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分厚い本を書こうとする人ほど、1冊目が完成しません|Kindle出版の5つの思い込みと、個人が勝てる「新しいルール」

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この記事は約7分で読めます。

本を出したい気持ちはある。でも、なかなか書き始められない。書き始めても、途中で手が止まってしまう。そんな方は、とても多いです。

話を聞いてみると、止まっている理由はだいたい似ています。「200ページも書ける気がしない」「素人の本なんて相手にされないのでは」「文章がうまくないから」。どれも、まじめな人ほど抱えやすい悩みです。

結論から言うと、1冊目が完成しない原因は、才能や努力の量ではありません。「本とはこういうものだ」という古い思い込みが、最初の一歩を重くしているだけです。

この記事では、Kindle出版でつまずきやすい5つの思い込みを一つずつ外し、そのうえで、個人が勝てる「新しいルール」をまとめます。読み終わる頃には、1冊目のハードルがかなり下がっているはずです。

思い込み1:本は分厚くなければいけない

本と聞くと、書店に並ぶ厚い単行本を思い浮かべる方が多いですよね。そして「あれだけの量を自分一人で書くのは無理だ」と、書く前からあきらめてしまう。

でも、ここで一度、読者の立場に立ってみてください。あなたが何かに困って本を探すとき、欲しいのは「たくさんの文字」でしょうか。

違いますよね。読者が欲しいのは、量ではなく結果です。 悩みが解決すること、次に何をすればいいか分かること。それが短い本で手に入るなら、むしろありがたいはずです。

厚くしようとすると、かえって読まれない

分厚さにこだわると、次のようなことが起きやすくなります。

  • 伝えたいことが薄まり、どこが大事なのか分かりにくくなる
  • ページを埋めるために、本題から外れた話が増える
  • 書く側が疲れて、完成までたどり着けない

たとえば、朝の時間の使い方に悩んでいる人に向けた本を考えてみます。必要なのは「なぜ朝が回らないのか」「明日から何を変えるか」「続けるための工夫」くらいかもしれません。そこに歴史や理論を足して厚くしても、読者の悩みは早く解決しません。

電子書籍は、紙の本のように「商品として成り立つ厚さ」に縛られません。悩みを解決するのに必要な分だけ書けばいい。これが一つ目の新しいルールです。

長さは「悩みの大きさ」で決める

では、どれくらいの長さにすればいいのか。私は、ページ数から決めるのではなく、扱う悩みの大きさから決めることをおすすめしています。

  • 悩みが一つで、手順も短いなら、短い本で十分
  • 悩みがいくつかの段階に分かれるなら、段階ごとに章を分ける
  • 書きたいことが多すぎるなら、本を分けてシリーズにする

特に3つ目は大事です。1冊に全部を詰め込もうとすると、完成がどんどん遠のきます。テーマを一つに絞って1冊を仕上げ、残りは2冊目に回す。そのほうが、読者にとっても選びやすい本になります。

思い込み2:個人の本は「ちゃんとした本」に見えない

「出版社を通していない本は、素人の作ったものだと思われるのでは」。これもよく聞く不安です。

確かに、読者から信頼される本かどうかには、見た目や置き場所も関わってきます。ただ、それは出版社の名前で決まるわけではありません。個人の本が「ちゃんとした本」に見えるかどうかは、次の3つの条件でほぼ決まります。

条件 中身
自分ならではの中身 考え方・手順・経験が、ほかの誰かの焼き直しではなく、あなた自身のものであること
きちんとした表紙 一目で「手作り感」が出ない、整った表紙がついていること
Amazonに並ぶこと 誰もが知っている場所で、検索すれば見つかる状態であること

3つの条件をどう考えるか

1つ目の「自分ならではの中身」は、一字一句を自分で書くという意味ではありません。中心になる考え方や経験があなたのものであれば、文章を整える作業は人やAIの力を借りても構いません。

2つ目の表紙は、思っている以上に大事です。読者は、中身を読む前に表紙で判断します。表紙が整っているだけで「信頼できそうな本」に見えます。表紙や書式の整え方は、シリーズの別の回で詳しく扱います。

3つ目の「Amazonに並ぶこと」は、Kindle出版なら自然に満たせます。名前で検索したときに本が出てくる。それだけで、読者が感じる安心感はかなり変わります。

この3つがそろえば、個人の本でも十分「ちゃんとした本」として受け取ってもらえます。

思い込み3:小説のような才能が必要

「本を書く」と聞いて、物語を書く作家を思い浮かべる方もいます。そして「自分には人を感動させる話は書けない」と考えてしまう。

小説を書きたいのであれば、確かに表現のセンスや物語を組み立てる力が問われます。ただ、個人がKindle出版で勝負する場所としては、そこはおすすめしません。

個人が勝負するのは「悩みを解決する実用書」

Amazonで本を探す人の多くは、娯楽としての物語ではなく、自分の悩みの答えを探しています。仕事、お金、健康、人間関係、暮らし、趣味。検索窓に打ち込まれるのは、具体的な悩みや知りたいことです。

