自分の商品がなくても、他人の商品を紹介して収入を作れる。この方法は、知識や経験を商品にする前の段階から始められる、労働収入から抜け出すための現実的な一歩です。私自身も、自分の講座と並行して、信頼できる商品の紹介を今も続けています。
ただ、紹介で少し収入が出始めた方から、よく相談されることがあります。「一つの商品の紹介に収入のほとんどを頼っていて、それが止まったらと思うと怖い」という相談です。実際、紹介先の販売が終わったり、条件が変わったりして、ある日急に収入が止まることは珍しくありません。
結論から言うと、紹介の収入を安定させるために必要なのは、もっと売れる商品を探すことではありません。一つの商品が止まっても崩れない形、つまり「商品を入れ替えられる仕組み」を先に作っておくことです。
この記事では、紹介する人だけが持つ強み、紹介という方法の弱点、そして弱点を仕組みで補う5つの設計を解説します。なお、紹介でどれくらいの収入になるかは、分野や読者との関係で大きく変わるので、ここでは金額の話はしません。
紹介する人だけが持つ「売らない自由」
まず、紹介という方法の強みから整理します。
商品を作って売っている側は、商品がある限り、売り続けなければなりません。売れ行きが落ちても、なんとか売る方法を考え続ける必要があります。
一方で、紹介する人には、「売らない」という選択肢があります。どの商品を紹介するか、どの商品を紹介しないか、いつ紹介をやめるかを、自分で決められるのです。この「選べる」「やめられる」「入れ替えられる」という自由こそが、紹介する人の一番の強みです。
ところが、多くの人はこの自由を使っていません。最初に選んだ商品を、状況が変わっても紹介し続ける。それしか収入源がないから、やめられない。強みであるはずの自由を、自分で手放してしまっているのです。
紹介という方法の、4つの弱点
自由を使いこなすには、紹介という方法の弱点も知っておく必要があります。
| 弱点 | どういうことか |
|---|---|
| 買った人の名簿が手元に残らない | 商品を買った人の連絡先は、販売する側のものになる。紹介した人は、その後の関係を持てない |
| 成果が認められない理由が分からないことがある | 申し込みがあっても、何らかの理由で報酬の対象にならないことがある。その理由までは知らされないことが多い |
| 紹介先の都合で、突然止まる | 販売の終了や条件の変更は、紹介する側では決められない |
| 責任は販売者でも、信頼を失うのは自分 | 商品に問題があっても、読者から見れば「あの人が勧めた商品」になる |
この4つを見ると、一つの商品に頼ることの危うさが分かります。名簿は残らず、止まるかどうかも決められない。そして、信頼だけは自分が背負う。だからこそ、次の5つの設計で、弱点を仕組みで補っておくのです。
設計1:商品の名前ではなく、悩みの分野で人を集める
一つ目は、人を集める入口の作り方です。
紹介の入口には、大きく2つの作り方があります。特定の商品の名前で探している人に向けた入口と、その商品が解決する悩みの分野で探している人に向けた入口です。
| 比べること | 商品の名前で集める | 悩みの分野で集める |
|---|---|---|
| 集まる人 | その商品を買うかどうか、ほぼ決めている人 | 解決したいが、どれを選ぶかまだ決めていない人 |
| 成果の出やすさ | 早い。短い説明で済む | 時間がかかる。比べ方や考え方を伝える必要がある |
| 同じことをする人 | 多い | 比べて説明する手間があるぶん、少ない |
| 紹介先が止まったとき | 入口ごと価値がなくなる | 別の商品に入れ替えれば、入口はそのまま使える |
商品の名前で集める入口は、成果が早く出る代わりに、その商品が止まれば入口ごと使えなくなります。悩みの分野で集める入口は、育つまで時間がかかる代わりに、紹介する商品を入れ替えても入口が残ります。
どちらが正しいということではありません。ただ、収入を安定させたいなら、悩みの分野で集める入口を軸にしておくことをおすすめします。商品の名前で集める入口は、その上に足すものと考えると、止まったときの痛手が小さくなります。
設計2:選ぶ基準と、捨てる基準を先に書いておく
二つ目は、紹介する商品の選び方です。
紹介を続けていると、次々と新しい商品が目に入ります。そのたびに迷っていると、判断がぶれて、読者から見ると一貫性のない紹介になります。そこで、選ぶ基準と捨てる基準を、あらかじめ書き出しておきます。
選ぶ基準の例です。
- 自分が実際に使って、読者に勧めたいと思えたか
- 読者の悩みの言葉と、その商品が解決することが一致しているか
- 紹介先がなくなっても、自分の書いた記事や発信に価値が残るか
捨てる基準の例です。
- 読者が何を求めているのか、自分で説明できない
- 勢いが落ちて、読者の役に立つ場面が減ってきた
- 条件の良さだけが、紹介する理由になっている
