AIのツールに登録してみた。新しいAIが出るたびに試してみた。それなのに、仕事は少しも減っていない。そんな状態になっていませんか?
結論から言うと、AIで仕事が減らない原因は、道具の性能ではなく任せ方にあります。任せ方が同じなら、新しいAIに替えても同じことが起きます。
私はプログラムを書けない非エンジニアですが、Claude Codeに仕事を任せて、自分の無料講座の動画を47本作りました。電子書籍やスライド、メンバー向けのサイトも同じやり方です。この記事では、その中で決まってきた5つの手順と、途中の失敗を書きます。動画でも同じ内容を解説しています。
AIで仕事が減らない3つの原因
AIに任せても仕事が減らないとき、原因はだいたい次の3つです。
| 原因 | 起きること |
|---|---|
| 材料を渡していない | あなたの仕事やお客様のことをAIが知らないので、一般論で埋めた文章が返ってくる |
| 1行で頼んでいる | 誰に、何のために、どこまで作るかが伝わらず、AIが想像で埋める |
| 確かめ方が決まっていない | どこを疑えばいいか分からず、全部を読み直すか、そのまま使って後で困る |
この3つは、AIを替えても付いてきません。新しいAIの方が文章は少し上手かもしれませんが、自分らしくない所と、確かめる手間は残ります。結局「書き直すなら自分で書いた方が早い」となり、仕事が減らないのです。
AI社員は「優秀だが、あなたを知らない新人」
そこで私は、AIを「AI社員」と考えるようにしています。とても優秀だけれど、入社1日目の新人です。あなたの商品も、お客様の悩みも、何ひとつ知りません。知らないことは、一般論で埋めるしかありません。
もう1つ決めているのは、社長はあなたで、AI社員の仕事は下書きまでということです。AIが書いた文章でも、世に出せばあなたの名前で出ます。出すかどうかの最後の判断は、必ず自分が持ちます。この線を引いておくと、任せる不安がぐっと減ります。
AI社員に任せる5つの手順
流れは、材料をそろえる→役割に分ける→依頼書で頼む→手順書にする→検品する、の5つです。順番に見ていきます。
手順1:材料をそろえる(会社案内メモ)
新人の社員に、最初に会社の案内を渡しますよね。AI社員にも同じように、あなたのことをまとめたメモを渡します。私はこれを「会社案内メモ」と呼んでいます。
最初に書くのは、次の5つだけです。どれも1〜2行で大丈夫です。
- 商品(名前・中身・時間や期間・誰向けか)
- お客様(どんな人・今の状況)
- お客様がよく口にする悩み(言葉のまま)
- やり方の手順(3〜5個。何をするかを1行ずつ)
- 口調と、過去に書いた文の見本
コツは、4つ目のやり方の手順を、名前だけでなく「何をするか」まで書くことです。名前だけだと、AIは中身を一般論で埋めます。何をするかまで書くと、あなたのやり方として書かれます。書けない所は空欄のままで構いません。空欄には「要確認」と書いてもらい、作り話で埋めさせないようにします。
書けない所は、AIに質問してもらって埋める
5つを書くのが面倒なときは、話して渡しても構いません。思いつくままに話した内容を文字にして貼り、「会社案内メモの5つに整えて」と頼めば、表の形にしてくれます。
それでも埋まらない所は、AIに質問してもらいます。「足りない所を、1つずつ質問してください」と一言添えると、AIが聞き手になってくれます。質問に答えていくうちに、自分の商品の説明が言葉になっていきます。
手順2:役割に分ける
どのAIが一番か、から考えると、答えは更新のたびに変わります。そこで、どんな役割が要るか、から考えます。答えは、あなたの仕事で決まり、AIが入れ替わっても動きません。
役割は、仕事の流れから決めます。
| 流れ | AI社員の役割 |
|---|---|
| 材料を集める | 話を聞く・資料を読む係 |
| 全体の流れを決める | 構成の係 |
| 中身を書く | 下書きの係 |
| 相手に合わせて直す | 差し替えの係 |
| 確かめる | 検品の係 |
私の場合は、文章と組み立てをClaude Codeに、画像をCodexに任せています。全部を1つのAIにやらせようとはせず、得意な役割で分けています。この分け方はClaude CodeとCodexの使い分けにくわしく書きました。
役割が5つでも、AIは5つ要らない
誤解のないように書いておくと、役割が5つでも、AIを5つ用意する必要はありません。1つのAIに「ここからは構成の係としてお願いします」と役割を伝えれば、同じAIが役割を替えて働いてくれます。分けるとよいのは検品の係だけです。理由は手順5で書きます。
手順3:依頼書で頼む
「研修資料を作って」のような1行の指示だと、AIは想像で埋めます。1行の指示が、やり直しを増やします。そこで、次の6つを書いた依頼書で頼みます。
| 項目 | 書くこと |
|---|---|
| 目的 | 何のための仕事か。できた物を誰が読み、誰が使うのか |
| 材料 | 渡す資料。会社案内メモ・見本・今回の情報 |
| 手順 | 外してほしくない順番だけ |
