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最後に一度だけ申し込みを聞く人ほど、断られます|気持ちを何度も確かめる個別面談の進め方

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個別面談の終わりに、意を決して「では、お申し込みいただけますか」と聞く。すると相手は少し黙って、「一度、考えさせてください」と答える。何が引っかかっていたのか分からないまま、面談が終わってしまう。

こういう終わり方が続くと、「最後の一言の言い方が悪いのかな」「もっと押したほうがいいのかな」と考えたくなりますよね。でも、原因は最後の一言そのものではありません。

結論から言うと、申し込みの意思を聞く前に、「やってみたいと思っているか」という気持ちを、面談の途中で何度も確かめておくことです。これだけで、最後の一言は驚くほど軽くなります。相手を押す必要もなくなります。

この記事では、気持ちを確かめる質問と、申し込みという行動を確かめる質問の違いを整理し、私が面談で使っている7つの一言を紹介します。あわせて、多くの方がつまずく「高いですね」への向き合い方と、そもそも提案をしないほうがいい相手の見分け方もお伝えします。

最後に一度だけ聞くと断られるのは、相手の心の準備が追いついていないから

気持ちを一度も確かめないまま「お申し込みいただけますか」と聞くと、相手にとっては、まだ心の準備ができていないところで急に決断を迫られる形になります。

すると人は、本当の迷いを口にする前に、「少し考えます」と言って話を終わらせようとします。迷いを話せば、そこからまた説得されるかもしれない。だったら持ち帰ったほうが安全だ、と感じるからです。

山道を一緒に歩いているところを想像してみてください。途中で一度も「このペースで大丈夫ですか」と声をかけずに、いきなり「では頂上まで走りましょう」と言われたら、誰でも足が止まります。途中でこまめに声をかけていれば、相手は無理なく頂上まで来られます。

面談も同じです。最後の一言で決まるのではなく、それまでに何度、相手の今の位置を確かめてきたかで決まります。

「気持ちの確認」と「行動の確認」は、別のもの

面談の中でお客様に確かめることは、大きく分けて2種類あります。

気持ちの確認 行動の確認
確かめるもの やってみたいか、必要だと感じているか 申し込むか、申し込まないか
目的 迷いを早めに見つけ、今の気持ちの位置を知る 最後の決断をしてもらう
回数 面談の途中で何度も 最後に1回
相手の負担 軽い。正直に答えやすい 重い。身構えやすい

営業の世界では、気持ちの確認を「テストクロージング」と呼ぶことがあります。申し込みを迫る前に、気持ちを確かめる質問のことです。ここでは分かりやすく「気持ちの確認」と呼びます。

気持ちの確認は、迷いを早めに見つけるためにある

気持ちの確認の本当の役割は、「やりたい、でも〇〇が心配」という迷いを、早い段階で表に出してもらうことです。

迷いが早く分かれば、提案の途中でその不安に答えられます。最後になって初めて迷いが出てくると、もう時間も気力も残っていません。

私の経験上の目安ですが、面談の中で何度か気持ちを確かめておくと、最後の行動の確認は、ほとんど「確認作業」になります。大切なのは回数そのものより、「確かめずに先へ進まない」という習慣です。

気持ちを確かめる7つの一言

ここからは、私が面談で使っている7つの一言を紹介します。順番は面談の流れに沿っていますが、毎回すべてを使う必要はありません。①と⑥と⑦は、ほぼ毎回入れています。

  1. 何か確認しておきたいことはありますか:説明の区切りごとに挟む一言です。これを入れずに進むと、相手は分からないことを抱えたまま置いていかれます。こまめに聞くと「この人は私のペースに合わせてくれている」と感じてもらえます
  2. 必要ないと感じたら、遠慮なく言ってください:面談の最初に伝える一言です。勇気がいりますが、相手は「売り込まれるかもしれない」という警戒を下ろせます
  3. 始めるとしたら、いつごろからが現実的ですか:時期を聞くと、相手は自分が始めている姿を一度思い浮かべます。「来月からなら」と返ってくれば気持ちは前に進んでいて、「まだ分からない」ならどこかに迷いがある合図です
  4. もし予算の心配がなかったら、やってみたいですか:お金の条件をいったん外して、気持ちだけを確かめます。「それならやりたい」なら残っているのはお金の迷い、「お金の問題ではなくて」なら別の迷いが隠れています
  5. 仮に選ぶとしたら、どれが現実的ですか:プランを見せたあとに使います。「どれがいいですか」ではなく「どれが現実的ですか」と聞くと、理想ではなく自分の生活に当てはめて考えてもらえます
  6. ここまで聞いて、やってみたいと思いましたか:気持ちそのものを確かめる、いちばん基本の一言です。「はい」でも「うーん」でも、そこから次の会話が始まります
  7. お話は以上ですが、申し込みたい気持ちはありますか:説明の締めに入れる一言です。これが呼び水になって、「やりたいんですけど、実は〇〇が気になっていて」という本音が出てきます

②は、特に意外に感じるかもしれません。「必要ないと言われたら困る」と思いますよね。けれども、この一言があると、最後まで話を聞いてくれる人は、本当に関心のある人だけになります。相手が「今回は見送る」を選べると分かっているからこそ、安心して本音を話してくれるのです。

面談の流れの中では、こう使う

たとえば、整体院を営む方との面談で、提案の後半はこんな流れになります。

あなた:ここまでで、何か確認しておきたいことはありますか?
相手:いえ、今のところ大丈夫です。
あなた:ありがとうございます。仮に始めるとしたら、いつごろからが現実的ですか?
相手:繁忙期が落ち着く来月からなら、時間は取れそうです。
あなた:来月からですね。2つのプランをお見せしましたが、仮に選ぶとしたら、どちらが現実的ですか?
相手:個別で見てもらえる上のプランが安心ですね。
あなた:お話は以上ですが、申し込みたい気持ちはありますか?
相手:気持ちはあります。ただ、正直なところ金額が気になっていて……。

