毎日たくさんのセッションをこなしているのに、月の目標金額にはまったく届かない。安くすれば申し込みは来るけれど、忙しさばかりが増えていく。そんな状況で悩んでいる方は少なくありません。
真面目な人ほど、「もっと頑張れば届くはずだ」と考えて、さらに予定を詰め込みます。でも、どれだけ頑張っても、届かないことがあります。
結論から言うと、原因は努力の量ではなく、「目標と行動の矛盾」です。目標の金額と、今の価格で売れる回数が、そもそもつり合っていないのです。矛盾したまま頑張っても、努力は報われません。
この記事では、計算で矛盾に気づく方法と、高い価格に見合う価値の作り方、そして確かめる3つの問いを解説します。
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起業して最初にぶつかる「生活費の壁」
起業した最初の段階で、多くの人がぶつかる壁があります。それは、家賃やローンを払いながら、生活できるだけの収入を確保することです。
会社員なら、生活に必要な金額がそのまま目標になるかもしれません。でも、自分でビジネスをする場合は、税金を自分で払い、必要な経費もかかります。そのため、会社員のときより多めの金額を目標にする方が多いです。独立を考える方からは、「まずは月50万円を超えたい」という声をよく聞きます。
金額の目標を決めるのは、とても良いことです。問題は、その目標に対して、どんな価格で商品を売っているかです。
1,000円のセッションで月50万円を目指すと、どうなるか
実際に、90分のセッションを1,000円や500円といった、とても安い価格で提供している方は意外と多いです。
例として、1回1,000円のセッションで、月50万円を目指す場合を計算してみます。
| 項目 | 計算 |
|---|---|
| 必要な回数(1か月) | 50万円 ÷ 1,000円 = 500回 |
| 1日あたりの回数(30日) | 500回 ÷ 30日 = 約17回 |
| 1日に必要な時間(1回90分) | 約17回 × 90分 = 約25時間 |
休憩なしでも、1日24時間では終わりません。それを30日間続けるのは、物理的にできないことです。
これが「目標と行動の矛盾」です。 どれだけ気持ちを込めて頑張っても、この方法では目標に届きません。努力が足りないのではなく、計算の段階で届かないことが決まってしまっているのです。
このまま「お客様が来ないから、さらに安くする」をくり返すと、安いものしか売れない状態になり、忙しいのに収入が増えない「貧乏暇なし」に近づいていきます。安い商品だけを売り続けると忙しくなる仕組みは、薄利多売だけにはならないようにするで詳しく書いています。
安くしていいのは「戦略」があるときだけ
誤解のないようにお伝えすると、無料や低価格のセッションが悪いわけではありません。
- 実績がないうちに、実績を作るために無料や低価格で受ける
- 高額なプランの前に、お客様の不安を減らすためのお試しとして用意する
こうした使い方は、戦略として十分にありです。そこで得た実績や信頼をもとに、大きな成果につなげることもできます。
問題なのは、目的がないまま、低価格の状態をずっと続けてしまうことです。「高いと売れないから」という理由だけで安くするのは、戦略とは言えません。お試しのはずが本命になってしまい、いつまでも次の段階に進めなくなります。
高い価格に見合う価値は、「相手の悩み」から作る
では、価格を上げればいいのかというと、そう単純ではありません。これまで1,000円で提供していたものを、ある日突然10万円にしても、お客様は困るだけです。「1,000円のものを10万円で売らないで」と思われてしまいます。
10万円をいただくなら、10万円に見合う価値を届ける必要があります。価格をつけ直す前に、「高くても価値を感じてもらえるプラン」を作ることに時間を使う。これが、安いセッションをたくさんの人に売ろうとするより、ずっと確実な方法です。
「自分の好き」だけで考えると、価値が伝わらない
ここで気をつけたいのが、自分の好きなことだけを見て商品を考えてしまうことです。
私が聞いた話ですが、ハーブティーの素晴らしさを伝えるセッションを、何万円ものプランで売ろうとしていた方がいたそうです。内容は「ハーブティーを楽しんで、毎日を幸せに過ごしましょう」というものでした。
ハーブティーが好きな人は多いと思います。でも、それを学ぶために何万円も払いたい人は、ほとんどいないでしょう。本やインターネットでも情報を集められますし、趣味の習い事なら、手の届きやすい価格で学べる場もあります。
高い価格に見合う価値は、「自分が伝えたいこと」からではなく、「相手が深く悩んでいて、自分では解決できないこと」から生まれます。お客様が悩みを深く抱えていて、それを解決した先に大きな変化があるほど、価格に見合う価値は大きくなります。
高額な商品の中身を具体的に決める方法は、高額商品を設計する9つの項目で解説しています。
価格を見直すときによくある失敗
矛盾に気づいて価格を見直そうとするとき、つまずきやすいところが3つあります。
- 中身を変えずに、値段だけを上げる。お客様から見ると、同じものが高くなっただけに見えてしまいます。価格を上げるなら、サポートの期間や深さ、届ける成果など、中身も一緒に作り直します
- 今のお客様に、いきなり新しい価格を当てはめる。これまで安い価格で受けてくれていた方には、事情を説明して、新しいプランを選べるようにするなど、丁寧に切り替えます
- 高い価格を案内するのが怖くて、説明をぼかす。自信がなさそうに伝えると、相手も不安になります。何をどこまでサポートするのかを先に言葉にしておくと、落ち着いて伝えられます
どれも、才能や度胸の問題ではありません。価格と中身をセットで設計しておけば、避けられるつまずきです。
もう一つ付け加えると、価格を上げると、申し込む人の数は減るかもしれません。でも、それは悪いことではありません。一人ひとりに深く関われるようになり、お客様の成果も出やすくなります。数を追いかけて疲れ切ってしまうより、自分が続けられる形のほうが、結果的にお客様のためにもなります。
矛盾を見つける3つの問い
自分のビジネスに矛盾がないかは、次の3つの問いで確かめられます。
- 目標の金額は、今の価格で何回売れば届くか:必要な回数と時間を計算し、自分の時間の中で本当にこなせるかを見る
- その価格に見合う価値を、自分は届けられているか:相手のどんな悩みを、どこまで解決する商品なのかを言葉にしてみる
- 安い商品は、何のために置いているか:実績づくりやお試しなど、目的と「いつまで」を決めているか
この順番で考えることが大切です。現実的な価格を決め、その価格に見合うプランを作る。集客は、そのあとです。順番が逆のまま集客を頑張っても、忙しさが増えるだけになりがちです。
目標の金額から、単価と人数を逆算する具体的な手順は、ビジネスは目標と手段を明確にして取り組むで解説しています。
まとめ
- 目標に届かない原因は、努力の量ではなく「目標と行動の矛盾」にあることが多い
- 例として、1,000円のセッションで月50万円を目指すと、1日約17回・約25時間が必要になり、物理的に届かない
- 無料や低価格は、実績づくりやお試しという戦略があるときだけ使う
- 高い価格に見合う価値は、「自分の好き」ではなく「相手の深い悩み」から作る
- 価格を決める → 価値に見合うプランを作る → 集客する、の順番で進める
まずは、あなたの目標の金額を今の価格で割って、必要な回数と時間を計算してみてください。数字にすると、頑張る場所がはっきり見えてきます。
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