時間をかけて書いた記事なのに、読まれている手応えがない。中身には自信があるし、役に立つことも書いている。それなのに、問い合わせにも申し込みにもつながらない。こういう悩みを持つ講師やコーチの方は多いです。
そういう記事を見せてもらうと、共通していることがあります。書き出しが「それでは早速、〇〇のやり方を解説します」で始まっているんですよね。丁寧で、無駄がないように見えます。ただ、読者はその一行目で、読むか閉じるかを決めています。
結論から言うと、記事の冒頭でやるべきことは、解説ではなく「読者を描くこと」です。読者が普段使っている言葉や、抱えている悩みを最初に書く。そうすると読者は「これは自分のための記事だ」と感じて、続きを読んでくれます。
この記事では、冒頭で読者を描く3つの型、うまく描けないときの対処法、そして書き終えたあとに記事を読みやすく仕上げる4つの手順を解説します。
読まれない記事は、冒頭の数行で閉じられている
まず、なぜ冒頭がそれほど大事なのかを整理します。
検索や紹介から記事にたどり着く人の多くは、あなたのことをまだ知りません。知らない人の文章を、最後まで読む理由はありません。だから読者は、最初の数行で「この記事は自分に関係があるか」を判断しています。
ここでいきなり解説から入ると、読者は自分に関係があるかどうかを判断できません。書き手は「この解説が役に立つ」と分かっていても、読者にはまだ分からないのです。分からないまま長い説明が続くと、読者は静かにページを閉じます。
記事が読まれないのは、中身が悪いからではなく、中身にたどり着く前に閉じられているからです。 冒頭を変えるだけで、同じ中身の記事でも読まれ方が変わります。
冒頭で読者を描く3つの型
では、冒頭で何を書けばいいのか。答えは、「この記事は、あなたのために書きました」と伝わる文章です。そのために使える型が3つあります。
| 型 | 書くこと | 読者の反応 |
|---|---|---|
| 1. 読者の言葉を入れる | 読者が普段使う言葉や、気にしている言葉 | 「自分に関係がありそう」 |
| 2. 悩みを代わりに言う | 読者が困っていること、うまくいかない場面 | 「まさにそれで困っている」 |
| 3. うすうす思っていることを言葉にする | 読者が心の中で感じているのに、言葉にしていないこと | 「この人は分かっている」 |
1つ目は、一番始めやすい型です。たとえば、会社員をしながら副業で教える仕事を始めたい人向けなら、「副業」「週末だけ」「本業が忙しい」といった言葉を冒頭に入れます。読者は自分がよく使う言葉を見ると、それだけで目が止まります。
2つ目は、読者の困りごとを具体的な場面で書く型です。「講座を作ったのに、募集しても申し込みがゼロだった」「無料相談をしても、最後に『検討します』で終わってしまう」。場面が具体的なほど、読者は自分のことだと感じます。
3つ目は、少し難しいですが、一番信頼につながる型です。読者がうすうす感じているのに、言葉にしていないことを書きます。たとえば「発信を毎日がんばっている人ほど、実は何を売っているのかが伝わっていない」。読者は「そうかもしれない」と思った瞬間に、書き手を専門家として見始めます。
3つを全部使う必要はありません。1つか2つを組み合わせて、3〜6行ほどで書けば十分です。
描けないのは文章力ではなく、相手を知らないから
型が分かっても、いざ書こうとすると手が止まることがあります。その原因は、文章力ではありません。読者のことを、まだ具体的に知らないからです。
読者の言葉や悩みを冒頭で描くには、読者が実際にどんな言葉を使っているかを知っている必要があります。知らないまま書くと、「集客にお困りではありませんか」のような、誰にでも当てはまる一文になってしまいます。
描けないときは、次の3つを試してください。
- たった一人の読者を決める:不特定多数ではなく、以前相談に乗った人や、よく質問をくれる人を一人思い浮かべる
- その人が実際に使った言葉をそのまま使う:相談や質問で届いた文章を見返し、言い回しを変えずに冒頭に入れる
- 向いていない人も分かるように書く:「〇〇したい人向けです」「一から全部学びたい人には向いていません」と、読むべき人をはっきりさせる
3つ目は意外に思われるかもしれません。でも、冒頭で対象をはっきりさせておくと、合わない人が途中で「思っていた内容と違う」とがっかりすることがなくなります。読むべき人だけが残り、残った人ほど最後まで読んでくれます。
講師の言葉ではなく見込み客の言葉で書く考え方は、見込み客が普段使う言葉に言い換える方法で詳しく解説しています。
たとえば、片づけの講師がいたとします
イメージしやすいように、例を出してみます。忙しい共働きの家庭向けに、片づけを教えている講師がいたとします。
いきなり本題から入る書き出しだと、こうなります。「今回は、リビングを片づける5つの手順を解説します」。間違ってはいませんが、読者が自分のことだと感じる材料がありません。
