同じテーマで発信している人の投稿を、毎日のようにのぞいてしまう。あの人はフォロワーが多い、あの人は新しい講座を出した。自分はどう差をつければいいのかと考えるうちに、何を書けばいいのか分からなくなる。こういう状態の方は、実はとても多いです。
私も独立したばかりのころは、何を発信すればいいのか分からないまま、ブログやSNSを続けていました。周りと比べるほど、自分の発信がどれも似たようなものに見えてきたんですよね。
結論から言うと、あなたが本当に取り合っている相手は、同業者ではありません。読者の毎日の時間です。そして、同業者がひしめく入口で競うより、同業者がいない「隣の分野」に入口を作った方が、少人数でも深くつながれる見込み客と出会えます。
この記事では、本当のライバルが誰なのか、読者の時間に負けない発信の材料、同業者を見すぎることの害、そして隣の分野から見込み客と出会う「入口をずらす」4つの手順を解説します。
本当のライバルは、同業者ではなく読者の毎日
まず、読者の一日を想像してみてください。
朝は家族の予定を確かめて、通勤中は友人とのやり取りに返信する。昼休みには動画を見て、夜は家族と話したり、好きな番組を見たりする。あなたの発信は、この毎日の中のどこかで、ほんの少しの時間をもらって読まれています。
つまり、あなたの発信と比べられているのは、同業者の発信ではありません。友人とのおしゃべりや、家族との時間や、楽しみにしている番組です。読者がそれを少し後回しにしてでも読みたいと思えるか。発信の基準は、そこに置く必要があります。
こう考えると、同業者との細かな違いにこだわる意味は、ぐっと小さくなります。同業者より少し詳しい情報を出しても、読者の毎日の楽しみに負けてしまえば、そもそも読まれないからです。
毎日の時間に負けない発信の3つの材料
では、読者の毎日の時間に負けない発信は、どうすれば作れるのでしょうか。材料は3つあります。
材料1:借り物ではない、自分の考え
本や講座で学んだことを、そのまま伝える発信は、どうしても誰かと似てきます。正しい情報でも、読者にとっては「どこかで聞いた話」です。
面白いのは、学んだ話を伝えきって、書くことがなくなったあとです。そこから出てくるのは、自分が本当はどう考えているか、何に違和感を持っているかという、自分の考えです。書くことがなくなったときこそ、発信が自分のものになり始めるタイミングだと私は考えています。
材料2:手に取りやすいのに、中身が濃い入口
読者の時間をもらうには、最初の一歩が軽いことも大切です。短い記事、少額の小さな講座、気軽に参加できる場。そのうえで、中身は「ここまで教えてくれるのか」と感じてもらえる濃さにします。入口の軽さと中身の濃さの差が、読者の心を動かします。
材料3:読者自身が前に進む物語
一番強い材料は、読者自身の変化です。あなたの発信を読んで試してみたら、小さな成果が出た。この体験は、どんな楽しい番組よりも、その人にとって心が動く出来事になります。
発信を「私が話すもの」ではなく、「読者が前に進むための場」として作る。そうすると、読者は自分の物語の続きを見るために、あなたの発信を読みに来てくれます。
同業者を見すぎると、発想が似てくる
もう一つ、同業者ばかり見ていることには、見落としやすい害があります。発想が、見ている相手に似てくることです。
毎日同じテーマの発信を読んでいると、使う言葉も、取り上げる話題も、いつの間にか同じになっていきます。差をつけるために見ていたはずが、かえって見分けがつかなくなる。これでは本末転倒です。
新しい発想は、たいてい自分の「当たり前」の外にあります。次のような工夫で、同業者の外に目を向けてみてください。
- 同業者の発信を見る時間を決めて、減らす
- 自分の分野と関係のない本や場所に触れる
- 時間の使い方や働き方を、少しだけ変えてみる
- 何より、お客様や読者の話を直接聞く
特に4つ目が大事です。同業者の発信の中には、あなたのお客様の本当の言葉はありません。お客様の言葉を聞くほど、同業者が気づいていない悩みが見えてきます。お客様の言葉の拾い方は、見込み客が普段使う言葉に言い換える顧客情報の整理で解説しています。
入口をずらすと、競争のない場所で出会える
ここからが、この記事の中心の話です。
同業者と同じ入口、たとえば「起業したい人」「副業を始めたい人」といった入口で発信していると、どうしても比べられます。読者も、同じような発信をたくさん見ているからです。
そこで、入口を一つずらします。あなたの本題とは違うけれど、あなたが心から語れる「隣の分野」で発信し、そこで出会った人に、あなたの本題を新しい選択肢として見せる。 これが入口をずらす考え方です。
「隣の分野に集まる人は、自分の本題に興味がないのでは」と感じるかもしれません。でも、多くの人は興味がないのではなく、自分にもできるという可能性や、そのやり方を知らないだけです。知れば関心を持つ人は、思っている以上にいます。そして隣の分野には、あなたの同業者がほとんどいません。
