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1つの価格しか出さない人ほど、選ばれる理由を失います|3つのコースを並べる商品設計と価格の決め方

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講座の価格を伝えると、「少し高いですね」と言われる。他の講座と比べられ、値下げしたほうがいいのか迷う。価格が1つしかないと、お客様は「買うか、買わないか」の2択で考えるしかありません。

かといって、とりあえず安いコースと高いコースを足せばよいわけでもありません。安いほうは中身を削り、高いほうに特別な中身を足す。こうして作ったコースは、どれを選んでも満足しにくい形になりがちです。

結論から言うと、価格は「かかった手間」ではなく「得られる変化」で考えます。そのうえで、教える中身と約束する成果は同じにして、サポートの深さだけを変えた3つのコースを並べます。お客様は「いくら払えるか」ではなく「どれだけ手を借りたいか」で選べるようになります。

この記事では、価格の根拠の作り方、比べられる相手の決め方、責任を持てる人数からの逆算、3つのコースの分け方と並べ方、断られたときの示し方をお伝えします。

価格は「手間」ではなく「変化」で考える

価格を決めるとき、自分がかけた時間から計算したくなります。たとえば、毎週45分の個別伴走を3か月続けると12回、合わせて9時間です。これを「1時間いくら」で値段にすると、お客様は1時間の相談の値段と比べ始めます。

手間から決めた価格は、お客様にとっての値打ちと関係がありません。私も独立したばかりの頃、無料相談を重ねても成約につながらない時期がありました。振り返ると、自分の時間を差し出すことばかり考えていて、相手が何を手に入れるのかを言葉にできていませんでした。

変化から考える3つの問い

たとえば、事務職の人向けに、3か月で担当業務10個のAI手順書をそろえるプログラムを作ろうとしている人がいたとします。価格の根拠は、次の3つの問いで考えます。

  1. 受け終わったあとも残るものは何か:10個の手順書は、終わったあとも毎日の業務で使い続けられる
  2. 手に入れないと、何が続くか:今の残業や、毎日同じようなメールを書く時間がそのまま続く
  3. 誰にとっての値打ちか:本人だけでなく、手順書を受け取るチームや、効率化を任せた上司にも値打ちがある

お客様が比べるのは、9時間の相談の値段ではありません。この変化を手に入れないまま過ごす時間です。ただし、変化が大きいからといって、いくらでも高くしてよいわけではありません。次の2つで絞り込みます。

比べられる相手を、自分で決めておく

お客様は価格だけを見て決めるわけではなく、たいてい何かと比べます。何と比べられるかを自分で決めておかないと、一番安いものと比べられてしまいます。

比べられる相手 例 違い
無料の動画・本 AIの使い方の解説 自分の業務に当てはめるところは、自分でやるしかない
一般向けの講座 使い方を広く教える講座 例が営業や企画向けで、事務の業務に当てはめにくい
会社の研修 社内で一斉に受ける研修 一度きりで、自分の手順書までは作らない
自分の1つ目の講座 入口として売っている短い講座 手順書の数が少なく、チームに渡すところは扱わない
何もしない 今のまま残業で乗り切る お金はかからないが、同じ作業が続く

一番手ごわいのは「何もしない」です。そして見落としやすいのが、自分の1つ目の講座です。違いを言えないと「1つ目で十分」と思われます。手順書の数、期間、チームに渡すところまで扱うかどうか、のように違いを言えるようにしておきます。

比べる相手を決めると、説明する言葉も決まります。値段の安さで勝とうとせず、相手にない違いを1つ言えれば十分です。

責任を持てる人数から逆算する

価格を決める最後の材料は、自分が責任を持てる人数です。

この例の講師が事業に使えるのは、週8時間だとします。発信や無料セミナー、個別相談などの入口の活動におよそ2時間、1つ目の講座におよそ2時間。2つ目の商品に使えるのは、残りのおよそ4時間です。

個別伴走は、45分の面談に準備と記録を足して、一人およそ1時間かかります。3人なら週3時間。残りの1時間で、グループ実践会や添削、メールの質問に答えます。もう一人増やすと、個別伴走だけで4時間になり、ほかのサポートの約束が守れません。だから、個別に伴走するコースは同時に3人までにします。

この計算は、AIに手伝ってもらうと早く進みます。ただし、AIは計算を間違えることがあります。前提にした時間をすべて書き出してもらい、出てきた数字は自分でも電卓で確かめてください。

人数の上限は、売り方の演出ではありません。責任を持てる範囲を数字で確かめた結果です。だから、お客様に聞かれたら理由と一緒に正直に伝えられます。

人数に上限があるなら、安くして人数で売上を作ることはできません。高めの価格は、その人数に毎週の伴走まで責任を持つための価格です。反対に、教える側の時間をほとんど使わないコースは、価格を抑えて、より多くの人に届けられます。人数の上限と価格を一緒に設計するから、少人数でも売上は作れるのです。

