「この商品が売れないのは、商品が悪いからだ。もっと良い商品を見つければ売れるはず」。ビジネスがうまくいかないとき、そう考えたことはありませんか。
私はこれまで、たくさんの方からビジネスの相談を受けてきました。話を聞いていると、うまくいかない方に共通する考え方がよく見えてきます。その一つが、ここでお話しする「商品優先」の思考です。
結論から言うと、売れない原因の多くは、商品そのものではなく「売り方の流れ」にあります。流れが整っていないまま商品だけを替えても、同じところで止まります。商品を探す前に、どんな商品にも共通する売り方の3段階を見直してみてください。
この記事では、商品優先の思考がなぜ遠回りになるのか、どんな商品にも共通する3段階の中身、そして自分がどこで止まっているかを見つける点検の手順をお伝えします。
「良い商品なら売れる」という思い込み
商品優先で考える人は、ビジネスを始めるとき、まず「何が売れるか」を考えます。そして「良い商品だから売れるはずだ」と思い込みます。
「そんなの当たり前じゃないか」と感じるかもしれません。でも、この考え方には落とし穴があります。
今は、良い商品が世の中にあふれています。お客様から見れば、どれも「良い商品」です。売り手が「これは良い商品です」といくら伝えても、それだけでは選ぶ理由になりません。
さらに、商品優先の考え方だと、売れなかったときの原因も「商品」に探してしまいます。すると、次のようなことが起きます。
たとえば、サプリメントを扱っていたけれど売れないので、日用品なら売れるだろうと考えて扱う商品を替える。それでも売れないので、今度は旅行の商品に替える。
私はこうした例を何度も見てきました。商品は替わっているのに、売り方は何も変わっていません。だから、結果も変わらないのです。
商品を替えたくなる気持ちは、よく分かります。商品は目に見えるので、比べやすく、替えるのも簡単です。一方で、売り方の流れは目に見えにくく、どこが悪いのか自分では気づきにくい。だから、つい目に見えるほうに原因を探してしまうのです。これは、その人の能力の問題ではなく、見えるものから直したくなる、誰にでもある心の動きです。
業種が違っても、売れていく流れは同じ
プロのマーケターは、まったく関連のない商品をいくつも扱うことがあります。私の知り合いにも、ビジネスの教材、英語の教材、ダイエットやゴルフの教材と、さまざまな商品を扱っている人がいます。でも、やっていることはどれも同じです。
私のクライアントさんも、扱っている商品は本当にさまざまです。それでも、私がお伝えしていることは、いつも同じです。
大切なのは「何を売るか」だけでなく、「どうやって売るか」を持っていることです。 売り方の流れは、商品が変わってもほとんど変わりません。
これはインターネットのビジネスに限った話ではありません。飲食店、美容室、サロン、小売店。どんな業種でも、お客様が商品を買うまでの流れは共通しています。
ただし、誤解してほしくないことがあります。売り方さえ身につければ、どんな商品でも売れるという意味ではありません。お客様に求められていない商品は、どれだけ売り方を工夫しても売れにくいものです。売れやすい商品の選び方は、セールスの労力を減らす商品選びで解説しています。
商品を選ぶことと、売り方を身につけること。この両方が必要です。そのうえで、売れないときに「商品を替える」以外の選択肢を持てるかどうかが、分かれ目になります。
どんな商品にも共通する、売り方の3段階
私がこれまで商品を販売してきた方法は、どれも同じ流れです。
- 集客をする
- 信頼関係を築く
- 売り込まずに買ってもらう
それぞれの段階で、やることを整理してみます。
| 段階 | やること | 止まっているときのサイン |
|---|---|---|
| 1. 集客 | 商品を必要としている人に、自分の存在を知ってもらう | そもそも話を聞いてくれる人がいない |
