もし、今持っているスキルや知識の中から、一つだけを来世に持っていけるとしたら、あなたは何を選びますか。
お金を稼ぐスキル、人と打ち解けるコミュニケーションの力、どんな時代でも食べていける専門の技術。どれも魅力的です。
この記事でおすすめしたい答えは、「モデリング」です。成功している人の考え方や行動を学び、自分に取り入れる力です。この力があれば、お金を稼ぐスキルも、コミュニケーションの力も、専門の技術も、お手本を見つけて身につけていけるからです。
ただ、「人のまねをするのは抵抗がある」「パクリみたいで気が引ける」と感じる方も多いと思います。
結論から言うと、モデリングは文章や作品をそのまま写すことではありません。成果の出ている人の「型」と「その理由」を学び、自分の商品や言葉で組み直すことです。この違いが分かると、まねへの抵抗感はずっと小さくなります。
この記事では、モデリングで成果が早く出る理由、抵抗感を外す3つの思考転換、お手本を要素に分けて取り入れる手順、そして分析と改善の回し方を解説します。
モデリングで成果が早く出る理由
モデリングとは、成功している人の考え方や行動を分析し、自分に取り入れることです。
「なんだ、そんなことか」と思ったかもしれません。けれども、その効果は小さくありません。成果には必ず理由があり、その理由の多くは、ほかの人でも再現できるからです。
成功している人は、長い時間をかけて試し、失敗し、うまくいく方法を見つけてきました。その積み重ねは、いわば「成功への解答用紙」です。
たとえば、あなたがこれからプログラミングを学んで、フリーランスとして独立したいとします。独学で一から学び、お客様を見つけ、仕事を軌道に乗せるまでには、とても長い時間がかかります。
でも、すでにフリーランスとして活躍している人がいて、その人が「何を、どの順番で学び、どうやって最初のお客様を見つけたか」を知ることができたらどうでしょう。一人で手探りするより、ずっと早く進めるはずです。
一人で迷い続けるのではなく、すでに通った人の道筋をたどる。それが、モデリングの一番の良さです。私はこれを「オリジナルで頑張るな、パクって超えろ」と表現しています。ここでいう「パクる」は、次の章でお伝えするように、作品を写すことではなく、型と理由を学ぶことです。
まねてよいもの、まねてはいけないもの
モデリングを始める前に、はっきりさせておきたいことがあります。まねてよいものと、まねてはいけないものの区別です。
| まねてよいもの | まねてはいけないもの |
|---|---|
| 仕事の進め方や順番 | 文章・キャッチコピーをそのまま写すこと |
| 商品の組み立て方、サポートの形 | 画像・デザイン・動画をそのまま使うこと |
| お客様との向き合い方、考え方 | 他の人の体験や実績を、自分のもののように語ること |
| 時間の使い方、習慣 | 商品名やロゴなど、その人を示すもの |
左の列は、どれも「型」や「考え方」です。これを学び、自分の商品や自分の言葉で組み直すのがモデリングです。右の列のように、作品そのものを写したり、人の体験を借りたりするのは、モデリングではなく、他の人の権利や信頼を傷つける行為です。学ぶのは型と理由、表現は自分のもの。 この線を守れば、まねることに後ろめたさを感じる必要はありません。
まねへの抵抗感を外す3つの思考転換
それでも、「人のまねをするのは気が引ける」という気持ちは残るかもしれません。そこで、3つの考え方の切り替えをお伝えします。
思考転換1:学ぶことは、先人への敬意でもある
新しいスマートフォンを作る会社が、まったくのゼロから作り始めることはありません。すでに評価されている製品をよく研究し、優れた点を学んだうえで、自分たちの製品を作ります。
ビジネスも同じです。うまくいっている商品の作り方、お客様とのやり取り、案内の順番。世の中には、成果のヒントがたくさんあります。それを学ぶことは、先に道を切り開いた人の知恵と経験を大切にすることでもあります。
