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「お金が稼げる本です」だけでは買われません|読者が本を買う理由を5つ用意し、1文のコンセプトで軸をぶらさない方法

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「この本は、副業で収入を作るための本です」
「この本は、片付けができるようになる本です」

自分の本を一言で説明しようとすると、多くの方がこんなふうに言います。間違いではありません。ただ、この一言だけを頼りに本を作り始めると、2つの問題が起きやすくなります。

一つは、本を手に取ってもらえる人の幅が狭くなること。もう一つは、書いている途中で「あれも書きたい」「これも入れたい」と話がふくらみ、いつまでも完成しないことです。

結論から言うと、本を書き始める前に決めておきたいのは2つです。読者がこの本を買う理由を少なくとも5つ用意すること。そして、本の軸を「この本は〜」で始まる1文にまとめること。この2つがあれば、選ばれる理由と、書き終えるための地図が同時に手に入ります。

この記事では、人が本を買う理由の種類、それを1冊の中に入れる方法、1文のコンセプトの作り方と使い方を、例を使って解説します。

読者は「本」ではなく「読んだあとの自分」を買っています

まず押さえておきたいのは、読者が欲しいのは本そのものではない、ということです。

ページ数や紙の手ざわりにお金を払っている人はいません。その本を読んだあとに手に入る変化、たとえば「悩みが軽くなった自分」「できなかったことができる自分」にお金を払っています。

だから、本を作るときに自分に問いかけたいのは、「何を書くか」より先に、「読者はなぜ、この本を買うのか」です。この問いへの答えが、本の中身も、題名も、説明文も決めていきます。

買う理由が1つだけだと、何が困るのか

ここでよくある失敗が、この問いの答えを1つしか用意しないことです。

同じ本を検討している人でも、買う理由は人によって違います。副業の本を手に取る人の中には、収入を増やしたい人もいれば、会社だけに頼っている不安を減らしたい人もいます。家族に楽をさせたい人もいるでしょう。

「お金が稼げる本です」としか言っていない本は、収入を増やしたい人には届いても、不安を減らしたい人や家族のために考えている人には「自分向けではない」と思われてしまいます。理由が1つしかないと、それに当てはまらない人を最初から逃してしまうのです。

人が本を買う理由はいろいろあります

では、人はどんな理由でお金を払うのでしょうか。代表的なものを並べてみます。

買う理由 読者の気持ち
お金 収入を増やしたい。出費を減らしたい
時間 時間を節約したい。自由な時間がほしい
安心 漠然とした不安から解放されたい
楽をしたい 遠回りや無駄な努力をしたくない
つらさを避けたい 体や心のしんどさから逃れたい
健康 元気でいたい。長く続けられる体でいたい
認められたい 周りから評価されたい。一目置かれたい
大切な人を守りたい 家族や身近な人を守りたい、喜ばせたい

どれが上でどれが下、ということはありません。同じ読者の中にも、いくつもの理由が重なっています。

そして、これらの理由はテーマと意外な結びつき方をします。「お金」の本に見えても、読者の心の奥で強く働いているのは「大切な人を守りたい」という理由だったりします。表面のテーマだけで決めつけず、「この悩みを持つ人は、本当は何を手に入れたいのか」と一段深く考えてみてください。

読者をはっきりさせる考え方は、WHO設計の11項目と選び方の5基準でも詳しく解説しています。本でもセミナーでも、誰に届けるかを先に決める点は同じです。

1冊の中に、買う理由を複数入れる

買う理由のリストができたら、それを本の中身に結びつけます。ポイントは、理由ごとに「この本のどこで、その結果が手に入るのか」を答えられるようにしておくことです。

例:家計の固定費を見直す本

たとえば、子育て中の共働き家庭に向けて、家計の固定費を見直す本を書く人がいたとします。何も考えずに書くと、「お金を節約する本」で終わりそうですよね。ここで、買う理由を一つずつ当てはめてみます。

買う理由 読者の気持ち 本の中に入れるもの
お金 毎月の出費を減らしたい 見直す順番と、削りやすい固定費の見つけ方
時間 調べものに時間を取られたくない 週末の数時間で終わる見直しの手順表
楽をしたい 毎日の節約をがんばり続けたくない 一度見直せば、あとは何もしなくていい項目の選び方
安心 将来の教育費が気がかり 浮いた分を先に取り分けておく仕組み
大切な人を守りたい 子どもに我慢をさせたくない 子どもの習い事や楽しみを削らずに済む考え方

こうして並べると、同じ「固定費の見直し」の本でも、届けられる人の幅がぐっと広がるのが分かると思います。「節約はしたいけれど、子どもに我慢させるのは嫌だ」と思っている人にも、「これは自分のための本だ」と感じてもらえるようになります。

理由の表は、題名や説明文にも生きてくる

この表は、書き終えたあとにも役に立ちます。説明文を書くとき、表の右の列がそのまま「この本で手に入ること」の箇条書きになるからです。

最低でも5つ、できればそれ以上の理由を探してみてください。考えているうちに「この章が足りない」と気づいて、中身を直したくなることもあります。それで構いません。むしろ書き始める前に気づけるほうが、あとの手直しは少なく済みます。