特に、捨てる基準は大事です。迷ったら紹介しない。これを決めておくだけで、紹介の一貫性が保たれます。商品にも勢いのある時期と落ち着いていく時期があるので、定期的に見直して、読者の役に立たなくなったものは入れ替えます。
見直しの時期も、先に決めておくと楽です。たとえば季節ごとに一度、紹介している商品を一覧にして、選ぶ基準と捨てる基準に照らし合わせる。入れ替えるときは、前の商品を勧めた記事に「今はこちらを使っています。理由は〜」と正直に書き足します。入れ替えの理由まで見せることが、読者の信頼をかえって深めます。
設計3:紹介を見て帰った人も、自分の名簿につなぐ
三つ目は、弱点の一つ目、「名簿が手元に残らない」への対策です。
紹介のリンクを押して商品を買った人も、買わずに帰った人も、そのままでは二度と連絡が取れません。そこで、紹介の前後に、自分のメールやLINEに登録してもらう入口を置いておきます。紹介した商品の使い方の補足や、比べるときの考え方をまとめた資料などを用意して、関心のある人に受け取ってもらうのです。
自分の名簿があれば、紹介先が止まっても、読者との関係は残ります。次の商品を案内することも、いずれ自分の商品を届けることもできます。
名簿は、数が多ければいいわけではありません。私がメルマガで月収100万円になったとき、読者は約100人でした。大事なのは人数よりも、読んでくれる人との関係です。名簿の価値の考え方は、“ただの読者”と“購入客”を分けて考えるべき理由でも紹介しています。
設計4:競争を避けるのは、言い換えと隣の悩みから
四つ目は、同じ商品を紹介する人が多いときの考え方です。
同じ言葉で、同じ悩みに向けて、大勢の人が紹介している。こういう場所で勝とうとすると、労力ばかりかかります。紹介の世界で一番大事な考え方は、競争に勝つことより、競争を避けることです。
避け方は2つあります。一つは、同じ悩みの別の言い方を探すことです。多くの人は、一番よく使われる言葉にしか向き合っていません。でも、読者は同じ悩みを、いろいろな言葉で表しています。読者が実際に使っている言葉を集めると、誰も向き合っていない言い方が見つかることがあります。
もう一つは、隣の悩みから入ることです。商品が直接解決する悩みではなく、その一歩手前の悩みに向けて発信し、そこから商品へつなぐ。たとえば、商品が「時間の管理」を助けるものなら、「毎日が忙しすぎて何も進まない」という手前の悩みから入る、という形です。
どちらも、ツールの使い方ではなく、「どうすれば大勢と同じ場所で戦わずに済むか」を考える力です。この考える力は、まねされにくく、紹介する商品が変わっても使い続けられます。
設計5:紹介で育てた信頼を、自分の商品につなげる
五つ目は、紹介の先の話です。
紹介を続けていると、読者が何に困り、どこでつまずき、何を求めているのかが分かってきます。これは、紹介を通じてしか集まらない材料です。そして、その材料をもとに作った自分の講座や個別の支援は、紹介先が止まっても、誰にも止められません。
紹介は、それだけで完結させるものではなく、自分の商品にたどり着くまでの助走と考えると、収入の不安定さに振り回されなくなります。紹介で信頼を育て、その信頼の上で自分の商品を届ける。紹介から始める流れの全体像は、初心者はまずアフィリエイトから始めよでもまとめています。
たとえば、在宅で働く人向けに道具を紹介している人がいたとします
5つの設計を、例に当てはめてみます。在宅で働く人向けに、仕事の道具を紹介している人がいたとします。今の収入のほとんどは、一つの有名な道具の名前で探している人に向けた記事から生まれています。
まず、入口を「在宅で集中できない」という悩みの分野に広げ、その悩みに合う道具を複数、比べて紹介する記事を作ります(設計1)。紹介する道具は、自分が使ったもので、読者の悩みの言葉と合うものだけにし、使わなくなった道具は外します(設計2)。記事の最後には、「在宅の仕事部屋の整え方」をまとめた資料を置いて、自分の名簿に登録してもらいます(設計3)。発信では、「集中できない」だけでなく、「家族がいると仕事にならない」という手前の悩みからも入ります(設計4)。そして名簿の読者から聞いた悩みをもとに、在宅の働き方を整える小さな講座を作ります(設計5)。
こうしておけば、ある日有名な道具の紹介が止まっても、入口も、名簿も、自分の講座も残ります。
まとめ
- 紹介する人の一番の強みは、「選べる」「やめられる」「入れ替えられる」自由
- 紹介には、名簿が残らない、止まる理由を選べないなどの弱点がある。一つの商品に頼るほど、弱点の影響が大きくなる
- 入口は商品の名前より、悩みの分野を軸にする。選ぶ基準と捨てる基準を先に書いておく
- 紹介を見て帰った人も、自分の名簿につなぐ。競争は勝つより避ける
- 紹介で育てた信頼と材料を、いずれ自分の商品につなげる
まずは、今の紹介収入が、どの商品のどの入口から生まれているかを書き出してみてください。一つの商品の名前に偏っていたら、その商品が解決する「悩みの分野」の入口を一つ作ることから始めてみましょう。


