講座を作って販売を始めると、多くの方が個別サポートを付けたくなります。受講者に成果を出してほしいですし、サポートがある方が申し込まれやすいからです。
ところが、しばらくすると困ったことが起きます。面談の予定でカレンダーが埋まり、講座の改善や新しい発信に使う時間がなくなる。受講者が増えるほど忙しくなり、せっかく作った講座が、また時間の切り売りに戻ってしまう。そんな声をよく聞きます。
結論から言うと、原因はサポートを付けたことではなく、サポートの形を決めていないことです。個別サポートは、あなたの時間を売る商品です。だからこそ、受け方、返す期限、範囲、人数、自分の時間の上限を先に決めておく。これだけで、同じサポートでも時間の使われ方が大きく変わります。
この記事では、個別サポートで疲れてしまう本当の原因、予定に縛られない個別サポートを作る5つの決めごと、価格の考え方、そして会う場面の選び方を解説します。
個別サポートは、あなたの「時間」を売る商品
まず押さえておきたいのは、動画や資料などの教材と、個別サポートは性質がまったく違う、ということです。
教材は、一度作れば、受講者が何人増えてもあなたの時間はほとんど増えません。一方で個別サポートは、受講者が一人増えるたびに、あなたの時間が必ず減ります。個別サポートは、あなたの時間そのものを売っている商品なんです。
ここを意識しないまま「手厚いサポート付き」を約束すると、受講者が増えるほど自分の首が締まっていきます。労働収入から抜け出すために講座を作ったのに、気づけば以前より長く働いている。そうならないためには、「どうすれば、なるべく少ない自分の時間で、受講者の目的を達成できるか」を最初に考えておく必要があります。
これは、サポートの手を抜くという話ではありません。受講者にとって本当に必要なのは、あなたと話す時間の長さではなく、つまずいたところを越えられることです。そこに集中できる形を作る、という話です。
疲れる原因は、面談の長さより「予定が固定されること」
個別サポートで疲れる理由を、もう少し細かく見てみます。
たとえば、平日の午後に1時間の面談が入ったとします。面談そのものは1時間でも、その前には準備があり、終わったあとには記録やフォローがあります。移動がある場合はなおさらです。そして何より、その予定があるだけで、午後の時間は他のことに集中しにくくなります。前日から気になって落ち着かない、という方もいると思います。
つまり、疲れの正体は面談の長さではなく、「決まった時間に、決まった場所にいなければならない」という縛りなんです。
| 予定が固定されるサポート | 予定に縛られないサポート |
|---|---|
| 決まった日時に面談をする | 質問を文章で受け、都合の良い時間に返す |
| 前後の準備や移動も含めて時間が埋まる | 空いた時間に少しずつ対応できる |
| 受講者が増えるほどカレンダーが埋まる | 受講者が増えても予定表は埋まらない |
| 体調や家庭の事情で動けないと止まる | 返す期限の中で調整できる |
もちろん、顔を見て話す面談にしかない良さもあります。大事なのは、全部を面談にしないことです。面談を「必要な場面だけに使うもの」にして、日々のサポートは予定に縛られない形にする。この組み合わせが、長く続けられる個別サポートの土台になります。
予定に縛られない個別サポートを作る5つの決めごと
では、具体的に何を決めればいいのか。私は次の5つを、講座を販売する前に決めておくことをおすすめしています。
- 受け方を決める:質問はチャットやメールなどの文章で受け付け、あなたの都合の良い時間にまとめて返す
- 返す期限を決める:「2営業日以内に返信します」のように、受講者が安心できる目安を先に伝えておく
- 範囲を決める:講座の内容に関する質問には答える、作業の代行や講座と関係のない相談は受けない、など線を引く
- 受け入れる人数の上限を決める:質を落とさずに対応できる人数を自分で把握し、それを超えたら募集を止める
- 自分の時間の上限を決める:「空いた時間で答えられる範囲」をサポートの上限にし、それ以上は別の商品として分ける
中でも見落とされやすいのが、4つ目と5つ目です。人数の上限を決めずにいると、売れるほど対応が雑になり、受講者の満足度が下がります。自分の時間の上限を決めずにいると、家族との時間や休む時間が少しずつ削られていきます。
上限は、受講者のためにも自分のためにも決めておくものです。 上限があるから、一人ひとりに丁寧に向き合えます。
文章で受けるサポートが、受講者にも良い理由
「面談ではなく文章でのサポートだと、受講者に不親切では」と感じる方もいると思います。でも、実は受講者にとっても良いことがあります。
1つ目は、質問を書くことで、受講者自身の頭が整理されることです。何に困っているかを文章にする途中で、自分で答えに気づく人も少なくありません。
2つ目は、答えが文章で残ることです。面談で聞いた話は忘れてしまいますが、文章なら何度でも読み返せます。
