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約束する成果があいまいな商品ほど、比べられて選ばれません|お客様の「今」と「理想」から約束を決める方法

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講座の説明をしたあとに、「結局、何ができるようになるんですか?」と聞かれる。丁寧に話したつもりなのに、相手の顔がぴんと来ていない。そんな経験はありませんか。

高額の商品ほど、お客様は「払ったお金で何が手に入るのか」を確かめてから申し込みます。そこがあいまいだと比べる材料がなく、分かりやすくて安いほうへ流れていきます。

結論から言うと、約束する成果は、お客様の「今」と「理想」とその間にある「障害」を、お客様自身の言葉で書き出すところから決めます。そして、責任を持てる「約束する成果」と、その先の「目指す成果」の2つに分けます。

この記事では、今と理想の書き出し方、障害の挙げ方、お客様の言葉の集め方、約束の決め方と確かめ方、期間と到達点の置き方を順番にお伝えします。

今と理想は「3つの面」で書き出す

お客様は変化にお金を払います。変化とは、今の状態(Before)と理想の状態(After)の差です。差が見えなければ、変化も見えません。だから最初に、BeforeとAfterを書き出します。

このとき、実務の面だけで書くと浅くなります。周りからどう見られているか、本人がどう感じているか、という面も一緒に書きます。3つの面で書くと、なぜその人がお金を払ってでも変わりたいのかが見えてきます。

たとえば、事務職の人向けにAIで仕事を早くする講座を教えている人がいたとします。次に作る商品の相手は、会社から業務の効率化を任された事務職のリーダーです。

面 Before(今) After(理想)
実務 AIを試してはいるが、やり方が自分の頭の中にしかない 担当業務10個のAI手順書がそろい、誰が見ても同じ手順で進められる
周りの目 上司から「で、どれくらい減ったの?」と聞かれて答えられない 測り直した残業時間を、数字で報告できる
気持ち 任されたのに進まず、焦っている 次はチームに広げよう、と次の一手が見えている

Afterは目に見える言葉、Beforeは場面で書く

Afterを「楽になる」「自信がつく」で止めないことが大切です。気持ちを書いたら、それが行動や状態でどう見えるかを1つ足します。「自信がつく」なら「上司に数字で報告できる」と書きます。こうしておくと、あとで約束を決めるときにそのまま材料になります。

Beforeは、困っている場面が目に浮かぶように書きます。「業務が多い」ではなく「月末の報告書の時期に、毎日残業している」のように書くと、読んだ人が「それは私のことだ」と気づきやすくなります。

理想にたどり着けない「障害」を3つ挙げる

BeforeとAfterが書けたら、次に考えるのは、なぜその人が自分の力だけでAfterにたどり着けないのか、です。この理由を「障害」と呼び、3つに絞って書きます。

障害が大切なのは、それが商品の中身を決めるからです。障害が1つもなければ、お客様は自分でAfterにたどり着けます。お金を払う理由がありません。障害を1つずつ取り除くものが、商品の提供物になります。

障害 どんな状態か 取り除くもの
① どの業務から任せるか選べない 業務が多すぎて、AIに任せる順番が決まらない 業務の棚卸しの型と、一緒に選ぶ時間
② 手順として残らない うまくいっても毎回やり方がばらつき、人に渡せない 手順書のテンプレートと、添削
③ 一人では続かない 忙しい週に止まり、そのまま再開できない 仲間との実践会や、個別の伴走

障害を挙げるときの2つの注意

1つ目は、お客様のせいにしないことです。「やる気がない」「行動しない」は障害ではありません。なぜ動けないのかという、仕組みの側を書きます。

2つ目は、自分では取り除けない障害を約束の外に置くことです。たとえば「会社のAIの使用ルールが決まっていない」は、教える側が動かせることではありません。扱わないことを先に決めておくと、約束を守れる範囲に収められます。

お客様の言葉は、すでに手元にある

BeforeとAfterは、自分の言葉よりお客様の言葉で書くほど伝わります。自分できれいにまとめた言葉より、お客様が口にした言葉のほうが、同じ立場の人に届くからです。

すでに講座や相談をしている人には、大きな強みがあります。お客様と話してきた記録が手元にあることです。新しく調べる前に、次の3つを見直してください。

  1. 相談のメモ(最初に口にした悩み)
  2. アンケートの答え(「もっとこうしてほしい」と書かれたこと)
  3. 体験会やセミナーの声(チャットや質問、終わったあとの感想)

そのままの言葉と、自分の解釈を分ける

集めた言葉は、言い換えずにそのまま記録します。きれいにまとめると、一番大事な気持ちが消えてしまうからです。そのうえで、自分の解釈を隣に書きます。

そのままの言葉 意味(自分の解釈)
自分はできるようになったけど、人に説明できない やり方を手順として残す方法が欲しい
上から「で、どれくらい減ったの?」と聞かれて答えられない 成果を数字で示したい
一人でやっていると、忙しい週に止まってしまう 続けるための伴走が欲しい

同じ意味の言葉が何回出てきたかを数え、3回以上出てきたものを残します。勘ではなく回数で決めるので、再現性があります。

聞くときは、意見ではなく事実を聞く

足りない言葉をお客様に直接聞くときは、「こんな講座があったら欲しいですか」とは聞きません。人は相手に気を使って「欲しい」と答えがちだからです。代わりに、「最後にその業務で困ったのはいつですか」「そのために何を試しましたか」のように、過去の事実を聞きます。「上司には、成果をどう報告していますか」と聞けば、お金を出す人が何を知りたいかも見えてきます。聞いた内容は名前を伏せて記録し、個人が分かる情報はAIに貼りません。

