電子書籍を出したいけれど、1冊書き上げるのに何か月もかかりそう。そう感じて、手をつけられずにいる方は多いと思います。
結論から言うと、本づくりに時間がかかる原因は、文章を書く速さではありません。何をどの順番で決めるかが決まっていないことです。私は今、Claude Codeを使って、1冊約7万字・Wordで155〜169ページの電子書籍を作っています。図も1冊に20枚入れています。
ただ、最初からうまくいったわけではありません。章ごとに言葉がずれたり、AIが作り話を書き足したり、Wordのファイルが壊れて開けなくなったりしました。
この記事では、今の手順を5つのステップに分けて、途中で踏んだ失敗と一緒に書きます。プログラムを書けない私がやっている手順なので、そのまま真似できるはずです。
作った本と、全体の流れ
まず、10月に作った本の一部を並べます。
| 本 | 分量 | 図 |
|---|---|---|
| オンライン講座の作り方の本 | 約7.2万字・160ページ | 20枚 |
| 非エンジニア向けのClaude Codeの本 | 約7.5万字・169ページ | 20枚 |
| NotebookLMで講座・教材を作る本 | 約7.2万字・155ページ | 20枚 |
| 商品設計の本 | 約7.2万字 | 20枚 |
| AIエージェントの本 | 13章+付録 | 20枚 |
どの本も、同じ流れで作っています。
- 共通の枠組みの指示書を先に作る
- 章を並行で書かせる
- 図を20枚作る
- Wordに組み立てる
- 全部の図とページを目で検品する
1冊に何か月もかけるのではなく、この5つを毎回同じ順番でくり返す。これが、本づくりを仕組みにするということだと考えています。
ステップ1:書く前に「共通の指示書」を作る
一番大事なのが、このステップです。
章を並行で書かせると、速く進む代わりに、章ごとに言葉がずれます。同じことを、ある章では「5つの段階」、別の章では「5つのステップ」と呼ぶ、といったずれです。読者からすると、別の話に見えてしまいます。
「決めたら共有ファイルに書いて」では食い違った
最初は、書く担当ごとに「決めたことは共有のファイルに書いておいて」と任せていました。ところが、これでは食い違いが出ました。それぞれが決めたことを、ほかの担当が読む前に書き進めてしまうからです。
そこで、全章で使う言葉は、書き始める前に私の側で指示書に入れることにしました。細かい決めごとだけを、書きながら別の記録に足してもらいます。この形にしたオンライン講座の本では、章をまたぐずれがほぼ出ませんでした。
AIエージェントの本は、5つに分けて並行で書かせました。このときも、枠組みの言葉を指示書に先に定義しておいたので、最後の校閲で直したのは、参照先のずれと内容の重なりが中心でした。
指示書に書いていること
私の指示書には、だいたい次のことを書いています。
- 本の芯になる枠組みと、その名前(全章この名前で書く)
- 見本の人物(本の中の架空の例。全章で同じ人を通す)
- 書いてよい事実と、その出どころ
- 著者である私の経験として書いてよいこと
- 書かないこと
見本の人物は、本の中の架空の例です。同じテーマの姉妹書でも同じ人物を使っているので、何冊か続けて読む方にとっても話がつながります。章ごとに別の例を考えさせるより、AIのぶれもずっと少なくなりました。
特に4つ目が大事です。商品設計の本では、私自身の経験は指示書に書いた4つだけに限りました。それでも一度、私が書いていない「克服のきっかけ」をAIが書き足してきました。指示書に書いていない経験は、全部作り話として扱う。そう決めておくと、見つけた瞬間に直せます。
ステップ2:章を並行で書かせる
指示書ができたら、章を分けて並行で書かせます。
書かないことも、章ごとに決める
並行で書かせると、どの章も張り切って細かく書こうとします。そこで、書く範囲も先に決めています。
たとえばオンライン講座の作り方の本では、台本・動画・会員サイトの章は、講座に必要な分だけを書き、細かい作り方は非エンジニア向けのClaude Codeの本へ案内しました。NotebookLMの本でも、前作と重なる基本の操作は概要にとどめ、前作の章へ案内しています。本どうしで役割を分けておくと、1冊ごとの芯がぶれません。
1章あたりの分量を先に決める
ページ数は、文字数で見積もります。私の本の書式だと、1ページあたり約400字です。約4.3万字で約108ページ、200ページなら約8万字が目安です。1章は2,000〜4,000字くらいが書きやすいです。
ここで一度、失敗しています。以前、ファイルの大きさを見て「200ページになった」と思っていた本が、実際には約102ページでした。ファイルの大きさは、飾りやリンクの量で変わるので、ページ数の目安になりません。今は、本文の文字数を数えて確かめています。
事実は、1か所にまとめてから書かせる
AIの道具の本は、料金や機能の名前がすぐに変わります。非エンジニア向けのClaude Codeの本では、作成した日の時点で確かめた公式の事実を1つのファイルにまとめ、そこから書かせました。Claude Codeは毎週のように変わるので、出版の前に、料金・モードの名前・モデルの名前を確かめ直すことにしています。
