講座の申し込みが伸びないとき、まず頭に浮かぶのは「価格を下げたほうがいいかな」ということではないでしょうか。似たような講座が他にもたくさんある。自分の講座だけが高く見える。だから少し安くすれば、選んでもらえるかもしれない。
でも、値下げをしても、思ったほど申し込みは増えないことが多いです。そして一度下げた価格は、なかなか元に戻せません。売上は減り、受講者一人にかけられる時間も減っていきます。
結論から言うと、価格で比べられてしまう原因は、価格そのものではありません。講座が「どこにでもあるもの」に見えていることです。自分のやり方を手順にまとめ、名前をつけ、あなたからしか学べないものとして見せる。そうすると、講座は他と並べて比べられるものではなくなります。
この記事では、価格で比べられてしまう理由、値下げが解決にならない理由、そして自分のやり方に名前をつけて比べられない講座にする4つの手順を解説します。
同じに見えるものは、価格で比べられる
人がものを選ぶとき、中身の違いが分からなければ、最後は価格で決めます。これは講座も同じです。
「文章講座」「起業講座」「ダイエット講座」。こうした名前の講座は、世の中にたくさんあります。見込み客から見ると、どれも同じような中身に見えます。中身の違いが伝わらないので、比べられるのは価格と、受講期間や動画の本数といった数えやすい部分だけになります。
ここで大切なのは、実際の中身に違いがないわけではない、ということです。あなたの講座には、あなたが経験の中で身につけた進め方や、つまずきやすいところの越え方が入っているはずです。ただ、それが外から見えていない。だから比べられてしまうのです。
比べられないためには、中身を変える前に、中身の違いが「見える形」にする。 その一番分かりやすい方法が、自分のやり方に名前をつけることです。
値下げは、一番まねされやすい手
売れないときに値下げを選ぶと、3つのことが起きます。
1つ目は、すぐにまねされることです。価格を下げるのは、誰にでも明日からできます。あなたが下げれば、同じような講座がさらに下げてくることもあります。そうなると、利益の出ない比べ合いが続きます。
2つ目は、元に戻しにくいことです。一度安い価格を見た人は、次に元の価格を見たとき「高くなった」と感じます。
3つ目は、集まる人が変わることです。価格の安さで選ぶ人は、もっと安いものが見つかれば、そちらに移っていきます。あなたのやり方に共感して、長く学んでくれる人とは限りません。
反対に、「この人のやり方で学びたい」と思って申し込む人は、価格だけでは離れていきません。値下げで人を集めるのではなく、あなたのやり方の価値が伝わる形を作る。そのほうが、少人数でも長く続く関係になります。
手順1:成果が出たやり方を、手順に書き出す
最初の手順は、あなたが実際に成果を出してきたやり方を、手順として書き出すことです。名前をつけるのは、そのあとです。
書き出すときは、次の3つを意識します。
- 自分がやっている順番どおりに、一つずつ書く
- 各手順で、何を判断しているかも書く(たとえば「ここで〇〇が足りなければ前に戻る」)
- 受講者がつまずきやすいところと、その越え方を書き添える
自分では当たり前にやっていることほど、書き出してみると独自の工夫が入っていることに気づきます。他の人が教えていない順番や、あなたならではの判断の基準。それが、名前をつける価値のある中身です。
たとえば、片づけを教えている人がいたとします。本人は「普通に片づけを教えているだけ」と思っていました。ところが自分の手順を書き出してみると、いつも最初に「一日で終わる引き出し一つだけ」を選んでもらい、そこで小さな達成感を味わってもらってから、部屋全体に広げていることに気づきました。挫折しやすい人ほど、この順番で続くようになっていたのです。こうした順番や判断の基準は、本人にとっては当たり前でも、他の講座にはない、その人ならではの中身です。
ここで、手順を増やしすぎないようにしてください。細かいことまで全部入れると、受講者は覚えられません。書き出したら、削れるものを削って、3〜7つくらいの大きな手順にまとめます。 シンプルなほど、人に伝わりやすく、覚えてもらいやすくなります。
手順2:やり方に名前をつける
手順がまとまったら、名前をつけます。名前のつけ方には、いくつかの型があります。
| 名前の型 | 考え方 | 例の形 |
|---|---|---|
| 自分の名前を入れる | あなたが教えることそのものを価値にする | 「〇〇(あなたの名前)式 △△法」 |
| 手順の数を入れる | 全体の分かりやすさを伝える | 「△△の5ステップ」 |
| 結果を入れる | 何ができるようになるかを伝える | 「〇〇が続く△△法」 |
| 相手を入れる | 誰のためのものかを伝える | 「□□な人のための△△法」 |
中でも、自分の名前や屋号を入れる方法は、一番シンプルで強力です。「文章講座」は世の中にいくつもありますが、「あなたの名前が入った文章の方法」は一つしかありません。名前が入ると、比べる相手がいなくなります。
