自分の知識や経験を講座にしようと思ったとき、最初に悩むのが「何をテーマにするか」ですよね。できれば、稼げるテーマを選びたい。人気のあるテーマ、単価の高いテーマを調べて、その中から自分にもできそうなものを選ぶ。
ところが、こうして選んだテーマほど、作っている途中で手が止まります。資料を作り、話す内容を整え、録画して、直す。講座づくりは思っている以上に地味な作業の積み重ねです。その途中で「なんでこれを作っているんだっけ」と分からなくなってしまうんです。
結論から言うと、最初の講座のテーマは「稼げるか」だけでなく、「作り終えるまで続けられるか」で選ぶことが大事です。講座づくりを支える動機には、お金・好き・成長の3つがあります。最初の1本は、この3つのバランスを見て選ぶと、完成までたどり着きやすくなります。
この記事では、3つの動機の中身、お金だけを動機にすると止まりやすい理由、最初の1本の選び方、そして「お金を受け取っていいのか」というためらいとの向き合い方を解説します。
講座づくりを支える3つの動機
講座を作る理由は、人によってちがいます。整理すると、次の3つに分けられます。
| 動機 | 中身 | これが強い人の言葉 |
|---|---|---|
| お金 | 講座を売って収入を得たい | 「時間の切り売りから抜けたい」 |
| 好き | そのテーマを話すこと、教えること自体が楽しい | 「この話なら何時間でもできる」 |
| 成長 | 教えることを通して、自分の力を伸ばしたい | 「人に伝える力をつけたい」 |
どれか1つだけ、という人はあまりいません。多くの方は、3つがいろいろな割合で混ざっています。大事なのは、自分の中でどれがどのくらい強いのかを知っておくことです。動機の割合が分かると、選ぶべきテーマが変わるからです。
たとえば、お金の動機が強い人が「好き」を無視したテーマを選ぶと、作業が苦しくなります。反対に、好きの動機だけで選ぶと、誰も困っていないテーマになることがあります。3つのどれかが欠けていないかを見るのが、テーマ選びの最初の一歩です。
自分の中にどんな材料があるかを先に知りたい方は、経験と知識を商品の材料に変える棚卸し7項目から始めてみてください。
お金だけを動機にすると、なぜ止まるのか
お金を動機にすることは、悪いことではありません。労働収入から抜け出すために講座を作るのですから、お金は続けるための燃料です。より良い講座を作るための道具にも、お金はかかります。
ただ、お金「だけ」を動機にすると、2つの場面で止まりやすくなります。
1つ目は、作っている途中です。講座の制作には、成果がまだ何も見えない期間があります。話す内容を整理し、録画し、撮り直す。その間、お金はまったく入ってきません。お金だけが動機だと、この期間に気持ちを保つものがありません。
2つ目は、出したあと、すぐに売れなかったときです。お金だけを目的にしていると、「売れない=やる意味がない」になってしまいます。一方、そのテーマが好きな人は、最初は申し込みが少なくても、完成させたこと自体に手ごたえを持てます。そして、改善を続けられます。
もう一つ、見落とされがちなことがあります。それは、最初の録画や最初の講座は、誰でも緊張するということです。「お金をもらうのだから、上手に話さなければ」と思うほど、声が上ずり、何度も撮り直すことになります。これは慣れの問題で、多くの人が通る道です。好きなテーマなら、この慣れるまでの期間も乗り越えやすくなります。
最初の1本は「好き」を軸に、「困っている人」で確かめる
では、最初の講座はどう選べばいいのか。私は、次の順番をおすすめしています。
- 「好き」を書き出す:何時間でも話せること、聞かれてもいないのに語ってしまうことを、思いつく限り書く
- 「困っている人」がいるかを確かめる:書き出したものの中で、実際に誰かに相談されたこと、「教えてほしい」と言われたことに印を付ける
- 「成長」を足す:印の付いたテーマの中で、教えることで自分の力も伸びそうなものを選ぶ
- 「お金」は、その次に考える:選んだテーマで、いくらなら届けられるかを考える
ポイントは、「好き」だけで決めないことです。好きなことでも、困っている人がいなければ講座としては選ばれません。好きで、しかも誰かが困っている。この重なりが、最初の講座に向いているテーマです。
教えることは、一番の練習になる
3つ目の「成長」について、少し補足しておきます。講座を出すと、受講した人から質問や感想が届きます。「ここが分かりにくかった」「この例えで腑に落ちた」。これは、一人で練習していても絶対に手に入らない材料です。
教えるほど、自分の説明のくせが分かり、伝え方がうまくなっていきます。つまり、最初の講座は、売上を作る商品であると同時に、次の講座をより良くするための練習の場でもあるんです。最初の1本に完璧を求めすぎなくていい理由は、ここにあります。
実績がまだ少なくても始めていい理由は、集客3名でも売上は作れる理由で詳しく書いています。
