自分の知識や経験を講座にしようと決めた。まずは関連する本を読み直し、ほかの人の発信を調べ、メモを集める。気づけば数週間が過ぎているのに、講座の1本目がまだできていない。こういう方はとても多いです。
真面目な人ほど、「ちゃんと調べてから作らないと、中身の薄い講座になってしまう」と考えます。その気持ちは自然です。でも、調べれば調べるほど「あれも入れたい、これも大事だ」と材料が増え、どこから手をつければいいのか分からなくなっていきます。
結論から言うと、講座が完成しない原因は知識の量ではなく、作る順番にあります。先に調べるのではなく、先に「中身が空っぽの骨組み」を作る。題名と見出しだけを並べた骨組みがあれば、調べるべきことは骨組みの穴の分だけになり、講座は驚くほど早く仕上がります。
この記事では、調べ物から始めると講座が終わらない理由、空の骨組みとは何か、骨組みから講座を仕上げる5つの手順、そして骨組みの段階でできる確認について解説します。
調べ物から始めると、講座は終わらない
まず、多くの人が無意識にやっている順番を見てみます。
- とにかく調べる:本や動画、ほかの人の発信を見て、材料を集める
- 集めた材料から全体を考える:材料が多すぎて、何が大事か決められない
- ようやく作り始める:方向が定まっていないので、何度もやり直す
この順番のいちばんの問題は、調べ物に終わりがないことです。「どこまで調べれば十分か」を決めるものが何もないので、集めるほど足りない気がしてきます。
もう一つの問題は、集めた材料をできるだけ使いたくなることです。せっかく調べたのだから入れておこう。その積み重ねで、講座は「受講者が学びたいこと」ではなく「作り手が知っていること」の並びになっていきます。講座が長いのに伝わらないのは、材料が多すぎるからです。
そして、完成が遅れれば、売り出すのも遅れます。講座がないので売上が立たず、「講座ビジネスは自分には向いていない」と感じてやめてしまう。これはもったいない終わり方です。どんなに良い知識を持っていても、講座が完成しなければ、受け取れる人は一人もいません。
先に作るのは、中身が空の「骨組み」
では、どうするか。順番を逆にします。
- 最初にゴールを決める:受講者に、講座のあとで何ができるようになってほしいか
- 空の骨組みを作る:ゴールから逆算して、題名と見出しだけを並べる
- 穴を埋める分だけ調べる:骨組みの空いているところに必要な材料だけを集める
- 仕上げる:設計図があるので、迷わずに作れる
ここで言う「空の骨組み」とは、講座の題名と、各回で話す見出しだけが順番に書かれた資料のことです。中身の説明文はまだ書きません。家を建てるときに、壁紙より先に間取り図を描くのと同じです。
たとえば、こんな形です。
| 並び | 書くこと |
|---|---|
| 題名 | 〇〇ができるようになる講座 |
| 見出し1 | そもそも〇〇とは何か |
| 見出し2 | なぜ今、〇〇が必要なのか |
| 見出し3 | 〇〇を身につけると、どう変わるのか |
| 見出し4 | 〇〇の具体的な進め方 |
これだけで、講座の全体が1枚で見渡せます。見出しの下は、まだ空っぽで構いません。空いているからこそ、「ここを埋めるには何が必要か」がはっきりします。
骨組みから講座を仕上げる5つの手順
ここからは、骨組みを作って講座を仕上げるまでの手順です。
手順1:3つのことを先に決める
骨組みを作る前に、次の3つを決めます。
- 誰のための講座か:どんな状況で、何に困っている人か
- 受講の前提は何か:どのくらいの知識がある人向けか、何を用意してもらうか
- 受講したあと、何ができるようになるか:できるようになることを3〜5個、短い文で書く
特に3つ目の「できるようになること」が、講座のゴールです。ゴールが決まっていれば、それに関係のない材料は入れなくていいと判断できます。対象者の決め方は、WHO設計の11項目と選び方の5基準でも詳しく書いています。
手順2:題名と見出しだけを並べる
次に、ゴールから逆算して見出しを並べます。1回分の話につき、見出しは1行です。ここでは言葉を磨かなくて構いません。自分が分かればいい、仮の見出しで十分です。
見出しを並べる順番に迷ったら、「それは何か」「なぜ大事か」「身につけるとどうなるか」「どうやるか」の順が使えます。いきなり「どうやるか」から並べないのがポイントです。
手順3:見出しの下に、話したいことを単語で書く
見出しが並んだら、それぞれの下に、話したいことを単語や短い言葉で箇条書きにします。文章にはしません。
たとえば「そもそも〇〇とは何か」の下なら、「一言でいうと」「よくある誤解」「身近なたとえ」「例:〇〇の場面」くらいの書き方で十分です。ここで説明文を書き始めると、それはもう骨組みではなくなり、また手が止まります。
手順4:空いているところだけを調べる
単語を並べると、「ここは自分の言葉で話せる」ところと、「ここは確かめないと話せない」ところが分かれます。調べるのは、後者だけです。
