講座の販売ページを書こうとして、画面の前で手が止まる。何とか書き上げても、読み返すと商品の説明ばかりで、自分でも「これで申し込みたくなるかな」と思ってしまう。そんな経験はありませんか。
そういうとき、多くの方は「自分には文章の才能がない」と考えます。そして、コピーライティングの本を何冊も買い、書き方のテクニックを覚えようとします。でも、テクニックを覚えても、書けない状態はなかなか変わりません。
結論から言うと、販売ページが書けない原因は、文章力ではなく「誰に何を言うか」が決まっていないことです。相手のことを十分に知らないまま書こうとするから、言葉が出てこない。反対に、相手の一日や本音が手に取るように分かっていれば、言葉はそこから自然に出てきます。
この記事では、自分の分野で書くべき理由、書く前に答えておく5つの問い、相手の本音を知る方法、そして型の使い方までを解説します。
書けない原因は、知らない相手に向けて書いていること
販売ページが書けないとき、手が止まっている場所をよく見てみてください。たいてい、「この商品の良さは何か」を考えているところで止まっています。
でも、商品の良さは、相手によって変わります。同じ講座でも、ある人にとっては「時間が短くて済むこと」が一番の価値で、別の人にとっては「一人で悩まなくていいこと」が一番の価値かもしれません。相手が決まっていないと、どれを書けばいいか決められないのです。
販売ページを書く作業の大半は、書く前の「相手を知る」段階にあります。 ここが済んでいれば、書く作業そのものは思っているよりずっと短く終わります。
最初は、自分がよく知る分野の商品で書く
販売ページを書くときに、最初に決めておきたいことがあります。それは、自分がよく知らない分野では書かない、ということです。
新しい分野の文章を書こうとすると、その分野の顧客がどんな人で、どんな競合がいて、何に困っているのかを、ゼロから調べることになります。それだけで何週間もかかり、書く前に疲れてしまいます。
一方で、あなたが長く関わってきた分野なら、次のことはすでに頭に入っているはずです。
- どんな人が、どんなことで困っているか
- その人たちが、ほかにどんな方法を試してきたか
- 何が分かると、その人たちは前に進めるのか
これは、外の書き手が何週間もかけて調べることです。あなたは、それを最初から持っています。だから、最初の販売ページは、あなた自身の経験から作った商品で書くのが一番早いのです。自分の経験の中に何があるかは、経験と知識を商品の材料に変える棚卸し7項目で整理できます。
書く前に答えておく5つの問い
では、相手を知るために、書く前に何を考えておけばいいのか。私は次の5つの問いに答えてから書き始めるようにしています。
- この商品を、数年前の自分に胸を張って勧められるか
- 相手の一日は、どう流れているか
- 相手の悩みは、今まさに痛いものか、そのうちの備えか
- 相手が欲しいのは、道具か、その先の結果か
- 相手が当たり前すぎて口にしない本音は何か
1. 数年前の自分に、胸を張って勧められるか
最初の問いは、相手ではなく、商品と自分についての問いです。もし数年前の、同じことで悩んでいた自分に会えるとしたら、この商品を真っ先に渡したいと思えるか。
ここで迷いなく「渡したい」と思えるなら、その気持ちが文章の熱になります。反対に、少しでも迷うなら、文章を直す前に、商品の中身を見直した方が早いです。自分が心から勧められないものを、言葉の工夫だけで売ろうとすると、どこかで無理が出ます。
2. 相手の一日は、どう流れているか
年齢や職業といった情報だけでは、相手の姿はぼんやりしたままです。そこで、相手の一日を、朝起きてから夜寝るまで想像してみます。
- 朝、最初に何を考えるか
- 一日のうち、どんな瞬間にうれしいと感じるか
- 反対に、どんな瞬間にため息をつくか
たとえば、会社員をしながらコーチングの仕事を始めたい人がいたとします。朝は通勤電車でSNSを眺め、同じ時期に始めた人の活躍を見て焦る。夜は疲れて、発信の文章を書く気力が残っていない。こうして一日を描くと、「時間がない中でも進められる手順」が響きそうだ、という見当がつきます。
ここで一番の近道は、過去の自分を思い出すことです。同じ悩みを通ってきたなら、そのときの自分が何に焦り、どんな言葉に救われたかが、そのまま相手の姿になります。
3. 今まさに痛いのか、そのうちの備えか
人は、いつか来るかもしれない問題への「備え」には、あまりお金を払いません。一方で、今まさに困っていることを解決してくれるものには、高くても払います。
同じ商品でも、どちらとして見えるかで、感じてもらえる価値が大きく変わります。
| 見え方 | 相手の受け取り方 | 例 |
|---|---|---|
| そのうちの備え | 「いつかやった方がいいかも」と後回しにされる | 将来のために、発信の力を身につけましょう |
