講座の中身は、もう頭の中にある。教えたいことも山ほどある。だから、思いつく順に章を並べて、動画や資料を作っていった。
ところが、いざ受講者に渡してみると、途中で手が止まる人が出てくる。質問も「そもそも何から始めればいいですか」という、最初に戻ったようなものばかり。中身には自信があるのに、なぜか最後までたどり着いてもらえない。講座を作った方から、よく聞くお悩みです。
結論から言うと、原因は中身ではなく章立ての「起点」にあります。自分が教えたい順に並べるのではなく、受講者が途中でぶつかる「壁」の順に並べる。 これだけで、受講者が次に何をすればいいかが分かる講座になります。
この記事では、受講者の「今の姿」と「なりたい姿」を決め、その間にある壁から章立てする5つの手順を解説します。
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この記事の続きとして、お客様の「今」と「理想」から約束を決め、章立て・台本・教材までをAIと作る手順をまとめました。
「教えたい順」の章立てで受講者が止まる理由
教えたいことを順に並べた章立ては、作る側から見るととても自然です。基礎から応用へ、全体から細部へ。教科書のように整っています。
けれど、受講者の側から見ると、ずれが生まれます。
- 受講者がいま困っていることと、章の順番が合っていない
- 受講者にとっては先に知りたいことが、後ろの章に置かれている
- 知識の説明は丁寧なのに、「自分にもできるのか」という不安には触れていない
受講者は、講座を最初から順に読み物として楽しみたいわけではありません。今の困りごとを抜けて、望む状態にたどり着きたいのです。その途中には、必ず「ここで止まる」という場所があります。教えたい順の章立ては、この止まる場所を見ていないので、受講者はどこかで置いていかれてしまいます。
では、止まる場所から考えるにはどうすればいいのか。ここからは5つの手順で説明します。
手順1:受講者の「今の姿」と「なりたい姿」を決める
最初に、講座のスタートとゴールを決めます。スタートは受講者の「今の姿」、ゴールは講座を終えたときの「なりたい姿」です。
ここで大事なのは、どちらもできるだけ具体的に書くことです。たとえば、ずっと独学でイラストを描いてきた人に向けた講座を作る人がいたとします。
| ぼんやりした書き方 | 具体的な書き方 | |
|---|---|---|
| 今の姿 | イラストが趣味の人 | 何年も描いていて、友人には褒められる。でも知人以外から依頼を受けたことはなく、自分の絵でお金をもらっていいのか迷っている |
| なりたい姿 | イラストで稼げる人 | 作品の見せ場所があり、知らない人から初めての依頼が届く。やりとりから納品までを、一人で落ち着いて進められる |
右のように書くと、受講者の気持ちや、つまずきそうな所まで見えてきます。なりたい姿は、受講者が思い描いている景色に近いほど良いです。「稼げる人」のような大まかな言葉ではなく、その人が実際に見たい場面まで書いてみてください。
なお、今の姿は必ずしも「困っている状態」でなくてかまいません。すでにある程度できている人を、さらに上へ連れていく講座なら、今の姿は「できている状態」から始まります。大事なのは、受講者の実際の出発点に合わせることです。
手順2:その間で必ずぶつかる壁を全部書き出す
スタートとゴールが決まったら、その間で受講者がぶつかる壁を書き出します。
コツは、受講者になったつもりで、一歩ずつ進んでみることです。「今の姿の人が、最初に止まるのはどこか」「そこを越えたら、次に止まるのはどこか」と、順番に問いかけていきます。
イラストの例なら、たとえば次のような壁が出てきます。
- 自分の絵でお金をもらっていいのか、自信が持てない
- どんな依頼を受けたいのか、自分でも決まっていない
- 作品をどこに、どう並べて見せればいいか分からない
- 依頼が来ても、料金や条件をどう決めればいいか分からない
- やりとりの途中で修正が続き、どこまで応じるか迷う
壁の数は、テーマによって3つのこともあれば、10を超えることもあります。最初は多めに出して、あとで整理すれば大丈夫です。
壁には「気持ち」「知識」「やり方」の3種類がある
書き出した壁を見ると、種類が違うものが混ざっていることに気づきます。
- 気持ちの壁:「自分には無理」「お金をもらうのは申し訳ない」といった不安や思い込み
- 知識の壁:知らないから進めない。「作品の見せ方を知らない」など
- やり方の壁:知ってはいるが、手順が分からない。「料金の決め方」など
見落としやすいのは、1つ目の気持ちの壁です。やることを箇条書きで教えても、気持ちの壁が残っていると受講者は動けません。上の例でも、最初の壁は技術ではなく「お金をもらっていいのか」という気持ちでした。
受講者が当たり前だと思い込んでいることを、あえて問い直す必要があるときもあります。思い込みの外し方は、思い込みを外す4つのステップが参考になるはずです。
手順3:壁を章にまとめ、章の中にレッスン名を並べる
壁を書き出したら、それを講座の章にまとめます。基本は「1つの壁=1つの章」です。近い壁はまとめ、大きすぎる壁は2つに分けます。
