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新しい講座を増やす人ほど、忙しさだけが増えていきます|1つのノウハウを「届ける相手」で広げる3つの展開

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講座が一つ売れるようになると、次に考えるのは「もっと売上を増やすには、どうすればいいか」ですよね。そこで多くの方が選ぶのが、新しいテーマの講座をもう一つ作ることです。

ところが、新しい講座を作るたびに、教材づくりに何週間もかかり、案内文を書き直し、また一から見込み客を集めることになります。気がつくと、売上はそれほど増えていないのに、忙しさだけが倍になっている。こういう状態の方は少なくありません。

結論から言うと、売上を広げたいときに最初にやるのは、新しい中身を作ることではありません。すでに売れているノウハウを、「誰に届けるか」を変えて別の形にすることです。中身の大部分はそのままで、届ける相手と見せ方を変える。これだけで、制作の手間を増やさずに商品の数を増やせます。

この記事では、講座を増やすほど苦しくなる理由、同じ中身が相手によって別の商品になる仕組み、そして広げ方の3つの展開と、広げる前に確かめておきたいことを解説します。

講座を増やすほど苦しくなる理由

新しいテーマの講座を作ると、増えるのは教材だけではありません。講座ビジネスには、作る・知ってもらう・売る・続けてもらう、という工程があります。テーマを増やすと、このすべてがもう一組増えます。

特に重いのが、知ってもらう工程です。新しいテーマには、新しい見込み客が必要です。これまでの読者は、あなたの本来のテーマに興味を持って集まった人たちです。別のテーマの講座を案内しても、反応するのは一部だけ。結局、一から発信を積み上げることになります。

さらに、テーマが増えると、発信の軸がぼやけます。「この人は何の専門家なのか」が伝わりにくくなり、本来の講座の申し込みまで落ちることがあります。

売上を広げるときは、「何を教えるか」を増やすより先に、「誰に届けるか」を増やす。 この順番にすると、作る工程はほとんど増えず、自分の得意なことに集中したまま売上の入口を増やせます。

「誰に向けたものか」で、同じ中身が別の商品になる

同じ中身でも、届ける相手を絞ると、受け取る側の感じ方は大きく変わります。人は「誰にでも役立つもの」より、「自分のために作られたもの」に価値を感じるからです。

たとえば、文章の書き方を教えている人がいたとします。「文章講座」として案内すると、世の中のたくさんの文章講座と並べて比べられます。比べられると、最後は価格で選ばれやすくなります。

ところが、「子育て中で、夜の30分しか時間が取れない人のための文章講座」と案内すると、当てはまる人は「これは私のことだ」と感じます。教える中身の多くは同じでも、相手の生活に合わせた進め方や例が入っているだけで、選ばれる理由が生まれるわけです。

相手を絞るときの切り口は、次のように整理できます。

切り口 例 変えるところ
立場 会社員・子育て中・定年前後 使える時間、進め方の例
場面 仕事の報告書・趣味の発信・申込ページ 練習の題材、ゴールの形
段階 まったく初めて・一度挫折した・自己流で続けている 最初に教える順番
目的 副業にしたい・社内で評価されたい・趣味を深めたい 成果の測り方

ポイントは、ラベルだけを変えないことです。「子育て中の方向け」と書いておきながら、中身の例がすべて会社員向けのままだと、期待を裏切ってしまいます。中身の骨組みはそのままで、例・題材・進め方を相手に合わせて差し替える。これが、同じノウハウを別の商品にするということです。

相手の決め方そのものは、WHO設計の11項目と選び方の5基準で詳しく書いています。

展開1:個人向けの中で、相手を絞った版を作る

最初の展開は、今の個人向けの講座を、特定の相手に向けた版に作り替えることです。いちばん手間が少なく、すぐに試せます。

進め方は次のとおりです。

  1. これまでの受講者を振り返り、成果が出やすかった人の共通点を書き出す
  2. その共通点から、切り口(立場・場面・段階・目的)を一つ選ぶ
  3. 教材の中で、例と練習の題材だけをその相手向けに差し替える
  4. 案内文の最初の一文を、その相手の言葉で書き直す
  5. 少人数に案内して、反応を確かめる

1つ目がいちばん大切です。頭の中で「この層が売れそう」と考えるより、実際に成果が出た人から逆算する方が、外れにくくなります。すでに一度でも講座を届けたことがあるなら、答えは手元の受講者の中にあります。

注意したいのは、絞った版を増やしすぎないことです。切り口は無数に作れますが、案内の窓口が増えるほど、発信は散らばります。まずは一つ作って、反応を見てから次を考えます。

展開2:同じ仕事をする人向けに、やり方そのものを教える

2つ目の展開は、あなたと同じ仕事をしている人、これから始めたい人に向けて、「あなたの仕事のやり方」そのものを教えることです。

講座やサービスを続けていると、自分なりの進め方ができてきます。受講者の集め方、初回の面談の進め方、教材の作り方、続けてもらう工夫。本人にとっては当たり前のことでも、同じ仕事を始めたばかりの人から見ると、喉から手が出るほど欲しい情報です。

