商品のアイデアはある。でも「まだ内容が足りない」「もっと勉強してからでないと」と思って、なかなか売り出せない。気づけば、準備を始めてから何か月も経っている。そんな方は少なくありません。
真面目な人ほど、お客様に中途半端なものを渡したくないと考えます。その気持ちはとても大切です。ただ、その気持ちが強すぎると、いつまでたってもビジネスが始まりません。
結論から言うと、個人ビジネスは完璧主義より改善主義で進めた方がうまくいきます。未完成の状態から始めて、お客様の声をもとに良くしていく。そのほうが、一人で考え込むより早く、お客様に合った商品に近づけます。
この記事では、完璧主義で止まってしまう理由、未完成で売ることが手抜きにならない理由、そして未完成の商品を誠実に売り出す4つの手順を解説します。
完璧を待つほど、始められなくなる理由
完璧を目指して準備を続けていると、ある問題にぶつかります。それは、「完璧」にはゴールがないということです。
学べば学ぶほど、足りないところが見えてきます。一つ補うと、また次の不足が気になる。こうして、インプットばかりが続き、商品はいつまでも世に出ないままになります。
完全試合の自信がないから、マウンドに立たない投手
野球に例えると分かりやすいです。「完全試合ができる自信がないので、マウンドには立ちません」と言っているピッチャーがいたら、どう思うでしょうか。
マウンドに立てば、ヒットを打たれることも、ホームランを打たれることもあるかもしれません。でも、実際に投げなければ、どの球が通用して、どの球が打たれるのかは分かりません。上達もしません。
ビジネスも同じです。商品を実際にお客様に届けてみて、はじめて「どこを直せばいいか」が分かります。 一人で机に向かっている間は、その答えは手に入りません。
完璧主義で止まっているときの3つのサイン
自分が完璧主義で止まっているかどうかは、次の3つで確かめられます。
- 「あと1冊読んだら」「あと1つ講座を受けたら」と、始める条件が増え続けている
- 商品の内容は何度も作り直しているのに、まだ誰にも見せていない
- 売り出す日付が決まっていない
一つでも当てはまるなら、足りないのは知識ではなく、「出す日」を決めることかもしれません。まずは日付を先に決め、その日までにできる範囲で形にする。順番を入れ替えるだけで、準備の進み方は変わります。
未完成で売ることは「手抜き」ではない
「未完成のまま売るなんて、お客様に失礼では」と感じる方もいると思います。
ただ、デジタルの商品やサービスの世界では、未完成の状態で出すことは珍しくありません。「ベータ版」と呼ばれる形で先に公開し、使った人の意見を集めながら、より良いものに仕上げていく流れがよく取られています。
個人ビジネスでも、考え方は同じです。
| 完璧主義 | 改善主義 | |
|---|---|---|
| 出すタイミング | 自分が納得できるまで出さない | 最低限の形ができたら出す |
| 改善のもと | 自分の想像 | お客様の実際の声 |
| つまずきやすい点 | いつまでも始まらない | 伝え方を間違えると不満が出る |
| 商品の育ち方 | 自分の頭の中だけで育つ | お客様と一緒に育つ |
改善主義の強みは、お客様から「もっとこうしてほしい」という声がもらえることです。自分では大事だと思っていた部分がそれほど求められていなかったり、逆に軽く考えていた部分が一番喜ばれたりします。
お客様の声で直した商品は、次のお客様にとっても分かりやすいものになります。完璧を目指して一人で作り込むより、ずっと確かな道です。
ちなみに、私は準備1週間・集客3名のチャレンジ企画で、600万円の売上を作ったことがあります。準備期間が短くても、開催することはできます。少人数から始める考え方は、実績もSNSも商品も未完成な人がチャレンジ企画から始めていい理由で解説しています。
未完成の商品を誠実に売り出す4つの手順
