講座の案内やメールに、お客様の声を載せたい。感想をくれた人には全員にお願いして、できるだけたくさん並べよう。そう考えている方は多いと思います。
もちろん、お客様の声は大きな力になります。ただ、声を載せたあとに、こんなことが起きることがあります。申し込みは増えたのに、なぜか講座の内容と合わない人ばかりが来る。サポートに手がかかり、本当に成果を出してほしい人に時間を使えない。
結論から言うと、お客様の声は「数」ではなく「誰の声か」で選ぶものです。載せた声は、次に来るお客様を映す鏡になります。来てほしい人に近い人の声を選び、伝わる中身をもらえるように頼み、順番を考えて見せる。これで、声は理想のお客様を呼ぶ道具になります。
この記事では、お客様の声が必要な理由、選び方、伝わる声の頼み方、声がまだ無いときの代わり、見せる順番、そして「向いていない人」の書き方を解説します。
売り手の言葉だけでは、信じてもらえない
まず、なぜお客様の声が必要なのかを確認しておきます。
あなたがどれだけ誠実に講座の良さを伝えても、読む人の心のどこかには「売りたいから良く言っているのだろう」という気持ちがあります。これは、あなたが信用されていないのではありません。売り手の言葉には、どうしてもそう受け取られる面がある、ということです。
そこで力を持つのが、あなた以外の人の言葉です。実際に受けた人が「こう変わった」と話してくれると、読む人はそれを売り手の宣伝ではなく、事実として受け取ります。
お客様の声の役目は、講座の良さを褒めてもらうことではなく、「自分にもできそうだ」と思ってもらうことです。 この役目を忘れると、どれだけ声を集めても、読む人の背中は押せません。
載せた声は、次に来るお客様の「鏡」になる
お客様の声を選ぶときに一番大事なのは、誰の声を載せるかです。
人は、自分と似た人の声を読んだときに「これは自分の話だ」と感じます。だから、載せた声の持ち主と似た人が、次のお客様として集まってきます。
たとえば、会社員向けに副業としての講座づくりを教えている講師がいたとします。この講師が、「どん底の状態から一気に逆転しました」という劇的な声ばかりを載せたとします。すると、今すぐ大きく状況を変えたいと焦っている人が集まりやすくなります。講師が本当に来てほしいのが、「本業を続けながら、少しずつ形にしたい人」だったとしたら、声と来てほしい人がずれています。
言葉選びも同じです。声の中で使われている言葉、あなたが案内文で使う言葉によって、集まる人が変わります。「一発逆転」「短期間で大きく稼ぐ」といった言葉には、そうした言葉に惹かれる人が集まります。「自分のペースで」「仕組みで」といった言葉には、別の人が集まります。
声を選ぶ前に、次の2つを書き出してください。
- どんな人に来てほしいか:今どんな状況で、何に悩んでいて、どうなりたい人か
- どんな人には合わないか:講座の内容と合わず、お互いにとって良くない結果になりやすい人
来てほしい人の像が決まったら、その人に一番近い人の声から順に選びます。ターゲットの決め方は、WHO設計の11項目と選び方の5基準で詳しく解説しています。
伝わる声に入っている3つの中身
同じお客様の声でも、読む人に届く声と、届かない声があります。「とても良かったです」「先生のおかげです」という感想は、うれしいものです。でも、これだけでは読む人は「自分にもできそうか」を判断できません。
伝わる声には、次の3つの中身が入っています。
| 中身 | 内容 | 読む人が感じること |
|---|---|---|
| 始める前の状態 | 受ける前に、何に困っていたか | 「自分と同じだ」 |
| やったことと期間 | 何を、どのくらいの時間と期間でやったか | 「それなら自分にもできそうだ」 |
| 変わったこと | 具体的に何ができるようになり、何が変わったか | 「自分もそうなりたい」 |
特に2つ目の「やったことと期間」は、見落とされがちです。成果だけが書かれていると、読む人は「この人は特別だったのでは」と感じます。どんな行動を、どのくらいの期間続けたのかが分かると、その成果が自分にも届くものとして見えてきます。
3つの中身をもらうための頼み方
この3つの中身は、「感想をください」とお願いするだけでは、なかなか出てきません。お客様は、何を書けばいいか分からないからです。そこで、質問の形で頼みます。
- 受ける前は、どんなことに困っていましたか
- 申し込むときに、迷ったことや不安だったことはありますか
- 受けてみて、実際にどんなことをしましたか
- どのくらいの期間で、どんな変化がありましたか
- 同じように迷っている人に、一言伝えるとしたら何と言いますか
2つ目の「迷ったこと」は、特に大事です。迷っていた理由と、それがどう解決したかが書かれた声は、今まさに迷っている人の背中を押してくれます。
