AIにブログ記事を書いてもらったら、どこかで読んだような当たり障りのない文章しか出てこない。商品の紹介文を頼んだのに、魅力がまったく伝わらない。そんな経験から「AIってこの程度か」「自分で書いたほうが早い」とあきらめてしまう方は多いです。
でも、そこで手放してしまうのは、とてももったいないことです。
結論から言うと、AIが期待どおりの答えを返してくれない原因の多くは、AIの性能ではなく「指示の出し方」にあります。AIへの指示を「プロンプト」と呼びますが、このプロンプトの組み立て方を少し変えるだけで、返ってくる答えは大きく変わります。
この記事では、プロンプトの基礎となる4つの要素と、私が実際にやっている「音声や過去の動画で材料を渡す」方法、そして答えがいまひとつだったときの直し方をお伝えします。専門的な知識は必要ありません。必要なのは、あなたのビジネスをよく知っていることだけです。
AIが「使えない」と感じる原因は、指示のあいまいさにある
AIが期待外れの答えを返すとき、いちばん多い原因は、私たちがあいまいで抽象的な指示を出していることです。
たとえば、入ったばかりの新人に「ちょっと、いい感じに資料をまとめておいて」と頼んだらどうなるでしょうか。「いい感じとはどのくらいですか」「何をまとめればいいですか」と困らせてしまいますよね。
AIも同じです。
- 「魅力的なセールスコピーを書いて」
- 「ブログ記事のアイデアを10個出して」
これだけでは、AIは何を基準に「魅力的」と判断すればいいのか、誰に向けた記事なのかが分かりません。その結果、インターネット上によくある一般的な答えを返すしかなくなります。
私自身、ネットで商品を売り始めた頃は、手探りでセールスレターを書いては「なんだか胡散臭いな」と自分で落ち込んでいました。もしあの頃に今のAIがあったとしても、うまく使いこなせなかったと思います。「何を・誰に・どう伝えたいか」が自分の中ではっきりしていなければ、AIにも指示できないからです。
AIは、頭の中でぼんやり考えていることを察して完璧な形にしてくれる魔法の道具ではありません。与えられた指示に対して答えを返す道具です。答えがいまひとつなら、直す場所はAIではなく、プロンプトの側にあります。
プロンプトは、AIに渡す「レシピ」のようなもの
プロンプトとは、ひとことで言えば「生成AIへの指示やお願いの文章」のことです。
料理にたとえると、AIは腕のいい料理人、プロンプトはレシピです。レシピに「おいしいカレーを作って」としか書いていなければ、料理人は迷ってしまいます。インド風なのか、欧風なのか。辛さはどのくらいか。具材は何を使うのか。
一方で、「玉ねぎを飴色になるまで炒めて、鶏もも肉を使った、子どもでも食べられるまろやかな欧風カレーを4人前」と書いてあれば、料理人は迷わず腕をふるえます。
| プロンプトの状態 | 返ってくる答え |
|---|---|
| あいまい・抽象的 | AIが迷い、誰にでも当てはまる一般的な答えになる |
| 明確・具体的 | AIが意図をくみ取り、あなたの目的に合った答えになる |
「AIに仕事を奪われる」と心配する声もありますが、私はそうは考えていません。これからは、AIをうまく使える人とそうでない人の差が、仕事の結果に表れやすくなっていくと思っています。
そして、その差を分けるのがプロンプトを組み立てる力です。プログラミングの知識はいりません。自分のビジネスや商品のことを深く理解していて、それをAIに分かりやすく伝えられるかどうか。それだけです。少ない人数で仕事を回したい個人にとって、これは大きな武器になります。
期待どおりの答えを引き出す4つの基礎
では、具体的にどう組み立てればいいのでしょうか。私が普段から意識しているのは、次の4つです。
| 要素 | 伝えること |
|---|---|
| 1. タスク | 何をしてほしいのか |
| 2. 背景 | あなたは誰で、誰に向けて、何のために頼むのか |
| 3. 見本 | どんな仕上がりにしたいのか |
| 4. 制約 | 長さ・言葉づかい・使わない表現などの条件 |
1. タスク:何をしてほしいのかを具体的に言う
まずは、AIにやってほしい作業をはっきり伝えます。
- あいまいな例:「ブログ記事を書いて」
- 具体的な例:「次のテーマについて、読者の悩みに寄り添うブログ記事を書いてください」
「要約して」「アイデアを出して」「比較表にして」「言い換えて」など、作業の中身を言葉にするところから始めます。
2. 背景:いちばん大事なのはここ
4つの中で最も差がつくのが背景です。あなたが誰で、どんなビジネスをしていて、誰に向けて、どんな目的でこの作業を頼んでいるのか。これを伝えると、答えの的確さが大きく変わります。
- 役割:「あなたは、自分の知識を講座にして売りたい個人を支援するマーケティングの専門家です」
- 読者:「読者は、講座を作りたいけれど、何から始めればいいか分からない人です」
- 目的:「この記事を読んだ人に『自分にもできそう』と感じてもらい、無料の講座に申し込んでもらうことが目的です」