とはいえ、何も考えずに未完成のものを売ると、お客様の期待とずれて不満が生まれます。改善主義は「雑に出していい」という意味ではありません。次の4つの手順で、誠実に売り出しましょう。
手順1:できることと、できないことの範囲を決める
まず、今の段階で商品が「何を約束できるか」を決めます。全部をやろうとせず、範囲を絞るのがポイントです。
- この商品で扱うテーマ
- 扱わないテーマ
- 届ける形(教材、個別の相談、グループなど)
- サポートする期間
範囲がはっきりしていれば、未完成であっても、その範囲の中では責任を持って届けられます。
手順2:「初めての形」であることを正直に伝える
次に、その商品が初めての提供であることを、案内の段階で正直に伝えます。
たとえば、「初回の募集なので、参加してくださる方の声を聞きながら内容を整えていきます」と書いておく。こうすることで、お客様も「一緒に作っていく商品なんだ」と納得したうえで申し込めます。
隠して売ると不満になり、伝えて売ると協力になります。 同じ未完成でも、伝え方で受け取られ方は大きく変わります。
手順3:お客様にとっての「参加する理由」を用意する
初回の商品に申し込んでくれる人には、それなりの理由が必要です。
- 講師に直接質問できる機会を多めにする
- 声を反映した改善版を、追加の負担なしで受け取れるようにする
- 初回ならではの距離の近さを大切にする
値下げだけで釣り合いを取ろうとすると、あとで価格を戻しにくくなります。価格より先に、「初回だからこそ得られるもの」を考えてみてください。
また、改善版を渡す約束をするなら、いつ頃・どんな形で渡すのかも決めておきましょう。約束があいまいなままだと、あとでお客様を待たせることになります。
手順4:声を集める仕組みを、始める前に用意しておく
最後に、お客様の声を集める方法を、商品を届ける前に決めておきます。
- 各回の終わりに、短い質問を2〜3個だけ聞く
- 分かりにくかったところ、もっと知りたかったところを書いてもらう
- 最後に、一番役に立ったことを一言で書いてもらう
声を集める仕組みがないと、終わったあとに「なんとなく良かった気がする」で終わってしまいます。改善主義は、声が集まってはじめて回り始めます。
改善主義で回すときの注意点
改善主義で進めるときにも、気をつけたいことがあります。
一度に全部を直さない
集まった声をすべて反映しようとすると、商品の軸がぶれてしまいます。声の中から、多くの人に共通するもの、成果に直結するものを選び、直すところを絞りましょう。
一度に全部を変えると、何が良くなった原因なのかが分からなくなります。直す場所を絞ると、次に結果を見たときに、その改善が効いたかどうかを確かめられます。この考え方は、1回目で結果が出なくても作り直さず、改善を3つに絞る方法でも解説しています。
「改善」と「迷走」を分ける
改善主義は、思いつきで方向を変え続けることではありません。お客様の声という根拠があって直すのが改善、根拠なく変えるのが迷走です。
直すときは、「誰の、どんな声をもとに変えるのか」を一言でメモしておくと、判断がぶれにくくなります。
改善を続けること自体を仕組みにする
一度の改善で終わらせず、「届ける→声を集める→直す」を何度も回すことで、商品は少しずつ育っていきます。回し続ける考え方は、進化し続けていれば、必ず成果として現れるでも書いています。
まとめ
- 「完璧」にはゴールがない。準備を続けるほど、商品は世に出なくなる
- 商品は、実際にお客様に届けてはじめて、直すべきところが分かる
- 未完成で売るときは、範囲を決め、初めての形であることを正直に伝える
- 値下げより「初回だからこそ得られるもの」を用意し、声を集める仕組みを先に作る
- 改善は一度に全部やらず、根拠のあるところに絞って回し続ける
まずは、今準備している商品について「今の段階で約束できること」を3つ書き出してみてください。それが、未完成でも自信を持って売り出せる範囲になります。


