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1本の動画に全部詰め込む講座ほど、受講者は途中で止まります|章の組み立てと1本の長さを決める3つの型

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講座の中身は決まった。話す内容も頭に入っている。ところが、いざ動画にしようとすると、「どこで区切ればいいのか」「1本をどのくらいの長さにすればいいのか」で手が止まる方が多いです。

とりあえず1回分の授業を丸ごと撮って、長い動画を何本か並べる。作る側としては分かりやすい方法ですよね。でも、受講者の様子を見てみると、最初の数本は見てくれても、そこから先に進まない人が出てきます。

結論から言うと、受講者が止まるのは中身が難しいからではなく、並べ方と区切り方の問題です。章を同じ型で組み、1本の動画には1つの話題だけを入れ、「知る」と「やってみる」を交互に置く。この3つの型を決めるだけで、受講者は迷わず進めるようになり、作る側も毎回構成に悩まなくなります。

この記事では、受講者が途中で止まる講座の共通点、章の組み立て方、1本の長さの決め方、手を動かしてもらう流れ、そして今ある講座を組み直す手順を解説します。

受講者が止まる講座には、共通点がある

途中で止まる講座を見ていると、似たような作りになっていることが多いです。

  • 1本の動画に、いくつもの話題が入っている
  • 章ごとに始まり方と終わり方がバラバラで、今どこにいるのか分からない
  • 説明の動画だけが続き、手を動かす場面がない

1つ目は、作る側が「1回の授業」の感覚で撮っているときに起きます。教室なら、途中で質問を挟んだり、表情を見て話を変えたりできます。でも動画は、見る人が一人で、自分の都合のいい時間に見るものです。長い動画を前にすると、「時間があるときに見よう」と後回しにされ、そのまま開かれなくなります。

2つ目と3つ目は、受講者が「どこまで進んだか」と「何ができるようになったか」を感じられない状態です。進んでいる実感がないと、人は続ける理由を見失います。

つまり、受講者を止めているのは中身ではなく、動画の「並び」と「区切り」です。ここは型を決めれば直せます。

型1:章は「予告・本編・まとめ」で組む

1つ目の型は、すべての章を同じ形で組むことです。

章の中の位置 動画の役割 話すこと
最初の1本 予告 この章で何を学び、終えたら何ができるか
真ん中の数本 本編 予告で挙げた内容を、1本ずつ説明する
最後の1本 まとめ 章の要点をふり返り、次の章につなぐ

最初の1本は、章の地図を渡す役目です。「この章では、この3つを順番に扱います」と先に伝えておくと、受講者は全体の中で自分がどこにいるのかを見失いません。

最後の1本は、学んだことを整理する役目です。本編で話したことをもう一度短くまとめ、「次の章では、ここで学んだことを使って〇〇をします」とつなぎます。これがあるだけで、章と章の間で止まる人が減ります。

この型をすべての章で同じにすると、受講者は「予告が来たから新しい章だ」「まとめが来たから一区切りだ」と、自分でペースをつかめるようになります。 作る側にとっても、章ごとに構成をゼロから考える必要がなくなります。

予告の動画は、顔を出して話すのにも向いています。資料を映す動画が中心の講座でも、章の始まりだけ講師の顔が見えると、受講者は「この人と一緒に進んでいる」と感じやすくなります。

型2:1本の動画には、1つの話題だけ

2つ目の型は、本編の動画を「1本に1つの話題」で区切ることです。長さを先に決めるのではなく、話題で区切った結果、自然と短くなる、という考え方です。

短く区切る理由は5つあります。

  1. 受講者は、移動中や家事の合間など、すき間の時間で見ていることが多い
  2. スマートフォンの小さな画面で、長い動画を見続けるのは疲れる
  3. あとから「あの話をもう一度見たい」と思ったとき、題名で探せる
  4. 1本見終わるごとに「進んだ」と感じられ、次を開く気持ちになる
  5. 作る側も、直したいところがあれば、その1本だけ撮り直せば済む

特に3つ目と5つ目は、講座を長く売っていくほど効いてきます。受講者が見返しやすい講座は満足度が上がりますし、講座の一部を新しくしたいときも、長い動画を丸ごと撮り直さずに済みます。

区切るときの目安は、「この動画の題名を、1つの問いか1つの答えで言えるか」です。題名に「と」や「、」がいくつも入るなら、話題が2つ以上混ざっています。そのときは、2本に分けてください。動画を途中で閉じられない工夫は、視聴者を最後まで惹きつける7つの原則でも書いています。

型3:「知る」と「やってみる」を交互に置く

3つ目の型は、説明の動画のすぐあとに、手を動かす場面を置くことです。

  • 知る:考え方や手順を説明する
  • やってみる:いま聞いたことを、受講者が自分のことで試す

たとえば、「申し込みが来る案内文の書き出し方」を説明したら、次は「では、あなたの講座の案内文の書き出しを1つ書いてみてください」と投げかける。この組み合わせをくり返します。

