AIを使えば、募集文も台本もすぐに作れる。そう聞いて試してみた。「3日間のチャレンジ企画の募集文を書いてください」と頼むと、たしかに数秒で文章が出てきます。
でも、読み返してみると何かが違う。きれいにまとまっているのに、心に引っかからない。正しいことは書いてあるのに、申し込みたくならない。そもそも、自分の商品の話に聞こえない。こんな経験をした方は多いと思います。
これは、あなたの使い方が下手だからでも、AIの性能が足りないからでもありません。AIは、あなたの頭の中を勝手に読んではくれないからです。
結論から言うと、AIで売れる文章のたたき台を作るには、「何を書かせるか」より「何を渡すか」が大事です。具体的には、あなたのビジネスの基本情報を10の材料に整理して、毎回AIに渡せる形にまとめておきます。この「毎回渡す基本情報」が、マザープロンプトです。
この記事では、AIに頼むだけでは売れない理由、AIに渡すべき10の材料、マザープロンプトの作り方と育て方、そして出来上がった文章の直し方までをまとめました。
AIに頼むだけでは売れない理由
最近は、AIを使えば文章そのものは誰でも作れるようになりました。ただ、それっぽい文章が出てきたからといって、人が集まるわけでも、信頼ができるわけでも、商品が売れるわけでもありません。
売上につながる文章には、必ず「設計」があるからです。
- 誰に届けるのか
- その人は何に悩んでいるのか
- その人が本当に欲しい未来は何か
- 3日間で何を体験してもらうのか
- 最後に、どんな商品を、どんな流れで提案するのか
こうしたことが決まっていないままAIに書かせると、どの人にも当てはまる無難な文章になります。AIが悪いのではなく、材料が足りないのです。
材料を渡さずに頼んだ文章は、たいてい次のどれかになります。
- まとまっているけど、刺さらない
- 正しいけど、申し込みたくならない
- きれいだけど、自分の商品に合っていない
チャレンジ企画は、募集文、3日間の台本、ワークシート、宿題、オープンチャットの投稿、アンケート、面談の台本、フォロー文と、作るものがとても多い企画です。全体の流れはチャレンジ企画の完全ガイドにまとめています。
AIは「完成品」ではなく「たたき台」を作る補助役
チャレンジ企画にAIを使う一番の理由は、準備で止まらないためです。
作るものが多いと、「募集文を作らなきゃ、でも何を書けばいいか分からない」「台本も必要なのに、3日間の流れが作れない」と、準備だけで重くなってしまいます。そして「もう少し準備してから」「まだ自信がないから今回は見送ろう」となる。これが一番もったいないパターンです。
AIを使うと、白紙から考えるのではなく、まず初稿を出してもらい、そこから直す流れにできます。AIが得意なのは、たたき台を作ること、構成を整理すること、言い換えること、案をいくつも出すことです。
一方で、次のことはあなたが渡すしかありません。
- 誰を助けたいのか
- どんな商品・サービスを届けたいのか
- お客様がどんな悩みを抱えているのか
- あなたがどんな考え方でサポートしているのか
私も独立したばかりの頃は、何を発信すればいいか分からず、ブログやSNSを続けても成約につながりませんでした。当時一番欲しかったのは、「これをこの順番でやればいい」という手順です。今なら、材料を整えてAIにたたき台を出してもらうだけで、手が止まる時間をかなり減らせたはずだと感じています。
AIを使って楽をする、というより、AIを使って実践までのスピードを上げる。この考え方で使うと、AIはぐっと頼れる存在になります。
AIに渡すべき10の材料
AIに毎回渡す基本情報として、次の10の材料を整理します。
| 材料 | 中身の例 | 入れておくと |
|---|---|---|
| 1. プロフィール | 名前、肩書き、仕事の経験、なぜこの活動をしているのか | AIが「誰が書く文章か」を前提にできる |
| 2. 専門分野 | 何を、どんな切り口で教えられるのか | テーマがぼやけない |
| 3. 商品・サービス情報 | 商品名、価格、期間、サポート内容、得られる成果、他との違い | 最後の提案とずれない文章になる |
| 4. ターゲット情報 | 年齢層、職業、今の状況、困っていること | 「これは自分のことだ」と思われる文章になる |
| 5. 悩みと不安 | 見込み客のリアルな悩み、過去に相談された内容 | 文章が浅くならない |
| 6. 理想の未来 | 本当はどうなりたいのかを、行動や状態で | 3日間で何を届けるべきかがはっきりする |
| 7. 実績・事例・お客様の声 | 事実ベースの実績、小さな変化も含めて | 信頼につながる根拠が入る |
| 8. 信念・価値観 | 大事にしている考え方、違和感があるやり方 | あなたらしい主張が入る |
| 9. 口調と文体 | 丁寧語か、話し言葉か、結論から話すか | 自分の声に近い文章になる |
| 10. 避けたい表現 | 煽り、売り込み感の強い言い方、誤解を招く表現 | 価値観に合わない言葉が出にくくなる |
特に差が出る3つ
10の中でも、文章の質に大きく差が出るのが次の3つです。
