16回続けて失敗していた | エラーが、記録を残していない側にだけ出ていた |
| AIが保存先を変えながら、同じ失敗を56回くり返した | ウイルス対策ソフトが道具の書き込みを止めていた |
| 道具が何も言わずに落ちた | フォルダ名に特定のカタカナが入っていた |
| 誤った題名が、次の作業の入力になった | 文字化けした表示を、AIが推測で読んで報告した |
| 毎日決まった時間に動かしている自動処理が、2時間以上止まった | 誰もいない時間に、AIが承認を待っていた |
| Wordファイルが「破損しています」で開けない | 組み立ての手順の書き方に誤りがあった |
| すべての自動処理が止まりうる状態になった | 保存先の実体が、外付けのドライブにあった |
並べてみると、AIがさぼったわけでも、嘘をついたわけでもありません。AIは、自分に見えている範囲で正直に「できた」と言っていました。問題は、その「見えている範囲」が、私の思っていた範囲より狭かったことです。
習慣1:完了通知ではなく、ファイルの更新時刻と数で確かめる
講座動画36本をまとめて直したとき、長い処理の進み具合の知らせが、実際より先の時刻で届くことがありました。その知らせを見てすぐ確かめに行くと、まだ作り直していない古いファイルを見ることになります。こうして2本について「まだ直っていません」と誤った報告が上がり、原因を調べる時間まで使いました。
今は、成果物を開く前に、そのファイルの更新時刻を見ます。作り直しを始めた時刻より古ければ、それはまだ古いファイルです。さらに節目ごとに、「直す予定の本数」と「実際に更新された本数」を突き合わせます。これで、取りこぼしとまだ手をつけていないものが見えます。
古い元のファイルを掴んだ件も、手がかりは数字でした。新しい音声の長さと、道具が処理した長さが0.11秒だけ違っていたのです。検品の道具はスライドとの同期と音量しか見ないので「合格」を返していました。気づかなければ、古い音声のまま納品していたところです。
AIに頼むときは、「完了したら、対象ファイルの更新時刻と、予定の数・実際に更新された数を並べて報告して」と一言添えるだけで、この確認を任せられます。
習慣2:「合格」の道具が何を見ていないかを知り、完成品で確かめる
検品の道具は便利です。でも、どの道具にも「見ていないこと」があります。
動画講義の検品の道具は、音声と映像のずれは見ていましたが、言葉の抜けは見ていませんでした。だから「コーチングや整体、美容、英語、資格学習、子育て、店舗集客」という台本から「子育て」が読み飛ばされても、全項目合格でした。今は、台本と書き起こしを文字単位で比べ、3文字以上の抜けを探す検品を別にかけています。
読み間違いを調べる道具も、完成した動画ではなく、途中で作った部品の音を1つずつ調べていました。だから話す速さを上げたあとに回しても、1回目と1文字も違わない結果が返ってきました。今は、完成した動画から音を抜き出し、丸ごと1本を書き起こして台本と並べています。1分半の動画なら数分で終わります。
電子書籍でも似たことがありました。ファイルの大きさを見て「200ページくらいになったはず」と思っていたら、実際は約102ページでした。ファイルの大きさは装飾やリンクの量で変わるので、ページ数の目安にならなかったのです。今は本文の文字数で数えます。
部品が合格でも、完成品で事故は起きます。 最後は完成品そのものを、自分の目と耳で確かめる。完成した動画で確かめる検品の詳しいやり方は、AI動画講座の音ズレ・読み間違いを防ぐ検品に書いています。
習慣3:静かな失敗を疑い、エラーの本当の原因を探す
一番こわいのは、何も言わずに失敗しているものです。
画像づくりの処理が16回続けて失敗していたとき、記録には何も残っていませんでした。原因はAIの利用上限でしたが、そのエラーは、記録を残していない側の出口にだけ出ていたのです。今は、記録に両方の出口を残すように直してあります。中身が空のまま数秒で失敗していたら、まず利用上限を疑う、という見分け方も決めました。
