講座やサービスを作ったのに、なかなか申し込みが来ない。だから投稿を増やし、無料セミナーも開いてみる。それでも売れないので、価格を下げようか迷い始める。
こうした流れの中にいる方は、とても多いです。まじめに発信を続けているのに、売上が伸びない。疲れるのは、努力が足りないからではありません。
結論から言うと、集客を増やしても売れないとき、直すべきなのは集客ではなく商品の設計です。設計に穴があるまま安くすると、売るのはかえって難しくなります。高額でも売れる商品には、3つの条件がそろっています。
この記事では、売れない商品にあいている「5つの穴」の見つけ方、安い商品ほど売りにくい理由、そして高額でも選ばれる商品の3つの条件を順番にお伝えします。
集客を頑張るほど疲れていく流れ
売れずに悩む人には、よく似た流れがあります。
- 講座を作り、SNSやブログで告知する
- 反応が少ないので「集客が足りない」と考え、投稿を増やす
- 無料セミナーや無料相談を開き、人は少しずつ集まる
- それでも申し込みが少なく、価格を下げたり特典を足したりする
- 安くした分、もっと人数が必要になり、さらに集客に追われる
一番つらいのは5です。売れない理由を集客のせいだと考えると、打てる手は「もっと集める」しかありません。人数を追うほど時間がなくなり、一人ひとりへのサポートも薄くなっていきます。
私も独立したばかりの頃は、何を発信すればいいか分からず、ブログやSNSを続け、無料相談もしました。それでも成約にはつながりませんでした。当時の私に足りなかったのは、発信の量ではなく、「これをこの順番でやればいい」という手順でした。
ここで必要なのは、頑張る量を増やすことではなく、売れる仕組みを作ることです。その出発点が、商品の設計を見直すことになります。
設計を飛ばすと、こうなります
たとえば、事務職の人向けにAIで仕事を早くする講座を教えている人がいたとします。受講生から「部署のみんなにも教えてほしい」と言われ、もっと大きな2つ目の商品を作ろうと考えました。
ここで設計を飛ばして、「AIの時短術、チームや部署向けにもお教えします」と告知したとします。誰の何がどう変わるのかが書かれていないので、反応は「いいですね」で止まり、問い合わせは来ません。
この人の知識も経験も、1つ目の講座のときと変わっていません。足りなかったのは、2つ目の商品の「形」です。
穴の空いたバケツで、売れない場所を見つける
売れない状態は、穴の空いたバケツにたとえると分かりやすくなります。集客は、バケツに水を注ぐことです。商品設計に穴があると、注いだ水は申し込みとして溜まらず、穴から流れ出ていきます。
穴があるまま水を増やしても、流れ出る量が増えるだけです。先に穴をふさぎ、それから注ぐ。穴は次の5つに分けて考えます。
| 穴 | よく出る症状 | 見つけ方の問い |
|---|---|---|
| ① 誰の悩みかがぼやけている | 「いいね」はつくが、相談が来ない | 「それは私のことだ」と手を上げる人を、1文で書けるか |
| ② 約束が見えない | 「結局、何ができるようになるの?」と聞かれる | 終わったとき何ができているかを、目に見える形で言えるか |
| ③ 道筋と伴走がない | 「私にできるか不安」と断られる | つまずいたとき、誰が・いつ・どう助けるかを説明できるか |
| ④ 価格の根拠が言えない | 「高い」「他はもっと安い」と比べられる | なぜこの価格かを、手間ではなく得られる変化で説明できるか |
| ⑤ 入口から成約までがつながっていない | 無料セミナーに来た人が、そのまま消える | 入口に来た人に次に何をしてもらうかが、1本の線でつながっているか |
自分の商品のどこに穴があるかは、お客様の反応に表れます。真ん中の列の症状に心当たりがあれば、その穴があいているかもしれません。右の列の問いに1文で答えられるかを確かめてみてください。
さきほどの告知文を点検すると、「チームや部署向けにも」では誰の悩みか分からないので穴①です。何ができるようになるかも書いていないので穴②。期間もサポートの形も価格の理由も決まっていないので、穴③と④。無料セミナーから個別相談へ進む流れもないので穴⑤。5つの穴がすべてあいたまま、水を注ごうとしていたわけです。
落ち込む必要はありません。穴の場所が分かれば、ふさぐ順番も決まります。
自分では穴に気づきにくい
書いた本人には意味が分かるので、自分の商品の穴は見えにくいものです。そこで、説明文をAIに渡し、5つの穴ごとに「あいている・一部あいている・ふさがっている」で判定してもらうと、見落としに気づけます。
このとき、直した文章はまだ書いてもらいません。いきなり文章を整えてもらうと、穴をふさがないまま言葉だけがきれいになるからです。まず穴の場所を知り、直すのは中身を決めてからにします。
設計が整わないまま安くした商品ほど、売りにくい
「高い商品は売りにくいから、まずは安くしよう」。そう考える方は多いです。ところが実際には逆のことが起きます。設計が整っていないまま安くした商品ほど、売るのに苦労します。理由は3つあります。
1. 必要な人数が増える
同じ売上を作るのに、価格が安いほど多くの申し込みが必要になります。多くの申し込みをもらうには、その何倍もの人に知ってもらわなければなりません。結局、集客に追われる流れに戻ってしまいます。
2. 価格で比べられる
約束がぼやけている商品は、お客様にとって価格でしか比べようがありません。そうなると、無料の動画や、もっと安い講座が競争相手になります。安くしても、さらに安いものはいくらでもあります。
反対に、誰の何をどこまで変えるのかがはっきりしていれば、比べる相手が変わります。お客様は「この悩みを、この期間で解決してくれるのはどこか」で選ぶようになります。
