同じような商品を、同じような値段で売っている。それなのに、ライバルの商品は売れて、自分の商品は売れない。広告やセールスレターを書いても、反応がほとんど返ってこない。そんな悩みを持っている方は多いです。
こういうとき、「自分は文章が下手だから」と考えて、言い回しや表現のテクニックを探しに行きがちです。でも、売れる広告と売れない広告の差は、文章のうまさだけで決まるわけではありません。
結論から言うと、差を生むのは「お客様が何を考えて、どう動くのか」を知っているかどうかです。広告を見た人が何に反応し、どんな行動を起こすのか。この広告の心理を知っていれば、高度な文章の技術がなくても、伝える順番や言葉の選び方が変わります。
この記事では、その広告の心理を学ぶ本として私がおすすめしている、ドルー・エリック・ホイットマンの『現代広告の心理技術101』を紹介します。本の中身を細かく要約するのではなく、なぜこの本をすすめるのか、そしてどう読めば自分の発信に活かせるのかを中心にお伝えします。
文章で商品を売る人は、お客様の心理を知っておきたい
ブログ、メールマガジン、ステップメール、登録ページ、セールスレター。インターネットで商品を売る人の多くは、文章で商品を案内しています。
対面の営業なら、相手の表情を見ながら話し方を変えられます。でも、文章ではそれができません。書いた時点で、相手がどう受け取るかをある程度予想しておく必要があります。
そのときに頼りになるのが、「人はどんなときに行動するのか」という知識です。これを知らないまま書くと、自分が言いたいことを並べるだけの文章になりがちです。売れない原因は、表現力より先に、相手の心の動きを想像できていないことにあります。
これは、インターネットの広告に限った話ではありません。チラシやダイレクトメール、雑誌の広告など、紙の広告でも同じです。文章で商品を届けるなら、どんな形でも役に立つ考え方です。
『現代広告の心理技術101』をおすすめする理由
この本は、「どうすればお客様は行動を起こすのか」という、お客様の行動の心理を扱った本です。書名のとおり、広告に使える心理の技術が、数多くの項目に分けてまとめられています。
私がこの本をすすめる理由は、次の3つです。
- 経験や勘ではなく、人が実際にどう動くかという観点から書かれている
- ネットの広告にも紙の広告にも使える、形を選ばない内容になっている
- 項目ごとに分かれているので、必要なところから読める
本の中では、たとえば次のようなテーマが扱われています。
- 反応の取れる広告やパンフレット、セールスレター、ウェブサイトの作り方
- 書いたことを読み手に信じてもらうための考え方
- 読み手に反応を返してもらうための工夫
- 見出し(ヘッドライン)の書き方
- 広告でやってはいけないこと
売れる商品と売れない商品の違い、反応の取れる広告とそうでない広告の違いを知りたい方には、特に役に立つ一冊です。コピーライティングの専門的な勉強をする前に、まず「人はなぜ動くのか」の土台を持っておきたい方にも向いています。
1冊を通して読むより「使う場所」を決めて読む
心理の本は、読んでいる間は「なるほど」と感じても、読み終えると何も変わっていないということが起きやすい本です。そうならないために、次の順番で読むことをおすすめします。
- まず目次を見て、今の自分の発信で困っていることに近い項目に印をつける
- 印をつけた項目だけを先に読む
- 読んだ項目を、自分の登録ページやメールの1か所に当てはめて書き直してみる
- 書き直す前と後で、反応に違いがあったかを確かめる
- 残りの項目は、困ったときに引く辞書のように使う
ポイントは3番目です。読んだその日に、自分の文章の1か所だけでも書き直してみる。知識は、自分の文章に使ったときに初めて身につきます。
書き直したら、記録を残しておく
書き直したときは、「いつ」「どこを」「どの項目を参考に」「どう変えたか」を短くメモしておきましょう。あとで反応を見比べるときに、何を変えたから数字が動いたのかが分かります。
このメモがたまってくると、自分の読者にはどの考え方がよく効くのかが見えてきます。本に書いてあることの中から、自分の商品と読者に合うものが選べるようになる。それが、心理の本を読む一番の成果です。
自分の発信のどこに当てはめるか
当てはめる場所に迷ったら、次の表を目安にしてください。
| 発信の場所 | 心理の知識を当てはめるところ |
|---|---|
| 登録ページ・セールスレター | 見出し、読み手に信じてもらう材料、申し込みの一押し |
| ステップメール・メールマガジン | 件名、書き出し、返信やクリックをお願いする一文 |
| ブログ記事 | 題名、冒頭の数行、次に読んでほしい記事への案内 |
| セミナーや講座の募集文 | 誰のための企画かを伝える最初の一文、参加する理由 |
見出しや書き出しは、読み手が「読むかどうか」を決める場所です。ここに心理の知識を当てはめると、変化が一番分かりやすく出ます。見出しの作り方は、読者の心をつかむキャッチコピーの作り方でも解説しています。
少人数のセミナーや講座に人を集める募集文でも、考え方は同じです。募集文の組み立て方は、申し込みが来る募集文の11の構成でまとめています。
心理の知識は「相手の判断を助ける」ために使う
一つだけ、気をつけてほしいことがあります。心理の知識は、使い方を間違えると、相手をだますような文章になってしまうということです。
たとえば、本当は期限がないのに「今日だけ」と書く。実際より大げさな成果を並べる。不安を必要以上にあおる。こうした使い方をすれば、一時的に反応は取れるかもしれません。でも、買ったあとに「だまされた」と感じたお客様は、二度と戻ってきません。
心理の知識は、相手が正しく判断できるように手助けするために使ってください。 商品の良さが正しく伝わっていないために、本当は必要な人が申し込めていない。そういう「伝わらない」をなくすための道具だと考えると、使い方を誤りにくくなります。
売り込まずに心理の原則を使う考え方は、ブログで使える心理の原則10選でも紹介しています。
心理の本を読むときによくある失敗
| よくある失敗 | どう直すか |
|---|---|
| 最初から最後まで読んで満足する | 使う場所を1つ決めて、その日のうちに書き直す |
| 覚えた技術を1つの文章に全部入れる | 1か所に1つずつ当てはめ、反応を確かめる |
| 反応を取ることだけを目的にする | 相手の判断を助けるために使っているかを確かめる |
| 本に書いてある例文をそのまま写す | 考え方だけを取り出し、自分の商品と読者の言葉で書く |
特に4番目は注意してください。本の例文は、別の商品、別の読者に向けて書かれたものです。そのまま写しても、あなたの読者には合いません。取り出すのは「なぜ人がそう動くのか」という考え方だけにして、言葉は自分で選びましょう。
まとめ
- 売れる広告と売れない広告の差は、文章のうまさより、お客様の心理を知っているかどうか
- 『現代広告の心理技術101』は、お客様がどう考えて行動するかを学べる一冊
- 通して読むより、困っているところに近い項目から読み、その日のうちに自分の文章に当てはめる
- 当てはめる場所は、見出し・件名・書き出しから始めると変化が分かりやすい
- 心理の知識は、相手をあおるためではなく、相手の判断を助けるために使う
まずは、今使っている登録ページかメールの「見出し」を1つ選んでください。そこが、心理の知識を当てはめる最初の場所になります。