この「事実を1か所にまとめる」やり方は、出版後の更新でも効いてきます。詳しくは電子書籍を最新情報に直し続ける「事実の出典メモ」に書きました。
ステップ3:図を20枚作り、全部を目で見る
本文ができたら、図を作ります。図はCodexの画像生成で作っています。分担の理由はClaude CodeとCodexの役割分担にまとめました。
図の設計書を作ってから描かせる
いきなり「図を作って」とは頼みません。1枚ごとに、目的・配置・画像に入れる文字・図の下に付ける説明を分けて書いた設計書を作ります。大きさは横長の3:2に統一し、Wordに入れたときに歪まないようにしています。
ここで効いたのが、「本文で決まったことに合わせて、図を作る前に設計書を直す」ことです。画像は1枚作るたびに設計書を読み直すので、まだ作っていない図なら、文言を直すのが間に合います。
検品で落とした図
図は、全部を1枚ずつ目で見て合格を出しています。機械では見つからないものがあるからです。
- きらめき記号の入った図:AIエージェントの本で1枚落とし、商品設計の本でも1枚を作り直した
- 丸が重なった、カード会社風の図:AIエージェントの本で1枚落とした
- 暗い背景の図:背景が暗い図が2〜3割混ざるので、白背景を指定して作り直す
きらめき記号は、2冊続けて出てきました。一度落とした絵の特徴は、次の本の検品で真っ先に見るようにしています。
図の検品は、1枚の出来ではなく、本の中に置いたときに浮かないかを見ています。一枚だけ見ると良い絵でも、本文の流れの中では違和感が出ることがあります。
ステップ4:Wordに組み立てる
原稿と図がそろったら、Claude CodeにWordのファイルへ組み立ててもらいます。私はこの組み立ての仕組みの中身を書いていません。決まりごとだけをAIに渡しています。
表紙・扉絵・章の挿絵は、最初から入る作りにしてあります。図がまだ1枚もそろっていなくても、組み立て自体は止まらずに進むようにしてあるので、原稿だけ先に通して読み返すこともできます。
Wordが開けなくなった事件
ここでも大きな失敗がありました。組み立てたWordを開こうとしたら、「ファイルが破損しています」と出て開けなかったのです。
原因は、組み立ての部品のうち1つだけ、作り方が他と違っていたことでした。1か所の小さな違いで、本全体が開けなくなる。これがWordの組み立てのこわいところです。あわせて、日本語の原稿を、文字の扱いが合わない方法で直したために文字化けした章もありました。今は、部品の作り方の決まりと、日本語のファイルの直し方の決まりをメモに残し、新しい本も最初からその決まりで組んでいます。
何も言わずに止まる失敗
もう1つ、気づきにくい失敗もありました。作業フォルダの名前に特定のカタカナが入っていると、組み立ての道具が何も表示せずに止まってしまうのです。エラーも出ないので、最初は原因が分かりませんでした。
これは私の使っているパソコンの環境で起きる、既知の不具合でした。今は「何も言わずに止まったら、まずフォルダの名前を疑う」とメモに残してあります。
書き出しは2か所に
できあがったWordは、デスクトップと作業用の出力フォルダの2か所に書き出しています。手元ですぐ開ける場所と、まとめて保管する場所を分けておくためです。
ステップ5:完成した本で検品する
最後は、完成したWordを開いて確かめます。部品ごとに合格でも、組み上げたあとで崩れることがあるからです。
- 最後のページまで開けるか
- ページ数が、文字数から見積もった数と大きくずれていないか
- 図が全部入っていて、歪んでいないか
- 目次と章の題名が一致しているか
- 指示書にない経験や数字が書かれていないか
ここまで通したら、ようやく完成です。私が手直しをした版ができたら、その版を「正本」として、作り直しで上書きしないようにしています。
AIが「できました」と言っても、私はまだ完成とは考えません。完成したWordを、読者と同じように最初から開いて、最後のページまでめくって確かめる。この手間を省くと、壊れたファイルや抜けた図に、読者のほうが先に気づくことになります。
明日からできること
いきなり1冊を作らなくても大丈夫です。まずは、次のことから始めてみてください。
- 本の芯になる言葉を5つ書き出す(全章で使う名前)
- 自分の経験として書いてよいことを、箇条書きで決める
- 目標のページ数を、1ページ約400字で文字数に直す
- 章の数で割って、1章の文字数を決める
この4つが、AIに渡す指示書の土台になります。原稿の書き方そのものは、話した音声とAIでKindle本の原稿を速く仕上げる手順も参考になると思います。
まとめ
- 本づくりに時間がかかる原因は、書く速さではなく、決める順番がないこと
- 章を並行で書かせる前に、共通の言葉と枠組みを指示書に入れておく
- 指示書にない経験は作り話として扱い、見つけたら直す
- 図は設計書から作り、全部を目で見て、本の中で浮かないかを確かめる
- Wordの破損や無言の停止は、決まりごとをメモに残して防ぐ
まずは、あなたの本の芯になる言葉を5つ、書き出してみてください。私が商品づくりをどう仕組みにしてきたかの全体像は、Claude CodeとCodexで商品づくりを仕組みにした記録にまとめています。