頼むタイミングは、成果が出た直後がいちばんです。気持ちが新しいうちに頼むと、具体的な言葉が返ってきます。講座の最後のアンケートに質問を組み込んでおくのもいい方法です。アンケートの項目の考え方は、セミナー後アンケートの10項目で解説しています。
載せるときは、必ず本人の許可を取ります。名前の出し方(本名、ニックネーム、イニシャル)や、顔写真を載せるかどうかも、本人に選んでもらってください。
お客様の声がまだ無いときの3つの代わり
講座を始めたばかりで、まだお客様の声が1つも無い。そういう方もいると思います。その場合は、次の3つを代わりに使えます。
- 同じ考え方でうまくいっている人の例を示す:あなたの講座で教える考え方や方法を、すでに実践して成果を出している人が世の中にいれば、その例を紹介する。あなたの講座の声ではなく、方法が正しいことを示す材料として使う
- 自分の体験を、事実として書く:自分がその方法で何をして、どう変わったかを書く。気持ちより事実を中心に、淡々と書くほど信頼される
- 少人数に試してもらう:知人や見込み客に、講座の一部を先に受けてもらい、その感想をもらう
2つ目の自分の体験は、書き方に注意が必要です。熱を込めて「すごい変化があった」と書くほど、自慢に聞こえます。何をしたか、どれくらいかかったか、何が変わったかを、事実として並べてください。
3つ目は、声を集めるためだけでなく、講座の中身を確かめる場にもなります。どこで分かりにくいと感じたか、どこで手が止まったかを聞けば、本番の講座が良くなります。
そして、お客様が増えてきたら、代わりの材料は本物のお客様の声に置き換えていきます。声は一度載せたら終わりではなく、新しい声が届くたびに、より来てほしい人に近い声へ差し替えていくものです。
見せる順番は「近い人→確かな人→目指す姿」
いくつか声がそろったら、見せる順番を考えます。私がおすすめしているのは、次の順番です。
- 読む人に近い人の声:読む人と同じような状況から始めた人。「自分と同じだ」と感じてもらう
- 確かな変化があった人の声:やったことと期間がはっきりしていて、変化が具体的な人。「本当にできるんだ」と感じてもらう
- 読む人が目指す姿に近い人の声:講座で目指すゴールに近いところまで進んだ人。「自分もそうなりたい」と感じてもらう
最初から一番すごい人の声を見せると、読む人は「自分とは違う」と感じて引いてしまいます。身近なところから始めて、少しずつ目指す姿へ近づけていく。そうすると、読む人は段階を追って「自分にもできるかもしれない」と感じていきます。
私のお客様の例で言えば、カウンセラーのたれぱんださんは、有料の募集を始めてからの累計が125万6,000円になりました(たれぱんださんのインタビュー)。起業初期の女性向けにコンサルをしている上田さんは、コンサル開始から約1か月で売上ベース約360万円になっています。どちらの声も、始める前にどんな状態だったかが語られているので、同じ立場の方に届きやすい声です。
「向いていない人」も書いておく
最後に、声とあわせて書いておきたいのが「この講座が向いていない人」です。
来てほしい人を書くのと同じくらい、合わない人をはっきり書いておくことには意味があります。合わない人が申し込むと、その人は成果が出ずに不満を持ち、あなたも対応に多くの時間を使います。結果として、本当に成果を出してほしい人へのサポートが薄くなります。
ただし、書き方には気をつけます。相手を見下すような強い言葉で突き放すと、来てほしい人まで嫌な気持ちになります。私は、次のように書くことをすすめています。
- 向いている人:「本業を続けながら、少しずつ講座を形にしたい方」
- 向いていない人:「すぐに大きな収入がほしい方には、この講座は合わないかもしれません。ていねいに土台から作るやり方だからです」
向いていない理由を、講座のやり方として説明する。そうすると、合わない人は自分から離れ、来てほしい人は「まさに自分のための講座だ」と感じてくれます。これは、誰かを拒むためではなく、あなたと、あなたを必要としているお客様の両方を守るための書き方です。
まとめ
- お客様の声の役目は、褒めてもらうことではなく、「自分にもできそうだ」と思ってもらうこと
- 載せた声は、次に来るお客様の鏡になる。来てほしい人に近い人の声から選ぶ
- 伝わる声には「始める前の状態」「やったことと期間」「変わったこと」が入っている。質問の形で頼む
- 声がまだ無いときは、同じ方法の実例、自分の体験の事実、少人数での試しで代える
- 見せる順番は「近い人→確かな人→目指す姿」。向いていない人も、やり方の説明として書いておく
まずは、今持っているお客様の声を並べて、それぞれが「来てほしい人」に近いかどうかに印を付けてみてください。印の付いた人に、上の5つの質問を送るところから始めましょう。