3. 成果が出にくく、声が集まらない
見落とされやすいのがこの3つ目です。価格が安いと、一人ひとりにかけられる時間が限られます。受ける側も「安かったから、まあいいか」と途中で止まりやすくなります。
成果が出る人が少なければ、紹介もお客様の声も集まりません。次の募集はまたゼロからです。安さで集めた分、次の集客がもっと大変になる。これが、安い商品ほど売りにくい本当の理由です。
安い商品そのものが悪いわけではありません
誤解のないように書いておくと、安くすること自体が悪いのではありません。最初の講座や、お試しの商品として手に取りやすい価格で出すのは、よい入口になります。入口の商品の役割は、入口の商品に持たせる4つの役割で詳しく書いています。
問題は、設計の穴を価格の安さで埋めようとすることです。「安くすれば売れるはず」と考える前に、穴をふさぐほうが先です。
お客様は「講座」ではなく「変化」にお金を払う
穴をふさぐ前に、押さえておきたいことがあります。お客様が何にお金を払っているか、です。
答えは、講座の回数でも、動画の本数でもありません。受ける前と後で、自分がどう変わるか。その「変化」にお金を払っています。
ところが、売る側はつい中身の量で説明してしまいます。「動画12本」「テンプレート付き」「全6回」。どれも嘘ではありませんが、お客様はそこから自分の変化を想像しなければなりません。想像に手間がかかる説明は、読み飛ばされます。
| 中身で説明する | 変化で説明する | |
|---|---|---|
| 伝えること | 動画講座、テンプレート、隔週の実践会 | 3か月で、自分の担当業務10個のAI手順書がそろう |
| お客様の受け取り方 | 「たくさん入っているな」 | 「あの業務も、この業務も手順になるのか」 |
| 比べられる相手 | 他の講座の本数や価格 | 今のまま残業を続けること |
右の説明なら、お客様は自分の業務を思い浮かべながら読めます。比べる相手も、他の講座ではなく「今のままの自分」になります。中身で説明すると量で比べられ、変化で説明すると、得られるものの大きさで比べられます。
教える内容が同じでも、変化の大きさと、そこまで一緒に進む期間が違えば、価格も変わります。高額の商品を作るときに大きくするのは、中身の量ではなく変化の大きさです。
高額でも売れる商品の3つの条件
ここからが本題です。高額でも選ばれる商品には、次の3つの条件がそろっています。5つの穴のうち①〜③を裏返したものです。
- 誰の悩みかがはっきりしている
- 約束する成果が目に見える
- 実現する道筋と伴走がある
条件1:誰の悩みかがはっきりしている
目指すのは、読んだ人が「それは私のことです」と手を上げられる状態です。「AIを仕事に使いたい方」ではなく、「会社から『AIで業務を効率化して』と任されたものの、何から手をつければよいか分からない事務職のリーダー」と書きます。
「絞ったら、お客様が減りませんか」とよく聞かれます。むしろ逆です。誰にでも向けた言葉は、誰にも深く届きません。高額の商品ほど、「自分のための商品だ」という確信がないと申し込めないからです。
もう1つ、お金を払う人と使う人が違う場合も考えます。会社の業務のための商品なら、上司や会社がお金を出すことがあります。その場合、お金を出す人が知りたいこと(たとえば「何がどれだけ減るのか」)にも答えられるようにしておきます。
条件2:約束する成果が目に見える
「AIを使いこなせるようになる」「業務が効率化する」は、悪い言葉ではありません。ただ、何ができたら「使いこなせた」ことになるのかが決まっていません。目に見えるかどうかは、次の3つで確かめます。
- 数えられるか(手順書が何個、と数で言える)
- 見せられるか(できあがったものを他の人に見せられる)
- 測れるか(前と後で時間や回数を比べられる)
たとえば「3か月で、自分の担当業務10個のAI手順書をそろえ、月の残業時間を測り直して減ったことを確かめる」なら、3つとも満たしています。約束は、責任を持てる範囲で決めます。決め方は約束する成果の決め方で詳しくお伝えします。
条件3:実現する道筋と伴走がある
高額の商品を検討する人が最後に迷うのは、「本当に私にできるのか」という点です。だから、どの順番で何をするか(道筋)と、つまずいたときに誰がいつどう助けるか(伴走)を見せます。
道筋は3〜5段階で十分です。3か月なら、1か月目「選ぶ」、2か月目「増やす」、3か月目「確かめる」のように、1か月ごとに目印を置くだけで、お客様は安心して進めます。
道筋だけなら、動画やテキストでも示せます。高額の商品で差がつくのは伴走です。忙しい週に止まってしまったとき、そばで声をかけてくれる人がいるかどうか。ここにお客様はお金を払います。届け方の作り方は届け方の設計で扱います。
3つの条件で自分の商品を点検する
今の商品を3つの条件ごとに「満たしている・一部・満たしていない」で判定してみてください。足りない条件が分かれば、次に決めることが分かります。
道筋を書いたら、受講する人が一番止まりやすい段階も1つ挙げておきます。そこが、伴走を手厚くする場所です。
まとめ
- 集客を増やしても売れないときは、商品設計に穴がある。穴は「誰の悩みか・約束・道筋と伴走・価格の根拠・入口から成約までのつながり」の5つ
- 設計が整わないまま安くすると、必要な人数が増え、価格で比べられ、成果も声も集まりにくくなる
- お客様は中身の量ではなく、受ける前と後の変化にお金を払う
- 高額でも売れる商品には「誰の悩みかがはっきりしている」「約束する成果が目に見える」「実現する道筋と伴走がある」の3つがそろっている
まずは、今の商品の説明文を5つの穴の表と見比べて、あいている穴を1つ見つけるところから始めてみてください。


