ライブで開いたセミナーの録画がある。これを毎日自動で流せば、自分が動かなくても講座が売れるのではないか。そう考えて仕組みを作ってみたものの、登録は少しずつ入るのに、申し込みがほとんど来ない。こういう相談を受けることがあります。
仕組みそのものは、間違っていません。録画を使って自動で売る方法は、時間の切り売りから抜け出す有力な道の一つです。ただ、ライブの録画を「そのまま流す」だけでは、ライブと同じようには売れないんですよね。
結論から言うと、自動で売る仕組みには大きく2つの型があります。登録したその日に説明を聞いてもらい、その場で決めてもらう「その日に決める型」と、数日かけて少しずつ価値を届け、信頼ができたところで案内する「数日で信頼を作る型」です。商品に合う型を選び、録画ならではの弱さを先に手当てしておく。これで、録画は「流すだけの動画」から「売れる仕組み」に変わります。
この記事では、2つの型の違いと選び方、それぞれの組み立て方、録画だから起きる4つの弱さと手当て、そして自動にする前に確かめておくことを解説します。
自動で売る仕組みには、2つの型がある
まず、2つの型を並べてみます。
| 比べるところ | その日に決める型 | 数日で信頼を作る型 |
|---|---|---|
| 流れ | 登録 → すぐに録画セミナーを見る → 案内 | 登録 → 数日かけて動画を届ける → 最後に案内 |
| 案内までの時間 | 登録した当日 | 登録から数日後 |
| 向いている商品 | 中身が分かりやすく、手に取りやすい価格のもの | 価格が高く、じっくり考えて決めるもの |
| 強み | 登録してすぐに売上が立つ | 信頼が深まってから案内できる |
| 気をつけること | 出会ってすぐなので、高いものは売りにくい | 途中で見るのをやめる人が出る |
その日に決める型は、登録した人に、すぐ録画のセミナーを見てもらいます。セミナーの最後で講座を案内し、その日のうちに申し込みまで進めてもらう形です。広告などで人を集める場合、集めたその日に売上が立つので、使ったお金を早く取り戻せます。
数日で信頼を作る型は、登録した人に、1日に1本ずつ動画や記事を届けます。悩みの正体、解決の考え方、進め方の見本と、少しずつ深い話をして、最後の日に講座を案内します。出会ってすぐに高いものを勧められると、人は身構えます。数日かけて「この人の話は役に立つ」と感じてもらってから案内するので、価格の高い講座に向いています。
商品に合う型を選ぶ3つの問い
どちらの型を選ぶかは、次の3つの問いで考えると迷いません。
- 価格は、その場で決められる額か:財布を開くのに家族と相談が要るような額なら、数日で信頼を作る型
- 中身は、1回の説明で伝わるか:何ができるようになるかが一言で伝わるなら、その日に決める型
- 見込み客は、あなたのことをもう知っているか:初めて出会う人が多いなら、数日で信頼を作る型
3つとも「その日に決める型」寄りなら、迷わずそちらで始めます。1つでも「数日で信頼を作る型」寄りの答えがあれば、数日かける方を選ぶのが安全です。
なお、どちらの型も「案内に締め切りがある」ことは共通です。自動の仕組みでも、登録した日から数えて一人ひとりに締め切りを設けます。締め切りの入れ方そのものは、ステップメールに締め切りを入れる方法で解説しています。
「その日に決める型」の組み立て方
その日に決める型は、次の5つの場面でできています。
- 登録ページ:セミナーで何が分かるかを伝え、名前とメールアドレスを入れてもらう
- 開始前のページ:登録の直後に出るページ。開始の時刻と見どころを伝える
- 録画セミナー:悩みの原因、解決の考え方、講座の案内までを1本にまとめる
- 見逃した人への案内:途中で離れた人に、見直せる場所をメールで知らせる
- 申し込みページ:セミナーを見て決めた人が、迷わず手続きできる形にする
組み立てるときのポイントは2つあります。
1つ目は、開始前のページを空白にしないことです。登録した直後は、相手の関心がいちばん高い瞬間です。ここに「始まるまでに、これだけ用意しておいてください」という短い準備や、手に取りやすい小さな商品の案内を置いておくと、セミナーを見る前から関わりが始まります。小さな商品を置く場合も、目的は利益ではなく、最初の関わりを作ることです。
2つ目は、見逃した人への案内を必ず用意することです。録画セミナーは長くなりがちで、途中で用事が入って離れる人が必ず出ます。その人たちに「続きはこちらから見られます」と知らせるだけで、申し込みの機会を取りこぼさずに済みます。
「数日で信頼を作る型」の組み立て方
数日で信頼を作る型は、次の流れです。
- 登録:無料で受け取れる動画のシリーズに登録してもらう
- 1本目:悩みの本当の原因を伝える。「自分のせいではなかった」と気づいてもらう
- 2本目:解決の考え方と、全体の道筋を見せる
- 3本目:進め方の見本や、小さく試せる手順を渡す
- 案内:講座の中身、受け取れるもの、申し込み方法を伝える
- 申し込みページ:締め切りまでに決めてもらう
この型で大事なのは、1本ごとに「次も見たい理由」を残すことです。1本目の終わりに「次回は、この原因をどう外すかをお話しします」と予告しておくと、翌日の動画が開かれやすくなります。