こうした背景をあらかじめまとめておいたものを、私は「マザープロンプト」と呼んでいます。この土台があるかないかで、AIの答えは大きく変わります。 何をどうまとめればいいかは、AIに渡すべき10の材料とマザープロンプトの作り方で詳しく解説しています。
3. 見本:完成形を見せる
仕上がりのお手本を見せるのも効果的です。たとえばセールスレターなら、「以前に反応が良かった文章を読み込んで、この口調をまねて書いてください」「この構成の型に沿って書いてください」と伝えます。
AIはまねることが得意です。あなたが「良い」と思う文章や型を見せれば、ゼロから説明する手間が省け、一気に理想の形に近づきます。
4. 制約:条件をつけて答えを絞る
最後に、条件を指定します。
- 「2,000字くらいでお願いします」
- 「専門用語は使わず、中学生にも分かる言葉で説明してください」
- 「大事なところは太字にしてください」
- 「次の言葉は使わないでください」
条件をつけると、AIが意図と違う方向へ話を広げるのを防げます。
私がやっている「材料をたくさん渡す」工夫
とはいえ、背景や見本を毎回文字で打ち込むのは、正直なところ面倒ですよね。私はゼロからビジネスを立ち上げた経験から、少ない手間で成果を出す方法をいつも考えてきました。そこでたどり着いたのが、音声や過去の発信をまるごとAIに読み込ませる方法です。
書くのが面倒なら、話して渡す
商品の特徴、お客様の悩み、伝えたい想い。これを細かく文章にしようとすると、かなりの時間がかかります。でも、話すのであれば、書くよりずっと速く、たくさんの情報を出せます。
私はAIに何かを頼むとき、まず自分で「こういう商品で、こういう人に届けたくて、こんな良さがあって」と、思いつくままに声で録ってしまいます。その音声を文字に起こしてAIに渡せば、文章にする手間を飛ばして、あなたの生の情報をたっぷり伝えられます。
過去の動画やセミナーは、いちばんのお手本になる
さらに役に立つのが、これまでの発信です。
- 過去に話した動画の文字起こし
- ライブ配信の録音
- セミナーのスライドと音声
これらを読み込ませて、「この内容をもとにブログ記事を書いてください」「この話し方をまねてメルマガを書いてください」と頼みます。あなたが過去に話した内容は、あなたの考え方と口調がそのまま詰まった、最高のお手本です。
今のAIは長い文章でも読み込めるので、情報を出し惜しみする必要はありません。持っている材料はできるだけ渡す。これが、AIの答えを自分らしくするための、私のいちばんの工夫です。セミナーの台本づくりで同じ考え方を使う方法は、セミナー台本の11要素と直し方でもまとめています。
答えがいまひとつなら、会話しながら育てる
どれだけ丁寧にプロンプトを組み立てても、一回で満点の答えが出るとは限りません。それが普通です。
AIとのやり取りは、一回きりの命令ではありません。最初の答えが60点でもかまいません。大事なのは、その答えに追加で指示を出して、少しずつ直していくことです。
直すときは、「どこが違うのか」と「どうしてほしいのか」をセットで伝えます。
- あいまいな直し方:「もっと面白くして」
- 具体的な直し方:「読者には少し専門的すぎるので、中学生にも分かる具体例を足してください」
- 具体的な直し方:「全体的に堅いので、見本の文章のように語りかける口調に変えてください」
私も、講座で使っているプロンプトを定期的に見直して直し続けています。人から教わったプロンプトも、そのまま使い続けるのではなく、自分のビジネスに合わせて「こうしたほうがいいかも」と手を加えてみてください。それが、自分の仕事に合ったプロンプトを育てるいちばんの近道です。
よくある失敗
プロンプトを学び始めた方がつまずきやすい点も挙げておきます。
| よくある失敗 | どう直すか |
|---|---|
| 背景を伝えず、作業だけを頼む | 自分・読者・目的を先に伝える。まとめたものを毎回貼る |
| 1回目の答えで判断してあきらめる | 違う点と直してほしい点をセットで、2〜3回やり取りする |
| 「もっと良くして」とあいまいに直す | 何がどう違うのかを具体的に言う |
| AIの答えをそのまま公開する | 事実を確かめ、自分の体験と口調で仕上げる |
特に最後の点には気をつけてください。AIの文章には、事実と違うことや、あなたの体験ではない話が混ざることがあります。AIはあくまで下書きの相棒です。公開する前に気をつけたい点は、生成AI利用の注意点で解説しています。
まとめ
- AIが期待外れの答えを返す原因の多くは、性能ではなく指示のあいまいさ
- プロンプトの基礎は、タスク・背景・見本・制約の4つ。中でも背景が最も大事
- 書くのが面倒なら、声で吹き込んだり、過去の動画やセミナーを読み込ませたりして材料を渡す
- 一回で満点を狙わず、違う点と直してほしい点をセットで伝えて答えを育てる
- AIの答えはそのまま使わず、事実を確かめて自分の言葉で仕上げる
まずは、あなたの商品と、届けたい相手と、目的を、3分だけ声に出して録音してみてください。それを文字に起こしてAIに渡すだけで、返ってくる答えの手ごたえが変わるはずです。