たとえば、話の中で使いたい事実や、手順の細かい部分など、確認が必要なところに印をつけておきます。これで調べ物に「ここまで」という線が引けます。調べ物は、骨組みの穴を埋めるためだけにやる。 これが、講座を早く仕上げるいちばんのコツです。
手順5:1回分ずつ仕上げる
最後に、見出しごとに話す内容や資料を仕上げていきます。全体の流れはもう決まっているので、1回分ずつ順番に作るだけです。途中で「やっぱり構成が違った」と大きく作り直すことも、ほとんどなくなります。
骨組みの段階だから、直せること
空の骨組みには、早く作れる以外にも良いところがあります。中身を作り込む前だからこそ、大事なところを安く直せることです。
1つ目は、題名を見直せることです。「〇〇とは何か」の見出しに一言で答えてみると、題名よりも受講者に伝わる言い方が見つかることがあります。そのときは、題名のほうを変えればいい。作り込んだあとなら大ごとですが、骨組みなら書き換えるだけです。
2つ目は、教える範囲を決められることです。「どうやるか」の見出しを書いていると、「この道具の使い方まで全部教えるのは無理だ」と気づくことがあります。それなら、講座で扱う範囲と扱わない範囲を先に決めておけます。
3つ目は、見込み客に見せて反応を確かめられることです。骨組みを見せて「こういう講座を考えています。興味はありますか」と聞けば、作る前に需要を確かめられます。返ってきた言葉は、そのまま見出しの言い回しに使えます。その整理の仕方は、見込み客が普段使う言葉に言い換える方法で解説しています。
| 骨組みの段階でできること | 作り込んだあとだと |
|---|---|
| 題名や約束を変える | 中身と合わなくなり、大きく作り直しになる |
| 教える範囲を決める | 入れすぎた部分を削るのに時間がかかる |
| 見込み客の反応を確かめる | 反応が悪くても、作った時間は戻らない |
たとえば、話し方を教えたい人がいたとします
イメージしやすいように、例を出してみます。人前で話すのが苦手な人に、話し方を教える講座を作りたい人がいたとします。
この人は最初、話し方の本を何冊も読み直し、発声や姿勢、資料の作り方まで調べ始めました。すると材料が多すぎて、どこから手をつけるか決められなくなります。
そこで順番を変えます。まず「受講したあと、会議で3分間、落ち着いて自分の意見を言えるようになる」とゴールを決めます。すると、資料の作り方は今回の講座には要らないと分かります。見出しは「話すのが怖くなる理由」「話す前に決める3つのこと」「話の組み立ての型」「練習の進め方」の4つになりました。
見出しの下に単語を並べてみると、自分の経験で話せるところがほとんどで、確かめる必要があるのは一部だけでした。調べ物は数日で終わり、講座の形が一気に見えてきます。
骨組みづくりでやりがちな3つの失敗
最後に、骨組みを作るときによくある失敗も挙げておきます。
- 見出しを整えることに時間をかける:言葉選びは仕上げの段階でいい。骨組みの段階では、自分が分かる仮の言葉で進めます
- 見出しの下に文章を書き始める:説明文を書いた時点で、手がまた止まりやすくなります。単語と短い言葉だけにとどめます
- 見出しを増やしすぎる:ゴールに関係ない見出しは、別の講座の候補として脇に置いておきます。1つの講座に全部を入れようとしないことです
骨組みは、完璧である必要はありません。むしろ、直しやすい粗さが残っていることに意味があります。
作り込む前に売る、という選択
ここまでの考え方は、私がチャレンジ企画を勧めている理由とも重なります。
私自身、独立したばかりのころは、何をどの順番でやればいいのか分からず、発信を続けても売上につながりませんでした。当時いちばん欲しかったのは、「これをこの順番でやればいい」という手順です。そして分かったのは、完璧な講座を先に作る必要はない、ということでした。
チャレンジ企画では、講座を作り込む前に、3日間の中で参加者に小さな成果を出してもらい、その先を学びたい人に講座を案内します。講座の中身は、骨組みの段階でも案内できます。実際に私は、準備1週間・集客3名で売上600万円になったことがあります。作り込んでいたら、1週間では間に合いませんでした。全体の流れはチャレンジ企画の完全ガイドで、3日間で何を渡すかは「小さな成果」と「大きな成果」を分けるWHAT設計で解説しています。
骨組みは、講座を早く作るための道具であると同時に、講座を早く届けるための道具でもあります。
まとめ
- 講座が完成しない原因は知識の量ではなく、調べ物から始める順番にある
- 先に「誰のため・前提・できるようになること」を決め、題名と見出しだけの空の骨組みを作る
- 見出しの下は単語で書き、確かめが必要な穴の分だけを調べる
- 骨組みの段階なら、題名・教える範囲・需要の確認を安く直せる
- 完璧に作り込む前に、骨組みの段階で届け始めることもできる
まずは、作りたい講座について「受講したあと、何ができるようになるか」を3つ書き出し、その下に見出しを4つだけ並べてみてください。それが、あなたの講座の設計図の1枚目になります。