中身は同じ、サポートの深さで3つに分ける

ここまでの考え方を、3つのコースとして並べます。多くの方が最初に考えるのは「安いコースは中身を減らす」という分け方です。けれども、それでは安いコースを選んだ人が成果にたどり着けません。成果が出なければ、感想も紹介も生まれず、上のコースに進むこともありません。

そこで、教える中身と約束する成果は3つとも同じにして、サポートの深さだけを変えます。

自分で進める 仲間と進める 個別に伴走する
価格 入門の価格 中くらい 高めの価格
中身 動画講座+手順書テンプレート 同じ 同じ
サポート メールでの質問 上に加えて、隔週のグループ実践会+添削 上に加えて、毎週の個別伴走+職場の業務を一緒に仕組みにする
約束する成果 3か月で手順書10個をそろえ、残業時間を測り直す 同じ 同じ

中身を同じにすると、良いことが3つあります。どのコースからでも同じ約束にたどり着けること。教材を1組作るだけで済むこと。そして、選ぶ基準が「値段の高い安い」ではなく「どう進めたいか」になることです。届け方の作り方は届け方の設計で詳しくお伝えしています。

「向いていない人」も書いておく

コースを作るときは、価格より先に「誰のためのコースか」を1文で書きます。あわせて、向いていない人も書いておきます。

自分で進める 仲間と進める 個別に伴走する
向いている人 手順があれば自分で進められる 一人だと後回しになりやすい 職場に合わせて一緒に作りたい
向いていない人 締切がないと手が止まる 毎回の日程を合わせられない 自分のペースで静かに進めたい
受け入れ人数 上限なし 実践会が回る人数まで 同時に3人まで

合わないコースを選んだ人は、成果が出にくくなります。向いていない人をはっきりさせることは、お客様を守ることでもあり、自分の評判を守ることでもあります。

選びやすく並べ、誘導しない

並べ方には3つの決まりを置きます。

  1. サポートの浅い順に並べ、上のコースには「上に加えて」と足したものだけを書く
  2. 3つとも同じ中身は1か所にまとめ、違いだけを目立たせる
  3. 向いている人を、価格より先に書く

3段階の価格というと、高すぎる最上位を置いて真ん中を安く見せる使い方をよく見かけます。私は、この使い方はお勧めしません。売るつもりのない最上位は、お客様を誘導するための見せかけになるからです。そして真ん中を選んだ人が、本当は自分で進めるコースで足りる人だったら、余計なお金を払わせたことになります。

3つとも実際に売るコースで、どれを選んでも約束は同じ。この「全部本物」であることが、売り込まずに売れる並べ方の前提です。プラン名の付け方や一覧表の見せ方は、選ばれるオファー一覧表の作り方も参考にしてください。

「どれがおすすめですか」と聞かれたら

答えを「あなた次第です」で終わらせず、2つか3つの質問で一緒に決めます。

  • 3か月の間、毎週、自分で手を動かす時間を取れそうですか
  • これまで、一人で始めたことが途中で止まった経験はありますか
  • 手順書を、チームの業務にも広げる予定はありますか

1つ目が「はい」で2つ目が「いいえ」なら、自分で進めるコースで足ります。2つ目が「はい」なら、仲間と進めるコースが合います。3つ目が「はい」で職場に合わせた形が要るなら、個別に伴走するコースを案内します。

値下げの前に、断られた理由を見直す

申し込みが来ないと、値下げしたくなります。けれども、値下げはどの穴もふさぎません。誰の悩みかがぼやけたまま安くしても、お客様は「自分のことだ」とは思いません。

「高い」と言われても、本当の理由は「自分にできるか不安」「今は時間が取れない」ということがよくあります。前者は道筋と伴走が伝わっていない問題で、後者は時期の問題です。どちらも値下げでは解決しません。

見送る理由によって、示すものを変えます。

見送る理由 示すもの
予算が合わない 同じ約束で、サポートが浅いコース
まず自分で試したい 小さく始められる入口の商品
今は時間が取れない 何も売らず、次の開始日を伝えて終える

断られた直後に同じコースを値引きして出し直すことは、しません。先に通常の価格で申し込んだ人に説明がつかなくなり、価格の根拠も崩れます。予算が合わないなら、価格を下げるのではなく、サポートの深さが違う別のコースを示す。これが、3つのコースを用意しておく本当の意味です。保証をどのコースに付けるかは、期限と保証の付け方でお伝えします。

まとめ

  • 価格は手間ではなく、お客様が得る変化から考える。時給で説明すると、相談の値段と比べられる
  • 比べられる相手(無料の手段・ほかの講座・自分の1つ目の講座・何もしない)を決め、違いを1つ言えるようにする
  • 責任を持てる人数を自分の時間から逆算し、人数と価格を一緒に設計する
  • コースは中身と約束を同じにして、サポートの深さで3つに分ける。向いている人を価格より先に書き、見せかけのコースは作らない
  • 値下げの前に断られた理由を見直し、合う人には別のコースを、時間がない人には何も売らずに終える

まずは今の商品のサポートを書き出し、「自分で進める・仲間と進める・個別に伴走する」のどこに入るかを分けてみてください。