新しい講座ができたとき、多くの方は、メールやLINEの名簿に登録している人全員に案内を送ります。せっかく集めた名簿ですし、一人でも多くの人に知ってほしいですよね。
ところが、それを何度か繰り返すと、名簿の様子が変わってきます。開かれるメールの割合が下がる。登録を解除する人が増える。以前はよく反応してくれていた人からも、返事が来なくなる。講座の中身は良いはずなのに、案内するたびに名簿が疲れていくような感覚になります。
結論から言うと、原因は案内の中身ではなく、届ける相手を分けていないことです。名簿には、さまざまな悩みを持つ人が混ざっています。新しい講座のテーマに関心がある人もいれば、まったく関係のない人もいます。全員に同じ販売前の案内を送れば、関心のない人にとっては毎日届く売り込みです。
この記事では、講座ごとに「知りたい人だけが手を挙げる入口」を作り、その人たちにだけ案内を届ける5つの手順を解説します。
全員への一斉案内が、名簿を疲れさせる理由
名簿に登録してくれた人は、登録したときにそれぞれ理由を持っています。ある人は無料の資料が欲しかった。ある人は、あなたの考え方が好きで読み続けている。ある人は、特定の悩みの解決策を探していた。
新しい講座のテーマは、そのうちの一部の人の悩みにしか当たりません。当たらない人に販売前の案内が続けて届くと、何が起きるか。最初は読み流し、そのうち開かなくなり、最後には登録を解除します。そして困ったことに、一度開かなくなった人は、次に本当に関心のある案内が届いたときにも、開いてくれないことがあります。
逆に、関心のある人の側から見ても、全員向けの案内は届きにくいものです。誰にでも当てはまるように書かれた文章は、一人ひとりの悩みには刺さりません。
| 送り方 | 関心のある人 | 関心のない人 |
|---|---|---|
| 全員に同じ案内を送る | 自分向けの話に聞こえにくい | 売り込みが続く負担になる |
| 手を挙げた人だけに送る | 待っていた話として読む | 普段どおりの配信だけが届く |
表のとおり、分けて送ることは、関心のある人と関心のない人、両方のためになります。
手を挙げた人に届ける、という考え方
ここでの考え方はシンプルです。新しい講座を案内するときは、いきなり販売の案内を全員に送るのではなく、まず「このテーマの話を詳しく知りたい人だけ、手を挙げてください」と呼びかけます。手を挙げた人を、その講座のための小さな名簿に集め、販売前の案内や販売の話は、その名簿にだけ届けます。
手を挙げてくれた人は、自分からそのテーマを選んだ人です。売り込まれているのではなく、自分が頼んだ情報を受け取っている、と感じます。そのため、同じ案内でも受け取られ方がまったく違います。
これは、少人数でも売上を作るための考え方とも重なります。大事なのは名簿の人数の多さではなく、その講座を本当に必要としている人に、深く届いているかどうかです。
講座ごとの名簿を作る5つの手順
では、具体的にどう進めるか。私は次の5つの手順で考えています。
- 講座のテーマを「誰の、どんな悩みか」の一言にする
- 手を挙げてもらう入口の中身を用意する
- 全体の名簿には、入口の案内だけを送る
- 手を挙げた人にだけ、販売前の案内と販売の話を届ける
- 手を挙げなかった人には、普段どおりの配信を続ける
手順1:講座のテーマを「誰の、どんな悩みか」の一言にする
最初に、新しい講座が「誰の、どんな悩みを解決するのか」を一言にします。ここが曖昧だと、手を挙げてもらう呼びかけも曖昧になります。
「集客の講座」では広すぎます。「発信を続けているのに、問い合わせが一件も来ない人のための講座」のように、読んだ人が「自分のことだ」と分かる形にします。講座の相手の決め方は、WHO設計の11項目で詳しく解説しています。
手順2:手を挙げてもらう入口の中身を用意する
次に、手を挙げてくれた人に最初に渡すものを用意します。講座のテーマに直結した、小さくて役に立つものです。
- テーマに絞った短い資料
- 数日間で届く短いメール講座
- テーマに絞った無料の説明会や勉強会
ここで渡す中身は、講座の一部を切り出すのではなく、講座のテーマの「入口の悩み」を一つ解決するものにします。見込み客にとっての価値は、自分の悩みが解決に近づくかどうかです。入口の中身で一つ悩みが軽くなると、「この人の講座なら、残りの悩みも解決してくれそうだ」と感じてもらえます。
手順3:名簿全体には、入口の案内だけを送る
名簿の全員に送るのは、入口の案内だけです。「こういう悩みを持つ方のために、短い資料を用意しました。欲しい方はこちらから受け取ってください」という形です。
ここでは、講座そのものを売り込みません。関心のない人は、この案内を読み流すだけで済みます。一通で終わるので、負担にもなりません。関心のある人は、自分から入口に進んでくれます。
手順4:手を挙げた人にだけ、販売前の案内と販売の話を届ける
