あなた自身、何かを買う前に調べることはありませんか。新しい道具を選ぶときも、習い事を決めるときも、講座に申し込むときも、たいていは一度、記事や口コミや投稿を見て回りますよね。
あなたの講座や個別の支援に申し込む人も、同じです。申し込む前に、必ずどこかであなたの発信を読んでいます。つまり、記事や投稿は、未来のお客様とあなたが最初に出会う場所です。
ところが、その最初の場所で、熱心に勧めすぎてしまう人が少なくありません。「本当におすすめです」「今が始めどきです」と書くほど、読者は一歩引いて、ほかのページを探しに行きます。
結論から言うと、申し込む前の人に信頼されるのは、勧める力の強い発信ではなく、読者が自分で決められるように手伝う発信です。この記事では、そのための4つの条件と、題名で約束したことを中身で守る方法を解説します。
申し込む前の人は、「決めるための材料」を探している
まず、申し込む前の人が、何を求めて発信を読んでいるのかを考えます。
申し込むかどうか迷っている人は、背中を押してほしいわけではありません。自分で納得して決めるための材料を探しています。自分に合うのか、ほかの方法と何が違うのか、申し込んだあとどうなるのか。こうした問いに答えてくれる発信を読むと、人は「この人は信頼できる」と感じます。
反対に、材料を渡さずに勧める言葉だけが並んでいると、読者は判断できません。判断できないまま勧められると、人は身構えます。信頼される発信とは、読者の代わりに決める発信ではなく、読者が決めるのを手伝う発信です。 ここから、そのための4つの条件を見ていきます。
条件1:押さずに、役に立つことを先に渡す
一つ目の条件は、勧めることより先に、役に立つことを渡すことです。
読者の悩みに対して、今日からできることや、考え方の整理を、惜しまずに発信します。講座で教えることの一部を出してしまうと、講座が売れなくなるのではと心配になるかもしれません。でも実際は逆です。役に立つ発信を受け取った人ほど、「この人の講座なら、もっと深く学べるはずだ」と考えます。
大事なのは、渡すものと、講座で扱うものの線引きです。
| 発信で渡すもの | 講座で扱うもの | |
|---|---|---|
| 中身 | 考え方と、手順の骨組み | その人の状況への当てはめ方 |
| 形 | 誰が読んでも使える一般的な形 | 一人ひとりに合わせた添削や相談 |
| ゴール | 「分かった」「やってみよう」と思える | 実際に手を動かして、成果まで進む |
この線引きがあれば、安心して出し惜しみせずに発信できます。発信を読んで「分かった」と感じた人ほど、次は「自分の場合はどうすればいいか」を知りたくなるからです。売り込まずに信頼を育てる考え方は、売り込まずに信頼を作る3つの教育で詳しく解説しています。
条件2:比べる材料と、考える時間を渡す
二つ目の条件は、読者が比べられるようにすることです。
買い物をするとき、一つの商品だけを勧められるより、いくつかの選択肢を並べて、それぞれの違いを教えてもらえる方が安心しますよね。講座も同じです。自分の講座のことだけを書くのではなく、同じ悩みを解決するほかの方法も含めて、違いと選び方を伝えます。
- ほかの方法を並べる:独学、本、ほかの形の講座、個別の支援など、読者が取れる選択肢を示す
- それぞれに向く人を書く:どの方法が、どんな人に合うのかを、正直に書く
- 自分の講座が合わない人も書く:「こういう人には、この講座は向きません」と先に伝える
- 急かさない:本当の期限がないのに、期限を作って急がせない
自分の講座が合わない人まで書くのは、勇気がいるかもしれません。でも、合わない人を正直に書くと、合う人は「自分のことだ」と確信できます。考える時間を渡しても離れていく人は、もともと合わない人です。迷っている人への向き合い方は、「今日決めないと損です」は言わなくていいでも書いています。
条件3:申し込んだあとの姿まで見せる
三つ目の条件は、申し込んだあとに何が起きるのかを見せることです。
申し込む前の人が一番不安なのは、申し込んだあとのことです。お金を払ったら放っておかれるのではないか、ついていけなかったらどうなるのか。この不安に答えている発信は、実はとても少ないです。
たとえば、次のような発信を用意しておきます。
- 申し込んでから最初の一週間で、何をするのか
- 途中でつまずいたとき、どんな支えがあるのか
- 講座が終わったあと、どう続けていくのか
こうした発信は、実際に受講した人の様子を、本人の了承を得て紹介できると、さらに伝わりやすくなります。始めたころにどこで迷い、どう乗り越えたのか。その道のりが見えると、読者は自分が申し込んだあとの姿を重ねやすくなります。
私は、チャレンジ企画で準備1週間・集客3名で売上600万円になったことがあります。人数が少なくても申し込んでもらえたのは、参加してくれた人が、その先で自分がどう進むのかを具体的に思い描けたからだと考えています。申し込んだあとの姿が見えると、人は安心して一歩を踏み出せます。