動画を作る道具が「書き込みの許可がありません」と言って止まったこともあります。AIはそれを「このフォルダには書けない」と受け取り、保存先を変えながら再試行を続けました。6回の作業で56回です。本当の原因は、ウイルス対策ソフトが、許可していない道具の書き込みを止めていたことでした。フォルダを変えても全部同じ場所の下なので、いつまでも終わりません。このパソコンには同じ役割の部品が2つ入っていて、止められていたのは片方だけでした。今は、道具の側で書き込める方の部品を自分で探して使うように直してあります。
ほかにも、フォルダ名に「テ」「ト」などのカタカナが入っていると、道具が何も表示せずに落ちる不具合がありました。使っている部品の既知の不具合です。Wordファイルが「破損しています」で開けなくなったのは、組み立ての手順の中に、決まりと違う形のものが混ざっていたからでした。
ここから決めたのは、エラーの文言をそのまま信じず、「本当は何が起きているか」を一段深く疑うことです。AIに「エラーの原因を推測で直さず、まず事実を調べて報告して」と頼むと、同じ失敗をくり返す前に止まってくれます。
習慣4:画面の文字を推測で読まない
これは、私がとても反省している失敗です。
AIが作業の中で一覧を画面に表示したとき、日本語が文字化けしていました。AIはその化けた文字から意味を推測して、私に報告しました。実際の題名とは、意味がまったく違うものでした。そして私は、その誤った題名をコピーして、次の制作を頼んでしまったのです。間違った一覧が、そのまま次の仕事の入力になりました。
今は、日本語を含む結果は、いったんファイルに書き出して、それを読むようにしています。化けた表示から意味を推測しない。読めないものは「読めない」と扱う。これをAIとの作業の決まりにしました。
読者のみなさんが気をつけるなら、AIの報告に出てくる題名や数字を、元のファイルや画面と一度だけ見比べてください。特に、その報告をコピーして次の作業に使うときです。
習慣5:人がいない時間に止まる場所を、先に潰しておく
毎日決まった時間に動かしている自動処理が、ときどき2時間以上止まっていました。約4週間分、約120回の記録を調べたところ、止まった回の最後の操作は3種類だけでした。フォルダの中身を一覧で見る操作、初めて開くサイト、許可の一覧に入っていない操作です。決まった道具(プログラム)を通した操作で止まった回は、1回もありませんでした。
人がいない時間にAIが承認を求めると、誰も答えないので、そのまま止まります。だから、自動処理の手順書には「承認の要らない道具だけを使う」と書きました。ただ、承認を求めた記録そのものは残っていなかったので、ここは状況からの判断です。設定も見直したので、効いたかどうかは次の自動処理の止まり方で確かめます。
もう一つ、保存先の問題もありました。パソコンの空きが足りなくなったので、作ったファイルを置くフォルダ(約100GB)を外付けのドライブへ移し、元の場所からはそこへつながるようにしました。これで場所を書き換えずに済みましたが、そのドライブが外れたり、認識される名前が変わったりすると、すべての自動処理が止まります。「保存先が見えない」と言われたら、まずドライブがつながっているかを確かめる。これを決まりにしました。
自動化の全体の考え方は、仕組み化・自動化の完全ガイドにまとめています。また、AIの出力をそのまま使うときの注意点は、生成AIをビジネスで使うときに守りたい5つの注意点でも書いています。
まとめ
- AIの完了報告は「終わった」という知らせで、「正しい」という保証ではない
- 習慣1:完了通知ではなく、ファイルの更新時刻と、予定の数・実際の数で確かめる
- 習慣2:検品の道具が見ていないことを知り、最後は完成品そのもので確かめる
- 習慣3:何も言わない失敗を疑い、エラーの文言の奥にある本当の原因を探す
- 習慣4:画面の文字を推測で読まず、元のファイルと見比べる
- 習慣5:人がいない時間に止まる場所と、保存先の弱点を先に潰しておく
次の一歩として、AIに作業を頼むとき、「終わったら、成果物の更新時刻と数を並べて報告して」と一言だけ足してみてください。私が Claude Code と Codex で商品づくりを仕組みにしてきた全体の流れは、非エンジニアの私がClaude CodeとCodexで商品づくりを仕組みにした記録にまとめています。


