AIを使えば、ブログの記事もメルマガも、これまでよりずっと速く下書きが作れるようになりました。私自身も、仕事でAIを使っています。うまく使えば、AIは本当に頼りになる助手です。
ただ、今回はあえて、使い方の注意点のお話をします。AIが作った文章を、読み返さずにそのまま公開する。これだけは避けてください。
結論から言うと、AIの回答をそのまま使うほど、あなたの信用は少しずつ減っていきます。 AIは間違えますし、偏りもあります。架空のお客様の声を書いてくることさえあります。それを公開すれば、責任を問われるのはAIではなく、あなたです。
この記事では、生成AIをビジネスで使うときに守りたい5つの注意点と、公開する前に確かめる手順をお伝えします。少し地味な話ですが、AIを長く安心して使うための土台になる話です。
5つの注意点の一覧
先に、全体を一覧で見ておきます。
| 注意点 | 守ること |
|---|---|
| 1. AIは間違いも偏りもある | 鵜呑みにせず、本当に正しいかを確かめる |
| 2. 公開する責任はあなたにある | 公開前に必ず自分の目で読む |
| 3. 機密情報を入力しない | 知られて困る情報は、最初から入れない |
| 4. 考える力をAIに渡さない | 最後の判断は、自分でする |
| 5. お客様の声や実績を作らせない | AIが書いた架空の実績は、すべて消す |
5つ目が、今回いちばんお伝えしたいことです。順番に見ていきます。
注意点1:AIは間違いも偏りもある
「AIが言うのだから、きっと正しいのだろう」。これは、とても危ない思い込みです。
AIは、人が作ったインターネット上の膨大な文章や画像を学び、それらしい答えを予測して作っています。つまり、学んだ情報の中に間違いや偏りがあれば、AIも平然と間違った答えや偏った答えを返してきます。
以前、世界的な大企業の画像生成AIで、偏りをなくそうとした調整が、かえって別の偏りを生んでしまったことが話題になりました。大企業でも、AIの偏りを思いどおりに扱うのは難しいのです。
AIは完璧ではありません。AIが出してきた情報は、「それは本当に正しいのか」と一度疑ってから使う。この姿勢を持っておいてください。
注意点2:公開する責任は、あなたにある
AIは、あくまで助手です。そして、その助手を使って世の中に情報を出すのは、あなたです。
もし、AIに書かせたブログの記事に間違いがあり、それを信じたお客様が損をしたら、責任を取るのは誰でしょうか。AIではなく、あなたです。「AIが書いた文章をそのまま使っただけです」という説明は、読者には通用しません。
AIが作った文章や画像を公開する前には、必ず自分の目で確かめて、公開する責任者として判断してください。
- 事実と違うことが書かれていないか
- 読んだ人が不快になる表現はないか
- 過激な表現や、誰かを傷つける表現はないか
- あなたの考えと違うことが書かれていないか
これを判断するのは、AIを使う側であるあなたの仕事です。
注意点3:機密情報をAIに入力しない
もう一つ、情報の扱いについての注意点があります。それは、外に出てはいけない情報を、AIに入力しないことです。
- お客様からお預かりした個人情報
- まだ公開していない、新しい商品の企画
- パスワードや、取引先との契約の中身
AIのサービスによっては、入力した内容がAIの学習に使われることがあります。設定で学習に使わないようにできるものもありますが、設定の中身はサービスごとに違い、変わることもあります。
一番確実なのは、知られて困る情報は、最初からAIに入力しないことです。お客様の相談内容をAIで整理したいときも、名前や連絡先など、その人だと分かる情報は外してから入力してください。
注意点4:考える力をAIに渡さない
AIの便利さに慣れすぎると、もう一つ困ったことが起きます。自分で考えなくなることです。
AIは、飛行機でいえば副操縦士のような存在です。計器の操作や計算は手伝ってくれますが、どのルートで、どこに着陸するかを決めるのは機長であるあなたです。機長が操縦かんから手を離して、すべてを任せてしまったら、その飛行機がどうなるかは想像がつきますよね。
