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AIに「本を書いて」と頼んでも、売れる本にはなりません|話した音声とAIで、Kindle本の原稿を速く仕上げる手順

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AIを使えば、本も一瞬で書けるのではないか。そう考えて試してみた方も多いと思います。

実際に「〇〇についての本を書いて」と頼むと、AIはそれらしい文章をすぐに出してくれます。見出しもそろっていて、文法の間違いもない。ところが読み返してみると、どこかで読んだような話ばかりで、あなたらしさがどこにもない。これでは、お金を払って読んでもらえる本にはなりません。

一方で、「AIはまだ使えない」と決めつけてしまうのも、もったいない話です。

結論から言うと、AIは完成品を出してくれる存在ではなく、下書きを速く作ってくれる相棒です。あなたが話した中身を材料にして、AIに文字起こしと整えを任せ、最後はあなたが自分の言葉で直す。この役割分担ができると、原稿づくりにかかる時間は大きく縮みます。

この記事では、話した音声とAIでKindle本の原稿を仕上げる手順と、AIに渡す材料、AIに任せてよいところ・任せてはいけないところを解説します。

AIに「本を書いて」と頼むと、なぜ売れない本になるのか

AIは、世の中にたくさんある文章をもとに、「よくある答え」を組み立てるのが得意です。だからこそ、何も材料を渡さずに頼むと、誰が書いても同じような内容が出てきます。

ところが、読者がKindle本にお金を払う理由は、その逆のところにあります。

  • 検索しても出てこない、著者自身の経験から生まれたやり方
  • 自分と同じ悩みを持っていた人が、どう乗り越えたかという話
  • 一般論ではなく、「自分の場合はどうすればいいか」が分かる具体例

こうした中身は、AIの中にはありません。あなたの頭の中にしかないものです。AIに一冊まるごと書かせると、いちばん価値のある部分がすっぽり抜けた本ができあがってしまいます。

もう一つ、見落としやすい問題があります。AIは、もっともらしい間違いを書くことがあるという点です。存在しない数字や、実際にはない事例を、自信たっぷりに書くことがあります。それをそのまま本にすれば、読者の信頼を失います。本は一度出すと長く読まれるものなので、ここは特に慎重になる必要があります。

だから、考え方を逆にします。中身はあなたが出す。AIには、その中身を形にする作業を手伝ってもらう。この順番を守ることが、AIで原稿を作るときの出発点です。

話して、文字にして、整えて、自分で直す。4つの手順

ここからが具体的な進め方です。書くのが苦手な方でも進めやすいように、「書く」ではなく「話す」から始めます。

手順1:目次に沿って話し、録音する

まず、目次の案を手元に置いて、項目ごとに話します。スマホの録音機能で十分です。聞き手がいるつもりで、「この質問には、こう答えます」と説明していきます。

目次の作り方は、読者の質問に答えるだけで原稿と目次ができる方法で解説しています。話し方には、一人で話す、聞き役に質問してもらうなど、いくつかの方法があります。自分に合う方法は、Kindle本の原稿を仕上げる4つの方法で比べてみてください。

話すときは、上手に話そうとしなくて大丈夫です。言い直しても、話が少し脱線しても構いません。大事なのは、あなたの経験や具体例を、できるだけたくさん声に出しておくことです。

手順2:AIで文字起こしをする

録音した音声を、AIの文字起こし機能で文字にします。以前は人に頼むと数日かかった作業が、今はずっと短い時間で終わります。

ただし、文字起こしは完璧ではありません。専門用語や人の名前、似た音の言葉は、間違って文字になることがあります。この段階では細かく直さず、「だいたい何を話したか」が読めれば十分です。

手順3:AIで読みやすく整える

文字起こしの文章は、話し言葉のままなので、そのままでは本として読みにくい状態です。ここでAIに、読みやすく整える作業を手伝ってもらいます。

  • 「えー」「あのー」などの言葉を取る
  • 話し言葉を、書き言葉に直す
  • 同じ話のくり返しをまとめる
  • 目次の項目ごとに、段落を分ける

このとき、「内容は足さずに、整えるだけにしてください」とはっきり伝えるのがコツです。AIは気をきかせて、話していない説明や例を付け足すことがあるからです。

もう一つのコツは、一度に全部を渡さないことです。一冊分の文字起こしをまとめて渡すと、途中の話が省かれたり、順番が入れ替わったりしやすくなります。目次の項目一つ分、あるいは数ページ分ずつに区切って渡すと、整えた結果を確かめやすくなります。

整え終わったら、元の文字起こしと見比べて、大事な話が消えていないかを確認しましょう。特に、あなたの失敗談や細かい手順のように「よくある話」から外れた部分ほど、AIは短くまとめてしまいがちです。そこはむしろ、本の中でいちばん読者に喜ばれる部分です。削られていたら、元に戻してください。

