お手本になる教材で学び始めたものの、「このやり方より、自分流にアレンジしたほうがもっと良くなるはず」と考えたことはありませんか。あるいは、「言われた通りにやっているのに、なぜか成果が出ない」と悩んでいる方もいるかもしれません。
実は、この2つの悩みは、同じところから生まれていることが多いです。
結論から言うと、学ぶときに最初に守りたい原則は、お手本を再現できるまでは、アレンジしないことです。そして、成果が出ないときの多くは、「言われた通りに、できているつもり」になっているだけです。良かれと思って加えた自分らしさが、実は成果を遠ざけていることは少なくありません。
この記事では、なぜアレンジが成果を遠ざけるのか、学ぶことの本質、お手本とのズレを見つける4つの手順、そして一つのやり方を身につけるのにかかる時間の目安をお伝えします。
アレンジが、成果を遠ざける理由
学びを進めていくと、人はどうしても「もっとこうしたら良いのでは」と、自分なりのアイデアを加えたくなります。向上心のある人ほど、そうなりやすいものです。
でも、そのアレンジは、多くの場合、成果を下げてしまいます。
考えてみてください。あなたが選んだお手本は、すでに成果が出ることが確かめられた「完成されたやり方」です。そのやり方のどこか一か所でも変えれば、出てくる結果も変わります。
そして、お手本を作った人は、あなたよりも長い時間をかけて、たくさんの試行錯誤をしてきた人です。その人以上の経験と学びを積んでいない段階で、アレンジを加えて元の成果を上回るのは、とても難しいことです。
アレンジそのものが悪いわけではありません。問題は、順番です。まずはお手本どおりに再現できるようになる。そのうえで、自分に合わせて工夫する。この順番を守るだけで、遠回りはぐっと減ります。私がよくお伝えしている「オリジナルで頑張るな、パクって超えろ」という言葉も、この順番のことです。
「学ぶ」の語源は「真似ぶ」
「学ぶ」という言葉は、「真似ぶ(まねぶ)」から来ていると言われています。つまり、学ぶことの本質は、真似をすることにあります。
学んでいる途中で、「なぜこんなことをやるんだろう」と疑問に思うことがあるかもしれません。でも、お手本を作った人に直接聞けない場合、その答えはすぐには分かりません。
このとき、あなたの前には2つの選択肢があります。
- 自分なりのやり方を試す
- 理由が説明されていなくても、まずは真似をしてみる
私がおすすめするのは、後者です。自分らしさを出したい気持ちはいったん脇に置き、まずは言われた通り、見た通りにやってみる。回り道のように見えて、実はこれが一番の近道です。
真似をしているうちに、「だからこの順番だったのか」と、あとから理由が分かることもよくあります。理由が分かってから工夫すれば、そのアレンジは的外れになりません。成功している人のやり方を真似る考え方は、モデリングは人生の攻略本でも詳しく書いています。
成果が出ないときは「できているつもり」を疑う
「言われた通りにやっても成果が出ない」と感じたとき、あなたはどうしていますか。
多くの方は、やり方そのものを疑ったり、「自分には才能がない」とあきらめたりしてしまいます。でも、本当の原因は、もっとシンプルなところにあることが多いです。
それは、言われた通りに「できているつもり」になっているということです。
自分では同じようにやっているつもりでも、細かく比べてみると、どこかが違っている。この小さなズレが積み重なって、結果の差になっています。
たとえば、話し方を学んだある方は、最初はなかなかうまくいきませんでした。そこで、成果を出している人の録音と自分の録音を何度も聞き比べてみました。すると、「声の調子が違う」「話す速さが遅い」といったズレが見つかりました。そのズレを一つずつ直していくうちに、真似の精度が上がり、少しずつ成果が出るようになったそうです。
成果が出ないときにやるべきことは、やり方を変えることではありません。お手本と自分を比べて、ズレを見つけて直すことです。
お手本とのズレを見つける4つの手順
では、具体的にどうやってズレを見つければいいのでしょうか。次の4つの手順で進めてみてください。
| 手順 | やること |
|---|---|
| 1. 同じ条件で並べる | お手本と自分の成果物を、同じ形で並べる(文章なら文章、話なら録音) |
| 2. 違いを書き出す | 良い・悪いを判断せず、違うところをすべて書き出す |
| 3. 1つだけ直す | 書き出した違いのうち、一番大きそうなものを1つだけ直す |
| 4. もう一度比べる | 直したあと、もう一度お手本と並べて比べる |
ポイントは、3つ目の「1つだけ直す」ことです。一度に全部を直そうとすると、どの修正が効いたのかが分からなくなります。1つ直して比べ、また1つ直して比べる。このくり返しで、真似の精度は着実に上がっていきます。
よくある失敗
| よくある失敗 | どう直すか |
|---|---|
| 複数のお手本を混ぜて真似する | お手本は1つに絞る |
| 自分の感覚で「同じだ」と判断する | 実物を並べて、目や耳で確かめる |
| 少しやって成果が出ないと、別のやり方に移る | ズレを直しきる前に乗り換えない |
1つ目の「お手本を1つに絞る」ことは、特に大切です。いくつものやり方を混ぜると、それは結局、自分なりのアレンジと同じことになってしまいます。一つに絞って集中する考え方は、ベンチマークを決定し、一点集中する技術で解説しています。
一つのやり方を身につけるには、時間がかかる
お手本を徹底して真似るやり方には、それなりの時間がかかります。ここは最初に知っておいてほしいところです。
あなたが選んだ一つのお手本とは、少なくとも半年、場合によっては数年単位で付き合っていくことになります。
私自身も、コンテンツビジネスのプロモーションの手法を身につけるまでには、2〜3年という時間がかかりました。一つの教材を何度も何度もくり返し見て、そのたびに自分のやり方を直していきました。
時間がかかると聞くと、不安になるかもしれません。でも、あちこちのやり方に手を出して、どれも中途半端になるよりは、一つを身につけるほうがずっと早く成果に近づきます。一つのやり方を自分のものにできれば、それは次に新しいことを学ぶときの土台にもなります。
アレンジしてよいのは、いつからか
「では、ずっと真似をし続けなければいけないの?」と思った方もいるかもしれません。そんなことはありません。アレンジしてよいタイミングの目安は、次の3つがそろったときです。
- お手本どおりにやって、お手本に近い成果が出せるようになった
- お手本の一つひとつの手順に、なぜそうするのかを自分の言葉で説明できる
- 自分のお客様や状況に合わない部分が、はっきり見えている
この3つがそろってから加える工夫は、思いつきのアレンジではなく、お手本を土台にした改善になります。
また、新しいアイデアがなくてもビジネスは始められる、という話は、初心者が「模倣」から始めるべき理由でも書いています。
まとめ
- 学ぶときに最初に守りたい原則は、お手本を再現できるまではアレンジしないこと
- 「学ぶ」の本質は「真似ぶ」。理由が分からなくても、まずは真似をしてみる
- 成果が出ないときは、やり方を変える前に「できているつもり」を疑う
- 「並べる→違いを書き出す→1つだけ直す→もう一度比べる」の4つの手順で、ズレを直していく
- 一つのやり方を身につけるには、半年から数年単位の時間がかかる。お手本は一つに絞る
まずは、今学んでいるお手本の中から、あなたの成果物と並べて比べられるものを1つ選んでください。そして、違うところを思いつくだけ書き出してみましょう。そこが、次に直す場所です。