1つ目は、ターゲット情報です。「起業家全般」のように広くすると、AIの文章もぼやけます。たとえば「AIで募集文を作りたいけれど、自分の商品に合った文章にならずに止まっている個人事業主」のように、状況まで書きます。考え方はWHO設計の11項目と選び方の5基準で解説しています。
2つ目は、悩みと不安です。ここが浅いと、文章も浅くなります。講師がふだん使う言葉ではなく、見込み客が実際に口にする言葉で書くのがコツです。整理の仕方は見込み客が普段使う言葉に言い換える顧客情報の整理で書いています。
3つ目は、実績・事例です。無理に大きく見せる必要はありません。「悩みが整理された」「初めて発信できた」といった小さな変化でも、見込み客にとっては十分な価値があります。事実のまま書いてください。
材料は、棚卸しから集める
10の材料は、いきなり書こうとすると手が止まります。先に、自分の経験・知識、顧客の情報、商品の情報を棚卸ししておくと、あとはまとめるだけになります。棚卸しの進め方は経験と知識を商品の材料に変える棚卸し7項目をご覧ください。
マザープロンプトの作り方
10の材料を1つにまとめたものが、マザープロンプトです。AIに依頼するたびに毎回ゼロから説明するのではなく、「この基本情報を前提に、募集文を作ってください」と頼めるようにするための土台です。
マザープロンプトがあると何が変わるか
毎回説明していると、手間がかかるだけでなく、説明する内容が少しずつ変わってしまいます。すると、AIの出力も毎回ぶれます。マザープロンプトを用意しておくと、前提がそろうので、文章の方向性が安定します。
使い方はシンプルです。
- 募集文:この基本情報を前提に、募集文を作ってください
- 台本:この基本情報を前提に、Day1の台本を作ってください
- ワークシート:このターゲットが書きやすいワークシートを作ってください
- 面談の台本:この商品につながる面談の流れを作ってください
作り方の3ステップ
- 材料を集める:棚卸しした経験、顧客の情報、商品の情報を手元にそろえる
- 10の項目に分けて書く:箇条書きで構いません。空欄があってもまず埋められるところから
- 必要に応じて足す:よくある反論、過去の失敗パターン、他との違い、商品を作った背景、必ず伝えたいメッセージなど
講座では、10項目を埋めるためのテンプレートと、マザープロンプトを作るためのAIへの依頼文も用意しています。
一度作って終わりではない
マザープロンプトは、固定された完成品ではありません。AIを使っていく中で、「この情報が足りなかった」「この表現は避けたい」と気づくたびに書き足していきます。あなたのビジネスに合わせて育てていくものです。
出力が微妙なときは、材料を足す
AIの文章がいまひとつなとき、多くの場合は渡している材料が足りていません。症状ごとに、足す材料を決めておくと迷いません。
| こんなとき | 足す材料 |
|---|---|
| 文章が一般的すぎる | 顧客のリアルな悩み、実際に相談された内容、不安 |
| 自分らしくない | 価値観、口調、よく使う言葉、避けたい表現 |
| 商品の提案が弱い | 得られる成果、価格、特典、他との違い |
一度で完成させようとしない
最初の出力で完成を目指さなくて大丈夫です。出てきた文章を見て、「もっと初心者向けにしてください」「見込み客の悩みをもっと具体的にしてください」「売り込み感を弱めてください」「もっと短くしてください」と、やり取りしながら整えていきます。
最後は、自分の言葉に直す
AIの出力は、あくまでたたき台です。そのまま使うと、きれいだけど無難な文章になりがちです。自分の経験、事例、価値観、そして見込み客が実際に使っている言葉を加えて仕上げます。
最後に確かめたいのは、次のような点です。自分の商品に合っているか。見込み客に伝わるか。自分が自然に話せる言葉か。売り込み感が強すぎないか。判断するのは、AIではなくあなたです。
そして、良い文章ができても、それだけでは成果になりません。募集文を作ったら募集する。台本を作ったら開催する。実際に使ってはじめて、材料を整えた意味が出てきます。開催後の振り返りにAIを使う方法は、開催後の振り返りに使う改善プロンプトの作り方で解説しています。
まとめ
- AIに「募集文を書いて」とだけ頼むと、きれいだけど刺さらない文章になる。原因はAIではなく材料不足
- AIは完成品ではなく、たたき台を速く作る補助役。準備で止まらないために使う
- 渡す材料は10:プロフィール、専門分野、商品、ターゲット、悩みと不安、理想の未来、実績、価値観、口調、避けたい表現
- 10の材料を1つにまとめたマザープロンプトを用意し、「これを前提に」と頼むと出力が安定する
- 出力が微妙なら材料を足し、最後は自分の言葉に直してから使う
次の一歩として、まずは10の材料のうち「ターゲット情報」と「悩みと不安」の2つだけを、箇条書きで書き出してみてください。ここが書けるだけで、AIの文章は目に見えて変わります。講座の考え方とAIへの依頼文をまとめて手に入れたい方は、「AIチャレンジ企画マスター講座(無料版)」もあわせて活用してみてください。


