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原稿ができてからが本番です|Kindle形式への変換からKDP登録、価格の決め方まで、出版までの手順

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原稿が最後まで書けた。表紙もできた。ここまで来ると、もう出版したも同然だと感じますよね。

ところが、ここで手が止まる方が意外と多いです。「ファイルの形式が違うと言われた」「登録画面の項目が多くて、何を入れればいいか分からない」「価格をいくらにすればいいのか決められない」。原稿を書くのとはまったく違う種類の作業が、まだ残っているからです。

結論から言うと、出版の手続きは、準備さえ済ませておけば難しくありません。大事なのは、画面の操作を覚えることではなく、入力する中身を先にそろえておくことと、価格を「何のために出す本か」で決めることです。

この記事では、Kindle形式への変換、KDPへの登録から審査までの流れ、価格の考え方、紙の本も出す選択肢を、順番にお伝えします。画面の細かい操作は変わることがあるので、流れと準備するものを中心にまとめました。

書き上げた原稿は、そのままでは出版できません

文書作成ソフトで書いた原稿は、そのままKindle本として並べられるわけではありません。Kindle本として出すには、電子書籍用の形式に整える必要があります。

電子書籍は、紙の本と違って、読む人の端末によって画面の大きさも文字の大きさも変わります。スマホで読む人もいれば、タブレットや専用端末で読む人もいます。どの端末でも見出しや画像が崩れず、目次から読みたい章に飛べるようにする。これが、Kindle形式に整える作業の中身です。

この作業を軽く見ると、出版したあとに困ります。目次を押しても飛ばない、画像がはみ出す、章の途中で変な改行が入る。こうした崩れは、読者にとって大きなストレスになり、低い評価の原因にもなります。

だからこそ、原稿が書けたあとの「形を整える工程」は、書く工程と同じくらい大切に扱ってください。

変換は外注か、自分で行うか。判断の3つの基準

Kindle形式への変換は、外注することも、自分で行うこともできます。どちらが正しいというより、あなたの状況で選ぶのが正解です。判断の基準は、次の3つです。

判断の基準 外注が向いている人 自分で行うのが向いている人
本の作り 図や表が多い、レイアウトにこだわりたい 文字が中心で、構成がシンプル
時間 本業が忙しく、作業時間をとれない 時間があり、覚えることが苦にならない
今後の予定 1冊出せれば十分、または外注で量産したい 何冊も出す予定で、作業を自分の技術にしたい

迷ったら、1冊目は外注をおすすめします。はじめての作業は、思った以上に時間がかかります。慣れない作業で何週間も止まるくらいなら、クラウドソーシングで電子書籍の変換に慣れた人に頼み、その時間を次の企画や本業に使ったほうが、全体としては前に進みます。

外注先を選ぶときは、過去にKindle本の変換をした実績があるか、評価がどうかを確かめます。相談の段階で、原稿のおおよその文字数と、図や表の数を伝えると、見積もりが正確になります。急ぎの場合は、納期の目安も最初に確認しておきましょう。外注の考え方は、ビジネスを加速させる「外注」という武器でも書いています。

外注するなら、渡す前に整えておくこと

外注は「丸投げ」ではありません。次の状態まで整えてから渡すと、やり取りが少なく済み、仕上がりも良くなります。

  1. 章と節の見出しをそろえ、階層がひと目で分かるようにしておく
  2. 題名のページ、著作権と免責事項のページ、まえがき、あとがき、著者紹介を用意しておく
  3. 改ページを入れたい場所を、原稿の中で分かるようにしておく
  4. 画像や図は、入れる場所と使ってよい素材であることを確かめておく
  5. 目次をどう作ってほしいか(見出しから自動で作るのか)を伝える

表紙や本文の見た目の整え方は、Kindle本の表紙・図・書式の整え方で解説しています。変換を頼む前に、一度目を通しておくと安心です。

納品されたファイルは、そのまま出さずに必ず確認します。Amazonが用意しているプレビューの機能を使えば、スマホや専用端末でどう見えるかを確かめられます。目次が正しく飛ぶか、画像が崩れていないか、章の始まりが新しいページになっているかを見てください。

KDPに登録してから、審査に出すまでの流れ

Kindle本は、AmazonのKDP(Kindleダイレクト・パブリッシング)という著者向けの仕組みから出版します。登録の画面は時期によって変わりますが、大まかな流れは次のとおりです。

  1. アカウントを用意する:KDPにログインし、著者情報、税に関する情報、印税の振込先口座を登録する
  2. 本の基本情報を入れる:題名、副題、著者名、本の説明文を入力する
  3. 見つけてもらうための設定をする:検索キーワードと、本が属するカテゴリーを選ぶ
  4. 原稿と表紙をアップロードする:Kindle形式の原稿ファイルと、表紙の画像を登録する
  5. プレビューで最終確認をする:表示の崩れがないか、最初のページから順番に確かめる
  6. 価格と販売の設定をする:価格、販売する地域、読み放題の仕組みに参加するかどうかを決める
  7. 審査に出す:内容を確認して出版の手続きを終え、審査の結果を待つ