AIは、頼まれた作業をこなすのは得意です。でも、あなたのビジネスの将来や、お客様の本当の気持ちまでは考えてくれません。AIの答えを貼り付けるだけの作業に慣れると、次のような問いを自分に投げかけなくなっていきます。
- この文章で、本当にお客様の悩みは解決するだろうか
- もっとお客様に届く、別の切り口はないだろうか
- 自分のビジネスの本当の強みは何だろうか
AIは、あなたの力を補う道具です。AIに頼りすぎて、自分で考える力が落ちてしまっては意味がありません。AIに何を頼み、何を自分で決めるのかの分け方は、AIが「使えない」は勘違い?プロンプトの基礎でも触れています。
注意点5:お客様の声や実績をAIに作らせない
ここが、今回いちばん強くお伝えしたいことです。
AIにセールスレターやブログ記事を書かせると、それらしく見せるために、頼んでもいないのに架空の「お客様の声」や「実績」を書き加えてくることがあります。「この方法で、たった1か月で売上が大きく伸びました(30代・経営者)」といった文章です。
これらは、実在しないお客様の、起きていない出来事です。もし、それを本当のことのように自分のサイトに載せたら、お客様をだますことになります。 景品表示法などの法律に触れるおそれがあるだけでなく、あとで分かったときには、それまで積み上げてきた信用を一度に失います。
なぜAIは、架空の実績を書いてしまうのか
AIには、良い悪いを判断する感覚がありません。AIは、インターネット上にある「よくあるセールスレターの型」を学んでいます。その型の中に「お客様の声や実績を入れる」というパターンがあるので、良かれと思って、架空のものを埋めてくるのです。
だから、AIが書いた文章の中に、あなたの記憶にないお客様の声や実績が入っていたら、それはAIが作ったものです。迷わず消してください。
実績がまだなくても、商品は案内できる
「でも、私にはまだお客様の声も実績もありません」。そう不安になる方もいると思います。
心配いりません。お客様の声がなければ商品を売ってはいけない、という決まりはありません。大切なのは、「まだ実績は多くありませんが、私はこういう経験をしてきて、こういうことができます」と、正直に伝えることです。
そして、最初のお客様を全力でサポートし、本物のお客様の声と、本物の実績を積み上げていく。AIは、その作業を速くするためには使えますが、その過程を飛ばして、作り物の成果を手に入れるために使うものではありません。
公開する前に確かめる5つの手順
ここまでの注意点を、毎日の仕事で守りやすくするために、AIの下書きは次の手順で確かめることをおすすめしています。
- AIに渡す材料は、自分の体験・お客様の実例・自分の考えから選び、事実だけを渡す
- 下書きの中の数字・固有名詞・お客様の声に印をつけ、1つずつ自分の記録と照らし合わせる
- 記憶にない実績や声、確かめられない数字は消す
- 声に出して読み、自分の言葉として話せない部分を書き直す
- 最後に「この文章を、目の前のお客様に見せられるか」を自分に問う
特に1つ目が大切です。AIに渡す材料が事実だけなら、AIが作り話を混ぜる余地も小さくなります。AIに渡す材料のそろえ方はAIに渡すべき10の材料とマザープロンプトで、長い下書きをAIに頼むときの使い方はClaudeの使い方で詳しく解説しています。
まとめ
- AIは間違いも偏りもある。出てきた情報は、本当に正しいかを確かめてから使う
- 公開する責任はあなたにある。AIの文章は、必ず自分の目で読んでから出す
- 知られて困る情報は、最初からAIに入力しない
- 考える力をAIに渡さない。最後の判断は自分でする
- AIが書いた架空のお客様の声や実績は、すべて消す。実績がなくても、正直に伝えれば商品は案内できる
まずは、これまでにAIで作って公開した文章を1本選び、数字とお客様の声に印をつけて、自分の記録と照らし合わせてみてください。記憶にないものが見つかったら、そこが最初に直す場所です。