AIに「お客様役」をしてもらい、説明文を読ませて気になる点を挙げてもらうのも、ずれに早く気づく方法です。ただし、AIが「申し込みたいです」と答えても、需要がある証拠にはなりません。AIのお客様役は、本物のお客様に聞く質問を見つけるための練習相手です。

「約束する成果」と「目指す成果」を分ける

ここからが約束の決め方です。成果は2つに分けて書きます。

  • 約束する成果:期間内に、責任を持って届けられる成果
  • 目指す成果:その先にある、お客様の本当の願い

分ける理由は、1つにまとめるとどちらかが崩れるからです。大きな願いをそのまま約束にすると、守れない約束になります。守れる範囲だけを書くと、小さく見えて、高額を払う理由が伝わりません。

約束する成果 目指す成果
中身 3か月で担当業務10個のAI手順書をそろえ、月の残業時間を測り直して減ったことを確かめる 残業をなくし、チームのメンバーにも手順書を広げる
何に左右されるか 本人の毎週の取り組みと、教える側の伴走 会社の繁忙期、チームの人の入れ替わり
どう確かめるか 手順書の数と、始めと終わりに測った残業時間 受けたあとも、本人とチームで見ていく

「残業をなくす」は、会社の繁忙期や人の入れ替わりにも左右されます。どれだけ伴走しても責任を持ちきれないので、約束には入れず、その先に置きます。

残業時間を「測り直す」ところまで約束に入れたのは、お客様の言葉に「で、どれくらい減ったの?」があったからです。手順書がそろっても、減った時間を示せなければ、本人は上司に成果を説明できません。何を約束に入れるかは、お客様が受けたあとに誰に何を見せたいかから考えます。

小さな成果と大きな成果を分ける考え方は、チャレンジ企画のWHAT設計でも使っています。

「保証文が書けるか」で約束を確かめる

約束が確かめられる形になっているかは、1つの問いで分かります。「〔期間〕までに〔約束する成果〕を達成できなかったら返金します」と書けるか、です。実際に保証を付けるかどうかとは別で、書けるかを試すだけです。

約束の案 保証文を書いてみると
最初の案 チームのAI活用を進めて、業務を効率化する 「進んだ」の線が引けず、書けない
2案目 3か月で残業をなくす 会社の仕事量に左右され、責任を持てない
決めた案 3か月で担当業務10個のAI手順書をそろえ、残業時間を測り直す 「3か月で手順書10個がそろわなければ」と書ける

書けないのは、まだあいまいだという合図です。決めた案では、手順書の数という「数えられるもの」を約束の芯にしました。

残業時間は講座の外の事情でも動くので、保証の条件には入れず、最初の週と最後に一緒に測る「行動」として約束に残します。保証の条件の決め方は期限と保証の付け方で詳しくお伝えします。

期間と到達点を決め、約束を大きくしすぎない

約束が決まったら、期間と途中の到達点を決めます。期間は感覚ではなく、届くまでの道のりから決めます。

たとえば、1つ目の講座では4週間で手順書3つを作ってもらっていたとします。1つ作って確かめるのに、およそ1週間です。10個なら10週間。そこに、最初の週の洗い出しと最後の週の測り直しを足すと12週、およそ3か月になります。

週 到達点
1か月目「選ぶ」 第1〜4週 業務を洗い出して10個を選び、今の残業時間を測る。手順書を3個そろえる
2か月目「増やす」 第5〜8週 手順書を7個にする。実際の業務で使って直す
3か月目「確かめる」 第9〜12週 10個そろえ、残業時間を測り直す。チームに渡す準備をする

到達点で区切ると、途中の遅れに早く気づけます。1か月目の終わりに手順書が1個しかなければ、その時点で伴走のしかたを変えられます。

大きくしすぎたときの3つのサイン

価格を上げようとすると、約束も大きくしたくなります。けれども、約束を大きくするほど守れない約束に近づきます。次のサインがあれば見直してください。

  1. 「チーム全員が使えるようになる」など、本人以外の人の動きが入っている
  2. 伴走する人数と回数を掛けると、使える時間を超えてしまう
  3. 「年収が上がる」「昇進できる」など、収入や評価の約束になっている

反対に、小さくしすぎても伝わりません。3か月の高額の商品で「手順書を1つ作る」と約束しても、払う理由になりません。約束を責任の持てる大きさにそろえるのは、遠慮ではなく、届けられる範囲を正直に示すことです。

まとめ

  • BeforeとAfterは、実務・周りの目・気持ちの3つの面で書く。Afterは目に見える言葉、Beforeは場面で書く
  • 理想にたどり着けない障害を3つ挙げる。障害を取り除くものが提供物になり、取り除けない障害は約束の外に置く
  • お客様の言葉はそのまま記録し、3回以上出てきたものを残す
  • 成果は「約束する成果」と「目指す成果」に分け、保証文が書けるかで確かめる
  • 期間は道のりから決め、数えられる到達点を置く。約束は大きくしすぎない

まずは手元の相談メモやアンケートを開いて、お客様の言葉をそのままの形で10個書き出すところから始めてみてください。