自分の得意なことで発信を始めたものの、同じテーマで発信している人がたくさんいる。何を書いても、もっと詳しい人、もっと有名な人の発信に埋もれてしまう。そんなふうに感じて、手が止まっていませんか。
こういうとき、多くの方は「まだ誰も書いていないテーマ」を探し始めます。でも、誰も書いていないテーマは、そもそも知りたい人も少ないことが多いものです。探しても探しても見つからず、ネタ探しだけで疲れてしまいます。
結論から言うと、埋もれない発信に必要なのは、珍しいテーマではなく、違う切り口です。同じ悩みを持つ人でも、「どんな形で知りたいか」は人によってばらばらです。その中から、多くの人が狙っていない少数派の知りたい形に応えれば、ライバルの多いテーマでも選ばれるようになります。
この記事では、同じ悩みでも知りたい形が違う理由、少数派を狙うと申し込みにつながりやすい理由、少数派の悩みの見つけ方、そして埋もれない発信の4つの企画を解説します。
同じ悩みでも、「知りたい形」はばらばら
たとえば、「自分に合う講座の選び方を知りたい」という人が大勢いたとします。悩みは同じです。でも、どんな形で答えを知りたいかは、人によって違います。
| 知りたい形 | こういう人 |
|---|---|
| 比べて一覧で見たい | 候補を並べて、手早く決めたい |
| 受けた人の感想を知りたい | 実際に受けた人の声を聞いてから決めたい |
| 専門家の意見を聞きたい | 選ぶ基準そのものを、詳しい人から教わりたい |
| 誰かの体験談を読みたい | 自分と似た人が、どう選んでどうなったかを知りたい |
同じテーマでも、これだけ入口が分かれます。そして、発信が埋もれていると感じる人の多くは、一番人数の多い入口に、みんなと同じ形で並んでいます。
発信の違いは、テーマではなく「どの入口に、どんな形で答えるか」で生まれます。 テーマは同じままで構いません。切り口を変えれば、それだけで別の発信になります。
多数派を狙うほど、埋もれやすい
人数の多い入口を狙うのは、一見正しく見えます。読んでくれる可能性のある人が多いからです。
ただ、人数が多い入口には、当然ながら発信する人も集まります。同じような形の発信が並び、その中で選ばれるには、より詳しく、より速く、より多く出し続けるしかありません。一人で発信している個人にとっては、消耗戦になりやすい場所です。
一方で、少数派の入口にも、確かに知りたい人がいます。数は少なくても、その人たちにとっては、自分の知りたい形で答えてくれる発信が見つからない状態です。そこに応える人が現れれば、ライバルと競わずに選ばれます。ライバル不在の市場を選ぶ考え方は、ニッチ市場で頂点を取る方法でも書いています。
少数派の悩みは、申し込みにつながりやすい
少数派を狙うことには、もう一つ大きな良さがあります。申し込みにつながりやすいことです。
たくさんある発信の中から、あえて「専門家の詳しい解説」や「自分と似た人の体験談」を選んで読みに来る人は、何を知りたいかが本人の中ではっきりしています。悩みが深く、答えを本気で探している状態です。
そういう人に、知りたい形でぴったり答えられると、「この人は分かってくれる」と感じてもらえます。漠然と多くの人を集めるより、悩みのはっきりした少数に深く届く方が、講座の申し込みにはつながります。 少人数でも売上を作れるのは、この構造があるからです。
少数派の悩みを見つける3つの方法
では、少数派の知りたい形はどうやって見つければいいのでしょうか。3つの方法を紹介します。
- 検索結果やSNSの並びを眺める:自分のテーマで調べて、上位に並ぶ発信を「形」で分けてみる。一覧型ばかり、体験談ばかりなど、偏りが見つかったら、その逆側が空いている入口です
- お客様の質問を見返す:これまでに受けた質問の中で、「ほかでは答えてもらえなかった」と言われたものに印をつける。そこに少数派の悩みが隠れています
- 質問の言葉の細かさに注目する:「講座 選び方」より「講座 選び方 子育て中 夜だけ」のように、言葉が細かくなるほど、悩みははっきりしています。細かい言葉で探している人は、少数でも本気です
見つけた入口は、一つに決める必要はありません。自分が答えやすく、答えていて楽しい入口から始めます。
埋もれない発信の4つの企画
少数派の入口が見えたら、次は発信の企画です。ここでは、当たり前だと思われているやり方を少しずらす4つの企画を紹介します。
企画1:一人で作らない
発信は一人で書くもの、という思い込みを外してみます。お客様や同業の人との対談、考え方の違う人との意見交換、受講者との質問と答えのやり取りなど、ほかの人の声を入れると、自分だけでは出てこない言葉や視点が入ります。
意見が分かれる話を、両方の立場から紹介するのも一つの手です。一人の意見だけだと偏って見える話も、違う意見と並べると、読者は公平な情報として受け取ってくれます。