実用書なら、求められるのは物語の才能ではありません。

  • 読者がどんな悩みを抱えているかを知っていること
  • その悩みを解決した経験や、教えてきた経験があること
  • 解決までの手順を、順番に説明できること

これは、あなたが普段の仕事で、お客様に向けてやっていることそのものではないでしょうか。講師、コーチ、コンサルタント、セラピスト、職人。何かを人に教えたり、助けたりしてきた人なら、すでに材料を持っています。

「自分には書ける材料がない」と感じる方は、経験と知識を商品の材料に変える棚卸しから始めてみてください。

思い込み4:文章力に自信がないと書けない

「文章が苦手だから」は、本をあきらめる理由として一番多いかもしれません。

でも、実用書で一番求められるのは、きれいな文章ではありません。必要なのは、文章力より「相手に伝える力」です。

伝える力とは、普段の会話でしていること

お客様から「これ、どうしたらいいですか?」と相談されたときのことを思い出してみてください。仕事で人の相談に乗ってきた方なら、自然とこんな流れで答えているはずです。

  1. まず、何に困っているのかを聞く
  2. 「それなら、この順番でやってみたら」と手順を伝える
  3. 「ここでつまずきやすいから気をつけて」と先回りする
  4. 「まずはこれだけやってみて」と、最初の一歩を示す

実用書でやることは、これと同じです。美しい言い回しや、気の利いた例えは要りません。相手の悩みを正しくつかみ、順番どおりに、分かりやすく説明する。それができれば、読者にとって役に立つ本になります。

誤字や言葉の使い方といった細かい部分は、文章の校正ツールや、AIの力で整えられます。苦手なところは道具に任せて、あなたは「何を、どの順番で伝えるか」に集中すればいい。

ブログでも同じことが言えます。ブログはすごい記事が書けなくてもいいの記事も、あわせて読んでみてください。

思い込み5:「書く」時間が膨大にかかる

最後の思い込みは、本を書くには、机に向かって長い時間キーボードを打ち続けなければいけない、というものです。

もちろん、書くのが好きな人はその方法で構いません。ただ、書くのが苦手な人や、まとまった時間が取れない人にとって、それが唯一の方法ではありません。

書かなくても、話して本は作れる

多くの人は、書くより話すほうがずっと楽です。セミナーや個別相談で、何十分も説明を続けられる人でも、同じ内容を文章にしようとすると手が止まる。よくあることです。

それなら、話せばいいんです。

  • 誰かに説明するつもりで、自分のノウハウを話して録音する
  • 録音を文字起こしの道具で文字にする
  • 文字になったものを、読みやすく整えて原稿にする

この方法なら、白紙の画面とにらめっこする時間がぐっと減ります。話すことで、普段の自分の言葉づかいが原稿に残るので、あなたらしい本にもなりやすいです。

原稿を作る方法はほかにもあります。どの方法が自分に合うかは、シリーズのKindle本の原稿を仕上げる4つの方法と選び方で詳しく比べています。

5つの思い込みを外した「新しいルール」

ここまでの話を、新しいルールとしてまとめると、こうなります。

古い思い込み 新しいルール
本は分厚くなければいけない 読者の悩みを解決するのに必要な分だけ書く
個人の本は本物に見えない 自分ならではの中身・整った表紙・Amazonに並ぶ、の3つをそろえる
小説のような才能が必要 悩みを解決する実用書で勝負する
文章力に自信がないと書けない 文章力より、相手に伝える力を使う
書く時間が膨大にかかる 話して、文字にして、整える

こうして並べると、本を出すために必要なのは、特別な才能ではないことが分かります。必要なのは、正しい順番です。

本当に差がつくのは「何を書くか」

古い思い込みが外れると、次に大事になるのは「どんなテーマの本にするか」です。どれだけ伝え方を工夫しても、読者が求めていないテーマなら、本は読まれません。

逆に言えば、テーマさえ外さなければ、短い本でも、文章が素朴でも、読者の役に立つ一冊になります。テーマの選び方は、シリーズの次の回で詳しく解説します。

思い込みが外れたあとに起きやすい失敗

一つだけ注意してほしいことがあります。「短くていい」「文章力は要らない」と聞いて、今度は手を抜きすぎてしまうケースです。

短くていいのは、読者の悩みを解決できる中身があるからです。文章力が要らないのは、伝える順番が整っているからです。中身や順番まで省いていいわけではありません。思い込みを外すのは、楽をするためではなく、本当に力を入れるべきところに時間を使うためだと考えてください。

そもそも、なぜ個人が本を出すのか。本が本業の入口になるという考え方は、Kindle出版で手に入る3つのものでまとめています。

まとめ

  • 読者が欲しいのは量ではなく結果。本は分厚くなくていい
  • 個人の本でも、自分ならではの中身・きちんとした表紙・Amazonに並ぶことの3つで「ちゃんとした本」になる
  • 個人が勝負するのは、小説ではなく悩みを解決する実用書
  • 必要なのは文章力より、相手の悩みをつかんで順番に伝える力
  • 書くのが苦手なら、話して本を作ればいい

次の一歩として、あなたがお客様によく聞かれる質問を一つ選び、それに答えるつもりで5分だけ話して録音してみてください。それが、1冊目の原稿の最初の材料になります。