| 完成の条件 | 何ができたら終わりか。形・分量・数 |
| 止まる場所 | どこで止まって確認を待つか。何はやらないか |
| 報告の形 | 終わったときに何を報告するか |
上から順に埋めると、自然に抜けが少なくなります。
依頼書の例(講座スライドの下書きを頼むとき)
たとえば、講座のスライドの見出しを作ってもらうなら、次のように書きます。
| 項目 | 書く内容の例 |
|---|---|
| 目的 | 講座の第1回で使う。受講者が「全体の流れ」をつかめるようにする |
| 材料 | 会社案内メモと、第1回の台本 |
| 手順 | 先に見出しの一覧を出す。OKが出たら、1枚ずつの中身を書く |
| 完成の条件 | 1スライド1メッセージ。見出しは30字以内 |
| 止まる場所 | 一覧を出したら止まる。台本にない数字や実績は書かない |
| 報告の形 | 分からなかった点・推測で埋めた点・やらなかった点 |
書く量は増えますが、1行で頼んで何度もやり直すより、ずっと早く終わります。
「止まる場所」と「報告の3つの欄」
いちばん空欄にしてはいけないのが、止まる場所です。「一覧を出したら止まって、私の返事を待つ」「材料にない数字は作らない」のように書きます。途中で一度見せてもらえば、方向がずれていても、直すのは数行で済みます。
最後の報告では、分からなかった点・推測で埋めた点・やらなかった点の3つを必ず書いてもらいます。そして、出来上がった物より先に、この報告を読みます。どこを疑えばいいかが、先に分かるからです。報告が「特になし」のときほど、少し注意しています。
手順4:決まった仕事は手順書にする
AIへの指示を毎回その場で書いていると、急いでいる日ほど注意書きを書き忘れます。一度「この言い方はやめて」と直しても、次の会話では元に戻ります。品質がばらつくのは、AIの気まぐれではなく、指示がばらついているからです。
手順書づくりは、新しく考える作業ではありません。この1〜2週間にAIへ送った指示を見返して、2回以上書いたものを集めるだけです。
手順書の置き場所は3通り
| 置き場所 | 向いていること |
|---|---|
| 会話の最初に貼る | どのAIでも、無料版でもできる。いちばん確実 |
| AIの設定の「覚えておいてほしいこと」の欄に書く | どの仕事にも共通する口調や決まりだけ |
| スキルにする | 仕事ごとに手順書を分けて持たせる |
Claude Codeでは、このスキルが使えます。スキルにしておくと、一言で同じ流れが動きます。私は「講義スライドを作って」の一言で、台本からスライドを焼くところまでを任せています。この作り方は講座スライドを台本から作る5ステップに、スキルの考え方は指示を毎回書かないための型に書きました。
手順5:検品する
AIは最後に「できました」「全部直しました」と書いてくれます。でも、その言葉は中身の保証ではありません。AIは、自分に見えている範囲で、正直にできたと言っているだけです。
私の失敗:検品は「合格」を返していた
講座の動画で、読み間違いを直した音声を作ったのに、完成した動画には直す前の古い音声が入っていたことがあります。気づいたのは、お渡しする直前でした。しかも、自動の検品は合格を返していました。検品の道具が、音の同期と音量しか見ていなかったからです。
それ以来、確かめ方を決めています。
- 報告の数を、自分で数える(「40枚作りました」なら番号を数える)
- 直す前と後を、並べて見る
- 部品ではなく、完成した物で確かめる
この3つだけで、見落としはかなり減ります。
検品は「書いた本人ではない目」で
検品は、書いた本人ではない目で見た方が、見落としが減ります。私は、検品だけは別の会話や、別のAIに頼んでいます。それでも最後は、自分の目で見て決めます。「できました」を信じないための習慣は、完了報告をそのまま信じない5つの習慣にまとめています。
読者が明日からできること
AI社員に任せる部分と、自分でやる部分を分けると、次のようになります。
| AI社員に任せる | 自分でやる |
|---|---|
| 下書き | 材料を渡す |
| 組み立て | 最後の判断 |
| 検品の表づくり | 目で見る確認 |
明日からできることは、1つだけで十分です。会社案内メモの5つ(商品・お客様・悩み・やり方の手順・口調と見本)を、1〜2行ずつ書いてみてください。これだけで、AIの答えがあなたらしくなり始めます。
5つの手順の全体は、これまでの作業の記録としてClaude CodeとCodexで作ってきたものの全体像にもまとめています。
まとめ
- AIで仕事が減らない原因は、道具ではなく任せ方
- AI社員は「優秀だが、あなたを知らない新人」。社長はあなたで、AIの仕事は下書きまで
- 手順は、材料→役割→依頼書→手順書→検品の5つ
- 依頼書では「止まる場所」と「報告の3つの欄」を空欄にしない
- 「できました」を信じず、数・前後・完成品で確かめる
新しいAIを探す時間を、手順書に1行書き足す時間に回す。それが、仕事を減らす正しい順番です。



