時間をかけて講座を作った。販売ページも用意した。ところが、案内する相手がいない。名簿はほとんどなく、SNSのフォロワーも少ない。自分のサイトに載せてみても、そもそも人が来ない。講座を作り終えたところで止まってしまう方は、実はとても多いです。
こうなると、「まずは発信を何か月も続けて、人を集めてから売るしかない」と考えがちですよね。もちろん、自分の発信を育てることは大切です。ただ、それだけを待っていると、講座が誰にも届かないまま時間が過ぎていきます。
結論から言うと、名簿がない段階では、学びたい人がすでに集まっている「講座の販売サイト」を入口として借りる方法があります。ただし、そこで大きな利益を取ろうとはしません。販売サイトは「自分を知ってもらう入口」と割り切り、深い関わりは自分の場所に移していく。この順番で使うと、名簿がゼロの状態からでも、少人数に深く届ける形へ進んでいけます。
この記事では、販売サイトを使う強みと弱み、入口に使う3つの段階、講座を作る前に支援を募って需要を確かめる方法、そして使うときの注意点を解説します。
販売サイトの強みは「速さ」と「集客を任せられること」
講座の販売サイトとは、たくさんの講師が動画講座を出品し、学びたい人がその中から選んで買う場所のことです。個人が自分の講座を売る場所としては、大きく2つの選択肢があります。
| 比べること | 自分のサイトで売る | 講座の販売サイトで売る |
|---|---|---|
| 集客 | 自分でゼロから集める | 場に集まっている人に見つけてもらえる |
| 売り始めるまでの速さ | 発信を育てるまで時間がかかる | 講座ができれば、すぐに並べられる |
| 手元に残る割合 | 大きい | 場の手数料が引かれ、小さくなりやすい |
| 価格 | 自分で決められる | ほかの講座と並べて比べられやすい |
| お客様とのつながり | 自分の名簿として持てる | 場の決まりの中でしかつながれない |
| 決まりごと | 自分で決める | 場の持ち主が決め、変わることもある |
一番の強みは、速さです。自分のサイトだけで売るなら、発信を続けて人を集めるところから始めなければなりません。販売サイトなら、講座ができた時点で、すでに学びたい人が集まっている場所に並べられます。企画から販売までを短くできるので、「自分の講座が本当に求められるのか」を早く確かめられます。
一方で、弱みもはっきりしています。手数料で手元に残る割合は小さくなり、ほかの講座と価格で比べられやすい。そして何より、お客様とのつながりが自分のものになりにくい。だからこそ、販売サイトは「ずっと売り続ける場所」ではなく、「入口」として使うのが合っています。
段階1:最初の1本は「入口」と割り切る
最初に販売サイトに出す講座は、利益を取るための商品ではなく、あなたを知ってもらうための入口と考えます。目的は、「あなたの講座を買ってくれた人」を一人でも多く作ることです。
そのために、最初の1本は次のように作ります。
- 中身は、そのテーマの全体が見渡せるものにする:部分的な小技ではなく、「これ1本で最初から最後まで分かる」と感じてもらえる内容にする
- 価格は、場の中で手に取りやすい水準にする:ほかの講座と並べたときに、試しに買ってみようと思える価格にする
- 講座の中で、あなた自身の考え方も伝える:手順だけでなく、なぜそのやり方を勧めるのかを話す。そこに共感した人が、次もあなたから学びたいと思ってくれる
販売サイトによっては、割引の仕組みが用意されていることがあります。使うのはかまいませんが、実際にはその価格で売るつもりのない高い金額を「通常価格」として見せ、大きく値引いたように見せるやり方は避けます。買った人があとで気づいたとき、あなたへの信頼を失うからです。
もう一つ、題名と紹介文の書き方も大切です。販売サイトでは、学びたい人が検索したり一覧を眺めたりして講座を選びます。題名には、自分が教えたいことの名前ではなく、受講する人が探すときに使う言葉を入れます。紹介文には、「誰の」「どんな困りごとが」「受講したあとどうなるか」を最初の数行で書きます。中身が良くても、見つけてもらえなければ入口の役割は果たせません。
この段階では、売上の大きさより、買ってくれた人の満足を見ます。最後まで受講してくれたか、感想を書いてくれたか。ここで満足してくれた人が、次の段階の土台になります。
段階2:2本目は、1本目を買ってくれた人に届ける
最初の講座を買ってくれた人がある程度そろったら、2本目を作ります。2本目で大切なのは、新しい人に売ることよりも、1本目を買ってくれた人に届けることです。
1本目で満足してくれた人は、すでにあなたの教え方を知っています。「この人の講座なら、次も分かりやすいはずだ」と思ってくれているので、案内を受け取ってもらいやすいのです。2本目は、1本目を終えた人が次につまずくところを解決する内容にすると、自然な流れになります。