題名と説明文への生かし方は、Kindle本の題名と説明文の作り方で解説しています。

本の軸を「この本は〜」の1文で決める

買う理由がそろったら、それを1本の軸にまとめます。使うのは、次の型です。

この本は〇〇について、〇〇な人を助け、〇〇を紹介し、〇〇を約束する。

4つの空欄には、それぞれこんな内容が入ります。

  1. 〇〇について:本のテーマ。何の本か
  2. 〇〇な人を助け:届けたい読者。どんな状況で困っている人か
  3. 〇〇を紹介し:あなたならではの解決のやり方
  4. 〇〇を約束する:読み終えた読者に起きる変化

例文

先ほどの固定費の本なら、たとえばこうなります。

この本は家計の固定費の見直しについて、毎月の出費が気になるのに何から手をつければいいか分からない子育て中の共働き家庭を助け、週末の数時間で終わる見直しの手順を紹介し、子どもに我慢をさせずに家計にゆとりが生まれる暮らしを約束する。

まったく別のテーマでも作ってみます。

この本は初めての部下との面談について、現場で成果を出してきたのに急に管理職になって戸惑っている人を助け、部下の話を引き出す問いかけの型を紹介し、部下と向き合う時間が怖くなくなることを約束する。

どちらも、長い企画書ではなく1文です。1文だからこそ、書いている途中で何度でも読み返せます。

1文を作るときの3つのコツ

  • 「助ける人」は、状況が浮かぶところまで絞る:「働く人」ではなく「急に管理職になって戸惑っている人」
  • 「紹介する」には、あなたの経験や工夫を入れる:どこにでもある一般論ではなく、あなたが試して確かめてきたやり方
  • 「約束する」は、金額ではなく変化で書く:読者の状況によって結果は変わるので、得する金額や稼げる金額は約束しない。「ゆとりが生まれる」「怖くなくなる」のように、気持ちや暮らしの変化で書く

3つ目は、私がとても大切にしていることです。数字で約束しなくても、変化をはっきり書けば、本の価値は十分に伝わります。あおるような約束で買ってもらうより、読んだ人に「書いてあったとおりだった」と思ってもらえるほうが、次の本や本業への信頼につながります。

商品のコンセプトを決める考え方は、コンセプトを決定するでも書いています。本も講座も、軸の決め方は共通しています。

書いている途中で話がふくらむのを防ぐ

1文のコンセプトがいちばん力を発揮するのは、書き始めてからです。

本を書いていると、「これも役に立つ」「あれも伝えたい」とアイデアが次々に浮かびます。知識や経験が多い人ほど、この傾向は強くなります。そうして書き足していくうちに、本はどんどん厚くなり、何の本なのかがぼやけ、いつまでも完成しない。1冊目を書く人がとてもつまずきやすいところです。

迷ったら、1文に照らして決める

新しいネタを思いついたら、1文のコンセプトに照らして、次の4つを確かめます。

  1. 決めたテーマの話か
  2. 助けると決めた人の役に立つか
  3. 紹介すると決めたやり方の一部か
  4. 約束した変化に近づけるか

4つとも当てはまれば入れる。1つでも外れたら入れない。判断はこれだけです。

たとえば固定費の本を書いている途中で、「浮いたお金で投資を始める方法」も書きたくなったとします。役に立つ話ではありますが、約束しているのは「ゆとりが生まれる暮らし」で、お金を増やす方法ではありません。この本には入れない、とすぐに決められます。

外したネタは「次の本の候補」に回す

外したネタは、捨てる必要はありません。「次の本の候補」としてメモしておきましょう。投資の始め方は、それだけで1冊の本のテーマになるかもしれません。

1冊に全部を詰め込もうとするより、1冊1テーマで書き終えて、次の本につなげるほうが、読者にとっても分かりやすく、書き手にとっても続けやすくなります。テーマごとに本が増えていくと、それぞれの本が、あなたの本業への入口にもなっていきます。

1文は目に入る場所に置く

作った1文は、書くときに必ず目に入る場所に置いてください。原稿の1行目に書いておく、紙に書いて机の前に貼る、どちらでも構いません。書き始める前に一度読む。迷ったときにもう一度読む。それだけで、話がそれることがぐっと減ります。

1文が決まったら、次は中身づくりです。白紙から書かずに原稿を進める方法は、読者の質問50個に答えて、原稿と目次を作る方法で解説しています。

まとめ

  • 読者は本ではなく、本を読んだあとの自分を買っている
  • 人が本を買う理由は、お金・時間・安心・楽をしたい・認められたい・大切な人を守りたいなど、いろいろある
  • 1冊の中に買う理由を少なくとも5つ入れ、それぞれ本のどこで手に入るかを答えられるようにする
  • 本の軸は「この本は〇〇について、〇〇な人を助け、〇〇を紹介し、〇〇を約束する」の1文で決める。約束は金額ではなく変化で書く
  • 書いている途中で迷ったら1文に照らし、外れたネタは次の本の候補に回す

まずは、あなたの本の読者が「なぜこの本を買うのか」を、思いつくだけ書き出してみてください。5つ並んだら、1文のコンセプトづくりに進みましょう。