入口になる小さな商品ができて、少しずつ買ってくれる人が出てきた。次に考えるのが、より深く関わる本命の講座や個別の支援です。ここで多くの方が迷います。「本命も最初から全部作っておくべきか」「それとも、まず入口を売ってから考えるべきか」。
よくあるのは、どちらかに極端に寄ってしまうことです。数か月かけて本命を作り込んだのに、いざ案内すると反応がない。反対に、本命を何も考えずに入口だけ売っていたら、買ってくれた人の熱が冷めたころにようやく準備が整う。どちらも、作る力が足りなかったわけではありません。作る順番の選び方がずれていただけです。
結論から言うと、本命を作る順番は、好みや性格ではなく「テーマの寿命」「手元のお金と時間」「お客様の姿が見えているか」の3つで決めます。この3つを確かめれば、先に作るべきか、お客様と一緒に作るべきかは、自然に決まります。
この記事では、本命の商品の役割、2つの作り方の違い、順番を決める3つの基準、そしてそれぞれの作り方で気をつけることを解説します。
本命の商品は「もっと早く、確実に進みたい人」のためにある
最初に、本命の商品の役割をそろえておきます。本命とは、入口の商品を買ってくれた人に、次に届ける商品のことです。入口で関係ができた人だけが対象になります。
ここで大事なのは、入口の商品を不完全にしないことです。「続きは本命で」と中身を削った入口は、買った人をがっかりさせます。入口だけでも成果に近づける。そのうえで、「もっと早く、もっと確実に進みたい」という人のために本命を用意する。この考え方が土台になります。
本命に向いているのは、たとえば次のようなものです。
- 自分で一から作るのが大変な人向けの、すぐ使えるひな形や記入例
- 一人では進められない人向けの、定期的な相談や添削
- すべて任せたい人向けの、代わりに作る支援
どれも、入口で学んだことを「自分の場合」に当てはめるための商品です。本命の位置づけは、バックエンド商品の本当の役割と3段階のラインナップで詳しく書いています。
本命の作り方は2つある
本命の作り方には、大きく2つの道があります。
| 比べること | 先に全部作る | お客様と一緒に作る |
|---|---|---|
| 進め方 | 入口・本命・案内の流れまで、売り始める前に作っておく | 入口だけで始め、買った人の声を聞いてから本命を作る |
| 強み | 名簿が集まったらすぐ売れる。売上が立つまでが早い | 求められていない商品を作るおそれが小さい |
| 弱み | 読み違えると、作った労力がまるごと無駄になる | 本命ができるまで時間がかかり、その間の売上が小さい |
| 向く人 | 扱う悩みがはっきりしていて、お客様の姿が見えている人 | はじめて本命を作る人、お客様の姿がまだぼんやりしている人 |
どちらが正しいということはありません。大切なのは、自分の状況に合う方を選ぶことです。そのための基準が、次の3つです。
作る順番を決める3つの基準
基準1:テーマの寿命は長いか
まず、扱うテーマの悩みが、この先も長く続くものかどうかを考えます。お金、仕事、健康、人間関係、家族。こうした悩みは、時代が変わってもなくなりません。テーマの寿命が長いなら、時間をかけて本命を作り込んでも、完成したときに求められなくなっているおそれは小さいです。
反対に、新しい道具の使い方や、流行りの手法を扱うテーマは、関心の移り変わりが早いです。数か月かけて作り込んでいるうちに、お客様の関心が次のものに移っていることがあります。寿命の短いテーマほど、作り込む前に売る。これが一つ目の基準です。
基準2:手元のお金と時間に余裕があるか
お客様と一緒に作る道は、確実ですが時間がかかります。入口を売り、声を集め、本命を作り、案内するまでの間、大きな売上は立ちません。この期間を支えられるだけのお金と時間があるかを確かめます。
余裕が少ないなら、この期間の持ち出しをできるだけ小さくします。入口の商品では利益を大きく狙わず、「かかった費用を回収できればよい」くらいを目標にする。先にお金を払う広告は控え、売れてから紹介料を払う形の協力を使う。こうすれば、本命ができるまで持ちこたえられます。
一方で、先に全部作る道にも、作っている間は収入がないという負担があります。どちらの道でも、「売上が立つまでの期間」を先に見積もっておくことが大切です。
基準3:お客様の姿が見えているか
最後の基準がいちばん大切です。自分の商品を買ってくれる人が、どんな状況で、何に困っていて、どうなりたいのか。それが具体的に見えているかどうかです。
商品を売り始めると、想定とは違う人が買ってくれることがよくあります。これは失敗ではなく、大事な手がかりです。「なぜこの人が選んでくれたのだろう」と聞いてみると、自分では思いつかなかった悩みが見えてきます。
お客様の姿がまだ見えていないのに本命を2つ、3つと作り込むと、自分の思い込みに合わせた商品ができあがります。姿が見えていないなら、迷わず「一緒に作る」道を選びます。