読者を描く書き出しにすると、こうなります。「週末にまとめて片づけても、水曜日にはもう元に戻っている。子どもに『片づけて』と言う前に、自分が疲れてしまう」。そのあとに、「実は、散らかる原因は片づける回数ではなく、物の置き場所の決め方にあります」と続けます。
同じ手順を解説する記事でも、後者のほうが、共働きで疲れている人に「これは自分のための記事だ」と感じてもらえます。
さらに、「毎日こまめに片づける方法ではなく、置き場所を一度決めて終わりにしたい人向けです」と一文を足せば、じっくり時間をかけて片づけを学びたい人は、自分向けではないと判断できます。読むべき人が、迷わず読み進められる書き出しになります。
書き終えたら、読みやすく仕上げる4つの手順
冒頭で読者の心をつかんでも、本文が読みにくければ途中で離れてしまいます。記事を書き終えたら、公開する前に次の4つの手順で仕上げます。
- 大見出しで骨組みを見せる
- 長い部分は小見出しで区切る
- 文章で長くなる説明は、画像や図に置き換える
- 最後に「まとめ」と目次を確かめる
1つ目は、記事の大きな区切りごとに見出しを付けることです。見出しだけを上から読んで、記事の流れが分かるかを確かめてください。見出しだけで流れが分かれば、読者も迷いません。
2つ目は、1つの見出しの下が長くなったときに、さらに小さな見出しで区切ることです。特に手順を説明する部分は、「手順1」「手順2」と小見出しを付けると、読者は自分が今どこを読んでいるかが分かります。
3つ目は、読者の手間を減らすための工夫です。文章で何行もかけて説明していることが、画面の画像や簡単な図1枚で伝わることはよくあります。画像を入れるのは見た目を飾るためではなく、読者が頭の中で想像する手間を減らすためです。 書き手が説明する手間を惜しまないほど、読者が理解する手間は減ります。
4つ目は、記事の長さに合わせて判断します。内容の多い記事なら、最後に要点を箇条書きでまとめると、読者の頭に残ります。そして、見出しから目次が作られる仕組みを使っているなら、目次に見出しがきちんと並んでいるかを確かめます。目次があると、読者は記事の全体像をひと目でつかみ、読みたいところへすぐに移れます。
書き出しでやりがちな3つの失敗
読者を描く書き出しに慣れるまでは、次の3つの失敗が起きやすいです。書き終えたら、冒頭だけを読み返して確かめてください。
- 自己紹介から始める:「〇〇の講師をしている〇〇です」から入ると、読者は自分の話が始まるまで待たされます。自己紹介は、読者の状況を描いたあとで十分です
- 悩みを大げさに書く:「このままでは一生うまくいきません」のように不安をあおると、読者は身構えます。描くのは、読者が実際に経験している場面だけにします
- 冒頭が長すぎる:読者を描くことに力を入れすぎて、なかなか本題に入らないと、今度は「結局何の話なのか」と離れていきます。読者を描いたら、「結論から言うと」と早めに答えを示します
冒頭の役割は、読者に「読む理由」を渡すことです。読む理由が渡せたら、あとは本文で約束したことにきちんと答えるだけです。冒頭で描いた悩みに本文が答えていないと、読者は「思っていた内容と違う」と感じます。冒頭と本文がつながっているかも、最後に一度見直してください。
冒頭と仕上げは、講座の募集文でも同じ
ここまでの話は、ブログ記事だけのものではありません。講座の募集文、メルマガ、セミナーの案内文でも、まったく同じことが言えます。
私がチャレンジ企画の募集文を書くときも、最初に書くのは企画の説明ではなく、参加してほしい人の状況です。「知識や経験はあるのに、何を商品にすればいいか分からない」「発信を続けているのに、申し込みにつながらない」。そこで自分のことだと感じてくれた人だけが、その先の説明を読んでくれます。
独立したばかりのころの私は、反対のことをしていました。自分が伝えたいことから書き始めて、読者の状況を書いていなかった。だから、読まれている手応えがなかったのだと、今なら分かります。募集文の組み立て方は、申し込みが来る募集文の11の構成でも解説しています。
文章を書く力を急に上げることはできません。でも、書き出しの順番と仕上げの手順は、今日から変えられます。構造を変えれば、同じ力でも読まれ方が変わります。
まとめ
- 記事が読まれないのは、中身にたどり着く前の冒頭で閉じられているから
- 冒頭では解説ではなく、読者の言葉・悩み・うすうす思っていることを描く
- 描けないときは、たった一人の読者を決め、実際に届いた言葉をそのまま使う
- 冒頭で向いていない人も分かるように書くと、読むべき人が最後まで残る
- 書き終えたら、大見出し・小見出し・画像・まとめと目次の順で読みやすく仕上げる
まずは、最近書いた記事を1本開いて、最初の3行を読み返してみてください。そこに読者の言葉や悩みが入っていなければ、その3行を書き直すところから始めましょう。


