スマートフォン1台で動画が作れることは分かった。でも、いざカメラの前に立つと、何をどう話せばいいのか分からない。やっと作った動画も、再生回数を見るとほとんどの人が途中で閉じている。そんな悩みを持っている方は多いです。
こういうとき、多くの方は「自分は話すのが下手だから」と考えます。でも、原因は話し方の上手さではないことがほとんどです。
結論から言うと、動画が途中で離脱されるのは、動画というメディアが持つ弱点を知らないまま作っているからです。 動画づくりで大事なのは、撮影や編集の技術よりも、見る人の心理を理解することです。
この記事では、動画が抱える3つの弱点と、それを乗り越えて最後まで見てもらうための7つの原則、よくある失敗をお伝えします。
動画が抱える3つの弱点
まず、動画というメディアが持っている、構造的な弱点を知っておきましょう。
| 弱点 | 起きること |
|---|---|
| 1. 再生されにくい | 見る人の時間を確実に使うので、よほど興味がないと再生ボタンが押されない |
| 2. 途中で離脱されやすい | 再生されても、「つまらない」と感じた瞬間に閉じられる |
| 3. あとから見返しにくい | 「あの話は何分ごろだったか」を、文章のように探せない |
文章なら、読む人は流し読みができます。気になるところだけ拾い読みもできます。でも動画は、流れていく時間に付き合ってもらわないといけません。見る人にとって、文章より負担の大きいメディアなのです。
だからこそ、動画には「見てもらう工夫」「見続けてもらう工夫」「信頼してもらう工夫」が必要になります。7つの原則は、この3つに分けて考えると分かりやすくなります。
見てもらうための原則
原則1:題名に時間をかける
動画の題名は、募集ページのキャッチコピーや、メールの件名と同じくらい大切です。見る人は、ほとんど題名だけで、その動画を見るかどうかを決めています。
どれだけ中身が良くても、題名に興味を持ってもらえなければ、その動画は存在しないのと同じです。見る人が抱えている悩みや、見たあとに得られることが伝わる題名を、時間をかけて考えてください。
どんなテーマなら見てもらえるかは、需要のある動画のテーマを探す方法で解説しています。
原則2:最初の10秒で、見る理由を伝える
見る人が動画を見続けるかどうかは、再生を始めてから10秒ほどで決まります。ここで「こんにちは、〇〇です。今日はですね…」と長いあいさつから入ると、多くの人が離れていきます。
最初の10秒では、この動画を見ると何が得られるのかを伝えます。 たとえば、次のような入り方があります。
- 得られることを伝える:「この動画を見ると、〇〇ができるようになります」
- 問いかける:「なぜ、多くの人が〇〇でつまずくのか。その理由を今からお話しします」
気をつけたいのは、見る人の不安をあおって引き止めようとしないことです。「知らないと損をします」といった言い方は、最初は目を引いても、あとで不信感につながります。見る人が知りたいことに、まっすぐ答える入り方をおすすめします。
見続けてもらうための原則
原則3:1本の動画は15分以内を目安にする
見る人の集中力は、そう長くは続きません。特に、まだあなたのことをよく知らない人にとって、30分や1時間の動画は、再生する前から負担に感じられます。
まずは5分から15分ほどの、気軽に見られる長さを目安にしてください。内容が長くなるときは、前編と後編のように分けて公開すると、見る人にとって親切です。
分けることには、もう一つ良い点があります。1本目を見て役に立ったと感じた人は、続きの2本目も見てくれます。短い動画を何本か見てもらううちに、あなたへの信頼が少しずつ育っていきます。長い動画を1本だけ作るより、見る人との接点を増やせるのです。
1本の動画で伝えることは、1つのテーマに絞ってください。あれもこれもと詰め込むと、長くなるうえに、見た人の頭にも何も残りません。
原則4:だらだらした動画にしない
「あー」「えーっと」といった言葉、意味のない長い間、同じ話のくり返し。テンポの悪い動画は、見る人にストレスを与え、離脱の直接の原因になります。
テンポを良くするには、次の3つが効果的です。
- 話す内容を、あらかじめ箇条書きでまとめておく
- 何度か声に出して練習し、つかえずに話せるようにしておく
- 編集の段階で、いらない間や言葉を切る
特に1つ目が大切です。話すことが決まっていないまま撮り始めると、どうしても言葉に詰まり、話があちこちに飛びます。話す順番の組み立て方は、セミナー台本の11要素と直し方が動画にもそのまま使えます。
信頼してもらうための原則
原則5:見た目も、メッセージの一部と考える
あなたが動画に出る場合、身だしなみ、表情、姿勢、そして後ろに映る背景も、メッセージの一部です。寝ぐせがついたまま、自信なさそうに小さな声で話す人から、大切な商品を買いたいと思うでしょうか。
清潔感のある服装、明るい表情、はっきりした話し方を心がけてください。背景にも気を配ります。たとえば、お金の増やし方を話しているのに、後ろにカップ麺の空き容器が映っていたら、話の説得力は一気に下がってしまいます。
原則6:ニュースキャスターではなく、友人のように話す
カメラの前で緊張して、ニュースキャスターのように硬い話し方になってしまう方がいます。でも、それでは見る人との間に壁ができてしまいます。
見る人が求めているのは、親しみのある、人間味のあるやり取りです。友人に話しかけるような気持ちで、気さくに語りかけてみてください。もちろん、どこまでくだけるかは、あなたの商品やお客様に合わせて調整します。
原則7:ときどき、いつもと違う場面を入れる
いつも同じ部屋、同じ背景で話しているだけだと、見る人も飽きてきます。ときどき、次のような変化を入れてみてください。
- ゲストを招いて、対談の形にする
- 旅行先など、いつもと違う景色を背景に撮る
- 撮影用のスタジオを借りて、特別な雰囲気を出す
毎回でなくて構いません。いつもの動画の中に、ときどき「いつもと違う回」があるだけで、見る人の楽しみが増えます。
よくある失敗
7つの原則を知っていても、つまずきやすい点があります。
| よくある失敗 | どう直すか |
|---|---|
| 中身づくりに時間をかけ、題名は最後に急いで決める | 題名にも中身と同じくらい時間をかける |
| 最初に長いあいさつや自己紹介をする | 最初の10秒で、見ると何が得られるかを伝える |
| 全部を1本に詰め込んで長くなる | 15分を目安に、分けて公開する |
| 話す内容を決めずに撮り始める | 箇条書きでまとめてから撮る |
| 映像のきれいさにこだわりすぎて本数が増えない | 最低限の品質を守り、中身と本数を優先する |
最後の失敗は、真面目な方ほど陥りがちです。見る人が離脱するのは、映像がきれいでないからではありません。見る理由が伝わらないから、テンポが悪いから離れていくのです。映像の品質はどこまでこだわればいいかは、制作する動画のクオリティーで解説しています。
まとめ
- 動画は、再生されにくく、途中で離脱されやすく、見返しにくいメディア
- 見てもらうために、題名に時間をかけ、最初の10秒で見る理由を伝える
- 見続けてもらうために、15分以内を目安にし、話す内容をまとめてテンポ良く話す
- 信頼してもらうために、見た目と背景に気を配り、友人のように語りかける
- ときどき、いつもと違う場面を入れて、見る人を飽きさせない
まずは、次に撮る動画の最初の10秒で話す言葉を、紙に書き出してみてください。「この動画を見ると何が得られるか」が一文で言えれば、離脱はそれだけで減っていきます。