ここで一番時間がかかるのは、実は操作ではありません。説明文やキーワードを、その場で考え始めてしまうことです。

そこで、登録の前に、次の項目を1つの文書にまとめておくことをおすすめします。

  • 題名と副題(読み方も)
  • 著者名(読み方や英語表記も)
  • 本の説明文
  • 検索キーワードの候補
  • 入れたいカテゴリーの候補
  • 価格と、その価格にした理由

これがそろっていれば、登録作業はほとんど「貼りつけるだけ」になります。説明文とキーワードの考え方は、シリーズの「題名と説明文の作り方」の記事で詳しく解説しています。

カテゴリーは「本の中身に合うもの」を選ぶ

カテゴリー選びでは、ライバルの少ない場所を探したくなるかもしれません。ただ、本の中身と関係のないカテゴリーに入れると、そこにいる読者は求めていないので、結局読まれません。

まずは、同じ分野の本がどのカテゴリーに並んでいるかを見て、自分の本の読者が探しに来そうな場所を選んでください。読者が本を探す場所に、あなたの本を置く。これが基本です。

審査にかかる時間や、入力できる文字数・キーワードの数などの条件は、変わることがあります。登録の前に、KDPの公式の案内で最新の条件を確かめてください。出版後でも、説明文や価格、原稿の差し替えはできるので、最初から完璧を目指して止まる必要はありません。

価格は「何のために出す本か」で決める

価格は、多くの方が一番悩むところです。ここで大事なのは、「いくらが正しいか」ではなく「この本で何を達成したいか」から考えることです。目的によって、選ぶ価格はまったく変わります。

目的 価格の考え方
たくさんの人に読まれたい 手に取りやすい価格にして、読者の数を優先する
本そのものの利益を大きくしたい 内容に見合った価格にして、1冊あたりの利益を優先する
本業の入口にしたい 本の利益より、読んだ人が次の一歩に進むことを優先する

本業の講座やサービスがある方なら、本は利益を出す商品というより、あなたを知ってもらう入口として考えるのがおすすめです。入口の商品はあえて手に取りやすくし、そのあとで本当に必要な人に本業の商品を届ける。この考え方は、フロントエンド・バックエンド戦略で解説しています。

たとえば、家計の見直しを手伝う相談業をしている人がいたとします。この人の目的が「本を読んだ人に、個別の相談を知ってもらうこと」なら、本は手に取りやすい価格にして、まず多くの人に読んでもらうほうが目的に合います。反対に、本業を持たず、本そのものを収入の柱にしたいなら、内容をしっかり作り込んで、それに見合う価格をつける考え方になります。

同じ本でも、目的が違えば正しい価格は変わります。だから、先に目的を一行で決めておくと、価格で迷う時間が短くなります。

価格を決めるときは、次の2つも確かめてください。

  • 同じ分野の本の価格:読者がその分野の本に「これくらいなら払う」と感じている価格帯を知る
  • 価格と中身のつり合い:価格は、読んだあとに得られる結果の約束でもある。高い価格にするなら、それに見合う具体的な手順や事例が入っているか

印税の割合は、価格の範囲や販売の条件によって変わります。読み放題の仕組みに参加した場合の収益の仕組みも、時期によって条件が変わることがあります。ここは記憶や古い情報で決めず、KDPの公式の案内で最新の条件を確かめてから価格を決めてください。

紙の本(ペーパーバック)も出すという選択

KDPでは、電子書籍に加えて、紙の本(ペーパーバック)も出版できます。注文が入るたびに印刷して届ける仕組みなので、在庫を抱える必要がありません。

紙の本があると、電子書籍を読まない人にも届けられます。セミナーや面談の場で手渡したり、お客様に贈ったりと、本業の場面でも使いやすくなります。

ただし、紙の本は電子書籍とは別の準備が必要です。

  • 本文は、紙の大きさに合わせて組んだ専用のデータが必要になる
  • 表紙は、表だけでなく背表紙と裏表紙までつながったデザインが必要になる
  • 背表紙の幅はページ数で変わるので、デザイナーにページ数を伝える

紙の本も出す予定があるなら、表紙のデザインと形式の変換を頼む段階で「紙の本の分も一緒に」と相談しておくと、やり取りが一度で済みます。紙の本に必要な条件も、KDPの公式の案内で最新のものを確かめてください。

まずは電子書籍を出し、反応を見てから紙の本を足す、という順番でもかまいません。全部を一度にそろえようとして出版が遅れるより、出せる形から出すほうが、本はずっと早く読者に届きます。

出版したあとに読まれる流れの作り方は、Kindle本を宣伝し、巻末から本業へつなげる仕組みで解説しています。

まとめ

  • 書き上げた原稿は、そのままでは出版できない。どの端末でも崩れないKindle形式に整える
  • 変換は、本の作り・時間・今後の予定で、外注か自分で行うかを選ぶ。迷ったら1冊目は外注
  • KDPへの登録は、題名・説明文・キーワード・価格などを先に1つの文書にまとめておけば、ほとんど貼りつけるだけになる
  • 価格は「何のために出す本か」で決める。印税などの条件は、公式の案内で最新を確かめる
  • 紙の本も出す場合は、本文データと表紙を別に用意する。電子書籍のあとから足してもよい

まずは、KDPに入力する項目を1つの文書に書き出し、「この本は何のために出すのか」を一行で決めるところから始めてみてください。