販売サイトの多くには、講座を買った人に向けてお知らせを送れる機能や、講師が自分で案内するための仕組みがあります。使えるものは使い、1本目の受講者に2本目を案内します。場によっては、講師が自分で案内して売れた分は手数料の扱いが変わることもあるので、規約を確かめておきます。
この段階をくり返すと、「あなたの講座を何本も受けてくれる人」が少しずつ増えていきます。講座の数が増えるほど、場の中であなたを見つけてもらえる入口も増えます。
段階3:深い関わりは、自分の場所で届ける
販売サイトで信頼してくれる人が増えてきたら、より深い関わりを、自分の場所で届けます。たとえば、次のようなものです。
- 複数の講座をまとめて受けられる形
- 少人数で進める講座や、定期的な相談会
- 一人ひとりの状況に合わせた個別の支援
ここで気をつけたいのは、価格の段差です。販売サイトで手に取りやすい価格の講座を買ってきた人に、いきなり大きな金額の個別支援を案内しても、受け取ってもらうのは難しいです。段差は小さく、一段ずつ上がれるように並べるのが基本です。商品の並べ方は、収益を最大化する価値の階段でも解説しています。
もう一つ大切なのは、販売サイトの決まりを守ることです。場によっては、講座の中で外のサイトへ誘導することを制限している場合があります。決まりの範囲で、プロフィールや講座の中の自己紹介を通じて、あなたの発信を知ってもらう。無理に外へ連れ出そうとすると、場から出品を止められることもあります。
講座を作る前に、支援を募って確かめる方法もある
ここまでは、講座を作ってから販売サイトに出す流れでした。もう一つ、講座を作る前に、学びたい人から先に支援を募るという方法もあります。
「こんな講座を作ります。完成したら受講できます」と先に案内し、応援してくれる人を募る。支援の仕組みを持つサービスを使う方法もあれば、少人数なら自分の発信で予約を募る方法もあります。
この方法には、2つの良さがあります。1つは、作る前に需要を確かめられることです。支援が集まらなければ、そのテーマは今は求められていない、という答えになります。作り込んでから気づくより、ずっと傷が浅く済みます。もう1つは、完成した時点で、すでに受講を楽しみに待っている人がいることです。最初の受講者が感想を寄せてくれるので、その後の案内がしやすくなります。
ただし、注意もあります。「自分がもうけたいから先にお金を集める」という見え方になると、応援する気持ちは生まれにくいものです。誰のどんな困りごとを解決する講座なのか、完成したら支援してくれた人に何を届けるのかを、はっきり書くことが大切です。
作り込む前に売って確かめるという点では、チャレンジ企画も同じ考え方です。流れの全体は、チャレンジ企画とは?少人数から売上を作る3日間の仕組みでまとめています。
たとえば、表計算ソフトの使い方を教える人がいたとします
イメージしやすいように、例を出してみます。会社で長く事務の仕事をしてきた人が、表計算ソフトの使い方を教える講座を作ったとします。名簿はなく、SNSもほとんど使っていません。
段階1として、事務の仕事でよく使う操作を一通り学べる講座を、販売サイトに出します。講座の中では、操作だけでなく「毎月の作業を短くするために、最初に表の形を決める」という自分の考え方も話します。
受講者の感想を見ていると、「関数は分かったが、自分の職場の表にどう当てはめればいいか分からない」という声が多いと分かったとします。そこで段階2として、職場でよくある表を例に、作り直しの手順を学ぶ2本目を作り、1本目の受講者に案内します。
さらに、「自分の表を見てほしい」という声が出てきたら、段階3として、少人数で自分の表を持ち寄って直す講座を、自分の場所で開きます。販売サイトを入口にしたことで、名簿がゼロの状態から、深く関わるお客様との関係まで、一段ずつ進めたことになります。
販売サイトを使うときの3つの注意
最後に、販売サイトを使うときに気をつけたいことをまとめます。
- 場に頼りきらない:場の決まりや表示の仕組みは、持ち主の判断で変わります。販売サイトの売上だけに頼らず、自分の発信と名簿も並行して育てます
- 価格の競争に乗らない:ほかの講座より安くすることで選ばれようとすると、終わりのない値下げに巻き込まれます。価格ではなく、中身と考え方で選ばれることを目指します
- 感想のお願いは正直にする:良い感想だけを頼んだり、感想と引き換えに何かを約束したりはしません。受講した人の正直な声が、次の受講者の判断材料になります
まとめ
- 名簿がない段階では、学びたい人が集まっている講座の販売サイトを入口として借りる方法がある
- 段階1:最初の1本は利益より「買ってくれた人」を増やす入口と割り切る
- 段階2:2本目は、1本目を買ってくれた人に届ける
- 段階3:深い関わりは自分の場所で、価格の段差を小さくして届ける
- 講座を作る前に支援や予約を募れば、需要を確かめ、最初の受講者も得られる
まずは、あなたが教えられるテーマで、「これ1本で全体が分かる」入口の講座にするなら何を入れるかを、目次の形で書き出してみてください。それが、名簿がゼロの状態から始める最初の一歩になります。