章の名前は、壁そのものではなく「その壁を越えた姿」にすると、受講者が何を得られるのかが伝わります。
| 壁 | 章の名前の例 |
|---|---|
| 自信が持てない | 第1章:自分の絵に値段をつけていい理由を知る |
| 受けたい依頼が決まっていない | 第2章:引き受けたい依頼の形を決める |
| 作品の見せ方が分からない | 第3章:依頼したくなる作品の並べ方 |
| 料金と条件が決まらない | 第4章:料金と条件を先に決めておく |
| 修正のやりとりで迷う | 第5章:最初の依頼を納品まで進める |
章が並んだら、それぞれの章の中にレッスン名を書き出していきます。このときも、「この壁を越えるために、受講者は何を知り、何をすればいいか」を順に並べます。章の初めには「この章で何ができるようになるか」を伝えるレッスン、終わりには振り返りのレッスンを置くと、受講者が自分の現在地をつかみやすくなります。
たとえば「第4章:料金と条件を先に決めておく」なら、レッスン名は次のように並べられます。
- この章でできるようになること
- 料金を決める前に、自分の作業時間を測っておく
- 似た依頼を受けている人の条件を調べる
- 修正の回数と納品の形を、先に決めておく
- 条件を一枚の案内にまとめる
- 振り返り:自分の条件表を見直す
並べるときは、受講者が「次に何をすればいいか」を迷わない順番になっているかを確かめます。2と3の順番が逆でも講座としては成り立ちますが、受講者の立場では、自分のことを先に知っておいたほうが、人の条件を見たときに比べやすくなります。こうした小さな順番の判断が、止まりにくい講座を作ります。
章とレッスン名が一覧になると、講座全体のバランスが見えてきます。説明ばかりの章、手を動かす場面がない章があれば、この段階で直しておきます。1つのレッスンの中身をどう組み立てるかは、同じシリーズのレッスンごとに置く4種類の課題と7つの決まりで解説しています。
手順4:気持ちを立て直すレッスンを途中に入れる
章立てができたら、ところどころに気持ちを立て直すレッスンを入れます。
講座の途中で受講者が止まる理由は、内容の難しさだけではありません。「なぜこれを始めたんだっけ」「自分だけ遅れている気がする」と、気持ちが下がることでも止まります。特に、難しい章に入る前と、長い章の途中は要注意です。
気持ちを立て直すレッスンでは、たとえば次のようなことを伝えます。
- この講座を始めたときに思い描いた「なりたい姿」を、もう一度思い出してもらう
- ここまでで何ができるようになったかを、具体的に振り返る
- 次の章が少し難しいことを先に伝え、それでも越えられる理由を話す
長いレッスンである必要はありません。数分の短い話や、一枚の振り返りシートでも十分です。根性で乗り切らせるのではなく、現在地と次の一歩を見せて、もう一度歩き出せるようにする。それがこのレッスンの役割です。
手順5:売ったあとも受講者の様子を見て章立てを直し続ける
最後の手順は、講座を売ったあとも章立てを直し続けることです。
最初の章立ては、どれだけ丁寧に考えても、作る側の想像です。実際に受講者が進めてみると、思っていなかった場所で止まったり、想定より簡単に越えていく壁があったりします。
見るべきところは、次の3つです。
- どの章で止まる人が多いか:止まる場所の前に、まだ書き出せていない壁が隠れている可能性がある
- どんな質問が多いか:同じ質問が何度も来るなら、その答えをレッスンとして足す
- どの章が飛ばされているか:受講者にとって必要がない章かもしれない
イラストの例で言えば、第3章のあとで止まる人が多かったとします。質問を見てみると、「作品は並べたけれど、知らない人に見てもらう方法が分からない」という声が続いていました。これは、最初の章立てでは書き出せていなかった壁です。そこで、第3章と第4章の間に「作品を見てもらう場所を1つ決めて続ける」という章を足します。
章立ては、一度決めたら変えてはいけないものではありません。受講者の様子に合わせて、壁を足し、章を入れ替え、レッスンを削っていく。そうやって直していくうちに、受講者が止まりにくい講座に育っていきます。
会員制のように長く続く講座で、段階ごとに何を確かめるかという「成長の道筋」を作りたい方は、成長の道筋の作り方もあわせて読んでみてください。
まとめ
- 教えたい順に並べた章立てでは、受講者が止まる場所が見えず、途中で置いていかれる
- まず受講者の「今の姿」と「なりたい姿」を、場面が浮かぶくらい具体的に決める
- その間でぶつかる壁を順に書き出す。気持ちの壁を見落とさない
- 壁を章にまとめ、章の名前は「壁を越えた姿」にする。途中に気持ちを立て直すレッスンを入れる
- 売ったあとも、止まる場所・質問・飛ばされる章を見て、章立てを直し続ける
まずは、あなたの講座の受講者の「今の姿」と「なりたい姿」を、それぞれ3行で書いてみてください。その2つの間に何があるかを考え始めた時点で、章立ての半分はできあがっています。テーマがまだ決まっていない方は、先に10の問いで講座の候補を比べて1つに絞る方法から始めてみてください。
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