| 今の痛みの解決 | 「今の自分に必要だ」と感じてもらえる | 相談を受けても成約しない今の状態を、次の面談から変えます |
もしあなたの商品が「備え」に近いなら、その備えをしなかったときに起きることを、今のことのように具体的に描きます。そのうえで、「だから今から始めておくのが、一番の近道です」と伝える。これで、同じ商品が今の悩みの解決として届くようになります。
4. 欲しいのは道具か、その先の結果か
販売ページで最もよくある失敗は、商品の中身、つまり動画の本数や教材の量ばかりを書いてしまうことです。でも、相手が欲しいのは、動画や教材そのものではありません。それを使った先に手に入る結果です。
| 中身の説明 | 相手が手に入れたい結果 |
|---|---|
| 全20本の動画講義 | 何から手をつけるか迷わずに、今週から動ける |
| 個別面談つき | 自分の場合はどうすればいいか、一人で悩まなくていい |
| テンプレート集 | 白紙から考えずに、案内文を1日で形にできる |
中身の説明を書いたら、その横に「だから、あなたは何ができるようになるのか」を必ず書き足します。販売ページの主役は、商品ではなく、相手の未来です。
5. 当たり前すぎて口にしない本音は何か
最後の問いが、一番差がつくところです。相手にとってあまりにも当たり前で、わざわざ口にしないけれど、実は一番気にしていること。これを見つけられると、ほかの誰とも違う言葉が書けます。
たとえば、子育て中の人向けのオンライン講座なら、中身の質より先に、「子どもが寝たあとの時間だけで進められるか」「急に呼ばれて中断しても、置いていかれないか」を気にしているかもしれません。本人はそれを当然の条件だと思っているので、アンケートで「何を重視しますか」と聞いても出てきません。
こうした本音は、販売ページの目立つ場所に書くと、「分かってくれている」と強く感じてもらえます。
相手の本音を知る一番の近道は、直接話すこと
5つの問いに答えようとすると、想像だけでは埋まらないところが必ず出てきます。そこを埋める一番確実な方法は、相手と直接話すことです。
- 見込み客に近い人に、30分だけ話を聞かせてもらう
- 個別相談で、提案の前に相手の状況をじっくり聞く
- 講座やセミナーのあとに、感想だけでなく「どこで迷ったか」を聞く
話を聞くときは、相手の使った言葉をそのまま書き留めておきます。あなたが「集客の導線」と呼んでいるものを、相手は「どうやって人に知ってもらうか」と言っているかもしれません。販売ページは、相手の言葉で書く方が届きます。この言い換えの考え方は、見込み客が普段使う言葉に言い換える顧客情報の整理で詳しく書いています。
私自身、個別相談で話を聞くときは、提案の前に相手の状況と言葉を集めることに時間を使います。その集めた言葉が、次の案内文や販売ページの材料になっていきます。
ゼロから書かずに、型を借りる
相手のことが分かったら、いよいよ書く段階です。ここでも、白紙から独創的な文章を生み出そうとする必要はありません。
売れている販売ページや案内文には、よく使われる型があります。見出しの付け方、悩みの言い当て方、申し込みまでの流れ。書くのが上手な人ほど、こうした型をたくさん知っていて、場面に合わせて組み合わせています。「オリジナルで頑張るな、パクって超えろ」と私がよく言うのは、このためです。型の集め方は反応率の高いキャッチコピーを最も簡単に書く方法でも紹介しています。
ただし、型だけをまねても売れません。型は、「誰に何を言うか」が決まって初めて働きます。 同じ型でも、中に入れる相手の悩みと本音が的外れなら、響かない文章になります。型と顧客理解は、かけ算です。どちらかがゼロなら、結果もゼロになります。
よくある3つの失敗
最後に、販売ページを書くときにやりがちな失敗を挙げておきます。
- 書き方の勉強を続けて、書き始めない:知識が増えても、相手を知らないままでは書けません。勉強より先に、見込み客と話す時間を取ります
- 全員に向けて書く:「どなたでも」と書くほど、誰の心にも刺さりません。一人の相手を決めて、その人への手紙のつもりで書きます
- 自分が言いたいことを優先する:伝えたい想いやこだわりは大事ですが、相手が知りたいのは「自分がどうなれるか」です。想いは、相手の結果とつなげて書きます
まとめ
- 販売ページが書けない原因は、文章力ではなく、相手のことが分かっていないこと
- 最初は、自分がよく知る分野の商品で書く。あなたはすでに多くの材料を持っている
- 書く前に5つの問いに答える:自分に勧められるか、相手の一日、今の痛みか備えか、道具か結果か、口にしない本音
- 想像で埋まらないところは、相手と直接話して、相手の言葉で埋める
- 型は借りてよい。ただし、型は顧客理解とのかけ算で初めて働く
まずは、あなたの講座に一番来てほしい人を一人思い浮かべて、その人の一日を朝から夜まで書き出してみてください。そこに出てきた言葉が、販売ページの最初の一行になります。


