役に立つ話をしたはずなのに、参加者が動いてくれない。ワークの時間になると、チャットが静かになる。宿題を出しても、提出してくれる人がほとんどいない。
そんなとき、「もっと良いノウハウを伝えなければ」「説明が足りなかったのかも」と考えてしまう方は多いです。そして次の回では、さらに情報を足していく。でも、それでも参加者はなかなか動きません。
結論から言うと、参加者が行動しないのは、ノウハウが足りないからではありません。「何を、どの順番で、どこまでやればいいか」が見えていないからです。
この記事では、参加者が実際に手を動かせるようにするHOW設計の考え方を解説します。HOWで決める5つのこと、Day1〜Day3の役割の分け方、ワークと宿題への落とし込み方、そしてAIで作った構成案を確かめる5つの基準までまとめました。
チャレンジ企画の全体の流れは、チャレンジ企画の完全ガイドで確認できます。
参加者が動けないのは「作り方」が見えていないから
たとえば、講座の中で参加者にこう伝えたとします。
「この3日間で、企画コンセプトを作れるようになりましょう」
目標としては分かりやすいですよね。でも、作り方が示されていないと、参加者の頭の中はこうなります。
- どこから考えればいいのか分からない
- 何を書けばいいのか分からない
- 何を決めれば完成なのか分からない
- どこまで具体的にすればいいのか分からない
- 自分の場合はどうすればいいのか分からない
この状態では、どれだけ良いノウハウを聞いても、実践には移せません。参加者のやる気が低いのではなく、手を動かすための「手順」がないのです。
私自身、独立したばかりの頃にまさにこの状態でした。情報はたくさん集めていたのに、成約にはつながらない。当時一番欲しかったのは、新しいノウハウではなく「これを、この順番でやればいい」という手順でした。
HOW設計は「情報提供」ではなく「行動設計」
HOWとは、WHATで決めた成果に「どうやって近づけるか」を決めることです。参加者を今の状態から、3日間の小さな成果まで、どんな手順で連れていくのか。その先の商品で、大きな成果までどう進めるのか。これを設計します。
ここで大事なのは、HOWを「何を話すか」ではなく、参加者に「何をしてもらうか」で考えることです。参加者が成果を感じるのは、話を聞いたときではなく、実際に手を動かして、次にやることが見えたときだからです。
HOW設計で決める5つのこと
HOW設計では、次の5つを決めていきます。
- 成果までのステップ
- Day1・Day2・Day3の役割
- 各日のワーク
- 各日の宿題
- 商品へのつながり
順番にも意味があります。先にステップを決め、それを3日間に割り振り、日ごとにワークと宿題に落とし込み、最後に商品とつなげます。
なお、HOWはWHOとWHATが決まっている前提で作ります。「3日間で届ける小さな成果」がまだ曖昧な方は、先に「小さな成果」と「大きな成果」を分けるWHAT設計を読んでおくと、この先がぐっと進めやすくなります。
成果までのステップを、順番に並べる
最初にやるのは、小さな成果にたどり着くまでの手順を、順番に並べることです。
たとえば、3日間の小さな成果が「企画コンセプトと募集文のたたき台を作る」だとします。この場合、必要なステップは次のようになります。
- 自分の商品・サービスを整理する
- 見込み客の悩みを整理する
- WHO(誰に届けるか)を決める
- 3日間で得られる小さな成果を決める
- チャレンジ企画のコンセプトを作る
- 募集文のたたき台を作る
こうして並べると、「コンセプトを作る」という一つの目標の中に、実はいくつもの手順があることが分かります。講師にとっては当たり前の手順でも、参加者には見えていません。
参加者にとって大事なのは、何を、どの順番でやればいいかが分かることです。順番が見えるだけで、人は動きやすくなります。
ステップを並べたら、それぞれのステップを「ワーク」「宿題」「チェックリスト」のどれで進めてもらうかを考えます。話を聞いてもらうだけのステップを作らず、どのステップにも参加者が書き出すもの、決めるものを用意しておく。これが、聞いて終わりにしないための一番の工夫です。
Day1〜Day3に役割を持たせ、ワークと宿題に落とす
ステップが決まったら、それを3日間に割り振ります。ポイントは、日ごとに役割を持たせることです。参加者の気持ちの変化に合わせて、流れを作ります。
| 日 | 役割 | ワークの例 | 宿題の例 |
|---|---|---|---|
| Day1 | 全体像と可能性 | 商品・サービス、悩み、助けたい人を書き出す | 商品情報を書き出す、見込み客の悩みを10個出す |
| Day2 | 課題の深掘りと小さな実践 | WHO/WHAT/HOWを書き出す、コンセプト案と企画タイトル候補を作る | WHO/WHAT/HOWのたたき台を仕上げる、コンセプトを1文にまとめる |
| Day3 | 振り返りと次のステップ | 整理できたこと、残っている課題、面談で相談したい内容をまとめる | 3日間を振り返る、アンケートに答える |
