募集文を書いてみた。内容は間違っていないし、伝えたいことも全部入っている。それなのに、読んだ人の反応がほとんどない。
セミナーで丁寧に説明しても、参加者の表情がどこかピンときていない。「いい内容なのに、なぜ伝わらないんだろう」と悩んでいる方は多いです。
こうしたときは、内容そのものより「言葉の選び方」を疑ってみてください。専門家として長く学んできた人ほど、知らないうちに講師側の言葉で話してしまいます。それは、あなたがそのテーマに詳しいからこそ起きることです。
結論から言うと、募集文や台本が刺さらない原因の多くは、講師の言葉で書いていることにあります。見込み客が普段使っている言葉に言い換えるだけで、同じ内容でも届き方が変わります。そして、その言葉を見つけるために、顧客情報を整理します。
この記事では、なぜ講師の言葉だと刺さらないのか、顧客情報を整理する9つの項目、そして見込み客の言葉をどこから集めればいいのかをお伝えします。
講師の言葉と、見込み客の言葉はズレている
講師の側は、「このノウハウが大事です」「この順番で進めましょう」と伝えたくなります。それ自体は正しいことです。
でも、見込み客が最初に思っていることは、もっと手前にあります。「自分にもできるのかな」「何から始めればいいか分からない」「前にやって失敗したから不安」「時間が取れない」「お金を払って成果が出なかったらどうしよう」。
こうした気持ちがある状態で、いきなりノウハウを伝えても、相手には届きにくいです。講師が見ている景色と、見込み客が見ている景色が違うからです。
同じ内容でも、言葉が違うと届かない
たとえば、講師と見込み客では、同じことを次のように違う言葉で表します。
| 講師側の言葉 | 見込み客の言葉 |
|---|---|
| 販売導線を構築する | 何を順番にやれば売れるのか分からない |
| ターゲット設計 | 誰に向けて発信すればいいか分からない |
| オファー設計 | 商品の魅力をどう伝えればいいか分からない |
| 個別面談導線 | 無料相談から商品提案につながらない |
| AIプロンプト設計 | AIにどう聞けばいいか分からない |
左の言葉は、分かっている人には正確で便利です。でも、まだ困っている段階の人は、左の言葉で自分の悩みを考えていません。右の言葉で悩んでいます。
募集文に左の言葉が並んでいると、見込み客は「難しそう」「自分向けではなさそう」と感じてしまいます。右の言葉が書いてあると、「それ、まさに私の悩みです」と感じてもらえます。
一文を言い換えてみる
たとえば、募集文の冒頭に次のような一文があったとします。
「3日間で、売上につながる販売導線とオファー設計を学びます」
内容は正しいのですが、読んだ人の頭に具体的な場面が浮かびません。これを見込み客の言葉に言い換えると、次のようになります。
「無料相談までは来てもらえるのに、商品の話になると手が止まる。何をどの順番でやれば申し込みにつながるのかを、3日間で一緒に整理します」
言っている中身はほとんど同じです。違うのは、見込み客が普段感じている場面から書き始めていることです。読んだ人が「自分のことだ」と思えるかどうかは、この書き出しで決まります。
整理するのは「売りたい相手」ではなく「必要としている人」
顧客情報を整理するときに、一つ気をつけてほしいことがあります。整理するのは、自分が売りたい相手の情報ではなく、自分の商品を本当に必要としている人の情報だということです。
たとえば、自分では「起業家全般に売りたい」と思っていても、実際に強く必要としているのは、次のような人かもしれません。
- 初めて自分の商品を売りたい人
- 募集文が書けずに止まっている人
- セールスに苦手意識がある人
- AIを使っても思うような文章が作れない人
- 個別面談への導線が作れない人
売りたい相手と必要としている人がズレていると、企画全体がズレます。誰に向けた企画にするかを絞る方法は、WHO設計の11項目と選び方の5基準で詳しく解説しています。
顧客情報を整理する9つの項目
見込み客の言葉を見つけるために、次の9つを書き出していきます。ここでは、ビジネス系のチャレンジ企画を例にします。
| 項目 | 例 | |
|---|---|---|
| 1 | 見込み客の悩み | 集客できない、文章が書けない、セールスが苦手 |
| 2 | 具体的な困りごと | 募集文を書こうとすると手が止まる |
| 3 | よくある相談内容 | 「何から始めればいいですか?」 |
| 4 | 奥にある不安 | また募集して反応がなかったら怖い |
| 5 | 理想の未来 | 初めてのお客様を獲得したい |
| 6 | 過去に試したこと | SNS投稿、ブログ、無料相談、教材の購入 |
| 7 | うまくいかなかった理由 | ターゲットが広すぎた、募集文が自分目線だった |
| 8 | 今すぐ解決したいこと | 募集文を作りたい、初成約を作りたい |
| 9 | 反応しやすい言葉 | 「何を順番にやれば売れるのか分からない」 |
一つずつ、書き出すときのコツを見ていきます。
1〜3:悩みは、表面から具体へ
