自分の商品がまだなくても、信頼できる他人の商品を紹介して収入を作る。この方法は、知識や経験を商品にする前の段階でも始められる、労働収入から抜け出すための一つの入口です。私自身も、自分の講座と並行して、今も紹介を続けています。
ところが、紹介を続けている方からよく聞くのが、「良い商品を紹介しているはずなのに、読者がついてこない」という悩みです。一度は買ってくれても、その次がない。紹介のたびに反応が薄くなり、関係がその場限りで終わってしまう。
結論から言うと、原因は商品の良し悪しではなく、紹介の「順番」にあります。思いついた順、話題になった順に商品を紹介していると、読者は自分がどこに向かっているのか分からなくなります。先に読者が前に進むための「学びの道順」を決め、その道順のどこにいる人に何を勧めるかで紹介を組み立てる。これだけで、紹介は点ではなく線になります。
この記事では、紹介がその場限りで終わる理由、紹介する人の役割、道順を作る3つの段階、入口での関わり方、メールの使い方、そして次の商品を勧めるときの考え方を解説します。なお、紹介でどれくらいの収入になるかは、分野や読者との関係で大きく変わります。ここでは金額ではなく、信頼を積み上げるための設計の話をします。
紹介がその場限りで終わるのは、道順がないから
まず、読者がついてこない紹介には、共通する形があります。
- 読者の今の段階を見ずに勧める:始めたばかりの人に、慣れた人向けの商品を勧めてしまう
- 報酬の条件だけで選ぶ:中身を確かめないまま、条件の良い商品を紹介する
- 他人の評価をそのまま使う:人気の順位や口コミだけを根拠に紹介する
どれも、その時点では売れることがあります。でも、読者の側から見ると、「この人は、私をどこに連れていきたいんだろう」という疑問が残ります。脈絡のない紹介が続くと、読者はあなたを「案内してくれる人」ではなく、「その時々で何かを売る人」として見るようになります。
うまくいかない原因は、紹介の文章力や商品選びのセンスではありません。読者がたどる道順が、最初から設計されていないことです。
紹介する人は、売る人ではなく「道案内をする人」
では、紹介する人の役割は何でしょうか。私は、道案内だと考えています。
読者が本当に欲しいのは、商品そのものではありません。その商品を使った先にある、今より少し良い状態です。たとえば、家計の管理を学びたい人が欲しいのは、家計簿の道具ではなく、お金の不安が減った毎日ですよね。商品は、そこへ向かう途中で使う道具にすぎません。
だから、紹介する人に必要なのは、商品の知識よりも先に、「読者がゼロの状態から、望む状態にたどり着くまでの道のり」を描けることです。道のりが描けていれば、どの商品を、どの順番で、誰に勧めるかは自然に決まります。
そしてもう一つ大事なのは、道案内をする人自身が、その道を実際に歩いていることです。自分が試していないやり方や、自分が望んでいない生き方を勧めても、言葉に重みが出ません。自分が歩いてきた道を、少し後ろから来る人に案内する。それが紹介する人の立ち位置です。
道順は、3つの段階で作る
道順は、細かく作り込む必要はありません。基本は次の3つの段階です。
| 段階 | 読者の状態 | 渡すもの | まだ勧めないもの |
|---|---|---|---|
| 1. 考え方をそろえる | 何から手をつけるか分からない | 全体像と、判断の土台になる考え方 | 道具や細かい技術 |
| 2. 小さな成果を出す | やることは分かったが、自信がない | 手間はかかるが、やれば確実に結果が出るやり方 | 仕組み化や自動化 |
| 3. 広げる・楽にする | 小さな成果が出て、次を求めている | 応用のやり方、仕組み化や自動化の道具 | 最初の段階の話のくり返し |
段階1では、まず土台を渡します。道具やテクニックを先に渡すと、読者は使い方だけを覚えて、何のためにやるのかが分からないまま止まってしまいます。
段階2は、この道順の中で一番大事なところです。少し手間がかかっても、手を動かせば確実に結果が出るやり方を渡します。「自分にもできた」という感覚が、その人が次へ進む力になります。手を動かすことで、頭の中も整理されます。
段階3で、はじめて応用や仕組み化を案内します。自動で動く道具や、手間を減らすための仕組みは、段階1と2を通った人にとっては強い味方になります。でも、土台がない人に渡すと、使いこなせずに終わります。同じ商品でも、渡す順番で価値が変わるのです。
たとえば、家計管理を教える人がいたとします
イメージしやすいように、例を出します。家計の管理について発信している人が、読者に向けて紹介を組み立てるとします。
段階1では、「収入と支出を、3つの箱に分けて考える」といった考え方を、自分の言葉で発信します。ここでは何も売りません。段階2では、毎月の支出を書き出す作業を一緒にやってもらい、その作業がしやすくなるノートや表を紹介します。手間はかかりますが、1か月続ければ、自分のお金の流れが見えてきます。段階3で、はじめて自動で記録してくれる道具や、資産の考え方を学べる講座を紹介します。