3つ目は、時間を合わせなくていいことです。忙しい受講者ほど、面談の日程を合わせるのが負担になっています。思いついたときに質問できる方が、つまずいたまま止まる時間が短くなります。
価格は「中身・量・受け取りたい額」の3つで決める
個別サポートの価格を決めるときに、多くの方が相場を探します。でも、個別サポートの価格には、決まった相場はほとんどありません。同じような内容でも、提供する人によって大きく違います。
価格は、次の3つを掛け合わせて決めます。
- 中身:質問に答えるだけなのか、作ったものを見て直すのか、一緒に計画を立てるのか
- 量:質問の回数に制限はあるか、面談はあるか、期間はどのくらいか
- 受け取りたい額:あなたがそのサポートに、いくら受け取れば無理なく続けられるか
3つ目を遠慮して決めないと、サポートを続けるほど苦しくなります。自分の時間を使う以上、受け取りたい額を正直に置いたうえで、中身と量を調整してください。
サポートの段階を分けてプランを作るときは、上のプランが下のプランの中身をすべて含むようにします。プランごとに中身がばらばらだと、選ぶ人が迷ってしまうからです。プランの分け方と名前の付け方は、選ばれるプランの作り方で詳しく書いています。
たとえば、文章の添削をしている人がいたとします
例で考えてみます。ブログを書きたい人に向けて、文章講座と個別の添削をしている人がいたとします。最初は受講者全員と毎週面談をしていましたが、受講者が増えるにつれて、平日の予定がほとんど面談で埋まってしまいました。
そこで、サポートの形を次のように変えます。日々の質問はチャットで受け付け、2営業日以内に返す。添削は、書いた記事を送ってもらい、文章で直しを返す。面談は、講座の最初と最後の2回だけにする。受け入れる人数は、一人ひとりの添削に目を通せる人数までにする。
こうすると、受講者は思いついたときに質問でき、添削も手元に残ります。講師の側は、空いた時間にまとめて対応できるので、平日の予定表に余白が戻ります。
決めごとは、申し込みの前に伝えておく
5つの決めごとができたら、それを申し込みの前に受講者へ伝えておきます。販売ページや申し込みの案内に、サポートの受け方、返信の目安、答えられる範囲を書いておくんです。
これを後回しにして、受講が始まってから「実は面談は2回までで」と伝えると、受講者は約束が変わったように感じます。同じ内容でも、先に伝えるか後から伝えるかで、受け取られ方はまったく違います。
先に書いておくことには、もう一つ良いことがあります。サポートの形に納得した人だけが申し込んでくれるので、「思っていたのと違う」という行き違いが起きにくくなります。文章でのサポートが合う人が集まり、あなたも受講者も気持ちよく続けられます。
もし途中で形を変えたくなったときは、今の受講者には約束した形のまま続け、変えるのは次に募集する人からにします。今の受講者との約束を守ることが、次の受講者からの信頼にもつながります。
会う場面は、減らすのではなく「選ぶ」
ここまで読むと、「人と会うのをやめる話」に聞こえるかもしれません。でも、そうではありません。
大切なのは、会う場面を自分で選ぶことです。たとえば、講座のスタートで目標を一緒に決める面談や、成果が出た人と次の一歩を話す面談は、顔を見て話す価値が大きい場面です。そういう場面にだけ面談を使うと、面談そのものが特別な時間になり、受講者の満足度もかえって上がります。
反対に、何でも面談で済ませようとすると、面談の価値が薄まります。高いサポートを用意しても、下のプランでも同じように会えるなら、上に進む理由がなくなるからです。高額のサポートをどう組み立てるかは、高額商品を「個別サポートします」だけで終わらせない方法でも解説しています。
仕組みがあれば、動けないときも止まらない
私がこの考え方を大切にしているのには、理由があります。
私は以前、アキレス腱を断裂して、しばらく思うように動けなかった時期があります。それでも、その間も月収174万円になりました。サポートや販売の流れを、自分が毎日決まった時間に動かなくても回る形にしていたからです。
もし当時、サポートを全部面談で約束していたら、予定をすべて取り消すしかなかったと思います。体調を崩したとき、家族の事情があるとき、人は必ず動けない時期を迎えます。予定に縛られない個別サポートは、そんなときにも受講者を待たせず、自分も追い詰めないための備えでもあるんです。
まとめ
- 個別サポートは、あなたの時間を売る商品。少ない時間で受講者の目的を達成する形を先に考える
- 疲れの正体は面談の長さではなく、予定が固定されること
- 受け方・返す期限・範囲・人数の上限・自分の時間の上限、の5つを販売前に決める
- 価格は相場ではなく、中身・量・受け取りたい額の3つで決める
- 会う場面は減らすのではなく選ぶ。特別な場面に絞るほど、面談の価値が上がる
まずは、今のあなたの個別サポートについて、5つの決めごとのうち決まっていないものに印をつけてみてください。印がついたものから一つずつ決めていけば、カレンダーに少しずつ余白が戻ってきます。


