メルマガやLINEに登録してくれた人へ、最初のメールを送る。せっかくなので、自分がどんな人間で、どんな経歴があって、なぜこの仕事をしているのかを丁寧に書く。気持ちを込めて書いたのに、2通目からほとんど読まれなくなる。こういう悩みを持つ方は少なくありません。
1通目で自分のことを伝えたくなるのは、自然なことです。信頼してもらうには、まず自分を知ってもらわないといけない。そう考えますよね。でも、登録したばかりの人が知りたいのは、あなたの経歴そのものではありません。
結論から言うと、1通目は「自分を知ってもらう1通」ではなく、「このメールを読み続ける理由を渡す1通」です。読者の心の中にある声を言葉にし、思い込みをやさしく外し、次のメールへ橋を架ける。この流れで書くと、2通目以降も開いてもらえるようになります。
この記事では、1通目が大事な理由、経歴を読者の得に言い換える方法、1通目の5つの流れ、そして書くときの前提を解説します。
1通目は、その後のメールを読むかどうかを決める
登録したばかりの人は、あなたのことをまだほとんど知りません。無料の資料や動画がほしくて登録しただけ、という人もいます。
その人が1通目を開いたとき、心の中で決めているのは「この人のメールを、これからも読むかどうか」です。1通目がどこかで読んだような内容だったら、受信箱に並ぶたくさんのメールの一つとして、次からは開かれなくなります。
反対に、1通目で「この人は、ほかの人と言っていることが違う」「自分のことを分かってくれている」と感じてもらえれば、2通目を待ってもらえます。
1通目にかける手間は、その後のすべてのメールの読まれ方に効いてきます。 だからこそ、自己紹介を丁寧に書くことより先に、読者にとって読む価値がある1通にすることを考えます。ステップメール全体の順番については、ステップメール7つの脚本でも解説しています。
経歴は「読者にとって何が得か」に言い換える
自己紹介がいけないわけではありません。問題は、自分のことを「事実のまま」並べてしまうことです。
- 事実:資格、経歴、実績、商品の中身や量など、あなたや商品についての情報
- 得:それによって、読者の毎日や仕事がどう変わるか
読者が知りたいのは、事実ではなく得の方です。事実は、得に言い換えて初めて読者に届きます。
たとえば、長く会社で人事の仕事をしてきて、今はキャリア相談をしているコーチがいたとします。「人事として多くの面接を担当してきました」だけでは、事実のままです。これを得に言い換えると、「面接する側が何を見ているかを知っているので、あなたの経験の中から、相手に響く話を一緒に選べます」となります。
| 事実のまま | 読者の得に言い換えると |
|---|---|
| 人事として多くの面接を担当してきた | 面接官が見ている点を知っているので、響く話を一緒に選べる |
| 動画が全部で何時間あります | 1日少しずつ見れば、仕事をしながら無理なく進められる |
| 個別相談が付いています | 自分の場合はどうすればいいか、迷ったときにすぐ聞ける |
言い換えるときのこつは、主語を「私」や「商品」から「あなた」に変えることです。「私は〜です」で終わっている文を見つけたら、「だから、あなたは〜できます」まで書き足してみてください。
1通目で読者をつかむ5つの流れ
では、1通目を具体的にどう組み立てるか。私は次の5つの流れで考えています。
- このメールを読むと何が得られるかを伝える
- 短く自己紹介する(事実ではなく、読者の得として)
- 読者の心の中にある声を、代わりに言葉にする
- 読者の思い込みを、やさしく外す
- 別の道があることを示し、次のメールへ橋を架ける
1つ目と2つ目は短くて構いません。1通目の中心は、3つ目から5つ目です。ここから、一つずつ見ていきます。
読者の心の声を、代わりに言葉にする
人は、自分が心の中で思っていたことをぴったり言い当てられると、「この人は分かってくれている」と感じます。そして、その相手の話を聞こうとします。
たとえば、講座を作りたい講師向けのメールなら、こんな一文です。
「このまま無料の相談を続けていても、いつまでも本命の講座にはつながらないんじゃないか。そう感じたことはありませんか。」
大事なのは、読者が口に出していない不安を、読者自身の言葉に近い形で書くことです。かぎかっこを使って、心の中のつぶやきのように書くと伝わりやすくなります。
では、その言葉はどこから見つけるのか。一番確かなのは、お客様からもらった質問や相談の文面です。「こういうことで悩んでいて」と書かれた言葉を、そのまま集めておいてください。自分の頭で考えた言葉より、お客様が実際に使った言葉の方が、ずっと強く届きます。お客様の言葉の集め方は、見込み客が普段使う言葉に言い換える方法で解説しています。
不安をあおらずに、思い込みを外す
心の声を言葉にしたら、次は思い込みを外します。ここで気をつけたいのは、不安をあおらないことです。