たとえば、コーチングをしている人がいたとします
例を出します。働く女性向けにコーチングをしている人が、趣味で長年パンを焼いてきたとします。
「コーチング」「自分らしい働き方」という入口は、同業者がたくさんいて、なかなか目に留まりません。そこでこの人は、パン作りの発信を始めます。忙しい平日でも焼ける段取りや、失敗したときの立て直し方を、ていねいに発信します。そこには、パンが好きな働く女性が集まってきます。
発信を続ける中で、この人は時々、「平日にパンを焼く時間を作れたのは、仕事の予定の立て方を変えたからです」と、自分の働き方の話をします。それに反応した人に向けて、予定の立て方の小さな講座を案内し、さらに深く向き合いたい人にコーチングを案内する。パン作りという入口から、同業者と比べられることなく、本題の見込み客と出会えるようになります。
入口をずらす4つの手順
入口のずらし方を、手順にまとめます。
- 本題を抜きにして、心から語れる分野を書き出す:仕事と関係なく、何時間でも話せること、長く続けてきたことを挙げる
- その分野で、売らずに役立つ発信を続ける:ここでは本題の話をしない。その分野を好きな人に喜ばれることだけを考える
- 自分の本題を、新しい選択肢としてさりげなく見せる:自分がなぜそれをできているのか、その裏にある考え方や働き方を、体験として話す
- 関心を持った人にだけ、本題を案内する:反応してくれた人に向けて、小さな講座や相談を案内する。反応しない人には無理に勧めない
大事なのは、手順2を焦らないことです。入口の分野でしっかり信頼されていないうちに本題を勧めると、「結局それが目的だったのか」と受け取られます。入口の分野で役に立つことが、すべての土台です。
ちなみに、他人の商品を紹介して収入を作る方法は、この入口のずらし方と相性が良いです。入口の分野で役立つ道具や本を紹介しながら信頼を育て、本題に関心を持った人には、その段階に合う学びを紹介できるからです。紹介から始める流れは、初心者はまずアフィリエイトから始めよでもまとめています。
入口と本題をつなぐ発信の3つの形
手順3の「さりげなく見せる」が一番難しいところなので、もう少し具体的にします。入口の分野の発信の中で、本題への橋渡しになる形は、主に次の3つです。
| 形 | 中身 | 例(パン作りとコーチングの場合) |
|---|---|---|
| 裏側を話す | その分野を楽しめている理由を、自分の考え方や働き方から話す | 平日に焼く時間を作るために、予定の立て方をどう変えたか |
| 悩みに本題の考え方で答える | 入口の分野の悩みに、本題の考え方を使って答える | 「続かない」という相談に、習慣の作り方の考え方で答える |
| 入口の分野の人向けの小さな企画 | 入口の分野の人が参加しやすい形で、本題を体験してもらう | 「焼く時間を作るための一週間の予定の立て直し会」 |
どの形にも共通するのは、本題の話が、入口の分野の読者にとっても役に立っていることです。「パンの話を読みに来たのに、急に別の話が始まった」と感じさせないように、あくまで入口の分野の悩みを入り口にします。
こうした橋渡しの発信に反応した人こそ、本題を案内する相手です。反応がなかった人には、これまでどおり入口の分野で役に立つ発信を続けます。いつか本題が必要になったとき、その人はあなたのことを思い出してくれます。
入口をずらすときの3つの注意
最後に、入口をずらすときに気をつけたいことを挙げておきます。
- 入口と本題を、自分の中の一本の筋でつなぐ:無理なつなぎ方をすると信頼を失います。例のパン作りとコーチングは、「忙しくても自分の時間を作る」という一本の筋でつながっていました
- 本当に好きな分野を選ぶ:集客のためだけに選んだ分野は、発信が続きません。好きだからこそ、読者の時間に負けない発信になります
- 入口を広げすぎない:いくつもの分野に手を出すと、どれも中途半端になります。まずは一つの入口を育てます
人数を大きく集める必要はありません。隣の入口から出会った人は、あなたの考え方に共感してから本題に来てくれるので、少人数でも深い関係になりやすいです。少人数から売上を作る考え方は、集客3名でも売上は作れる理由で詳しく書いています。
まとめ
- あなたが本当に取り合っているのは、同業者のお客様ではなく、読者の毎日の時間
- 時間に負けない発信の材料は「自分の考え」「軽い入口と濃い中身」「読者が前に進む物語」の3つ
- 同業者を見すぎると発想が似てくる。お客様の話を直接聞く方が、新しい悩みが見える
- 同業者のいない隣の分野に入口を作り、そこで出会った人に本題を新しい選択肢として見せる
- 入口と本題は、自分の中の一本の筋でつなぎ、入口の分野で役に立つことを先にする
まずは、仕事を抜きにして何時間でも話せることを、3つ書き出してみてください。その中に、あなたの本題と一本の筋でつながるものがあれば、それが同業者のいない入口の候補です。