企画2:顔と名前を出す
同じテーマで発信している人の中には、顔も名前も出していない人が少なくありません。その中で、顔と名前を出して発信することは、それだけで違いになります。
顔と名前を出すことは、発信した内容に責任を持つという意思表示でもあります。読者から見れば、誰が言っているか分かる発信は、それだけで安心して読めます。いきなり全部を出すのが不安なら、名前と、どんな人に何を教えているかから始めても構いません。
企画3:やり方ではなく「なぜ」を書く
多くの発信は、「〇〇のやり方」「〇〇の方法」で埋まっています。そこで、あえてやり方ではなく「なぜ〇〇が必要なのか」「なぜ〇〇でつまずくのか」を掘り下げてみます。
やり方は調べれば見つかりますが、「なぜ」を自分の経験から語れる人は多くありません。読者にとっても、「そういう理由だったのか」という気づきは記憶に残ります。
企画4:常識と逆の立場から書く
「〇〇は大事だ」と言われていることに対して、「実は〇〇は後回しでいい」という逆の立場から書いてみます。もちろん、ただ反対するのではなく、なぜそう言えるのかを筋道立てて説明します。
たとえば、「集客が大事」と言われる中で、「集客より先に商品と売る流れを整える」と書く。読者は「どういうことだろう」と続きを読みたくなりますし、その理由に納得した人は、あなたの考え方そのものに共感してくれます。
企画を考えるときにやりがちな3つの失敗
4つの企画は、使い方を間違えると逆効果になることもあります。よくある失敗を挙げておきます。
- 目立つことが目的になる:逆の立場から書くのは、読者に新しい見方を渡すためです。注目を集めるためだけに反対の意見を言うと、信頼を失います。自分が本当にそう考えていることだけを書きます
- 入口を次々に変える:少数派の入口を選んだら、しばらくは同じ入口で発信を続けます。反応が出る前に切り口を変えると、どの読者にも深く届かないまま終わります
- 少数派を細かく絞りすぎる:知りたい人がほとんどいない入口では、発信しても誰にも届きません。お客様から実際に出た質問や悩みを手がかりにして、確かにいる人を選びます
企画は、読者に「これは自分のための発信だ」と感じてもらうための工夫です。奇抜さを競うものではありません。
型はまねて、切り口は自分で決める
ここで一つ、気をつけたいことがあります。切り口を考えるために、同じテーマの発信をたくさん見すぎないことです。
ほかの人の発信を見続けると、知らないうちにその影響を受けて、似たような切り口になっていきます。違いを作ろうとして見たはずが、かえって同じ形に寄ってしまうのです。
私は、うまくいっている人のやり方をまねることをすすめています。オリジナルで頑張るより、成功している型をまねて超える方が早いからです。考え方は、成功者の型をまねて最短で成果を出す方法で書いています。ただし、まねるのは記事の組み立てや発信の続け方といった「型」です。何に、どんな形で答えるかという「切り口」は、自分のお客様と自分の経験から決めます。型はまねて、切り口は自分で。この分け方が、埋もれない発信の土台になります。
たとえば、転職の相談に乗るコーチがいたとします
例を出してみます。転職の相談に乗るコーチがいたとします。転職のテーマは発信する人がとても多く、何を書いても埋もれてしまう状態でした。
そこで、これまでの相談を見返してみると、「子どもが小さいうちに、残業の少ない職場へ移りたい」という相談が何度もあったことに気づきます。そして、この悩みに体験談の形で答えている発信は、ほとんど見当たりませんでした。
コーチは、この入口に絞ることにします。実際に相談に来た人がどう職場を選び、どんな準備をしたかを、本人の許可を取って対談の形で紹介する。「転職の前に、まず今の職場で交渉してみる」という、常識と少し逆の立場からの記事も書く。顔と名前を出して、なぜこの相談に力を入れているのかも語る。
読んでくれる人の数は多くありません。それでも、読んだ人からは「まさに自分のことだと思った」という相談が届くようになります。対象者を具体的に絞る考え方は、WHO設計の11項目と選び方の5基準でも解説しています。
まとめ
- 埋もれない発信に必要なのは、珍しいテーマではなく違う切り口
- 同じ悩みでも「知りたい形」はばらばら。多数派の入口ほど、発信が集まって埋もれやすい
- 少数派の入口は、悩みのはっきりした人が来るので、申し込みにつながりやすい
- 企画は「一人で作らない・顔と名前を出す・なぜを書く・逆の立場から書く」の4つで考える
- 型はうまくいっている人からまね、切り口は自分のお客様と経験から決める
まずは、これまでに受けた質問を10個書き出して、「ほかでは答えてもらえなかった」ものに印をつけてみてください。印のついた質問が、あなたの発信の新しい入口です。