条件4:長さではなく、探し物に答える
四つ目の条件は、記事の長さの考え方です。
「長い記事ほど信頼される」と考えて、何でも書き足してしまう人がいます。でも、読者が求めているのは量ではなく、自分の探し物への答えです。
たとえば、講座の申し込み方法や日程を探している人に、講座の考え方や歴史を長々と書く必要はありません。その人が知りたいのは、いつ、どこから、どうやって申し込めるかです。一方で、「自分に合う学び方が分からない」と迷っている人には、選び方の基準を丁寧に書く必要があります。
記事を書く前に、「この記事を読む人は、何を探しに来たのか」を一文で書き出してみてください。その一文に答えるのに必要なことだけを書き、答えたら終える。長さは、その結果として決まります。
たとえば、「講座の料金と支払い方法を知りたい人」が読む記事なら、答えは短くて済みます。料金、支払いの方法、分割ができるかどうか、返金の決まり。これを最初に分かりやすく並べれば、その人の探し物は終わります。反対に、「独学で続けるか、講座を受けるか迷っている人」が読む記事なら、それぞれの良いところと難しいところ、判断の目安まで書く必要があり、自然と長くなります。
同じ講座についての記事でも、読む人の探し物によって、ふさわしい長さはまったく違います。「長く書けば信頼される」ではなく、「探し物に過不足なく答えれば信頼される」と考えてください。
題名で約束し、中身で守る
4つの条件を支える土台が、題名と中身の一致です。
読者は、題名を見て「この記事なら、私の探し物に答えてくれそうだ」と期待して開きます。題名は、読者との約束です。開いてみて中身が違えば、読者は裏切られたと感じて、すぐにページを閉じます。そして、次にあなたの名前を見ても、もう開いてくれないかもしれません。
約束を守るための3つの確認です。
- 題名に数を書いたら、中身の数をそろえる:「5つの条件」と書いたら、5つを書き、見出しにも番号を振る
- 題名の言葉の意味を、中身で外さない:「比べ方」と書いたら、実際に比べて見せる
- 題名で煽らない:中身で果たせない約束を、題名でしない
見出しに番号を振ると、読者は今どこを読んでいるのかが分かり、最後まで迷わずに読めます。これも、約束を守るための小さな工夫です。
たとえば、オンラインで書道を教える人がいたとします
4つの条件を、例に当てはめてみます。オンラインで大人向けの書道を教えている人が、講座の申し込みを増やしたいと考えているとします。
まず、きれいな字を書くための姿勢や筆の持ち方を、動画と記事で惜しまずに発信します(条件1)。次に、「独学・教室・オンライン講座、どれが合うか」という記事を書き、それぞれに向く人と、自分の講座が向かない人(対面で直接手を取って教わりたい人)を正直に書きます(条件2)。そして、申し込んだ人が最初の一週間で何を書き、どう添削を受けるのかを、実際の流れで紹介します(条件3)。申し込み方法を探している人のためには、短い案内のページを別に用意します(条件4)。
勧める言葉はほとんどありません。それでも、読者は自分に合うかどうかを判断したうえで、申し込みに進んでくれます。
信頼を落とす、4つの発信のパターン
最後に、申し込む前の人の信頼を落としやすい発信を挙げておきます。どれも悪気なくやってしまいがちなものです。
- どの記事も、最後は同じ申し込みの案内で終わる:まだ迷い始めたばかりの人には早すぎて、売り込みに感じられます。記事ごとに、読者の段階に合う次の一歩を置きます
- 良いことしか書かない:講座の良さだけを並べると、読者は「本当だろうか」と身構えます。向かない人や、手間がかかるところも書いた方が、全体が信じてもらえます
- 申し込みの方法が見つからない:情報は丁寧なのに、どこから申し込めばいいのかが分からない。決めた人が迷わないよう、案内の場所は分かりやすくしておきます
- 題名と中身がずれている:読まれることを優先して題名を大げさにすると、中身を読んだ人の失望が大きくなります
この4つは、どれも「読者が自分で決める」のを邪魔しているという点で共通しています。読者が決めやすい状態を作ることが、結局は一番の近道です。
まとめ
- 申し込む前の人は、背中を押してほしいのではなく、自分で決めるための材料を探している
- 条件1:押さずに、役に立つことを先に渡す
- 条件2:ほかの方法も含めて比べる材料を渡し、急かさずに考える時間を渡す
- 条件3:申し込んだあとの姿まで見せ、条件4:長さではなく探し物に答える
- 題名は読者との約束。数も言葉も、中身で守る
まずは、あなたの講座について「自分の講座が向かない人」を3つ書き出してみてください。それを正直に書いた発信が、合う人にとって一番信頼できる材料になります。