入口から登録してくれた人の名簿ができたら、販売前の案内は、この名簿にだけ届けます。悩みを一つずつ解決していく連続の案内や、講座の説明、申し込みの受付です。
この名簿の人たちは、同じ悩みで手を挙げた人たちなので、案内の文章も一人の読者に向けるように書けます。全員向けの文章より、ずっと具体的に書けるはずです。
手順5:手を挙げなかった人には、普段どおりの配信を続ける
手を挙げなかった人は、今回のテーマに関心がなかっただけです。関係が切れたわけではありません。この人たちには、販売の話を入れずに、普段どおりの役に立つ配信を続けます。
次の講座のテーマが、この人たちの悩みに当たるかもしれません。そのときに、名簿が疲れていなければ、案内はちゃんと開かれます。講座を買った人と買わなかった人で届ける内容を分ける考え方は、買った人・買わない人で分ける名簿の使い方も参考になります。
たとえば、片付けを教える人がいたとします
例を出してみます。片付けや収納を教えていて、名簿には片付け全般に関心のある人が登録している人がいたとします。新しく「実家の片付けに悩む人のための講座」を作りました。
名簿の全員に販売の案内を送れば、自分の部屋の片付けに悩んでいる人や、子ども部屋の収納に悩んでいる人にも、実家の話が毎日届きます。そこで、まず全員に「親の家の片付けで悩んでいる方向けに、最初に手をつける場所をまとめた資料を用意しました」と一通だけ送ります。
資料を受け取った人は、まさに実家の片付けで困っている人たちです。この人たちにだけ、数日かけて悩みを一つずつ整理する案内を届け、最後に講座の案内をします。手を挙げなかった人には、いつもどおりの片付けの話を送ります。
同じ片付けというテーマの中でも、悩みごとに入口を分けていくと、名簿は小さな名簿の集まりになっていきます。そうなれば、次の講座を作るときも、誰に何を届ければいいかが見えやすくなります。
手を挙げた人の反応は、講座を直す手がかりになる
講座ごとの名簿を作ると、もう一つ良いことがあります。手を挙げた人の数と反応が、そのまま講座づくりの手がかりになることです。
入口の案内を全体の名簿に送って、手を挙げる人がほとんどいなかったとします。これは失敗ではありません。今の読者にとって、そのテーマはまだ切実ではない、という大事な情報です。講座を作り込む前に分かれば、テーマの言い方を変えるか、別の悩みから入り直すかを選べます。
反対に、手を挙げた人が多く、入口の資料への感想もよく届くなら、そのテーマには需要があります。感想の中に出てくる言葉は、販売前の案内や講座の説明にそのまま使える、見込み客自身の言葉です。
手を挙げた人に「一番困っていることは何ですか」と一言だけ聞いてみるのも効果があります。返ってきた答えを読むと、講座のどこに力を入れるべきかが見えてきます。全員に一斉に送っていたときには分からなかった、テーマごとの手応えが、名簿を分けることで見えるようになります。
名簿を分けるときの注意点
名簿を分けるときに、気をつけたいことが2つあります。
1つ目は、配信の仕組みによっては、同じ人が複数の名簿に登録されると、それぞれ一人として数えられ、利用料が上がることがあるという点です。ただ、それで開かれる案内が増え、解除が減るなら、費用より得るものの方が大きいことが多いです。数字を見比べて判断してください。
2つ目は、名簿を細かく分けすぎないことです。講座ごと、悩みごとに分けるのは良いのですが、管理しきれないほど分けると、誰に何を送ったかが分からなくなります。「今案内している講座の名簿」と「全体の名簿」の2つを軸にして、そこから少しずつ増やすくらいがちょうどいいです。
チャレンジ企画も「手を挙げた人」の場
ここまでの話は、私がチャレンジ企画で行っていることと同じ形です。チャレンジ企画は、3日間の企画の募集に申し込んだ人だけが参加します。募集の段階で「このテーマに取り組みたい人」が手を挙げ、その人たちにだけ3日間の中身と、最後の個別面談の案内が届きます。
私のチャレンジ企画には、集客3名で売上600万円になった回があります。人数が少ない回でも、売上が生まれることはあります。だからこそ、名簿の人数を増やすことだけに目を向けるより、手を挙げた人に深く届ける形を整える方が先だと考えています。募集の文章の組み立て方は、申し込みが来る募集文の11の構成で解説しています。
まとめ
- 名簿の全員に販売前の案内を送ると、関心のない人の負担になり、名簿が疲れていく
- 新しい講座を案内するときは、まず「知りたい人だけ手を挙げてください」と呼びかける
- 手を挙げた人を講座ごとの名簿に集め、販売前の案内と販売の話はそこにだけ届ける
- 手を挙げなかった人には、販売の話を入れずに普段どおりの配信を続ける
- 名簿は「今の講座の名簿」と「全体の名簿」の2つを軸に、分けすぎないようにする
まずは、次に案内したい講座のテーマを「誰の、どんな悩みか」の一言にしてみてください。その一言が、手を挙げてもらう入口の呼びかけになります。