説明だけが続く講座は、見ている間は分かったつもりになれても、見終わったあとに何も手元に残りません。反対に、小さくてもその場で手を動かすと、受講者は「自分にもできた」という手応えを持って次に進めます。

私がチャレンジ企画で、話を聞いてもらうだけで終わらせず、ワークと宿題を組み込んでいるのも同じ考え方です。受講者に手を動かしてもらう設計は、ワークと宿題で人を動かすHOW設計で詳しく解説しています。

やってみる場面を作るときの3つの注意

  • 1回の課題は、数分で終えられる大きさにする。重い課題は、そこで止まる原因になります
  • 何を書けばいいか分かるように、書き出しの例を1つ見せる
  • 課題の答えを、次の動画で使う。やったことが次につながると、課題を飛ばす人が減ります

課題を書き込む用紙の工夫は、書きやすいワークシートの7つの工夫が参考になると思います。

今ある講座を組み直す手順

すでに長い動画で講座を作ってしまった方も、撮り直す前にできることがあります。次の順番で進めてください。

  1. 今ある動画の題名と中身を、紙か表に書き出す
  2. 1本の中に入っている話題を、線を引いて分ける
  3. 分けた話題を、章ごとに「予告・本編・まとめ」の形に並べ直す
  4. 足りない予告とまとめの動画だけを、新しく撮る
  5. 本編の動画のあとに、やってみる課題を1つずつ足す

2つ目の手順では、動画をいきなり切るのではなく、まず「どこで話題が変わっているか」に印をつけるだけで十分です。印をつけてみると、1本の中に話題が3つも4つも入っていることに気づくはずです。

長い動画は、話題の変わり目で切り分けて、それぞれに題名をつけ直すだけでも見やすくなります。全部を撮り直す必要はありません。

たとえば、家庭菜園の育て方を教える人がいたとします

イメージしやすいように、例を出してみます。ベランダでの家庭菜園を教える講座を作った人がいたとします。講座は、土づくり、種まき、水やりと肥料、病気の対策の4回で、1回ずつ長い動画にまとめていました。

受講者の様子を見ると、最初の土づくりの動画で止まっている人がたくさんいました。書き出してみると、土づくりの動画の中には「土の選び方」「鉢の選び方」「土の混ぜ方」「置き場所の決め方」という4つの話題が入っていました。

そこで、土づくりの章を次のように組み直します。最初に予告の動画で「この章を終えると、種をまける鉢が1つ準備できます」と伝え、本編は4つの話題を1本ずつに分ける。それぞれの動画のあとに、「自分のベランダで日が当たる時間を書き出してみましょう」のような小さな課題を置く。最後にまとめの動画で、準備したものを確かめてから種まきの章へ進むよう案内します。

中身は1つも増えていませんが、受講者は1本ずつ進み、章の終わりには鉢が1つ準備できている。これが、型で組み直す効果です。

組み直しでやりがちな3つの失敗

最後に、組み直すときにやりがちな失敗も挙げておきます。

  • 細かく分けすぎる:話題の途中で切ると、1本だけ見ても意味が分からない動画ができます。「この1本だけ見返しても役に立つか」を区切りの目安にします
  • 予告で中身を話してしまう:予告の動画で本編の説明を始めると、本編と同じ話が二度出てきます。予告は「何を学ぶか」と「終えたら何ができるか」だけにとどめます
  • 課題を最後にまとめて出す:章の最後にだけ課題を並べると、受講者は説明の中身を忘れたころに手を動かすことになります。課題は、それに関係する説明のすぐあとに置きます

作る前に型を決めておくと、講座づくりも速くなる

ここまでの3つの型は、受講者のためだけのものではありません。作る側にとっても、手が止まる場面を減らしてくれます。

講座づくりで時間がかかるのは、撮影そのものより、「この回はどう始めて、どう終えるか」を毎回考えるところです。型が決まっていれば、章ごとに予告・本編・まとめの枠を並べ、本編の枠に話題を1つずつ入れ、それぞれの後ろに課題の枠を置くだけで、講座の設計図ができあがります。

設計図ができたら、あとは枠を1つずつ埋めていくだけです。1本が短いので、少し時間が空いたときに1本撮る、ということもできます。完成を待たずに、できた章から受講者に見てもらい、止まっている場所を見て直していく。こうした進め方ができるのも、区切りが小さいからです。

まとめ

  • 受講者が止まるのは、中身が難しいからではなく、動画の並びと区切り方の問題
  • 型1:すべての章を「予告・本編・まとめ」の同じ形で組む
  • 型2:1本の動画には1つの話題だけを入れる。題名が1つの問いで言えるかで確かめる
  • 型3:「知る」のすぐあとに「やってみる」を置き、課題の答えを次の動画で使う
  • 今ある講座は、話題の変わり目に印をつけて並べ直し、足りない予告とまとめだけを撮り足す

まずは、今の講座の中で一番長い動画を1本選んで、話題が変わるところに印をつけてみてください。印の数が、その動画を分けたときの本数になります。