「多少ずるいことをしてでも、売った人が勝ちなのでは」。ビジネスを始めたばかりの頃、そう感じる場面があるかもしれません。強引な売り方をしている人が、一時的に大きく稼いでいるように見えることがあるからです。
でも、私はそうは考えていません。以前、知人から、ある地域で高額な品物を強引に売りつけて評判を落とした人の話を聞いたことがあります。その人は周りから避けられるようになり、商売もうまくいっている様子はなかったそうです。
結論から言うと、人をだまして得た売上は、長く続きません。一度きりで終わり、評判を失い、いつまでも「新しいお客様を探す」ことに追われ続けます。反対に、お客様に喜んでもらうことは、そのまま売上が続く仕組みの土台になります。
この記事では、悪事の先に何が待っているのか、なぜ誠実な商売のほうが結果として強いのか、そして自分の商売を点検する方法をお伝えします。
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一度きりの売上は、ビジネスとは呼べない
人をだますような売り方でも、一時的にお金が入ることはあります。ただ、そのお金は「一度きり」です。
だまされたと感じたお客様は、二度と買いません。家族や知人に勧めることもありません。むしろ「あそこには気をつけて」と伝えます。こうして、売った瞬間から、次の売上の芽を自分で摘んでしまいます。
ビジネスとは、売上が続いていく状態のことです。一度大きく売れても、次が続かなければ、また一から始めることになります。
| 売り方 | 売った直後 | その後 |
|---|---|---|
| だます・無理に売る | 一時的にお金が入る | 買った人は離れ、悪い評判が広がる |
| 喜んでもらう | 売上は小さく見えることもある | もう一度買ってくれる、人を紹介してくれる |
最初の売上だけを見ると、左のほうが得をしているように見えることがあります。でも、半年後、1年後を比べると、差ははっきり開いていきます。
ビジネスで一番手間がかかるのは「新しいお客様を見つけること」
ビジネスで最も労力がかかるのは、新しいお客様を見つけることです。
まだあなたを知らない人に見つけてもらい、興味を持ってもらい、信頼してもらって、初めて申し込みにつながります。ここには時間もお金も手間もかかります。
だからこそ、うまくいっている人は、一度来てくれたお客様との関係を大切にします。集客の仕組みができたあとは、次のような流れを作っていきます。
- 買ってくれた人に、しっかり成果を出してもらう
- もう一度、次の商品やサービスを選んでもらう
- 満足した人が、身近な人に紹介してくれる
この流れができると、新しいお客様を探す負担が少しずつ軽くなっていきます。 時間やお金をかけて集め続けなくても、売上が積み上がっていく状態に近づきます。
人をだます売り方では、この流れが最初から作れません。買った人が二度と戻らないので、ずっと1の手前、つまり「新しいお客様を探す」ところで働き続けることになります。
悪い評判は、集客の入り口をふさいでいく
もう一つ見落とされがちなのが、評判の影響です。
今は、商品を買う前に名前を検索したり、口コミを見たりするのが当たり前になりました。一度広まった悪い評判は、新しいお客様がやってくる入り口そのものをふさいでしまいます。
つまり、人をだます商売は、次の2つを同時に失います。
- 買ってくれた人からの、2回目以降の売上
- まだ出会っていない人からの、最初の売上
これが「悪事の先にあるもの」です。罰が当たるといった話ではなく、ビジネスの構造として、続かないようにできているのです。
名前で検索したときに出てくる情報とどう向き合うかは、『名前(スペース)詐欺』で検索すると・・・で書いています。
小さな「ずるさ」も、同じ道をたどる
「悪事」と聞くと、大がかりな詐欺のようなものを想像するかもしれません。でも、個人のビジネスで気をつけたいのは、もっと小さなずるさです。
- 実際より大きな成果が出るように見せる
- 本当は必要のない人にまで、無理に申し込みを勧める
- 申し込み後のサポートを、案内したときより手薄にする
- 買う前と買った後で、対応の丁寧さが大きく変わる
どれも、その場では売上が増えたように見えます。でも、買った人は「思っていたのと違う」と感じます。その小さな不満が、2回目の購入をなくし、紹介をなくし、ときには悪い口コミになります。構造としては、大きな悪事と同じ道をたどるのです。
反対に、案内したとおりのことを、案内したとおりに届けるだけで、お客様の信頼は少しずつ積み上がっていきます。特別なことをしなくても、約束を守り続けることが、長く続くビジネスの一番の土台になります。
うまくいっている人は、お客様の喜びに力を注いでいる
長くビジネスを続けている人に共通しているのは、お客様に喜んでもらうことに全力を注いでいることです。
自分が売上を作る過程で、お客様も笑顔になる。この循環ができて初めて、ビジネスは正しく回り始めます。これは、きれいごとではありません。お客様が喜ぶと、次の購入と紹介が生まれ、それが次の売上になるからです。
お客様の喜びを考えることと、自分の利益を考えることは、対立しません。自分の利益だけを見ているとお客様が見えなくなりますが、お客様の喜びを見ていれば、利益は後からついてきやすくなります。この「他者貢献」と自分の利益の関係は、ビジネスに他者貢献が必要な理由で詳しく解説しています。
自分の商売を点検する4つの問い
「自分は人をだましたりしない」と思っている方でも、気づかないうちに、お客様より自分の都合を優先してしまうことはあります。次の4つの問いで、自分の商売を点検してみてください。
- 買ってくれた人に「買ってよかった」と言ってもらえる中身になっているか
- 商品の説明で、できないことをできるように書いていないか
- 断った人や、買わなかった人にも、失礼のない対応をしているか
- 買ってくれた人が、知人に紹介したくなる理由があるか
どれか1つでも迷うところがあれば、そこが直すところです。特に2つ目は、売上を急ぐと起きやすくなります。大げさな約束で売れた分は、あとで不信感として返ってきます。
4つ目の「紹介したくなる理由」を育てる考え方は、最強の集客手段「紹介」の広げ方でまとめています。
よくある勘違い
誠実な商売について話すと、次のような声を聞くことがあります。
| よくある勘違い | 実際は |
|---|---|
| 誠実にやると売上が小さくなる | 最初は小さく見えても、2回目の購入と紹介で積み上がる |
| 強く売り込まないと売れない | 売り込むより、買う理由が伝わっているかのほうが大きい |
| 自分の利益を考えるのは悪いこと | 利益を考えるのは大事。お客様の喜びとつながっていればいい |
| 評判は気にしなくても大丈夫 | 今は買う前に名前を調べる人が多く、評判が入り口になる |
特に2つ目は、多くの方がつまずくところです。売り込まなくても、お客様が「これは自分に必要だ」と分かる流れがあれば、商品は選ばれます。
強く売り込んで申し込んでもらった人ほど、あとで「押し切られた」と感じやすくなります。自分で納得して選んだ人は、成果が出るまで取り組んでくれますし、満足して次の商品も選んでくれます。売り方の誠実さは、そのままお客様の成果と、次の売上につながっていくのです。
まとめ
- 人をだまして得た売上は一度きりで、次の売上につながらない
- ビジネスで一番手間がかかるのは新しいお客様を見つけることで、だます商売はずっとそこで働き続けることになる
- 悪い評判は、2回目以降の売上と、新しいお客様の入り口の両方を失わせる
- お客様の喜びに力を注ぐと、次の購入と紹介が生まれ、売上が続く仕組みになる
まずは、最近買ってくれたお客様を1人思い浮かべて、「その人は、知人にあなたを紹介したくなるだろうか」と考えてみてください。迷うなら、その理由を書き出すところから始めましょう。
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