ChatGPTを使い始めてみたものの、返ってくる答えがどこか一般論で、自分のビジネスにぴったり合わない。画面の選択肢や新しい機能が次々に増えて、どれを使えばいいのか分からない。そんな悩みを持っている方は多いです。
こういうとき、「もっと上手な質問の仕方を覚えないと」「有料の機能を使わないとダメなのかな」と考えがちです。でも、原因はそこではないことがほとんどです。
結論から言うと、ChatGPTの回答がしっくりこないのは、AIがあなたのことを何も知らないからです。 あなたがどんな仕事をしていて、どんなお客様を相手に、どんな口調で発信しているのか。それを知らないAIは、当たり障りのない一般論しか返せません。
この記事では、ChatGPTをあなた専用のアシスタントにするために、最初にやっておきたい3つの設定と、記憶の機能の注意点、目的に合わせた使い分けをお伝えします。画面や機能の名前は変わりやすいので、ここでは細かい操作ではなく、使い方の考え方に絞ってお話しします。
まずはアカウントを作って使う
ChatGPTは、アカウントを作らなくても使える場面があります。でも、ビジネスで使うなら、アカウントを作ってログインした状態で使うことをおすすめします。無料で作れます。
アカウントを作ると、次のような良さがあります。
- 過去のやり取りが残るので、以前の依頼を使い回したり、続きから始めたりできる
- AIがあなたの好みや目的を覚えて、回答を合わせてくれるようになる
- このあとお話しする設定ができるようになる
特に2つ目と3つ目が大切です。AIをあなた専用のアシスタントに育てるには、あなた専用のアカウントが土台になります。
有料のプランもありますが、基本的な使い方は無料でも大きく変わりません。まずは無料で使い始めて、必要を感じてから検討すれば十分です。
設定1:あなたの背景を伝えておく
ChatGPTには、「あなたについて知っておいてほしいこと」をあらかじめ登録しておける設定があります。ここに、あなたのビジネスの背景を書いておきます。
たとえば、次のような内容です。
- あなたは誰で、どんな商品やサービスを提供しているか
- お客様はどんな人で、何に悩んでいるか
- あなたのビジネスの目的や、大切にしている考え方
一度登録しておけば、毎回の依頼で自己紹介をする必要がなくなります。AIは、あなたがどんな人で、どんなビジネスをしているのかを分かったうえで答えてくれるようになり、回答の質が大きく変わります。
このように、AIに渡すあなたの背景をまとめたものを、私は「マザープロンプト」と呼んでいます。何をどう書けばいいかは、AIに渡すべき10の材料とマザープロンプトの作り方で詳しく解説しています。
設定2:AIの振る舞いのルールを決める
同じ設定の中に、「AIにどう答えてほしいか」を書いておける欄もあります。ここでは、AIに役割と、文章のルールを与えます。
私が入れているのは、たとえば次のような種類のルールです。
| ルールの種類 | 書いておく内容の例 |
|---|---|
| 役割 | どんな専門家として文章を書いてほしいか |
| 文体 | 「です・ます」で書く |
| 言葉の選び方 | 専門用語を多用せず、分かりやすい言葉を使う |
| 呼びかけ方 | 「みなさん」ではなく「あなた」と語りかける |
| 使わない表現 | どこかで聞いたような決まり文句は使わない |
特に最後の「使わない表現」は効果が大きいです。AIの文章は、放っておくと、どこかで見たような表面的な言い回しになりがちです。使ってほしくない言葉をはっきり書いておくと、あなたらしい文章に近づきます。
ルールを決めておくと、AIはあなたの好みを理解して、毎回それに沿って答えてくれるようになります。
設定3:記憶の機能を上手に使う
ChatGPTには、あなたとの過去のやり取りを覚えておく機能もあります。
「その表現は好きではないので、こう直して」と伝えたことを覚えて、次から好みに合わせて答えてくれるようになります。基本的には、使える状態のままで問題ありません。
人の仕事を手伝うときは、記憶を切り分ける
ただし、注意したい場面があります。あなた自身のビジネスではなく、お客様のビジネスの文章をAIに手伝ってもらうときです。
AIがあなたの情報を覚えたまま答えると、お客様の文章に、あなたのビジネスの話や口調が混ざってしまうことがあります。
そういうときは、次のどちらかで対応します。
- 覚えている内容を一時的に消す
- 履歴に残らない、まっさらな状態のやり取りを使う
どちらの方法が使えるかは時期によって変わりますが、「今AIが何を覚えているか」を意識しておくことが大切です。お客様の情報をAIに渡すときの注意点は、生成AI利用の注意点でもまとめています。
私が試して分かった、得意なことと合わない仕事
設定を整えたうえで、私が実際に使っている依頼文で、メルマガと広告文を書いてもらったことがあります。
メルマガの下書きは、速くて優秀
メルマガ用の依頼文を渡したところ、すばやく、質の高い下書きを返してくれました。メルマガのように、それほど長くない文章づくりでは、とても頼りになると感じました。
長く語りかける広告文は、物足りなかった
一方で、広告文も書いてもらいましたが、悪くはないものの、私がふだん使っている別のAIと比べると、文章が短く、少し浅いと感じました。読む人の気持ちに長く語りかけるような文章では、長文が得意なAIの方が合っていた、というのが、試した時点での私の感想です。
ただ、AIは次々に新しい版が出て、得意なことも変わっていきます。ここでお伝えしたのは、あくまで私が試した時点の感覚です。あなた自身も、同じ依頼文を複数のAIに出して、自分の仕事に合うほうを選んでみてください。長い文章の下書きに向いたAIの使い方は、Claudeの使い方で解説しています。
目的で使い分ける
大切なのは、1つのAIですべてを済ませようとしないことです。私は、次のように目的で使い分けています。
- メールの下書きや要約、ちょっとした調べもの:ChatGPT
- 長くまとまった文章の下書き:長文が得意なAI
- 画像や、ほかの作業:それぞれ得意な道具
使い分けの基準は、機能の多さではなく、あなたの仕事で「何を最優先したいか」です。そして、どのAIを使う場合でも、出てきた下書きはそのまま使わず、事実を確かめ、自分の体験と言葉で仕上げてください。
よくある失敗
- 背景を伝えずに「メルマガを書いて」とだけ頼み、誰にでも当てはまる文章が返ってくる
- 新しい機能を追いかけることに時間を使い、本業の文章づくりが進まない
- お客様の仕事で、自分の情報を覚えたAIをそのまま使ってしまう
特に2つ目には気をつけてください。機能に詳しくなることがゴールではありません。あなたの商品を届けるための文章を、早く、良く仕上げることがゴールです。
まとめ
- ChatGPTの回答がしっくりこないのは、AIがあなたのことを知らないから
- アカウントを作り、あなたの背景と、振る舞いのルールを登録しておく
- 記憶の機能は便利だが、お客様の仕事では切り分ける
- メルマガの下書きなどは得意。長く語りかける文章は、ほかのAIとも比べて選ぶ
- 1つのAIで全部済ませず、目的で使い分け、最後は自分の言葉で仕上げる
まずは、あなたのビジネスの背景を5行で書き出して、ChatGPTの設定に登録してみてください。同じ依頼を登録の前と後で出して比べると、答えの変わり方に驚くはずです。