最後の一言で、お金の迷いが出てきました。これは失敗ではありません。迷いが表に出たからこそ、一緒に扱えるのです。迷いが出ないまま「考えます」で終わるほうが、ずっと困ります。

出てきた迷いの扱い方は、申し込みを止める5つの迷いと、一緒に解く方法で詳しく解説しています。

気持ちの確認は、追い込むための質問ではない

ここで1つ、線を引いておきます。気持ちの確認は、相手の今の位置を知り、置いていかないための質問です。「さっき、やりたいと言いましたよね」と、答えを盾にして追い込むためのものではありません。

答えがどうであっても、責めずに受け止めてください。そして、言い方はそれまでの会話と同じ調子で。ここで声が硬くなると、相手は身構えて、正直に答えてくれなくなります。

私自身、個別相談で25人中23人にお申し込みいただいたことがあります(成約率92%)。その経験も含めて面談の型を考えてきた中で、いまはっきり言えるのは、最後に押す一言を探すより、途中で確かめる習慣を持つほうが、売り手も買い手も楽になるということです。

「高いですね」と言われたら、言い返さずに4つの順番で受け止める

気持ちを確かめていくと、かなりの確率で出てくるのが「高いですね」という一言です。ここでやってしまいがちなのが、反射的に「いえ、中身を考えれば高くないんです」と言い返すことです。これは相手の感じ方を否定することになり、相手は自分の気持ちを守るために、さらに身構えます。

「高いですね」と言われたら、次の4つの順番で受け止めます。

  1. 否定しない:まずは「そう感じられたんですね」と、そのまま受け止める
  2. 何が高いのかを確かめる:今の家計に対して高いのか、ほかのサービスと比べて高いのかで、話す内容がまったく変わる
  3. 気持ちを確かめる:高いと感じながらも、やってみたい気持ちはあるのかを聞く
  4. 一緒に考える提案をする:「どうすれば始められるか、一緒に考えてみませんか」と誘う

副業でコーチングをしている方との面談なら、こんな形です。

相手:うーん、高いですね……。
あなた:そう感じられたんですね。正直に言っていただいて、ありがとうございます。差し支えなければ教えてください。高いと感じたのは、今のお財布の状況から見てでしょうか。それとも、ほかのサービスと比べてでしょうか?
相手:比べてというより、今の副業の売上を考えると、という感じです。
あなた:なるほど、今の売上から見ると大きな金額ですよね。その上でお聞きしたいのですが、やってみたいという気持ちはありますか?
相手:それはあります。このままSNSだけ続けても変わらない気がしているので。
あなた:ありがとうございます。では、どうすれば無理なく始められるか、一緒に考えてみませんか?

4つ目の「一緒に考えませんか」に「いえ、結構です」と返ってきたら、その方は今は提案を必要としていないのかもしれません。そのときは無理に続けず、気持ちよく面談を終えてください。それも大切な判断です。

必要としていない人には、説明もしない

私が面談でいちばん大切にしている線引きがあります。必要としていない人には売らない。それどころか、説明もしない、ということです。

晴れが続く季節に、傘を熱心に勧められたら、誰でもうんざりします。傘が悪いのではなく、その人が今、傘を必要としていないだけです。必要としていない人に商品の良さを語っても、相手にとっては時間を奪われる体験にしかなりません。そして「あの人は売り込んでくる人だ」という記憶が残ります。

見分けるための3つのサイン

  • 悩みを聞く段階で、今の状態に「特に困っていない」「満足している」と答えた
  • ②の一言(必要ないと感じたら言ってください)に、早い段階で「やっぱり違うかも」と返ってきた
  • ⑥の一言(やってみたいと思いましたか)に、迷いではなく、はっきり「思わない」と答えた

こうしたサインが出たら、提案を続けずに、正直に伝えます。

あなた:お話を伺って、今は私のプログラムは必要ないかもしれないと感じました。無理にお勧めするものではないので、今日はここまでにしましょう。もし状況が変わって、また話を聞いてみたいと思ったら、いつでも声をかけてください。

「せっかくの見込み客を逃すのでは」と心配になるかもしれません。実際は逆です。手放された相手は、あなたを「押し売りしない人」として覚えています。状況が変わったときに真っ先に思い出してもらえるのは、こういう終わり方をした相手です。

そして、空いた時間を、本当に必要としている人との面談に使えます。少人数でも売上は作れる、というのは、必要な人にだけ時間を使うからこそ成り立つ話です。その場で申し込みにならなかった方との、その後の関わり方は成約後・未成約後・検討中のフォローでまとめています。

まとめ

  • 確かめることは2種類。気持ちの確認は途中で何度も、行動の確認は最後に1回
  • 気持ちの確認の目的は、迷いを早めに表に出してもらうこと。追い込むためではない
  • 7つの一言のうち、①確認したいこと、⑥やってみたいか、⑦申し込みたい気持ちは、ほぼ毎回使う
  • 「高いですね」には言い返さない。否定しない、何が高いかを確かめる、気持ちを確かめる、一緒に考える、の順番で
  • 必要としていない人には説明もしない。「今回は見送る」を選べる面談のほうが、信頼が残る

次の一歩として、あなたの面談の台本に、①「何か確認しておきたいことはありますか」を入れる場所を3か所決めてみてください。説明の区切りごとに1回ずつ。それだけで、最後の一言の重さが変わります。