| 2. 信頼関係 | 役に立つ情報や考え方を届け、「この人なら」と思ってもらう | 読まれてはいるが、相談や質問が来ない |
| 3. 売り込まずに買ってもらう | 相手の悩みを聞き、必要な人にだけ商品を案内する | 相談は来るが、申し込みにつながらない |
商品優先で考えていると、この3段階のどこで止まっているのかを見ないまま、商品を替えてしまいます。でも、たとえば集客で止まっている人が商品を替えても、やはり話を聞いてくれる人はいません。止まっている場所が変わらない限り、結果も変わらないのです。
「売り込まずに買ってもらう」とはどういうことか
3段階のうち、特に誤解されやすいのが3つ目です。
売り込まないというのは、商品の案内をしないという意味ではありません。相手の話を先に聞き、課題を一緒に整理して、その課題に自分の商品が役立つときにだけ案内する、ということです。
商品の良さを一方的に説明するほど、相手は身構えます。反対に、自分の悩みをきちんと聞いてもらえたと感じた人は、「この人にお願いしたい」と自分から考えるようになります。
私はこの進め方で、個別相談の成約率92%(25人中23人)という結果になったことがあります。特別な話術を使ったわけではありません。先に聞いて、必要な人に必要なサポートを案内しただけです。進め方の詳細は、カウンセリングセールスの10ステップで解説しています。
商品を替える前にやる、止まっている場所の点検
売れないと感じたら、商品を替える前に、次の手順で止まっている場所を確かめてみてください。
- この1か月で、商品を知ってくれた人はどれくらいいたかを書き出す
- その中で、メルマガ登録や質問など、次の行動をしてくれた人がどれくらいいたかを書き出す
- さらに、相談や申し込みまで進んだ人がどれくらいいたかを書き出す
- 人数が一番大きく減っているところを、最初に直す場所にする
数字が細かく取れていなくても大丈夫です。おおよそでも書き出してみると、「知ってもらえていない」のか、「信頼されていない」のか、「案内の仕方が合っていない」のかが見えてきます。
止まっている場所ごとに、最初に試すことの例も挙げておきます。
| 止まっている場所 | 最初に試すこと |
|---|---|
| 知ってもらう段階 | 発信する場所を一つに決め、見込み客が検索しそうな悩みに答える記事を書く |
| 信頼の段階 | 考え方や失敗談も含めて、役に立つ情報を続けて届ける |
| 申し込みの段階 | 商品の説明から入らず、相手の悩みを聞く時間を先に取る |
どれも、商品を替えずにできることです。直す場所が分かれば、やることは一つに絞れます。あれもこれも変えるより、止まっている一か所を直すほうが、ずっと早く結果につながります。数字で弱点を探す方法は、本当の問題点を見つける分析術で詳しく書いています。
売り方を学ぶことが、ビジネスを学ぶということ
商品優先の思考から抜け出すと、ビジネスの見え方が変わります。
商品が売れないたびに、次の商品を探す必要がなくなります。今ある商品で、どこを直せば売れるのかを考えられるようになるからです。そして、一度身につけた売り方の流れは、次に新しい商品を扱うときにもそのまま使えます。
これがマーケティングの力であり、本来の意味で「ビジネスを学ぶ」ということだと私は考えています。
もちろん、この力は人をだますために使うものではありません。お客様の役に立つ商品を、必要としている人に届けるための力です。
まとめ
- ビジネスで失敗しやすい思考パターンの一つが、売れない原因を商品にだけ探す「商品優先」
- 売れる流れは業種が違っても共通で、「集客→信頼関係→売り込まずに買ってもらう」の3段階
- 売り方さえあれば何でも売れるわけではない。求められている商品を選ぶことと、売り方の両方が必要
- 商品を替える前に、3段階のどこで止まっているかを数字で確かめ、一か所ずつ直す
まずは、この1か月で商品を知ってくれた人、次の行動をしてくれた人、相談や申し込みまで進んだ人の数を、おおよそで書き出してみてください。