「先に作る」なら、名簿が冷める前に売る準備をそろえる
3つの基準で「先に作る」と決めたなら、気をつけたいことがあります。それは、名簿を集め始める前に、売るための準備をすべてそろえておくことです。
登録してくれた人の関心は、時間がたつほど薄れていきます。登録した直後がいちばん話を聞いてくれる時期です。その時期に「さて、何を送ろうか」と考えていては間に合いません。
売り始める前にそろえておくものは、次の3つです。
- 登録してくれた人に、信頼を育てるために届けるメールの流れ
- 入口の商品を買ってくれた人に、本命を案内するための連絡の流れ
- 支払いの場所、受講の場所、申し込み後の案内
この3つがそろっていれば、名簿が集まった時点で、あとは流れに沿って届けるだけになります。
「一緒に作る」なら、3つの手順で進める
「一緒に作る」と決めたなら、次の3つの手順で進めます。
- 入口だけで始める:本命はまだ作らず、無料の案内と入口の商品だけを用意する
- 買った人と直接話す場を作る:個別のメッセージ、短いアンケート、少人数の相談会などで、「今いちばん困っていること」「次に知りたいこと」を聞く
- 聞いた言葉で本命を作る:集まった悩みの中で多いものを選び、その解決に必要なものだけを本命に入れる
2つ目の手順で気をつけたいのは、購入直後の感想だけで判断しないことです。買ったばかりの人は、自分の選択を正しいと思いたい気持ちから、良い感想を書きやすいものです。本音は、少し時間がたってから、一対一で聞いたほうが出てきます。
もう一つのコツは、本命を作っている途中の段階で、「今こんな内容を考えています。どう思いますか」と見せてしまうことです。意見をもらって直していくと、完成したときには「これが欲しかった」と言ってもらえる形になっています。
少人数でも、この順番は使えます。私はチャレンジ企画で、準備1週間・集客3名で売上600万円になったことがあります。商品を作り込んでから人を集める順番でなくても始められる例として、集客3名でも売上は作れますで詳しく書いています。
どちらの道でも起きやすい3つの失敗
最後に、どちらの作り方を選んでも起きやすい失敗を挙げておきます。
- 本命を入口の焼き直しにする:同じ中身を並べ替えただけでは、入口を買った人は新しい価値を感じません。伝える本質は同じでも、切り口や形式、関わり方を変えて作り直します。自分自身の理解も深まっているはずなので、その新しい視点を入れます
- 本命の数を一度に増やす:ひな形、相談会、代わりに作る支援と、最初から全部そろえようとすると、どれも中途半端になります。まずは一番求められているものを1つ作り、様子を見て足していきます
- 作って終わりにする:本命も、一度作れば完成ではありません。受講した人の質問や成果を見ながら、前回より分かりやすく、前回より進みやすく直していきます。直し続けている講座は、次に案内するときの説得力も増します
特に1つ目は、「先に全部作る」道で起きやすい失敗です。入口と本命を同じ時期に作ると、どうしても中身が似てきます。作る前に、「入口を終えた人は、次にどこでつまずくか」を書き出しておくと、本命の中身がぶれにくくなります。
たとえば、手帳の使い方を教える人がいたとします
イメージしやすいように、例を出してみます。手帳を使った時間の整え方を教えている人が、入口として少額の動画講座を売っているとします。次に、本命として少人数の講座を作りたいと考えました。
3つの基準で確かめてみます。時間の使い方の悩みは長く続くので、テーマの寿命は長い。一方で、手元の資金に大きな余裕はない。そして、入口を買ってくれた人を見ると、想定していた会社員だけでなく、子育て中の人が意外に多い。お客様の姿は、まだはっきりしていません。
この場合は、「一緒に作る」道が合っています。入口の購入者に短いアンケートを送り、そのうち数人と個別に話してみる。すると、子育て中の人は「予定を立てても子どもの都合で崩れる」ことに一番困っていると分かったとします。そこで本命は、崩れても立て直せる予定の組み方と、毎週の振り返りの相談会を中心にする。作り込む前に聞いたからこそ、自分だけでは思いつかなかった中身にたどり着けます。
まとめ
- 本命の商品は、入口だけでも成果に近づける人が「もっと早く、確実に」進むためのもの
- 作り方には「先に全部作る」と「お客様と一緒に作る」の2つがある
- 順番は「テーマの寿命」「手元のお金と時間」「お客様の姿が見えているか」の3つで決める
- 先に作るなら、名簿を集める前に売る準備をすべてそろえる
- 一緒に作るなら、入口だけで始め、買った人と直接話し、聞いた言葉で本命を作る
まずは、入口の商品を買ってくれた人を思い浮かべて、「その人が今いちばん困っていることは何か」を言葉にできるか試してみてください。言葉にできないなら、本命を作る前に、その人と話すところから始めるのが近道です。