そして、案内の前の動画で出し惜しみをしないことです。無料の動画で本当に役立つ話をするほど、「有料の講座ならもっと深く学べる」と感じてもらえます。無料の中身と講座の中身の分け方は、「小さな成果」と「大きな成果」を分けるWHAT設計の考え方がそのまま使えます。
録画だから起きる4つの弱さと、その手当て
ここからが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。録画で自動に売る仕組みには、ライブにはない弱さがあります。先に知っておけば、手当てができます。
| 弱さ | 起きること | 手当て |
|---|---|---|
| 今ここ感がない | 見る人が「録画だな」と気づき、気持ちが冷める | 録画だと隠さず、いつ見ても通じる話し方にする |
| 季節の話ができない | 「もうすぐ年末ですね」が、夏に見る人には違和感になる | 日付・季節・曜日に触れない台本にする |
| 締め切りが軽く見られる | 「また登録すれば見られる」と思われる | 締め切りを過ぎたら、本当に条件を変える |
| 売上はライブより小さくなる | 同じ中身でも、ライブほど申し込みが集まらない | 売上の最大化ではなく、時間の自由のための形と割り切る |
1つ目と2つ目は、台本の問題です。ライブの録画をそのまま使うと、「今日はお集まりいただき」「今夜は冷えますね」といった、その日だけの言葉が残っています。これが、見る人に「これは録画だ」と感じさせます。自動で流す録画は、ライブの流用ではなく、最初から「いつ見ても通じる話」として撮り直すのがおすすめです。録画だと正直に伝えたうえで、「あなたがこれを見ているタイミングで一番役立つ話をします」と言えば、冷められることはありません。
3つ目は、信頼の問題です。締め切りと書いておきながら、過ぎても同じ条件で申し込めるなら、それは締め切りではありません。一度でも知られると、案内全体が信じてもらえなくなります。締め切りの後は、特典がなくなる、価格が戻るなど、本当に条件が変わるように設定しておきます。
4つ目は、受け入れるしかない性質です。ライブには、その場の熱や、参加者どうしの一体感があります。録画でそれを完全に再現することはできません。だから、自動の仕組みは「売上を一番大きくする形」ではなく、「自分が張り付かなくても売れ続ける形」として選ぶものです。
ここで一つ、手当てとして私がおすすめしているのは、自動の仕組みの中に「ライブの場」を少しだけ残すことです。たとえば、講座に申し込んだ人向けに月に一度の質問会を開く、案内のメールの中に「質問があれば返信してください」と書いて本人が答える、といった形です。入口は自動、深い関わりは生身。この組み合わせが、録画の冷たさを和らげてくれます。
自動にする前に、ライブで確かめる
最後に、順番の話をさせてください。自動の仕組みは、最初に作るものではありません。
まだ売れるかどうか分からない案内を自動にすると、うまくいかない流れを毎日そのまま繰り返すことになります。しかも、仕組みを組むには道具の設定や撮影に手間がかかります。手間をかけて作ったものが売れないと、何を直せばいいのかも分かりません。
だから順番は、次のようにします。
- ライブで何度か売ってみる:どの話で反応が良く、どこで質問が出るかを見る
- 売れた流れを書き出す:話の順番、よく出た質問、申し込みの決め手を記録する
- その流れで、録画を撮り直す:いつ見ても通じる話し方にする
- 自動にして、数字を見る:登録した人のうち、何人が見て、何人が申し込んだかを追う
私が少人数で開くチャレンジ企画をすすめているのは、この1つ目と2つ目を短い期間で回せるからです。ライブで参加者の反応を直接見られるので、どこが伝わって、どこが伝わらなかったかがはっきりします。少人数でも売上は作れます。私自身、準備1週間・集客3名のチャレンジ企画で売上600万円になったことがあります。企画の全体像は、チャレンジ企画の完全ガイドにまとめています。
4つ目の数字を見るときは、「登録したひとりあたり、いくらの売上になっているか」を出しておくと便利です。これが分かると、集客にどこまでお金や時間をかけてよいかが決められます。数字の見方は、申込から成約までの9つの数字の見方も参考にしてください。
もう一つ覚えておきたいのは、仕組みは作って終わりではない、ということです。道具も、見込み客の悩みも、少しずつ変わっていきます。一度うまくいった形にこだわりすぎず、反応が落ちてきたら、新しいやり方を小さく試して、合わなければやめる。この身軽さがあると、自動の仕組みは長く働いてくれます。
まとめ
- 自動で売る仕組みには、「その日に決める型」と「数日で信頼を作る型」がある
- 価格・伝わりやすさ・相手との関係の3つの問いで、商品に合う型を選ぶ
- その日に決める型は、開始前のページと見逃した人への案内を必ず用意する。数日かける型は、1本ごとに次を見る理由を残す
- 録画の弱さ(今ここ感・季節・締め切り・売上の小ささ)は、台本の撮り直し、本物の締め切り、小さなライブの場で手当てする
- 自動にする前に、ライブで売れた流れを確かめておく
まずは、手元にあるセミナーの録画を見返して、「今日は」「今夜は」「もうすぐ〇〇ですね」のような、その日だけの言葉に印をつけてみてください。印の数が、撮り直すべき箇所の数です。