名前には、一文の説明を添える
名前をつけたら、それが何なのかを一文で説明できるようにしておきます。名前だけでは、初めて見た人には中身が分からないからです。
説明の一文は、専門用語を使わず、その分野をまったく知らない人でもすぐに思い浮かべられる言葉で書きます。目安は、家族や友人に話して、一度で「ああ、そういうことね」と分かってもらえるかどうかです。独自性を出そうとして抽象的な言葉を重ねると、かえって何をする講座なのかが伝わらなくなります。
さらに、受講者が何をすればいいのかまで一文に入れると、ぐっと分かりやすくなります。たとえば「毎朝10分、決まった3つの質問に答えて書くだけで、発信のネタが尽きなくなる方法」のように、やることが具体的に見えると、申し込む側は自分が続けられるかどうかを判断しやすくなります。複雑に見えるものは、それだけで選ばれにくくなる。だから、名前も説明も、できるだけシンプルにします。
名前を決めたら、講座名、案内文、発信の中で、同じ名前を繰り返し使います。何度も目にするうちに、見込み客の中で「このやり方といえば、この人」という結びつきができていきます。
私の場合は、チャレンジ企画という名前で、少人数から売上を作る流れを伝えています。3日間で参加者に小さな成果を出してもらい、個別の面談につなげる。この流れに名前があることで、何が学べるのかを一言で伝えられるようになりました。全体の流れはチャレンジ企画の完全ガイドにまとめています。
手順3:受講者に、その人だけの証を渡す
名前のついたやり方ができたら、それを学んだ受講者に「このやり方をやり遂げた」という証を渡します。
一番手軽なのは、名前入りの修了証です。「〇〇さんは、△△法の全手順をやり遂げました」と書いたものを、講座の修了時に渡す。作る手間はほとんどかかりませんが、受け取った人の達成感は大きく変わります。人は、誰にでも配られるものより、自分の名前が入ったものに特別な価値を感じるからです。
修了証には、もう一つ役割があります。受講者がそれを周りに見せたり、発信で紹介したりすると、あなたのやり方の名前が、あなた以外の人の口からも広がっていきます。
手順4:教えられる人を育て、型として広げる
最後の手順は、あなたのやり方を、あなた以外の人も教えられる型に育てることです。
成果を出した受講者の中には、「このやり方を、自分のお客様にも教えたい」と考える人が出てきます。そうした人に向けて、教え方まで含めて学べる場を用意し、一定の内容を身につけた人を「認定」する。認定した人には、講座で使った図や資料を、自分の仕事で使えるようにする。
こうすると、あなたのやり方は、あなた一人が教えられる範囲を超えて広がっていきます。認定した人をあなたの発信で紹介すれば、その人の仕事の後押しにもなります。
ただし、この手順は最後に取っておいてください。自分自身のやり方で、受講者が確実に成果を出せる状態になってからです。成果の出る型ができていないうちに教える人を増やすと、質がばらつき、名前の信頼が落ちてしまいます。
また、認定を続けるための条件をつけるなら、続けることに本当に意味があるものにします。学び直すことで教える質が上がる。その中身があって初めて、続ける価値のある認定になります。肩書きを失いたくない気持ちに頼るような仕組みは、長い目で見て信頼を損ねます。
名前をつけるときに、やりがちな3つの失敗
最後に、名前をつけるときにつまずきやすいところを挙げておきます。
- 名前だけ立派で、中身が手順になっていない:かっこいい名前をつけても、何をどの順番でやるのかが説明できなければ、信頼されません。先に手順、あとから名前です
- 手順を詰め込みすぎる:独自性を出そうとして手順を増やすと、覚えられない方法になります。シンプルにまとめるほど伝わります
- 名前を毎回変える:講座ごと、発信ごとに違う名前を使うと、結びつきが育ちません。一度決めたら、しばらくは同じ名前を使い続けます
名前をつけることは、自分を大きく見せるためではありません。あなたが大切にしている進め方を、相手が覚えやすく、選びやすい形にするためです。講座の中身を「小さな成果」と「大きな成果」に分けて整理する考え方は、WHAT設計で書いています。名前をつける前の整理に役立ちます。
まとめ
- 価格で比べられるのは、価格のせいではなく、講座が「どこにでもあるもの」に見えているから
- 値下げは一番まねされやすく、元に戻しにくい。集まる人も変わってしまう
- 成果が出たやり方を手順に書き出し、シンプルにまとめてから名前をつける
- 名前は講座名や発信で繰り返し使い、修了した受講者にはその人だけの証を渡す
- 教えられる人を育てて型として広げるのは、自分のやり方で確実に成果が出るようになってから
まずは、あなたが受講者やお客様に教えているやり方を、自分がやっている順番どおりに書き出してみてください。書き出した手順の中に、名前をつけるべきあなたらしさが見つかります。