最初は、表面的な悩みで構いません。「集客できない」「商品が作れない」「自信がない」など、思いつくままに書き出します。
次に、それを日常の作業の中の困りごとに具体化します。「SNSに何を書けばいいか分からない」「無料相談には来ても、商品の提案につながらない」「商品を説明すると売り込みっぽくなる」。具体的になるほど、募集文で使える言葉になります。
そして、実際に受けた相談を書き出します。相談された内容は、見込み客が実際に使っている言葉そのものなので、とても価値があります。「自分の商品は売れるでしょうか?」「高額商品を提案するのが怖いです」。こうした言葉は、言い換えずにそのまま使えることも多いです。
4〜5:不安と理想は、奥まで書く
悩みの奥には不安があります。「このまま売れなかったらどうしよう」「セールスしたら嫌われるかもしれない」「お金をかけても成果が出なかったらどうしよう」。人は表面のノウハウだけでは動きません。不安が残っていると、どれだけ良い方法を知っても行動できないことがあります。
理想の未来も、「売上を上げたい」だけで終わらせないでください。売上を上げて何を得たいのか、どんな働き方や生活をしたいのか。そこまで書くと、伝わるメッセージが作りやすくなります。
6〜7:過去の努力を否定しない
見込み客は、何もしてこなかったわけではありません。SNSに投稿した、ブログを書いた、無料相談をした、教材を買った。すでにいろいろ試しているはずです。
ここを書き出しておくと、相手がどの段階で止まっているのかが分かります。そして、うまくいかなかった理由を、相手を責めるのではなく構造として整理します。「商品が悪いのではなく、誰に何を届けるかが整理できていなかった」と伝えると、見込み客は納得しやすくなります。
8〜9:入口の言葉を決める
今すぐ解決したいことは、企画の入口になります。見込み客が今一番欲しいものと、企画の中身がズレていると、反応は取れません。
最後に、反応しやすい言葉を集めます。ここまでの1〜8で書き出した中から、見込み客が口にしそうな言い回しを拾っていきます。この言葉が、募集文の見出しや台本の冒頭になります。
見込み客の言葉はどこから集めるか
では、こうした言葉はどこから集めればいいのでしょうか。すでにお客様や見込み客と関わっている方は、次のような場所から集められます。
- 過去の個別相談で話された内容
- お客様からの質問
- アンケートの回答
- 体験会やセミナーの後の感想
- SNSのコメント
- LINEやメールで届いた相談
- お客様の声
集めるときのコツは、自分の言葉に要約せず、相手が書いたとおり、話したとおりに残しておくことです。要約した時点で、講師の言葉に戻ってしまうからです。
まだお客様が少ない場合
まだお客様が少ない方は、自分自身が過去に悩んでいたことを書き出してみてください。あのとき自分は、どんな言葉で悩んでいたか。何を検索していたか。誰に何を相談していたか。
私も独立したばかりの頃は、「何を発信すればいいか分からない」「無料相談をしても成約しない」と悩んでいました。当時の自分が欲しかったのは、「これをこの順番でやればいい」という手順でした。この言葉は、同じところで止まっている方にそのまま届く言葉です。
身近なお客様や知人に、直接聞いてみるのもおすすめです。「今、何に一番困っていますか?」と聞くだけで、講師の頭の中からは出てこない言葉が手に入ります。
整理した言葉を、AIに渡す
顧客情報を整理したら、それをAIに渡します。AIにいきなり「募集文を書いて」と頼むと、見込み客のリアルな言葉を知らないまま書くので、一般論になります。
9つの項目を材料として渡したうえで、たたき台を作ってもらうと、あなたの見込み客に届きやすい文章に変わります。自分の経験や知識の材料とあわせて渡すと、さらに具体的になります。自分の材料の整理は、経験と知識を商品の材料に変える棚卸し7項目で解説しています。
AIの文章を、もう一度「相手の言葉」で見直す
AIが出した文章は、整っている分、講師側の言葉に戻っていることがあります。たとえば「販売導線を構築しましょう」のような表現が混ざっていたら、「何を順番にやれば売れるのか、一緒に整理しましょう」と、見込み客の言葉に直してください。
見直すときは、「この一文を、見込み客本人が口にするだろうか」と考えると判断しやすいです。本人が言いそうにない言葉は、言い換える候補です。募集文の組み立て方は申し込みが来る募集文の11の構成で、チャレンジ企画全体の流れはチャレンジ企画の完全ガイドで解説しています。
まとめ
- 募集文や台本が刺さらないのは、内容より「講師の言葉」で書いていることが原因のことが多い
- 整理するのは「売りたい相手」ではなく「本当に必要としている人」の情報
- 悩み・困りごと・相談・不安・理想・試したこと・失敗の理由・今すぐ解決したいこと・言葉の9項目で整理する
- 言葉は要約せず、相手が話したとおりに残す。お客様が少なければ、過去の自分の悩みから集める
- AIには整理した顧客情報を渡し、出てきた文章を相手の言葉で見直す
次の一歩として、過去に受けた相談や質問を、相手が話したとおりの言葉で5つ書き出してみてください。その5つの中に、次の募集文の見出しが隠れています。