手順4:最後は自分の言葉で直す

AIが整えた文章を、最初から最後まで自分で読み直します。ここが、いちばん大事な工程です。

読みながら、「これは自分の言い方ではない」と感じる部分は、自分の言葉に戻します。説明が足りないところには例を足し、話していない内容が混ざっていたら削ります。AIが作るのは、あくまで土台です。その土台を、あなたの本に仕上げるのはあなた自身です。

AIに渡す「材料」で、下書きの質が決まる

同じAIを使っても、できあがる下書きの質には大きな差が出ます。その差を生むのは、AIへの頼み方の上手・下手よりも、「何を渡したか」です。

Kindle本の原稿づくりで、AIに渡しておきたい材料は次の4つです。

材料 渡す内容の例
読者 どんな人が読むのか。年代、仕事、今の状況
悩み 読者が何に困っていて、何を知りたいのか
自分の経験 自分が実際にやってきたこと、失敗、そこから分かったこと
目次 本全体の流れと、今整えている部分がどこに当たるか

たとえば、整える作業を頼むときに、「この本は、本業が忙しい会社員に向けた本です。読者は時間がなくて手が止まっていることに悩んでいます。今整えているのは第2章の前半です」と一言添えるだけで、言葉の選び方や説明の丁寧さが変わってきます。

材料が少ないと、AIは足りない部分を「よくある話」で埋めようとします。材料が多いほど、AIはあなたの本に合わせた下書きを作れるようになります。

この4つは、毎回ゼロから書く必要はありません。本の企画を考えた段階で、一度メモにまとめておきます。そして、AIに作業を頼むたびに、そのメモを最初に貼り付けてから頼むようにします。こうしておくと、章ごとに言葉づかいや読者像がぶれにくくなり、一冊を通して同じ人が書いたような原稿になります。

AIに渡す材料の考え方は、本だけでなく、募集文や講座の台本づくりにも共通しています。詳しくはAIに渡すべき材料とマザープロンプトの作り方で解説しています。

AIに任せてよいところ、任せてはいけないところ

AIを相棒として使い続けるには、役割の線引きをはっきりさせておくことが大切です。

任せてよいところ

  • 録音した音声の文字起こし
  • 話し言葉から書き言葉への言い換え
  • くり返しの整理や、段落分けの下書き
  • 見出しや言い回しの「候補」を複数出してもらうこと
  • 誤字や、分かりにくい文の指摘

どれも、中身はあなたが出していて、AIは形を整えているだけの作業です。ここを任せるだけでも、原稿づくりの時間はかなり短くなります。

任せてはいけないところ

  • 事実の確認:数字、制度、手順の正しさは、必ず自分で元の情報を確かめる
  • 経験そのもの:やったことのない体験や、存在しない事例をAIに作らせない
  • 言い回しの最終判断:読者に届ける言葉として、これでいいかを決めるのは自分

特に気をつけたいのが、経験の部分です。AIに「具体例を入れて」と頼むと、それらしいエピソードを作ってくれることがあります。でも、それはあなたの経験ではありません。読者は、あなたの本だからこそ、あなたの話を信じて読んでくれます。作り話を混ぜてしまえば、その信頼を裏切ることになります。

また、他人の文章や、お客様の個人的な情報をそのままAIに渡すのも避けましょう。AIの使い方で気をつけたい点は、生成AIを使うときの注意点でまとめています。

AIで原稿づくりが止まる、よくある失敗

最後に、AIを使って原稿を作るときに、よくつまずく場面をまとめておきます。

失敗1:最初から完璧な文章を出させようとする

AIへの頼み方を何度も変えて、完璧な一章を出させようとする。気づけば、頼み方の調整に何時間も使っている。これはよくある失敗です。AIの役割は、下書きを速く作ることです。7割の出来で受け取って、残りは自分で直す方が、結果的に早く仕上がります。

失敗2:AIの文章をほとんど直さずに使う

整った文章が出てくると、「これでいいか」とそのまま使いたくなります。でも、AIの文章には特有の硬さや、どこかで見たような言い回しが残ります。一冊を通して読むと、その違和感は読者にも伝わります。最低でも一度は、声に出して読んでみてください。自分の言葉でないところは、読むと引っかかります。

失敗3:話す量が少ないまま、AIに膨らませてもらう

材料が足りないまま、AIに文章を長くしてもらうと、中身の薄い本になります。原稿の量が足りないと感じたら、AIに頼む前に、自分がもう一度話して材料を足しましょう。量を増やすのはあなたの話、形を整えるのはAI。この分担を崩さないことが大切です。

まとめ

  • AIは完成品ではなく、下書きを速く作ってくれる相棒
  • 手順は「話して録音 → AIで文字起こし → AIで読みやすく整える → 最後は自分の言葉で直す」
  • 下書きの質は、AIに渡す材料(読者・悩み・自分の経験・目次)で決まる
  • 文字起こしや言い換えは任せてよい。事実確認・経験・言い回しの最終判断は自分で行う

次の一歩として、目次の中から一つの項目を選び、5分だけ話して録音してみてください。それを文字にして、AIに「内容は足さずに読みやすく整えて」と頼む。一度やってみると、自分とAIの役割分担がつかめるはずです。