思考転換2:一部分ではなく、全体の流れと理由をまねる
モデリングと聞いて、「あの人の話し方だけまねしよう」と、一部分だけを取り入れる人がいます。けれども、表面の一部分だけをまねても、成果にはつながりにくいです。その話し方が効いているのは、商品や順番、お客様との関係など、ほかの部分と組み合わさっているからです。
大切なのは「なぜ」を理解することです。なぜ、その人はその順番で進めるのか。なぜ、その方法が効くのか。全体の流れと、その背景にある理由まで理解して取り入れることで、初めてモデリングは力を発揮します。
思考転換3:「自分らしさ」は、成果が出てから育てればいい
「人のまねばかりしていたら、自分らしさがなくなってしまう」と不安になる方もいます。
でも、自分らしさは、成果を出す経験の中で、後からでも育てられます。まずはお手本の型で成果を出し、自信をつける。そのうえで、自分らしい工夫を足していけばいいのです。大切なのは順番です。自分らしさにこだわって最初の一歩が遅れてしまうのは、とてももったいないことです。
お手本を要素に分けて取り入れる手順
では、実際にどうやってモデリングを進めればいいのでしょうか。次の手順で進めてみてください。
- お手本を1人に決める:あなたが目指す成果を、すでに出している人を選ぶ。複数の人をつまみ食いしない
- お手本を要素に分ける:その人の商品、案内の順番、発信の内容、お客様とのやり取りなどを、細かい要素に分けて書き出す
- 理由を考える:それぞれの要素が、なぜそうなっているのかを考える
- 自分の商品と言葉で組み直す:型と理由を残して、表現は自分のものに置き換える
- 比べる:自分の結果とお手本を比べ、違いが大きいところを見つける
たとえば、あるセミナーの進め方をお手本にするなら、開始時の話題、参加者への問いかけ、ワークの内容、資料の構成、最後の案内の仕方などに分けていきます。要素に分けると、自分のやり方との違いが、はっきり見えるようになります。
お手本を1人に絞る考え方は、「ベンチマーク」を決定し、一点集中する技術で、お手本を自己流に変えてしまう落とし穴は、学習プロセスの原理原則で詳しく解説しています。
「100点塾」のように、分析と改善を繰り返す
少し想像してみてください。「100点塾」という塾があるとします。この塾では、生徒が100点を取るまで、とことん付き合ってくれます。
60点の答案を返して「はい、終わり」とは言いません。どこでつまずいたのかを一緒に確かめ、100点を取るのに必要な解き方を、分かるまで教えてくれます。そして、同じ問題を100点が取れるまで解き直します。
モデリングにも、この「100点塾」の姿勢が大切です。
1回まねてみただけで、お手本と同じ成果が出ることはまれです。最初は20点ということも珍しくありません。でも、それで失敗だと判断する必要はありません。
- どこがお手本どおりにできているか
- どこがお手本と違っているか
- 違っている部分は、なぜ違ってしまったのか
この3つを確かめ、違いが大きいところから直していきます。分析して、直して、また比べる。このくり返しで、モデリングの精度は少しずつ上がっていきます。ゲームのレベル上げと同じで、小さな積み重ねが、最後には大きな差になります。
まとめ
- モデリングは、成果の出ている人の「型」と「理由」を学び、自分の商品と言葉で組み直すこと
- 文章・デザイン・作品をそのまま写すことや、人の体験を借りることはモデリングではない
- 抵抗感は「学ぶことは先人への敬意」「全体の流れと理由をまねる」「自分らしさは後から育てる」の3つで外せる
- お手本を1人に決め、要素に分け、理由を考え、自分の言葉で組み直す
- 1回で100点は取れない。分析と改善をくり返して精度を上げる
まずは、あなたが目指す成果をすでに出している人を1人選び、その人の仕事を5つ以上の要素に分けて書き出してみてください。書き出した瞬間から、あなたの「解答用紙」づくりが始まります。