読者の不安を言い当てたあとに、「そのままでは一生うまくいきません」と突き放す書き方があります。確かに強く印象には残ります。でも、読者を怖がらせて動かすやり方は、売り込みと同じです。信頼してもらう前に、心を閉ざされてしまいます。
私がすすめているのは、次の順番です。
- その不安には理由があると認める:「そう感じるのは、自然なことです」
- 原因は、本人ではなく方法にあると伝える:「努力が足りないのではなく、順番が違っているだけです」
- 読者が信じている常識と、別の見方を並べる:「多くの人は〇〇だと思っていますが、実は△△です」
3つ目が、いわゆる「ハッとさせる」部分です。多くの人が当たり前だと思っていることに、別の見方を示す。ほかの発信者が言わない本当のことを、誠実に伝える。この一言で、読者の中であなたは「たくさんいる発信者の一人」から「この人の話は聞く価値がある人」に変わります。
思い込みの外し方は、思い込みを外す4つのステップでも詳しく書いています。否定するのではなく、別の道を見せる。これが基本です。
別の道を示し、次のメールへ橋を架ける
思い込みを外したら、読者は「では、どうすればいいのか」を知りたくなっています。ここで、別の道があることを示します。
- 遠回りの道:多くの人がやっている、時間がかかるやり方
- 近道:あなたがこれから伝える、順番を変えたやり方
この2つを並べて、「この近道について、次のメールで詳しくお伝えします」と結びます。これが、1通目と2通目の間に架ける橋です。読者は答えの続きを知りたいので、2通目を待ってくれます。
ここで、もう一段上の目的を見せると、さらに伝わりやすくなります。読者が口にしている望みは、たいてい「その先」の望みの手段です。「講座を作りたい」の先には「時間を切り売りする働き方から抜け出したい」があり、その先には「家族との時間を取り戻したい」があるかもしれません。
目の前の望みだけでなく、その先にあるものまで言葉にしてあげると、読者は「この話は、自分にとって思っていたより大事な話だ」と気づきます。メールの件名にも同じことが言えます。「講座の作り方」より、「時間の切り売りから抜け出すために、最初に作る講座の決め方」の方が、読者の目を引きます。
「伝わらない」前提で書く
最後に、1通目を書くときの前提を1つ。それは、「これくらい書けば分かるだろう」と思わないことです。
書き手は、自分の仕事や商品のことをよく知っています。だから、読者も同じくらい分かっているつもりで書いてしまいます。でも、登録したばかりの読者は、あなたの専門の言葉も、あなたが当たり前だと思っている前提も知りません。
- 専門の言葉は使わないか、使うなら一言で説明する
- 1つの文に1つのことだけを書く
- 「なぜそうなのか」を、省かずに書く
「伝わらないかもしれない」と思って書くと、自然に言葉がやさしくなり、説明がていねいになります。それが、読者への誠実さでもあります。
私はメルマガの読者が約100人の時に月収100万円になりました。読者の数は多くありませんでしたが、1通1通を「この人たちに伝わるか」を考えて書いていました。読者が少ないうちこそ、1通目の書き方が大きく効いてきます。
1通目でやりがちな4つの失敗
最後に、1通目でよく見かける失敗を挙げておきます。書き終わったら、この4つに当てはまっていないかを確かめてください。
- 経歴と実績だけで終わっている:読者は「すごい人なのは分かったけれど、自分には関係ない」と感じる。必ず読者の得まで書く
- 1通目で商品を売り込む:まだ信頼がない段階で申し込みの案内をすると、「結局売りたいだけか」と受け取られる。1通目の役目は、次を読んでもらうこと
- 何でも詰め込む:伝えたいことを全部書くと、何が一番大事なのかがぼやける。1通目で伝える思い込みは1つに絞る
- 次のメールの予告がない:読者は、次にいつ、何が届くのかが分からないと、待つ理由がない。最後に「次は〇〇についてお伝えします」と一言添える
特に3つ目は、熱心な方ほどやってしまいます。1通目は短くても構いません。心の声を言い当て、思い込みを1つ外し、次への橋を架ける。この3つがそろっていれば、1通目の役目は十分に果たせています。
まとめ
- 1通目は、自分を知ってもらう1通ではなく、読み続ける理由を渡す1通
- 経歴や商品の中身は、事実のまま並べず、読者の得に言い換える
- 1通目は「得られるもの→短い自己紹介→心の声→思い込みを外す→次への橋」の5つの流れで組み立てる
- 思い込みは、不安をあおらずに外す。原因は本人ではなく方法にあると伝え、別の見方を示す
- 「伝わらない」前提で、専門の言葉を避け、理由を省かずに書く
まずは、今の1通目を読み返して、「私は〜です」で終わっている文に印を付けてみてください。その一文一文に、「だから、あなたは〜できます」を書き足すところから始めましょう。