たとえば、パン作りが好きな会社員がいたとします
例で考えてみます。休日にパンを焼くのが好きな会社員がいたとします。最初は「稼げそうだから」と、副業の始め方の講座を作ろうとしていました。でも、副業について話していても楽しくなく、資料づくりが進みません。
そこで、好きなことを書き出してみると、パン作りの話なら何時間でもできることに気づきました。しかも、職場の同僚から「発酵がうまくいかない」と何度も相談されていた。そこで、「家庭のオーブンで、発酵に失敗しないパン作り」をテーマにします。教えるうちに、自分の説明も上達していく。好き・困っている人・成長の3つがそろったテーマです。
テーマ選びでやりがちな3つの失敗
最初のテーマを選ぶときに、よく見かける失敗も挙げておきます。
- 人の成功例をそのまま自分に当てはめる:ほかの人がうまくいったテーマでも、自分が好きでなければ、同じようには続きません。まねるのは売り方の流れで、テーマは自分の中から選びます
- 候補を比べ続けて決めない:3つも4つも候補を並べて、どれが一番稼げるかを調べ続ける。比べている間は、講座は1ページも進みません。印の付いたものから1つ選び、まず作ってみます
- 大きく作ろうとする:最初から分野の全部を教えようとすると、好きなテーマでも作業が重くなります。最初は1つの悩みに絞った小さな講座で十分です
どれも、「失敗したくない」という気持ちから起きます。でも、最初の講座は練習の場でもあります。完成させて、届けて、声を聞く。その経験が、次のテーマ選びを確かなものにしてくれます。
「お金を受け取っていいのか」というためらい
テーマが決まっても、もう一つ手を止めるものがあります。それは、「自分がお金をもらっていいのだろうか」というためらいです。
「お金の話をするのは、なんだか品がない」「稼ぐことに熱心な人は、どこか怪しい」。こうした感覚を、知らないうちに持っている方は少なくありません。この感覚があると、講座を作っても案内ができない、値段を低くしすぎる、ということが起きます。
でも、考えてみてください。お金を受け取ること自体に、良いも悪いもありません。講座は、誰かの困りごとを解くために作るものです。その対価を受け取るのは、自然なことです。まずは自分に「受け取っていい」と許してあげることが、スタートになります。高い価格の商品を案内することへのためらいについては、バックエンド商品の本当の役割でも書いています。
ただし、稼ぎ方には自分の線を引く
一方で、「受け取っていい」と許すことは、「どんな売り方をしてもいい」ということではありません。世の中には、実際より安く見せる言い方や、必要以上に急がせる言い方があります。使い方次第で、相手を惑わせてしまうものです。
迷ったときは、次の2つを自分に聞いてみてください。
- この案内は、本当に相手のためになっているか
- 自分が買う側だったら、この案内を受けて嬉しいか
この2つに「はい」と答えられる売り方だけを選ぶ。それが、売り込まずに売れる状態を長く続ける土台になります。
仕組みで稼ぐには、最初に大きな手間がある
最後に、講座で「仕組みで稼ぐ」ことについて、正直な話をしておきます。
講座は、一度作れば、あなたが働いていない時間にも誰かの役に立ち、収入を生んでくれます。これが、時間の切り売りから抜け出せる理由です。ただし、何もしないで収入が入るわけではありません。最初に、講座を作り、届ける流れを整えるという大きな手間があります。その手間を先にかけたから、あとで手が離れるんです。
- 最初の手間:テーマを決める、中身を作る、案内の流れを整える
- あとで続くこと:受講した人の声をもとに直す、次の講座につなげる
この順番を知らずに始めると、「楽に稼げるはずだったのに」と途中で気持ちが折れます。最初に手間がかかると分かっていれば、慌てずに進められます。だからこそ、最初のテーマは、その手間を楽しめるものを選んでおきたいんです。
私自身、独立したばかりの頃は、何を発信すればいいか分からず、ブログやSNSを続けても成約につながらない時期がありました。当時一番欲しかったのは、「これをこの順番でやればいい」という手順でした。この記事の順番が、同じところで止まっている方の手がかりになればうれしいです。
まとめ
- 講座づくりを支える動機は、お金・好き・成長の3つ。自分の中の割合を知っておく
- お金だけを動機にすると、制作の途中と、すぐに売れなかったときに止まりやすい
- 最初の1本は「好き」を軸に、「困っている人がいるか」で確かめ、「成長」を足して選ぶ
- お金を受け取ることは自分に許していい。ただし、相手のためになる売り方だけを選ぶ
- 仕組みで稼ぐには、最初に大きな手間がある。だから、その手間を楽しめるテーマを選ぶ
まずは、「何時間でも話せること」を10個、紙に書き出してみてください。その中に、誰かに相談されたことがあるものが1つあれば、それが最初の講座の候補です。


