「自分の強みを見つけて、ビジネスにしましょう」
「あなたの使命を見つけましょう」
起業を考え始めると、こうした言葉をよく目にします。どちらも大切な考え方です。ただ、この言葉に背中を押されて走り出したのに、何年たっても収入が安定しない。そんな方も少なくありません。
結論から言うと、夢や理想を叶えるには、その前に「生活を支える収入を自分で作る力」という土台が必要です。使命や強みを探すのは、その土台を作りながらで間に合います。
この記事では、なぜお金を稼ぐ力が理想の土台になるのか、段階を飛ばすと何が起きるのか、そして稼ぐ力を「作る・届ける・売る」の3つの順番で身につける考え方を解説します。
理想は「最低限の暮らし」の上にしか乗らない
当たり前の話から始めます。
私たちが生きていくのに必要な衣・食・住には、お金がかかります。服を買うにも、食べるにも、住む場所を借りるにもお金が要ります。水でさえ、お金を払って手に入れています。
最低限の生活で十分満足しているなら、それも一つの生き方です。けれども、夢や理想があるということは、最低限より先の何かを望んでいるということです。家族と過ごす時間を増やしたい、好きな場所で働きたい、誰かの役に立つ活動に時間を使いたい。こうした理想は、生活費の心配が消えた上でなければ、なかなか実現できません。
お金はそれ自体が目的ではありません。ただ、理想を叶えるための手段として、どうしても避けて通れない部分です。「お金の話は後でいい」と後回しにするほど、理想から遠ざかってしまいます。
教える立場の人ほど、稼げていることが信頼になる
私は、多くのクライアントさんに起業やビジネスの進め方をお伝えしています。
もし私が、生きていくのに最低限の収入しか得られていなかったとしたら、私に教わりたいと思う人はいないはずです。ビジネスで結果を出し、それを分かりやすく伝えられるからこそ、話を聞いてもらえるのだと思っています。
たとえば、私がメルマガでこう書いていたらどうでしょう。
「クライアントを探すのが大変です。誰か助けてください」
おそらく、多くの方がそっと登録を解除すると思います。
これは私に限った話ではありません。コーチ、カウンセラー、講師など、自分の知識や経験を商品にする仕事では、「この人自身がうまくいっているか」がそのまま信頼につながります。好きなことを仕事にしたいなら、なおさら、自分の生活を自分で支えられる状態を先に作っておくことが大切です。
私が今の仕事を「天職」と感じられるようになったのも、突然そうなったわけではありません。ビジネスで結果を出したことで、ようやく今の仕事ができる環境が整いました。順番は、稼ぐ力が先で、やりたいことはその後です。
段階を飛ばすと、理想の手前で止まってしまう
「強みを見つけて、すぐに好きなことで独立しよう」という流れで始めた方が、結果を出せずに活動をやめてしまう姿を、私は何度も見てきました。
原因ははっきりしています。必要な土台作りを飛ばして、いきなり今の実力より先の舞台に立とうとするからです。
ゲームで考えると分かりやすいです。レベル1の勇者は、いきなりボスを倒せません。近くの敵と戦って経験を積み、装備を整え、少しずつ強くなっていきます。そうして初めて、ボスに挑める状態になります。
ビジネスも同じです。
| 飛ばしがちな段階 | 飛ばすと起きること |
|---|---|
| 売れる商品を1つ作る | 何を売ればいいか分からないまま発信だけが続く |
| 見込み客に届ける | 良い商品なのに、知ってもらえない |
| 実際に売る | 無料の相談ばかりが増えて、収入にならない |
好きなことで生きていくには、それができるだけの土台が必要です。土台がないまま好きなことだけを追いかけると、生活が苦しくなり、結局は好きなことを続けられなくなってしまいます。これは、あなたの才能や気持ちの問題ではありません。順番の問題です。
土台を飛ばしているときに出やすいサイン
自分が段階を飛ばしていないか、次のようなサインで確かめてみてください。
- 「何をやりたいか」を考える時間は長いのに、実際に誰かに商品を案内したことがない
- 発信は続けているが、読んでいる人が何に困っているのかを聞いたことがない
- 資格や勉強を増やせば、いつか売れるようになると考えている
- 無料で相談に乗ることは多いが、有料の商品を案内したことがない
どれか一つでも当てはまるなら、理想を追う前に、まず収入の土台を固める段階だと考えてください。責める必要はまったくありません。多くの人が、ここを通って先に進んでいきます。大切なのは、今いる場所に気づいて、次の一段に足をかけることです。
稼ぐ力は「作る・届ける・売る」の3つでできている
では、稼ぐ力とは何でしょうか。特別な才能のように感じるかもしれませんが、分解すると次の3つです。
- 作る:相手の悩みを解決する商品を用意する力
- 届ける:その商品を必要とする人に知ってもらう力
- 売る:相手の話を聞き、必要な人に商品を案内する力
この3つは、どれも手順として身につけられます。センスや才能より、「何を、どの順番でやるか」を知っているかどうかで差がつきます。
最初は小さく1周させる
身につける順番としておすすめなのは、3つを最初から完璧にしようとせず、小さく1周させることです。
- 作る:完成品でなくていいので、相手の悩みを1つ解決する内容を決める
- 届ける:身近な人や今のつながりに、少人数でいいので案内する
- 売る:話を聞き、必要な人にだけ提案する
1周させると、どこが弱いかが見えてきます。そこを直して、もう1周させる。この繰り返しで、稼ぐ力は少しずつ強くなっていきます。
小さく1周させる具体的な方法の一つが、少人数から始められるチャレンジ企画です。集客の人数が少なくても始められる理由は、集客3名でも売上は作れる理由で解説しています。
また、収入がどこから生まれるのかという考え方は、収入は与えた価値で決まるで詳しくお伝えしています。
稼ぐ力がついてから、理想の形に近づける
稼ぐ力がつくと、選べることが増えていきます。
- 自分が本当にやりたい仕事の割合を増やせる
- 合わないお客様を無理に受けなくてよくなる
- 仕組み化して、働く時間や場所を自分で決められるようになる
理想のライフスタイルは、この「選べる状態」の先にあります。使命や強みは、実際にお客様と向き合い、商品を届ける中で、だんだんとはっきりしてくることも多いです。最初から完璧な答えを持っていなくても大丈夫です。
夢や理想をしっかり持ちつつ、現実の生活を支える力を一歩ずつ身につけていく。この両方を大事にすることが、遠回りに見えて一番の近道です。目標をどう立てればいいか迷ったときは、目標と手段を明確にする3つのステップも参考にしてください。
まとめ
- 夢や理想は、最低限の暮らしの上にしか乗らない。お金は目的ではないが、避けて通れない手段
- 知識や経験を商品にする仕事では、自分が稼げていることがそのまま信頼になる
- 段階を飛ばして好きなことだけを追いかけると、理想の手前で止まってしまう
- 稼ぐ力は「作る・届ける・売る」の3つ。才能ではなく順番で身につけられる
- 最初から完璧を目指さず、小さく1周させて弱いところを直していく
まずは、今のあなたのビジネスで「作る・届ける・売る」のうち、一番手が止まっているのはどれかを1つ選んでみてください。そこが、土台作りの出発点です。