もし最初から自動で記録する道具を勧めていたら、読者は入れただけで満足して、使わなくなっていたかもしれません。順番を決めたからこそ、一つひとつの紹介が読者の前進につながります。
道順の入口では、一対一で深く関わる
道順ができたら、次は入口です。まだあなたをよく知らない人に、道順の最初の一歩を踏み出してもらうには、どうすればいいのでしょうか。
私が大事にしているのは、入口で一度、一対一で向き合う機会を作ることです。発信を何十回も読んでもらうより、一度きちんと話をする方が、信頼は深まります。信頼の深さは、やり取りの回数より、一回の関わりの深さで決まるからです。
私の個別相談の成約率は92%(25人中23人)です。これは話し方の技術ではなく、相談の場で相手の今の段階を一緒に確かめ、次に何が必要かを整理しているからだと考えています。道順が決まっていると、相談の場で「今のあなたには、この段階が必要です」と、迷いなく伝えられます。
逆に言うと、独立したばかりのころの私は、無料相談をしても成約にはつながりませんでした。当時は、相談のあとにどこへ案内するかという道順が、自分の中に無かったのだと思います。
ただし、入口で近づいたあとは、なれ合いすぎないことも大切です。「この人と話せるだけでうれしい」という状態で止まると、読者は前に進みません。関係を深めながらも、「次の段階に進むには、これが必要です」と、前に進むための案内を続けます。
メールは、売る前に「知ってもらう」「振り分ける」ために使う
道順を読者に届ける道具として、登録してくれた人に順番どおりに届くメールはとても相性が良いです。ただし、使い方を間違えると、ただの売り込みの連続になります。
仕組みづくりの最初の段階では、メールを売るためではなく、次の2つに使うのがおすすめです。
- 知ってもらう:あなたが何者で、どんな考えで、どんな道順を用意しているのかを伝える
- 振り分ける:読者がどの段階にいるのか、どれくらい本気なのかを、反応から見分ける
振り分けの方法は、難しく考えなくて大丈夫です。段階ごとの記事へのリンクを置いて、どれが読まれたかを見る。「個別に相談したい方はこちら」と案内して、手を挙げた人を知る。反応してくれた人の段階に合わせて、次の案内を変えればいいのです。
そして、最初のうちは、販売まで全部をメールで自動にしようとしないことです。手を挙げてくれた人とは直接やり取りをして、その人に合う商品を案内する方が確実です。自動にするのは、手で何度もやって、うまくいく流れが分かってからで遅くありません。反応ごとに案内を分ける考え方は、買った人、買わない人でアプローチを変えるリストセグメント術でも紹介しています。
次の商品を勧めることを、ためらわなくていい
紹介を続けていると、読者と仲良くなるほど、次の商品を勧めにくくなるという悩みが出てきます。「売り込んだら、この関係が壊れるのでは」と感じるんですよね。
でも、道順の考え方で見ると、話は変わります。読者が道順の途中にいて、次の段階に進むために必要なものがあるなら、それを案内するのは道案内の役目です。一つの商品だけで、望む状態にたどり着ける人はほとんどいません。必要なものを知っているのに黙っていることの方が、読者の前進を止めてしまいます。
そのうえで、守りたいことが一つあります。それは、一つひとつの段階で勧める商品が、それ単体できちんと成果を出せるものであることです。「続きは次の商品で」という形で読者を引っぱると、信頼はすぐに失われます。今の段階で成果が出て、そのうえで次を求めた人に、次を案内する。この順番を守れば、紹介は売り込みではなく、読者の前進を支える案内になります。
紹介で育てた信頼の先に、自分の講座や個別の支援を置くと、道順は一本につながります。その全体像は、バックエンド商品の本当の役割と3段階のラインナップで解説しています。
道順を作るときに、やりがちな4つの失敗
最後に、道順を作るときの失敗を挙げておきます。
- 段階を細かく分けすぎる:段階が多すぎると、自分でも管理できなくなります。まずは3つで十分です
- 自分が歩いていない段階を作る:試していないやり方を段階に入れると、説明に中身が出ません
- 段階1を飛ばす:早く売りたくて考え方の段階を省くと、段階2で読者が止まります
- 全員を同じ速さで進めようとする:進む速さは人によって違います。反応を見て、その人の段階に合わせます
まとめ
- 紹介がその場限りで終わるのは、商品ではなく、読者がたどる道順が無いから
- 紹介する人は売る人ではなく、自分が歩いてきた道を案内する人
- 道順は「考え方をそろえる」「小さな成果を出す」「広げる・楽にする」の3段階で作る
- 入口では一対一で深く関わり、メールは売る前に「知ってもらう」「振り分ける」ために使う
- 次の段階に必要なものを案内するのは、道案内の役目。ただし一つひとつの商品で成果が出ることが前提
まずは、あなたが紹介している商品、紹介したい商品を紙に書き出して、3つの段階のどこに当てはまるかを振り分けてみてください。空いている段階が、次に探すべき商品か、あなた自身が作るべきものの候補です。