Day1は「前に進めそう」「何から始めればいいか分かりそう」と感じてもらう日。Day2は「どこで止まっているのか」「何を直せばいいのか」を自分の状況に当てはめて考える日。Day3は、小さな前進を実感しつつ、まだ残っている課題を整理する日です。
各日の詳しい組み立て方は、Day1「全体像と可能性」の9ステップで解説しています。
ワークと宿題は「少し考えれば書ける」難しさにする
ワークはその場で取り組むもの、宿題は講義のあとに取り組むものです。どちらも、参加者を「視聴者」から「実践者」に変えるための仕掛けです。
ここでの目安は、難しすぎず、少し考えれば書けるレベルにすることです。難しすぎると手が止まり、提出されません。簡単すぎると、深く考えるきっかけになりません。
宿題に取り組むと、参加者は自分の課題に自分で気づきます。「ここから先は、個別に相談したほうが早そうだ」と感じやすくなるのも、実際に手を動かしたからこそです。宿題が、そのまま面談への入口になるのです。
宿題は、講師にとっても次の日の材料になる
宿題には、もう一つの役割があります。講師が参加者の状態を知るための材料になることです。
たとえば、Day1の宿題で「見込み客の悩みを10個出す」をお願いしたとします。提出された内容を読むと、「悩みがまだ浅い」「ターゲットが広すぎる」といった、参加者に共通するつまずきが見えてきます。それをDay2で取り上げれば、参加者は「自分の話をしてもらえた」と感じ、翌日の内容にも入りやすくなります。
つまり、ワークと宿題は、参加者を動かすためだけのものではありません。3日間の中身を、目の前の参加者に合わせて調整するための情報源でもあるのです。宿題を「出して終わり」にせず、翌日の講義で活かす前提で設計しておきましょう。
商品へのつながりを、最初から組み込んでおく
5つ目の「商品へのつながり」は、後回しにされがちです。でも、ここを最初から組み込んでおくかどうかで、Day3の案内が自然になるかが変わります。
考え方はシンプルです。3日間で成果の一部を体験してもらい、必要性を感じた人が、さらに深いサポートへ進む形にします。
たとえば、3日間では「コンセプトと募集文のたたき台」を作ってもらう。その先の商品では、「台本から面談導線まですべて完成させ、実際に開催・改善する」ところまでを一緒に進める。この形なら、3日間の続きとして商品が自然に位置づけられます。
HOWを設計するときは、「どこで次の課題に気づいてもらうか」「その気づきを、どう個別面談につなげるか」まで考えておきます。ここまで決まっていれば、最終日に慌てて売り込む必要はありません。
AIの構成案を確かめる5つの基準
HOWの構成案づくりにも、AIが使えます。ただし、AIにいきなり「3日間の構成を作ってください」とだけ頼むのはおすすめしません。WHO、WHAT、商品情報、見込み客の悩み、理想の未来など、これまでに整理した材料をすべて渡してから頼みます。
AIには、Day1〜Day3に分けて、その日のテーマ、講義内容、ワーク、宿題、参加者の気づき、翌日へのつなぎを出してもらいます。講座では、そのためのAIへの依頼文も用意しています。
出てきた案は、そのまま使わずに、次の5つで確かめます。
| 基準 | 確かめること |
|---|---|
| 1. 3日間で実行できる量か | 多すぎて消化不良になっていないか |
| 2. 参加者が手を動かせるか | 聞いて終わりになっていないか |
| 3. 小さな成果につながっているか | 企画の軸がブレていないか |
| 4. Day1〜Day3の流れが自然か | 日ごとにバラバラになっていないか |
| 5. 商品につながっているか | 次のサポートの必要性が見えるか |
悪い例と良い例
よくある悪い例は、3日間すべてが「ノウハウ説明」になっている構成です。
- Day1:ノウハウ説明
- Day2:ノウハウ説明
- Day3:ノウハウ説明
これだと、参加者は知識を受け取れても、行動には移しにくくなります。行動しないので、自分の課題にも気づきにくく、面談にもつながりません。
良い例は、日ごとに「参加者がやること」が決まっている構成です。
- Day1:全体像を理解し、自分の現在地を整理する
- Day2:WHO/WHAT/HOWを作り、企画コンセプトを具体化する
- Day3:作った内容を振り返り、残っている課題と次のステップを整理する
同じテーマでも、主語を「講師が話すこと」から「参加者がやること」に変えるだけで、3日間の中身は大きく変わります。宿題を出しやすくする工夫は、書きやすいワークシートと提出率を上げる7つの工夫でも紹介しています。
まとめ
- 参加者が行動しないのは、ノウハウ不足ではなく「手順」が見えていないから
- HOW設計は「何を話すか」ではなく「参加者に何をしてもらうか」の行動設計
- 決めるのは、成果までのステップ、日ごとの役割、ワーク、宿題、商品へのつながりの5つ
- ワークと宿題は、少し考えれば書ける難しさにする
- AIの構成案は、材料を渡してから作り、5つの基準で確かめる
まずは、あなたの3日間の小さな成果にたどり着くまでの手順を、6つ前後のステップに分けて書き出してみてください。