実際、発信を続けていると、同業の方があなたのやり方を参考にしていることがあります。やり方を真似されて、もやもやした経験がある方もいるかもしれません。それなら発想を変えて、正式な形で教える場を用意してしまう。黙って真似される代わりに、きちんと学んでもらう関係に変えられます。

この展開で気をつけたいのは、次の3つです。

  • 自分のお客様と取り合いにならない範囲にする:地域や分野が重なる相手には、何をどこまで教えるかを先に決めておく
  • 教えるのは「中身」より「運営の仕方」:本来の講座の中身をそのまま渡すのではなく、講座を回すための手順や考え方を教える
  • 表のメニューに載せておく:「同じ仕事をする方向けの相談」を最初から案内に入れておくと、問い合わせる側も遠慮せずに申し込める

私自身も、チャレンジ企画という仕組みを、講師やコーチの方に教えています。自分で開催してきた手順を、他の人も開催できる形に整えて届けているわけです。少人数でも売上を作る仕組みの全体像は、チャレンジ企画の完全ガイドにまとめています。

展開3:会社や団体向けの受け皿を用意する

3つ目の展開は、会社や団体に向けた形を用意することです。「法人営業なんて自分にはできない」と思うかもしれませんが、ここで言うのは営業に回ることではありません。受け皿を用意しておくことです。

個人向けの講座が評価されてくると、受講者から「会社の研修で使えませんか」「部署のメンバーにも受けさせたい」と相談されることがあります。個人で受けて良かった人が、職場でも役立つと感じて、会社に話を持ちかけてくれるわけです。このとき、個人向けの申し込みしか用意していないと、話はそこで止まってしまいます。

受け皿として用意しておきたいのは、会社や団体ならではの使い方に合わせた条件です。

用意すること 内容の例
複数人での利用 一つの契約で、決まった人数まで受講できる
社内での資料の使用 研修の中で教材を配ってよい範囲を決める
期間とサポート 受講期間や質問対応の期間を、個人向けより長めにする
支払いの手続き 請求書での支払い、見積書の発行に応じる

こうした条件は、あなたにとって追加の手間はそれほど大きくありません。一方で、会社にとっては「個人向けの申し込みでは困るところ」が解決されるので、ありがたい条件になります。

価格は、個人向けとは別に考えます。会社は、受講する人数や、社内で広げて使える価値も含めて判断します。個人向けの価格をそのまま人数分かけるのではなく、提供する条件に見合った価格を、自信を持ってつけてください。

始め方はシンプルです。講座の案内ページの最後に、「会社・団体でのご利用をご検討の方は、こちらからご相談ください」という一文と、問い合わせ先を置いておく。それだけで、これまで取りこぼしていた相談が届くようになります。

広げる前に確かめておく3つのこと

3つの展開を紹介しましたが、いつ始めてもいいわけではありません。広げる前に、次の3つを確かめてください。

  1. 本命の講座が、少人数でも売れる形になっているか
  2. 受講者が、その講座で成果を出しているか
  3. 広げた先のサポートを、自分の時間で回せるか

1つ目が特に大切です。本命の講座がまだ売れていないうちに相手を広げても、売れない理由がそのまま持ち越されます。まずは今の相手に、少人数でも確実に届く形を作る。私はチャレンジ企画で、準備1週間・集客3名で売上600万円になったことがあります。人数を集めることより、今の相手に深く届けることを先にしたからです。集客が少なくても売上を作れる考え方は、集客3名でも売上は作れる理由で詳しく書いています。

2つ目は、広げた先で紹介できる実例があるかどうかです。同じ仕事をする人向けにも、会社向けにも、「実際にこのやり方で成果が出ている」という事実が一番の説得材料になります。

3つ目は、見落としがちなところです。会社向けの研修は、日程の調整や事前の打ち合わせが入ります。同じ仕事をする人向けの相談は、一人ひとりの状況が違うので時間がかかります。広げた結果、本命の講座の受講者への対応がおろそかになっては本末転倒です。

よくある3つの失敗

  • 全部を同時に始める:案内が散らばり、どれも中途半端になります。一つずつ試します
  • ラベルだけ変えて中身が同じ:「〇〇な人向け」と書いたのに例が合っていないと、受講者の満足度が下がります
  • 会社向けを個人向けと同じ価格にする:条件が増えているのに価格が同じだと、忙しさだけが増えます。条件と価格はセットで決めます

まとめ

  • 売上を広げたいときは、新しいテーマを増やす前に、同じノウハウを「届ける相手」で広げる
  • 相手を絞ると「自分のためのもの」と感じてもらえる。ただしラベルだけでなく、例と題材を相手に合わせて差し替える
  • 広げ方は3つ。個人向けの中で相手を絞る、同じ仕事をする人向けにやり方を教える、会社や団体向けの受け皿を用意する
  • 広げる前に、本命の講座が少人数でも売れているか、成果が出ているか、サポートを回せるかを確かめる

まずは、これまでの受講者の中で成果が出やすかった人を三人ほど思い浮かべて、その共通点を書き出してみてください。そこに、最初に試すべき「届ける相手」が見えてきます。